玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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ブレードランナー完全版BLADE RUNNER

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%BC
京都精華大学が、今週は受験でお休み。大学に行ったのに映画を見ないと言うのは、何のために大学に行くか分からなくなる。あってはならない歪みです。
でも、大学の視聴覚室のモニターがへぼすぎるのでキンゲは色がきれいだから見たくない。
だから置いてあったブレードランナー。それもどうかと思ったが、リドリー・スコットよりも富野由悠季
っていうか、シド・ミード目当てだし、基本的に∀ガンダムの資料なのだから富野だ。富野由悠季

富野 はい。もちろん、ミードさんの仕事ぶりはいまでも当然ちゃんと評価しています。ただ、ぼくのなかでは38年ぐらい前に見たイラストの仕事と「ブレードランナー」での仕事が直結してミードさんのことを過大評価していたから、最初にミードさんからターンエーのデザインが上がってきたときには、非常に困りました。「…うわっ、シド・ミードってここまでしかできない人だったんだよね」っていう。

http://tsun153.exblog.jp/6065158/

富野 だから、ぼくは『ブレードランナー』は実はかなり好きな映画なんですが、ラストシーンを見た瞬間に「なんだぁ、これは!」って(笑)、大っっ嫌いな映画になったんです。それまでの映画屋としてのプロフェッショナルな作りとか、そのセンスに関しては本当にいいと思うんですが、そこまでできる人たちがなんでこうも簡単に自分の才能をマシンに売り渡すんだろうか、それは無神経じゃないかと思って、そのとき、「あ、こいつもやっぱりキレてるんだな」と思いました。現にそれ以降の作品暦はそのように見えますねぇ。
http://homepage3.nifty.com/mana/tomino-eva.html

てなわけで、やはり大富野教儲としては、おハゲ様御大のご意見に賛同してる感じ。
絵面や音楽や芝居は面白かったし、きれいだったけど、ストーリーとしてはいかがな物かと思いました。
攻殻機動隊とか、それ以後のSFのルーツっぽいのはよくわかったし、それだけの力量も感じた。まあまあ面白かった。だが、富のアニメを見たときのようにチャクラが反応する事はなかった。
いや、まあ、ラストのハッピーエンディングでデッカードとレイチェルが駆け落ちするっていうのはプロデューサーが取ってつけたものだって言う事らしいですし、レプリカントのリーダーのファザコンぶりの演技や心情の動きは素晴らしかった。感情移入テストなどのアイディアも良かった。アクションとか、痛みを感じさせる戦いはさすがエイリアン。


でも、物語の軸になっているレプリカントの設計思想に同意できない。
耐用年数4年て。高価なんじゃないの?あの世界観では自然は滅亡していて合成生物の方が廉価高性能という事らしいが。ホントかね?
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」ではアンドロイドは機械性だが、レプリカント遺伝子工学で合成しているらしい。じゃあ、生物じゃん。ラブシーンもあるし。赤い血を流すタイプだし。
(ところで、プラスチックと金属でロボットを作った場合、フェロモンが出ないから、マルチは綺麗なおしっこは出せてもいい匂いはしないので、性的魅力に乏しいと思ったが、どうだろうか?ナノマシンでできる?メイドロボットにそこまで投資するか?草薙素子はセックス大好きなので、そこら辺は完備してそう)
博士のセリフを見ると、4年の寿命はセーフガードではなく技術的限界との事らしい。胚性細胞を使用せずに合成蛋白から人体を組み立てたホムンクルスって言うのが近いのか?倫理的には人間扱いしないですむが、生物的には人間。火の鳥生命編?
ふーむ。ロボットだったら洗脳が完璧だろうけど、生っぽい脳で動いているから死の恐怖が自然発生するってことか。
そんな物を実用化すんなよ。パーか。
記憶のすりこみはできるみたいだから、スカイ・クロラみたいに経験則だけをセーブして新しい肉体にインプットしたりしたら不死性は確保できるんじゃないかって思ったんだが。生ものだからそれも出来んのかねえ?脳髄はものを思うに、ものを思うにはあらず、か?多細胞生物の生存欲求ですかね。ロボトミーしたらいいんだろうけど、それは知的な仕事が出来なくなるのか。
そこら辺は、ちょっと感慨深くて面白かった。
設計されているけど、生き物の本能が、コンピュータープログラム的な知性ではなく細胞から発生するっていうのは面白い。
デッカードに模倣子を託したって言うか、覚えてて欲しかったって言うのもベタだけどナイス。デッカード本人は「レプリカントも命を大事にする事を覚えたのだろう」っていう別の解釈だったけど。
でも、だったら、4年で死ぬのはセーフガードとか虚偽の仕様書を流すなよ。うーん。
っていうか機能不全で反逆しているレプリカントしか出てきてないから、正規のレプリカントの性能がわからん。レプリカントを使っている社会と言うものがわからん。っていうか故障してるのしか居ないように見えるのはダメじゃん。設定的にも故障せざるを得ない感じだし。リコールしろよ。
オマージュであろう攻殻機動隊のメイドロボットは人為的に故障したやつと、正規に動作していてボケーっとした機械っぽいやつがあったから、そこら辺の問題に回答してるのかな?っていうか、やっぱりメイドロボットを侍らせて喜ぶのは日本人の感性かなあ?
人形愛は西洋型のものが多いけど。


だから、やっぱり、全体的な感想としては、設定と筋書きが有機的に絡んでいる物語というよりはワン・アイディアを映像と演出で膨らませたって言う感じかなあ。ミステリとしても一本調子だし。
富野アニメに比べると、作為が見えすぎるというか。トミノアニメがちょっとアレではあるんだが。


というか、あの、ひどい事を言うかもしれないですけど、ギャルゲーっぽい。登場人物が少なく、記号化されていて、人間関係が閉じてる。
世界観はバーーン!とこう、シド・ミードーッ!とメカメカしい雰囲気で打ち出してきているけど、実はそれは大してストーリーに影響して無い。レプリカントが数名地球に来ました、っていう時代背景には合ってるし、多分原作(読んでないけど)の滅んだ世界って言うのに合わせてるんだろう。
映画的に綺麗ではあるけど、ストーリーに絡まない。でっかい古代バビロニアのお城のようなメカメカしいビルに住んでいる社長が簡単にやられた割に、それが企業社会に影響した風でもないし、セキュリティもザル。
ま、短編小説的といえばそうなのかな。でも、なんか狭さがおたくっぽくてエロゲーっぽい。酸性雨とゴミゴミしたビルで出来た住みにくそうなロサンゼルスだけが舞台って言うのもオタクっぽい。efとかCLANNADとかも限定空間だし。でも、ブレードランナーよりギャルゲーとか第三新東京市の方がよっぽど住み心地は良さそうですが。ニトロプラスはあんまりやってない。
でも、ラストシーンで自然溢れる所にエクソダスですよ!最初からそうしろ!アホか!
まあ、プロデューサーがハッピーエンドにしたかったらしいが、ぶち壊しだ。設定レベルで。
「4年しか生きられないとか、人間だってわからない」っていうのも、ストーリーの進行による心境の変化って言うよりは、そりゃあ、その設定だったら誰だってそう思うだろうね。という感じで浅い。
ハリソン・フォードのリック・デッカードより敵のリーダーのルトガー・ハウアーが葛藤や心理変化があって主役みたいだった。デッカード狂言回しかなあ。それなら、名作かなあ。あそこで終わってる?


でもギャルゲーの割にヒロインが可愛くない。化粧がけばいのよー!
デッカードに「オレを好きになれ」って命令されて好きに成るのもメカメカしくてつまらん。デッカードがレイチェルを好きになった理由が見えない。単に美人で言う事を聞いてくれてちょっと助けてくれて依存心が強い女だから。という感じで、あまり良い恋じゃないなあ。すげこまくんとか手塚治虫とかギャルゲーの方がメカ恋愛としてはもうちょっとドラマチック。
やっぱ、2時間で世界観と人情を全部表現するのは無理か。雰囲気と演技が良かったという事でオッケーか?
うーん。
まあ、超大作とか未来社会風刺ではなく、あくまでデッカードレプリカント数名の関わり合いとして、ギャルゲー的なローカルなシチュエーションドラマとして見たら、感動できた部分が大きいので、よいか。
おれ、あんまりSF世界には興味が無いのかなあ。BLAME!も人情話だと思ってるし。造形を見てて面白いっていうのは確かにありますけど、別腹?


あ、シド・ミードについて。
未来でブラウン管はないと思った。
でかい広告はLEDディスプレーなのにねえ。合成だから。
あの車のデザインは良いけど、ゆっくり飛ぶのはミノフスキークラフト(笑)?
城のデザインはミードっぽいけど、レトロっぽい廃ビルでの決戦が印象に残ってるから、あんまりミードって言う感じはしなかった。
城の存在感はすごかったけど、特にストーリーに絡んでないから浮いてた。
でも、存在感がすごかった。
ミードデザインは説得力があって密度が重過ぎるから、取りまわしが難しいのかなあーって思った。YAMATO2520とかもミードのデザインを見せる!っていうだけではしゃいでる所があるしな。(いや、あれは西崎プロデューサーがカリスマぶって会議大好きで制作期間を圧迫したから背景を書く時間がなくなってミードのデザインボードを流用・・・ゲフンゲフン)
で、富野由悠季ターンエーガンダムでミードデザインを使ったけど、そこにザクとかカプールとかの旧モビルスーツやマヒロー等の新世代日本モビルスーツもぶつけて、しかも黒歴史の概念と合わせてミードデザインを絶対視しないようにしてる。
ミードのメカっぽいデザインは素晴らしいが「アートだ!」って言う風にはしゃがないで「機械だ!物を運ぶぞ!洗濯するぞ!」という冷静な目線。同時に「人形だ!走るぞ!ちゃんばらするぞ!お嬢様を守るぞ!」っていうアニメっぽい可愛さもつけて、デザインに引っ張られないようにしてるって言うのはあるねえ。
まあ、後半くらいはマルチパーパスサイロとかスラスターベーンのデザインを生かした機能を見せてくれても良かったかも知れんが。でも、後半のホワイトドールは機械的な機能というよりは、ビームサーベルを振り回して瞬間移動!ドラゴンボールの悟空のように空を飛び、神話のような月光蝶で封印!って言う謎のオーパーツだからなあ。っていうか、そもそもオーパーツだけど。
そう言うのはデザインを生かしきれてないのかも知れんが、そういう緩さとか雑多な感じも∀という全称記号っぽくもあるんだよなあ。