玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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∀ ガンダム第23話「テテスの遺言」

脚本・大河内一楼 絵コンテ・斧谷稔/工藤紘軌 演出・山口美浩 作監佐久間信一
http://www.turn-a-gundam.net/story/23.html
http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pastel/3829/words23_TurnA.html
最近、「だれそれの何たら」っていうサブタイトルが多いなー。23話です。
で、同時に大河内一楼氏のアニメ脚本デビュー作でもある。僕的には、プラネテスは上手くまとまっていたと

思うのだけれど、コードギアスのキャラクターの使い方の粗さとか、キングゲイナーではシリーズ構成なのに

大河内脚本回のカシマル編の構成が杜撰だったり、と、愛憎相半ばす、という感じであります。アイディアは

いいと思うんですけど、アイディア勝負に陥って脇が甘いな、って言う部分も在るんですな。
プラネテスは原作付きで、かつ原作を自由にアレンジできる単独脚本だったからまとまりやすかったんかなあ

。ギアスは伸びたり、変な弟が出てきたり引きを強くしたりって言うギミックが要請されたし、キンゲはグチャグ

チャだからなあ。
で、∀ガンダムでの大河内一楼脚本ですが、いやいや、中々面白かった。って言うか、∀ガンダムは面白い

な。斧谷稔コンテでもあるし。
まー、テテスさんが死んで、謎の暗殺者ミドガルドを曖昧なまま次回に引く回と言うことで、ちょっと後味の悪

さっていう大河内らしい部分もあるんですけど。でも全体の構成的には、テテスに決着をつけて新しい悪役を

出す事は必要だしなあ。
ミドガルドが今回からの悪役だが、悪過ぎる。すぐに殺す所とか、顔色とか、シャツのセンスとか。
テテスに命令しているけど、ミドガルドはキースの信用を得るために、ロランを助けるキースの指示に従ってテテスの策を失敗させるとは。ミドガルドは悪いな。


それから、今回はパン屋を切り盛りするキースとベルレーヌ、ギャバンのプロポーズを受けるソシエ、フランと

ジョゼフの出会い、トロイを垂らしこむテテス、っていうカップリングの対照というのもあるわけだ。
構成としてはありがちだけど、全体の流れにも関わってくる部分だよなあ。
フランが自分の使っていたフラットを懐かしがったり、伏線を踏まえた芝居も良い。フランが敵にパンを売るキースに八つ当たりするのは、戦争の殺伐とした報道ばかりしている自分にストレスを感じているからって言うのもナイス。フランが「私は出来高払いのアルバイト記者だしな」って落ち込むのは大河内一楼氏の経歴を考えると身につまされる。


ギャバン・グーニーはロリコン?でもソシエちゃんは成人女性です。繕い物をしてアピールとは、逆ミライ・ヤシマ(笑)そこにマリガンが通りかかる、って言う、カップルだけの閉じた芝居にしない雰囲気は富野らしくて好きだ。初めて(?)大人の男に告白されて頬を染めてロランを待つソシエちゃんのカプルがモノアイをきょろきょろさせるの可愛い。


トロイって、思いっきりトロイの木馬だな。やってる事も。ロランが小麦粉倉庫を使ってガンダムを奪還するのは大河内らしいギミック戦術だけど?
まー、キースやヤコップ・ブルーノとロランが協力するっていうギミックはいいな。しかし、ミドガルドは何がしたかったのか・・・。テテスは最初から切り捨てるつもりだったんだろうか?
うーん。テテスはここで死んでいるべきなんだけど、ミドガルドがキースに協力して自分で自分のガンダム強奪作戦を潰してるって言うのがねえ?
どーも、テテスの死と、ガンダム奪還って言う個々の見せ場を作る展開としては上手いけど、その二つをつなげてみるとおかしい気がするんだけど・・・。コードギアス 反逆のルルーシュもちょっとそう言うところがあった。
まあ、ミドガルドとテテス・ハレにとって、ギャロップ一行が来ると言う事はイレギュラーな事件で、工場に紛れ込んで、裏切ったムーンレィスの工員を狩り出すのが本来の作戦だったようだが。じゃあ、ヒゲなんかほっといたらよかったのに。ガンダムと言う言霊にこだわって先走ってしまったのだろうか?
そこら辺の事はちょっと見えにくい。
ときた洸一版では、単に失敗が続いたからテテスが粛清されたって言うだけで、そっちの方が分かりやすい。


テテス・ハレさんが今回、劇中で唯一「ターンエーガンダム」と発音しました。

テテス 「このヒゲは、ガンダム系譜のものなんだよ」
ロラン 「ガンダム?」
テテス 「額の刻印はAの文字の逆立ちしたのにも見える。ターンするAにも見えるけど」
ロラン 「バグかエラー表示ですよ」
テテス 「形式コードだろ、ターンAガンダムとかさ」
ロラン 「それがなんだってんです」
テテス 「黒歴史を生んだ張本人、宇宙移民をいじめた張本人のガンダムなんだ」

などと。ターンコードで黒歴史を呼び出し、ターンエーガンダムが地球を滅ぼした事を知ったのはアグリッパ・メンテナーだが、テテスもその事を教えられていたのだろうか?
でも、だったら、オーバニーの家で初めて白ヒゲを見た時にもっと驚くかと思ったんだが。ミドガルドに教えられたんだろうか?
でも、アグリッパはターンAガンダムとは言ったことが無いんだよな。正式名称はシステム∀で、∀ガンダムって言うのはガンダムF91みたいな仇名のガンダムかね?
あと、テテスさんは地球が綺麗に見えるところに住んでいるって言うことは運河の上なのだから下層階級なんだろうか、それとも展望公園だろうか。


坊主になってしまったコレン・ナンダーの謎の復活も今回。コレンって、死んでもいいキャラとして発案されたはずなのに・・・。本放送の時はリアクションに困ったなあ。
何気に、 「天の乙女は始まりの木の、天の蓑虫にぶら下がり…」 などとザック・トレーガーとか黒歴史元年の曰くについて語っているんだが。しかし、リアルタイム視聴ではそんな事を聞かされてもわかんないっすよ。伏線とも思えないって言う。視聴者をなめて説明しすぎのガンダム00もどうかと思うけど、∀ガンダムは視聴者にニュータイプ並みの情報吟味能力を要求するとは。


∀ガンダムを奪取された事にいち早く気付いたディアナ様は、やっぱりニュータイプっぽい。外宇宙から戻ってきたニュータイプの末裔の女王だからなあ。
パン工場のムーンレイス職員の子供にヒゲの機械人形は大人気なんだな。リアル小学生視聴者の人気はどの程度のものだったんだろうか?夕方にやってたけど。当時10歳でも、今はハタチなんだよなあ。


ホワイトドールロラン・セアックについて、ロランが奪われたホワイトドールに「お前、自意識持てよ」ってしかりつけるのが、ロボットを道具だけじゃなくってパートナーとして扱ってるみたいなロランで可愛い。ホワイトドール人工知能のような反応性もあるから、ロランが語り掛けたい気持ちも分かる。でも、ガンダムに語りかける主人公って、ロランとドモンくらいか?ウッソも「ガンダムよ、天に上れ!」って言ってたな。
∀ガンダムって空想科学読本とホンダP3以降初めてのガンダムと言う事で、戦闘用兵器って言うだけで無く、ロボット工学的な描写も多い。
コックピットを揺らさないように走ったり、「はいっ!牛をつかめます!バケツもつかめます!洗濯も出来ます!」というマニピュレーターの性能誇示。小さいものをつかめるとか、それ、玉子を掴める宇宙の戦士のパワードスーツかよ!クラッシックなSF描写で楽しいなあ。
生活に応用される∀ガンダムは牧歌的な描写と言われがちだが、こういうのはロボットSFの基本だったりもする。センス・オブ・ワンダーだなあ。これで高千穂遥ごとき若造に文句は言わせないぜ!(笑)
まあ、木星まで滅ぼせる月光蝶みたいなトンでも兵器も積んでますけど・・・(笑)動力とかナノマシンとかは超未来科学過ぎて謎過ぎるし(笑)
まあ、未来の科学は魔法に見えるけど工業製品ということは工業製品だろうな。そこら辺は富野ガンダム
こういうロボットを工業製品として扱った描写のあるアニメは、∀ガンダム以降(と言うかアシモ以降)のスタンダードになるかと思ったんですけど、むしろ燃え系スーパーロボットが復権したような印象ですね。マジンカイザーシリーズとか。
コードギアスも最初はリアルだったんだけど、どんどんトンデモに・・・。ガンダムSEEDも最初リアルだったけど、1クールすぎて人気が出ないと見るや、捨てましたね。ま、ギアスや宇宙をかける少女はSFというよりはむしろ能力者バトルものともいえるか。
ガンダム00は、、、ギリギリリアルだろうか・・・?全裸以外。アレはインティパ粒子?
Z.O.E.を見るべきか。


ロランの一本背負いはギンガナム流柔術


あと、リアルと言えば、これは決定的に富野ガンダムだけなんだけど、「兵站論」。
ここ最近の∀は野戦病院パン工場とか、銃後を描いている。それから、グエン・サードやミラン執政官などの政治や経済の部分での戦い。飼い殺しにされていた技術者が美味い食事と仕事を求めてミリシャに寝返ったりとかな。
パン工場の周りは中立地帯が自然発生して、戦争が出来ない。こういう戦い方もあるのだ。
補給が無くては戦えない、って言うことを絶対条件として描いているのは富野ガンダムだけだなあ。富野由悠季監督は講演会で

ほんとに戦争物をやった時に主人公だけが活躍すれば、主人公メカだけが活躍していれば良いんです。ガンダムで初めてやった事があるならば、その、巨大ロボットを動かすためには絶対に補給論がいるだろう。ということをきちんと物語の中に組み込んだのはガンダムが初めてだと思う。

で、当然その事は、その事は、実を言うと戦争全体を考えるといった時に、かなり難しい単語を言います。

「兵站論」

兵站という言葉をご存知の方は、えー、お年寄りには聞いていません。ようするに、戦争するための補給路なんです。だということを、僕はガンダムをやった時に間違いなく意識しました。

で、その事をやったために、マチルダさん(平坦なアクセント)というとても大事な女性キャラクターを殺してしまいました。で、マチルダさんを殺す事が大事なんじゃないの。

その、兵站論というのは決定的にあるだろう、補給論というのは決定的にあるだろう。そういうものを抜きにして、アニメといえども戦争を描いてもらっちゃ困る。

http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20070219/1171870115

と、明言しているし。
ここらへんもリアル。こういう舞台裏をアニメでも見せられると、簡単に戦争というものはできんのだなあ、と分かる。
しかし、そう言うのは爽快感がないのよね。キース・レジェも今回、「それが戦争を拡大させちまうんですよ。軍事技術って、大人の男のおもちゃなんですから。男はすぐにそういう物を使いたがるんです」って言ってる。
だから、ロボットアニメって言う娯楽作品で兵站論を組み込んだアニメはあんまり無い。
で、機動戦士ガンダム00ガンダムマイスターは世界中を放浪しながら飢える事も無く、無限に鉄砲を撃ちまくるのだ。GNドライブ以上にそっちの方が技術として怖いわ!
ま、萬画だしね!
でも、そういう衣食住を想像しない文化に浸ることが、食料自給率が低いのにヘラヘラしているヤーパンの心性を作ってるんだなあ〜って想像すると、ゲンナリしますね。うーん。
家庭菜園くらい作るか?え?すみませんね・・・。


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∀ガンダム 第23話 テテスの遺言


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