玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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ブレンパワード第16話「招かれざる客 」

脚本:富野由悠季・浅川美也 絵コンテ:西森章 演出:真野玲 作画監督:瀬尾康博

0.膠着状態?
国連の指示を無視したノヴィス・ノアだが捨て身の自爆作戦でもオルファンを沈められず、策を無くしていた。
オルファン側もオルファンの浮上が依然として止まったまま。
災害被害だけが拡大し、恐怖に駈られた人々はオルファンに救われようと蜘蛛の糸に群がるがごとく。
そこへ、新たなノヴィスのスポンサーとなるモハマドの再登場。
船の運用のリアルさ、状況の動きのきっかけ、それからコメディ要素の付加という感じでミスター.モハマドはおいしいなあ。
アメリカ主導の国連を離反して、華僑連合やアラブ連合がスポンサーになるというのは、おもしろい。コードギアスも続編はこういう感じで色々絡むのかな?
1.新キャラクター、ナッキィ・ガイズ登場である。
モハマドに拾われた放浪児であり、補充要員。
ブレンパワードフィルムブックによると、16話は浅川氏による脚本が出来ていたにもかかわらず、富野の独断で大幅に開口し、ナッキィを無理やり出したと言う。だから連名。
しかも、その理由というのが会議での「勇にはアムロのカイやハヤトみたいなライバルがいませんね」という一言。そんなので・・・。オーガニックと言うか、エヴァで言うところのライブ感覚?
しかし、カイというよりはスレッガーのような登場時期、登場理由、アメリカン。
ヤマトナーデというのはどうかと思うが、スレッガーのように日本美人を口説いて不器用な男とのなかを縮めさせるのか?と思ったら勇も一瞬で「オレの女」発言。キャー!
まあ、比瑪は超美人だからな!欲しい。ああああ。比瑪のマンコ舐めたいよー。
小説版の勇に対する接し方の心理描写も、アニメ版のグランチャーを可愛がる様子も、比瑪のしなやかな知性とふっくらとした優しさが萌え萌えです。




んで、ナッキィはパッと見はいやな奴だと勇や僕も思ったのだが、ブレンの扱い方や皮肉な言葉の裏を見ると好きになれそうかな。
ちょっと焦りのような物も見えるが、それは何か理由があるのか?
勇を助けようと戦ったときはカッコよかったし、いい奴だと思った。
あと、冬馬由美さんは少年役も上手いな。セシリー。
2.意志を持つ物としてのアンチボディ。

ブレンパワードがアニメでも何人と数えられるようになった。
ラッセ・ブレンの死を受けてのノヴィス・ノアでのブレン達の座り方や吠え方は生き物そのものだなあ。
ナッキィ・ブレンは黄色いなあ。


それで、すぐにオルファンに呼ばれなかったためにオルファンを恨むようになったグランチャーというのが登場した。グランチャーにも個体差が大きくあるのだな。
彼はあえない最期を遂げたが、ここら辺は海のトリトンのヘプタポーダに似ているなあ。
トミノ作品は設定が細かいとは思うのだが、ぼくらのとかバトルロワイアルのようなルール物と言う感じのジャンルとは違い、設定の中でのドラマというよりは設定自体を常に自ら疑う態度があると思う。
ぼくらのって、すごいブレンパワードのような話なんだが。ブレンはもっとゆるい。

クインシィ 「オルファンから出たら生き残れない。体のエネルギーを吸われて皆死んでしまうんだよ?」
勇 「そんなことさせるもんか!上の村に一緒に帰って、あそこの空気を吸えば…」
クインシィ 「今さら故郷に帰れるものか、そんなこと出来るわけがない。お前に出来ても、私には出来ない。お前のせいなんだ…!」

ということ。
絶対に定められたルールなどない。ルールというのは誰かの行動でしかないのだ。だから、抗える!
富野監督作品は自分の極端なテーマを悪役に語らせて、アンチテーゼを主人公に語らせると言う一ひねりがある。
僕も、脳内妹に自分の思考の反証をさせて思考を深めるという事をよくするので、感覚としてよく分かるのだが。
そういう点で、富野由悠季作品は作者一人の思い込みを超えた広がりを手に入れられてるんじゃないかなあと思う。
そこら辺を、最近はスタジオワークからの力ともおっしゃってるんですよね。
ですが、スタジオワークも単にブレストとか多人数のマンパワーというわけではない。
2年前に「小説とスタジオワークとの違いは?」と富野監督に聞いてみたときに、(KINO2参照)「全否定するスタッフやアイディアであっても、それをたたき台として新しいアイディアが出る事もあるのだから、全否定できる価値があると言う事です。だから、絶望するな!」
富野はままならない現実というものも分かっているが、それと同じくらい個体の可能性も信じているのだと思うし、そういう作品は見ていて気持ちがいいんですよ。


3.戦闘!
暴風雨の下の難破船の救助と、雲海の上の鮮烈な青空での真紅のクインシィ・グランチャーとの空中戦という、光線のコントラストの同時戦闘は美しすぎてたまらん。
渡辺久美子の演技もすごい!
前回はユウ・ブレンに押さえ込まれていたクインシィ・グランだが、今回はクインシィの激情の高まりと呼応して、恐ろしい強さだ!
やはり、ブレンの戦いは気のせめぎあいなのだな。劇的だ。
そんで、何だか分からない現象で消えてしまった。
オルファンが脱出させてくれた?オルファンって何だ?



4.他にも
アイリーンさんとか美味しい描写がたくさん。
ノヴィス・ノアのサバイバル艦としてのスペースに被災孤児たちを乗せて、ブレンパワード達のエネルギーにしようというのは、一歩間違えれば、すごく黒い。
ソロシップ?
しかし、アイリーンはそれを生存本能とかではなく、愛の形と言う。うーん。愛か。
イデオンも見ておくべきだったか・・・。
ブレンパワード面白すぎる。
富野作品は思想が連関しているのが素晴らしいな。20世紀の詩人哲学者として、トミノは絶対に将来も語られているだろうな。


あと、今回はギャグ的な表情と戦闘の恐ろしい顔の落差が面白かった。
こーいうのは、最近は作画崩壊とか言われるのかなあ?
大富野教スレでも、ブレンはオレ作監が鼻につくという意見を目にしたし。
80年代はそれがスターアニメーターとか言われたもんだが。時代の流れかねえ?
まあ、アニメーターは基本的に僕よりも絵が上手いので、そういう人が一生懸命描いてたら基本的にオッケーです。