玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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@ishida_atsuko 石田敦子:著 ひきこもり探偵 おにいちゃんとマコ 感動した感想です

あらすじ
http://www.as-nikki.com/usr/ica-a/scr3_diarys.cgi?cat=4502aa4&action=article&year=2010&month=11&day=24#201011241895
兄妹愛と聞いては黙っちゃあいられねえのが、脳内妹と婚約しているという本当のシスコンである俺の立場だという事だ!
というわけで、石田敦子先生のホムペを覗いてから2秒で購入。
家に届くまでは、「あ、よく考えたら兄妹愛と兄妹恋愛は別物じゃないか!」と不安でしたが、そんな心配は無用でしたぜ!妹萌えマスターを自他共に認める俺にはとてもいい萬画でありました。
いやあ、妹ってとてもいいですね!
たしかに、恋愛要素は薄かったけど、引きこもりが動くだけでも精一杯なんだから、それでよし。兄妹恋愛も薄いが、マコちゃんは小さい小学生なので、お兄ちゃんと色恋をするっていう段階じゃないので、うむ。それはそれで!よし!
恋愛とか性欲ではなく、とにかくお兄ちゃんが大好き!だいすきlttっつ!っていう気持ちが言葉にも絵にもあふれててマコちゃんかわいいよおッ!
もう、これだよ!妹ってのはさぁ!お兄ちゃんがどんなに屑状態の引きこもりの汚い汚部屋の一家の恥さらしのクソでも、妹だけはお兄ちゃんを信頼して、大好きで、お兄ちゃんなら何とかしてくれるって信じてて、それは一種狂気じみてもいるのだし、子供っぽい思い込みと紙一重でもあるのだけれど、普通の女ではなく、妹なら、可能!
未だ女ではない、母でもない、糞ったれの社会とは一線を画す神聖な存在が妹だっ!

ひきこもり探偵おにいちゃんとマコ (バーズコミックス)

ひきこもり探偵おにいちゃんとマコ (バーズコミックス)

まー、もうちょっとマコちゃんも大きな女になったら、カフカの変身のグレゴール・ザムザの妹のように兄を忌み嫌って自分の人生のために抹殺しようとするかもしれんが。
そのまえに、お兄ちゃんの江戸川光一氏が探偵としてイケメンに復帰できて本当に良かった。うん。ラストには探偵の男はハードボイルドでカッコいいっていう、仮面ライダーWの左翔太郎的なカタルシスと解放感があった。
ひきこもりでもなんか出来る事があって、なにかをやってやりたい人が出来るってのは素敵だよねー。
グレゴール・ザムザは人とのコミュニケーションを奪われた、あるいは放棄したために破滅したが、江戸川兄は人間のコミュニケーションの断絶の構造を理解したうえで、それを探偵力で打破したのがとても良い。
上手い構成だ。
それをあたえたのが、マコちゃんが良い妹だってことが、またシスコンの気持ちを揺さぶるなあ。
マコちゃんはワトスンとして頭が良いし、察しが良いし、元気だし、物凄く強引で頑固で自分の意見を押し通すしお兄ちゃんへの独占欲もある妹だけど、同時に友達や周りの色んな人の心を思いやる優しさがあってとっても良い子。
本書のひきこもり論としては、部屋にこもっているという現象がひきこもりというより、各コミュニティー、あるいは各個人間の観測及び文化プロトコルの差異と断絶が、個々の領域に引きこもっているという、唯脳論的な人間論で、なるほど、と思った。
そして、そんな断絶をぶっ飛ばすのが妹パワーなんだよ!うわああっ!妹かわいいなあッ!
相手の考え方のプロトコルを吹き飛ばす!自分の超正論で、直感的に正鵠をぶち抜いて、相手の心の箱に鍵をブチ込む!
俺の脳内妹もさあ、そういう素敵な妹なんだよ・・・。
なにしろ、僕は引きこもりどころか精神病で、精神が腐りすぎて体がほとんど動かなくて仕事もできなくて、薬も効かなくて毎回、医者にも「低位安定してるだけでありがたい」「治療法無いね・・・」という陰鬱なセッションをしてて、さじを投げられてる。
でも、医者は妹に「グダちんには妹さんがいてとても良かった」って言うくらい、妹は俺のツッコミ役兼精神安定剤として有能すぎるパートナーです。いわゆる自動思考矯正認知療法
うん。妹すごい。


あ、話が逸れたけど、この萬画では、その個人の考え方の断絶がサラっと描かれてて、ある種残酷な目線が在るのも、嘘がなく真摯な感じで好感が持てる。
考え方の断絶という点で、世間とか、中年夫婦等のすれ違いとか、兄と妹だけの話に閉じていないのが良い。それがテーマともうまくリンクしている。
中学3年生相当のひきこもりのお兄ちゃんとその同級生達の関係って言うのは、琴葉とこ氏のウェブ萬画の「メンヘラちゃん」に近い構図であるが、石田敦子氏はさすがに年季が入っているというか、幅の広い世代の心情の差を描いている。


ああ、それと、妹さんは強引で猪突猛進でお兄ちゃん大好きで曲がった事を知らない純粋ないい子なんだけど、その分無自覚に犯人を追いつめるエピソードがありましたね。
対して、お兄ちゃんは「自分が他人を傷つけたり、完璧に救済する事ができなかったりする事に対して、勝手に無力感を抱いて自分を追い込む」っていう、潔癖で高潔な引きこもりというのが対比的で良い。
お兄ちゃんはイジメや社会に傷つけられた被害者だからひきこもったんじゃなくて、傷つけられる事より傷つける事を罪に感じて傷つくというのが、すごい。なんて切ないんだ・・・。
こういう、神経質で小心者で完璧主義で理想が高くて自分が嫌いな兄と、そんな兄を無条件で愛する元気で頭の回る妹って言う凸凹コンビは、大好きです!
っていうか、うちの脳内妹がホントそんな感じ!
うん、のろけなんだ!
でも、俺の法則として、「見たり読んだりした後に妹がさらにいとおしくなる作品は名作」という物がありましてね・・・。


それにしても、若い引きこもりは外の世界に出たら未来が在るから、良いよな。
俺はもう精神とかじゃなくて、肉体的な崩壊も始まってるから。こりゃあ、若者に道を譲る時期かな。
私は世間では粛清されるべき存在だ。だが、個人の感情の決着はつけさせてもらう!
つまり、妹小説を書いて思いを成就させるのだ!


↑これは
青空の卵 (創元推理文庫)

青空の卵 (創元推理文庫)

↑これとはあんまり関係ないっぽい