玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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主人公に求められるもの

アムロってそれまでのロボットものの主人公とは違って、内相的で繊細で、マイコンをいじってるようなおとなしい少年でもヒーローに成れると言う事でハイティーンの共感を呼んだと言うような言い方をよく聞くけど、
アムロはその枠に留まらず、普通にすごすぎる。
戦術知識がリュウやオムルよりあるし判断も早い。
さすがニュータイプ
っていうか、親父がガンダムの技術者という設定を差し引いても物語が始まる前から色々とメカの勉強をしてたんだなあって感じで、メカ以外にも用兵にも造詣が深いっぽい。はずすことも多いけど。普通の素人は太陽を背にしてパプア補給艦を叩くなんて思いつかん。
ミライさんにまで有名になるほどメカ好きと言うのは相当だし。
その上、物語が始まってからも実戦や訓練を繰り返し、ククルス・ドアンからは格闘戦を、ランバ・ラルからは戦士の生き様を教えられ、どんどんアムロはすごくなっていくわけだなあ。
ガンダムの主人公はイレギュラーな事件で主役に成るが、割と皆ちゃんと事前に器量を鍛えているんだと思った。
ゲイナー・サンガは引きこもってゲームチャンプに成っていたが、これは異常すぎる。
普通の引きこもりはエロ画像を集めてぬるいオンラインRPGをしても、実戦シュミレーションに使われてるほどの難易度のゲームをやりこんだりはしない。
基本的にガンバリ屋さんが多い。
ロランくんも炭鉱で鍛えたから御大将にもクワウトル王にも負けんかったわけで。
普段から鍛えてないといかんのだなあ。
そこらへんがトミノ監督が「エヴァはつぶしたい!」という原動力なのかなあ。
なにしろシンジ君は何にも無いからなあ。
おかんがロボットになったからパイロットってだけで。
でも俺はエヴァも好きだけどね。
シンジ君は絶対成長しないっていうところが物語に対してウソをつかないって感じで、僕は、シンジ君に勇気をもらいました!
っていうか、あの状況で成長して頑張れと言う方がリアリティがないだろう。ふつうはああなる。
ほとんど考えるだけで操縦するロボットだから頑張りようもあんまりないし。
敵は訳がわからんし。
味方も訳がわからんし。
おかずにしてるのがばれるし。
エヴァは、こういう環境にこういう人がいたらこうなるしかないよな。っていう話だと思うんで、
映画のラストを見たときも「こうなるしかないかー」って感じでした。
もちろん、すごいアレな気分になったけど。
んで、すごいのはシンジクンが「習ってたチェロだってなんにもならなかったんだ!」って言うセリフだと思う。
チェロはシンジ君のほとんど唯一のキャラ付け要素だったと思うんだけど、それを自分で否定しちゃう所がすごい。
それでシンジ君は完璧に無個性なヨリシロとして普遍化されたんだろうなあ。
普通の人は大抵シンジ君レベルだろうし。そういう自分に投影しやすいキャラクターがどうしようもない状況で右往左往するのを見て精神を揺さぶられるのがエヴァかなあと。
どっちがいいってんじゃなくて完璧にガンダムと種類が違うんだよな。と、思いたいんだけど。どっちも好きでいたいし。
しかし、そういう後ろ向きな共感が良いのかって思ってしまうのが富野的なものかなあ。
それでも不条理な力を持っているというだけで主人公として君臨しているタイプの、ヒーローの強さと言う要素しかないヒーローはエンターティンメントとしての爽快感は在っても共感はしにくい。
そこら辺のさじ加減だよなあ。
トミノ監督の主人公は単純に努力をしてるだけでも、才能があるだけでも、偶然強いロボットを手にしてラッキーなだけでもない感じがする。
なんというか、その主人公の人生の要素、生きてきた経験(物語)が合わさった結果、無敵。みたいな。
だから一見不条理に無敵な様で全部理由付けのある強さなんだよなあ。そこがまたおもしろい。物語とは積み重ねと言うか。
だから、選ばれし者だからとか最高のチューニングで遺伝子をいじってあるとか幼い頃から英才教育を受けてきたという主人公たちよりは主人公としての設定としての説得力は弱いかもしれないけど、なんか良いわけだな。
いや、まあ、そう言う主人公たちの出る物語はガンダムとは違う目的の面白さがあるからいいんだけども。落ちものヒロインとか。