玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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東京MXで再放送のみなしごハッチの富野回58話がヤバい

昨日のMX昆虫物語 みなしごハッチ再放送は富野喜幸コンテの58話「父の星・母の星」。
脚本、桜井京介。
以下、ツイッター実況から。


最初からいきなりショウジョウバエの両親が「死んだ時に迷わないように生きてる時に自分の星を決める」とか言う。70年代初頭の死と隣り合わせ感覚ヤバい
富野コンテ回の主人公は喜怒哀楽の感情の起伏が激しい。昆虫物語みなしごハッチ。ハエ両親はもう死んだ。ハエの息子ピートは速攻絶望した。マジパネエ
虫はマジすぐ死ぬなー。虫には百メートルも遠いし、目的地が見えてても敵に襲われて死ぬ。虫こええ。あと富野ハッチの常在戦場ぶりヤバい。後半ハッチは喧嘩慣れしてるな


敵を罠に追い込むハッチ好戦的だな。敵の断末魔の響きが残酷過ぎる。


虫息子「ハッチのお兄ちゃん、僕をほっといて!ここでパパとママを殺した奴らが死ぬ所を見ててやるんだ!みんな、みんな死んじゃえ!」

富野コンテは1971年から狂ってる。シナリオからか? イデオン発動篇と同じくらいの黒さ。
フリージングなんかよりよっぽどグロい。
子供向けで夕方なんだぜ…。デメタンもかなり死亡率が高いし、キャシャーンテッカマン・ゴワッパーも破滅してるし、タツノコダークサイドやばいなー。(ちなみに、富野は全部参加してる)(修正。テッカマンに参加してたのは湖川友謙さんで、富野は絵コンテ参加してない)


しかも、シナリオレベルだけでなく、ハッチたちを狙うヤクザ虫の大人達を糸で絡めて、無表情に食べて行く丸顔の芋虫ちゃんの大群の絵がマジグロい。残酷で凶暴で、ハッチをいじめて追いまわしたヤクザを淡々と食べて行く芋虫。
ヤクザ虫が2分くらいずっと食われながら断末魔の声を洞窟に反響させて、ヤクザに親を殺された蝿のピートがそれを血走った眼で見て喜ぶ。
ハッチは耳をふさいで逃げて行く。

しかも今回のサブタイトルの「父の星・母の星」はハエの両親が息子に「死んだらあの星になるよ」と教えた言葉だが、息子が後半に両親の星だと思ったものは、発光芋虫が獲物をおびき寄せる罠を、敵に追われる恐怖で星だと思った幻覚に過ぎなかったという。サブタイトル全否定地獄。そして、ハッチはそれを使ってピートの両親を殺したヤクザ虫を絡め取って殺す。
そして、ハッチが逃げのびたら母の手がかりが落雷で燃えてて、ハッチが鬱で終わり。」
三千里もだが、富野回って、酷い時は徹底的に救いが無いね。
もう、狂っているとしか。
善悪の逆転は富野らしいが、善悪の逆転以前に富野には善悪の観念がなさそう。状況さえ許せば誰だって殺戮者になれるって感じ。荒みすぎだ。さすが富野は「アニメで発散しないと僕は確実に殺人しました」って言うだけはあるな。俺ですらたまに引く。
ピートはハッチに手を引かれて逃げながら、「僕はもう駄目だよ。ハッチにはママがいるんだろ。僕は死んでパパとママの所に行くんだ」って絶望してて死のうとするんだけど、殺す立場になったら「奴らが死ぬ所を見ててやるんだ!みんな、みんな死んじゃえ!」って歓喜して、その叫びにハッチは怯える。
こわいこわい。
悪意しか感じない。
悪い奴を知恵を絞ってハッチがやっつけた、とかそういう爽快感が0。「戦いの愚かしさを描くため」「暴力に反省を促す」「平和の尊さ」っていう道徳的なフォローを一切しないんだな。単に「殺した」「苦しんで死んだ」「生き延びた」っていう虫けらの現実を淡々と描いてる。もうね、ラストのピートの狂気のアップと断末魔とハッチの苦悶の表情のリズムが、当時29歳の富野の狂気を感じさせる絵コンテでした。


あと、富野演出って、Gアーマー登場の前にド・ダイYSを登場させるっていう、繰り返し構造が多いんですが。というか、それが古めの脚本のスタンダードなんですが。
前半でハッチが、草を使って投石する罠でヤクザ虫を追い払うという場面があり、ラストにハッチがそれを繰り返すように「僕、良い事を思いついたよ!」って言って発光芋虫の粘液の糸をヤクザ虫の大群への罠にして全員殺すという繰り返しです。
で、最初の罠は追い払うくらいのかわいいものだったけど、2回目は断末魔を洞窟内にとどろかせ、しかもハッチより小さい子の精神を歪ませる。
前の成功体験を踏まえて、良い事をしようとしたら、取り返しのつかない結果に成って心に深い傷を負うとか、後の富野作品のえげつなさに通じますね。
ほんと、こんなのが何で子供向け感動アニメとして放送されてしまったのか理解に苦しみます。今の深夜グロアニメよりもよっぽど精神的ダメージがでかいです。フリージングで腕をもがれて苦しむ美少女とか、喰霊零よりも気分が悪くなって吐きそうになりました。
でも、それでも富野アニメが好きなのは、「これは本当の事を、お話の中だっていう言い訳をせず、逃げずに書いている」っていう富野の「絶対に子供に嘘を言ってはいけない」という真面目さが感じられるからでしょう。
なんというか、ブランキージェットシティーの不良の森みたいな富野のロック魂。
でも、子供のこういう真実を見せるのも、どうかと思う…。いや、僕もVガンダムでウッソと同い年という世代だし、世の中の紛争地帯の子供って、そんなものかもしれないって思うけど…。Vガンダムを夕方に見た後、その後のニュースでセルビア紛争をやってた時とか、子供心に色々と思ったなあ。