玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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創作幻視小説版「夢兄妹寝物語」 2003年8月 第8話 第6節

サブタイトル[禁断のロリコンオーディション] 
前書き:美少女が豚を買おうとした時、謎の閃光が!
スネーク「うわああああああっ!やっぱりこの子!おっおっおかしいよ!」
タイガー「こんがきゃああ!おまぁら、しゃあっすぞぁ!」
そら「動くな!まだ爆弾はある!
タイガー「ぐぬぅううう」
小松「タイガー、荷物検査はしなかったのかあああああっ」
粉塵とがれきを掻き分け、埃まみれだが怪我ひとつない小松が怒号を上げつつ、腹をぶよんぶよんと走ってきた。
タイガー「ボールなんて、オーディションで使う道具やと思ったんです!金属反応とかなかったんですぅ!」
そら「私を甘く見るなと言う事よ!デブ親父!顔も見せずに偉そうに!」
小松「はひ、はひ、はひ。はぁ、はぁ、そらちゃん、はひ。わかった。君のすごさはよくわかった。だから頼む、私の言う事を聞いてくれ!私に君のお兄さまを!」
 舞台に上がろうともがく肥満体は頭令そらの白タイツの太股の間にある白スクール水着の胴体から顔まで見上げながら懇願した。
そら「まだ言うか!」
 一閃!ピンクのローファーのかかとが舞台にかじりつく小松の左手の指の爪を二つ踏み割った。
小松「ぎゃいん!」
 たまらずステージの縁から客席最前列まで転がる小松の肥満体。
   
   
ミミコ「そら様ー。もうそういう暴力はやめましょう。帰りましょう」
 ゴーストの爆発でタイガーとスネークの気が逸れた間に縄抜け、というかダッチワイフの体を変形させ手首を抜いた三角眼鏡に蝙蝠の耳を付けたメイド服の少女人形宇宙人が主人に声をかけた。レイもミイコとミニコに手枷を外してもらっていた。
そら「あら、ミミコ。意外と手際が良いわね。
 でも、こいつら色々嗅ぎまわっていたみたいだから。どうしようかな」
タイガー「いや、ぼくら、ほんま、何も知らんのです。そらちゃんの生活をちょっと報告してただけで、ほんま、そらちゃんがどういう人か知りません。
 これからは心を入れ替えて遠くの町でまじめに暮らそう思っとります」
スネーク「だから爆弾やめて!」
レイ「小松はそら様を独占するため、核心部分は誰にももらしていません」
 立場が逆転し、チンピラ二人を縛り上げながら、セブンセンサーの調査を聞いたレイが答える。
そら「じゃあ、この偉そうな親父の口を利けなくしたら済むのか」
 鞄から、そらはバスケットボールのゴーストを取り出して毬つきを始めた。テン、テン、テン。
 そらに不具にしようと睨まれた小松は3列目の客席の背もたれの後ろに飛び込みながら叫んだ。
小松「私に!お兄さまを目覚めさせる手伝いをさせてくれ!!」
 やっと言わせてもらった、と丸くなり息をつく。
  
  
そら「……どうやって」
 毬つきの音が止む。巣穴に追い込まれた豚のように、まんまるい小松が背後の美少女に叫ぶ。振り向く勇気はない。
小松「君たちには力がある!知恵も!だが、君たちには人脈が無い!だから、お兄さまも目覚めさせられなかった…っ!
 だが、私には……メディアはつまり人脈だ!それを、使えば、君たちが知り得なかった方法を、探す……、いや、作ることもできる!
 だから頼む!私にお手伝いをさせてください!」
  
  
そら「……つまり、お前もあたしの奴隷になりたいという事かしら?
 そう……。奴隷なら、飼ってやってもいいわよ」
小松「はい、そうです!ただ、その人脈を作るために、そら様にもアイドルとして活動していただきたく思いますので!その誓約書で私の専属のアイドルになるという契約を結んでいただきたく!いえ、もちろんこれは形式的なものでして、実際は私が奴隷です!」
 と、今度はゴムまりのように小松はステージ光を背負う壇上のそらの足もとまで跳ね出た。土下座をしながら唾を床にぼたぼたと落とした。
そら「そうか。なるほどね。わからない話でもなさそうね」
 そらは左手をまだあまりくびれていない右腰に当て、そこに右肘を付き、そらの右手の指は思案気に自らの頬をさする。
小松「はい、この話を内密にするために、御家族に乱暴をしてしまい、このたびは、そら様にはわざわざ秘密の地下演芸ホールまで御足労していただきまして、本当にお詫び申し上げますっ」
そら「ああ、こいつらも奴隷だからね。それについては構わないわよ」
レイ「そら様。彼らは軽々に信用できません。それに我々が11年かけて出来なかった事を……」
そら「うるさいわね!11年かけてお兄ちゃんを助けられていないお前が言うな!無能!
 それとも、自分以外の奴隷ができるのが嫌なのかしら?」
レイ「そのような事ではありません。彼らを使役した場合、我々の行動が阻害される懸念が御座います」
そら「奴隷同士、上手くやれ」
小松「存分に働かせていただきたく!」
タイガー「うわあ、ええなあ!ぼくらもどれいになりたいなあ!」
スネーク「どれい なりたい!」
そら「はっはっは。よしよし、では、サインと、ハンコの代わりにキスマークをしてやろう」
小松「ありがとうございます!」
  
  
 小松が差し出したサインペンで、そらが署名しようとした、その時。
シャアーッ!ズブンッ!
 そらの左手の契約書が飛来物に撃たれ粉々に破れた!
そら「何者!」
 瞬時にそらが見やるのは、契約書を砕いた石つぶての飛んできた方向。野球ゴーストが破壊したディレクションルームの破れ目。
「頭令そら。子供が軽々しく契約をするものではないな」
 破壊孔からヒュッと客席の花道へ飛び乗り、そして悠々とスーツ姿の長身の男が、暗いホールを縦断して歩いてくる。規則正しい革靴の足音。
ロザリオ「そら様。あれは尾行者のうちの一人です。
そら「小松!お前の手下か!?」
小松「いえ、こんな男は違います!」
 白いスクール水着猫耳の頭令そらが問えば、少女を照らす照明の明かりに近づき男の輪郭がはっきりと見えてくる。赤いジャケットに黒いシャツとスラックス、ネクタイは黄。髪は金髪、しかし何より、顔の上半分を覆う白い仮面が彼の一番の異様である。
「私は社亜砂(やしろ・あずな)。家庭教師をしている。専門は実践の社会科!頭令、貴様を私の生徒として迎えにきた」

 
  
 赤い服に白い仮面の男は、そらのスポットライトに足を踏み入れ、言った。「特務家庭教師 社亜砂」と、アドレスが記載された名刺を見、そらはスクール水着の胸元に押しこんだ。
 140センチにも満たない小柄なそらは頭二つ分高い仮面を見上げ、舞台上のライトが目に入って、まぶしいなと思った。逆光と仮面のため、自分のスクール水着の胸元を伸ばした時に、仮面の奥の目が伏せられた事を少女は知らない。