去年の年末の録画消化。
全てが女性視聴者に都合よく、気持ちよく作られている、女性目線のアニメで、敵も味方も女性で、男性キャラクターは都合よく物語を動かして所有欲求をくすぐるためのパーツに過ぎない萌えアニメだと思いました。神木隆之介くんの男性のキャラが病弱で異種族で去勢されてて、思いっきり萌えとして消費されるためだけのキャラだなあ。
話も山なしオチなし意味なしで、めんどくさいストーリーの葛藤を全てスルーして美味しい所だけを消費するのが、実に萌えアニメだ。神木隆之介がめんどくさくなってきたら、都合よく新しい彼氏の藤原竜也が来て、「神木君の事は初恋だったのねー」という女の恋の上書きで都合よく終わる。なんだよ、この何の成長も葛藤も事件もない話は!アリエッティの父親はすごく女のファザコンを自然に肯定するような都合よさで気持ち悪い。神木隆之介の父親は既に離婚して何のフォローもなく遠くに追いやられていて、非常に男性性が排除されてるなあ。
人間との戦いや神木との恋愛もあんまりやる気や試練がないで流されるまま去っていく感じでテンプレート通りのストレスも見せ場もない話の作り方だなあ。女の子の興味は種族の戦いよりは、アリエッティという女の都合のいい初恋とか彼氏ゲットとか、近所のババアとの揉め事というスケールなんだなあ。
ここら辺が、すっごいプログラムピクチャーって感じで、やる気がないよなあ。
で、僕は男の子だからそういう女性のエゴイズムが気持ち悪いと思いました。NHKの女性向け大河ドラマや朝の連続テレビ小説のフェミニズムっぽさに対する嫌悪感みたいな。悪役の樹木希林も普通に醜くて愚かな老婆で、気持ち悪かったです。男性向けアニメの悪役(ムスカとか紅の豚の大塚明夫)はもっと乗り越えるべき大きな敵とかだったりするけど、樹木希林は醜くて愚かな卑小な悪役で糞でしたね。でも、大河ドラマ江とか少女漫画にはそういうババアが結構脇役で出てるので、女の子の敵に対する態度はそんな感じなのかなあ。
つーか、母と子の劇場アニメって基本的に「お母さん、これ好きだわ」て言わせれば売れるので、マーケティングとしては正しい。
どんなに面白くても母親に「お母さんはこれ嫌い」って言ったら見せてもらえないのがアニメだからな!そういう母性のディストピアが怖いです!
鈴木敏夫プロデューサーも崖の上のポニョの宣伝でワイドショーに出た時に「この映画は、女性が一番偉いという事を描いたアニメです」といけしゃあしゃあと言ってるので、そういう割り切ったマーケティングはいっそすがすがしい。僕は嫌いだけど。
声優じゃなくて俳優を下手でも起用するのとか、樹木希林の役の顔を樹木に似せたりするのも、母親世代が喜びそうなネタだなー。
アニメとしてはまあまあの出来だし、女子供を取り込むのがマーケティングの基本だから、方針としては良いと思います。ただ、僕の好みではありません。僕は男なので、ガンダムとかイデオンとかの「俺は女を孕ませたから、俺の子供がメシアに成る!俺は死ぬ!」っていう男根射精主義のアニメを見ます。(これは本当はウソ。子供に責任をなすりつけるのは好きではない)
て言うか俺は妹が好きなんだよ!
ただ、こういう女性に媚びた作品を男性目線で気持ち悪いと思う嫌悪感を、女性が男性向け萌えアニメを見て感じているのかもしれないので、自戒したい所ではある。
だが、俺は美少女が好きだ。俺はブヒる。特に妹が好きだ。ぺろぺろしたい。
だから、女が男をフィクションの中で消費することくらいは許してやるか。
- アニメーションとして
ゲド戦記もだけど、キャラクターの着ている服が木綿の生地のはずなのに全部プラスチックみたいな質感で気持ち悪かったです。
セル画を引きずってるのかなー。水は全部表面張力で球に成るというのが続いてたけど、場面によってはもっと変えても良かったんじゃないかなあ。
あと、音響のバランスも無計画だった。人間の声が大きいとか振動がすごいって言う場面もあれば、特に理由やドラマ的な必然性もなく普通に小人と人間が会話するシーンもあって、映画としての整合性が無かった。
それに、小人が布に針を刺す所の音とか、小人が水を汲む音や、小人の足音はもっと異質な音に成るべきだと思ったのに、普通の足音とかだったりして、あんまり音響演出的に熟慮されてない感じだったなー。
背景がリアルですごいって言うけど、背景は密度は濃いけど全体的に演出として整理されてなかったし、ごちゃごちゃしてて醜かった。背景動画とセル画のすりあわせもずさんだったし。
あと、髪の毛がすぐにジブリっぽく逆立ったりする所が多くて、アリエッティらしさを強調のための演出と言うよりはジブリ演出をコピーして継承していくためのプログラムピクチャーで、特に考えないでコピーした感じの臭いを感じて、なんだかなあ。もうちょっと工夫したらもっと良くなりそうなのに。
と、思いました。
まあ、僕の好みではないけど、売れたので良いアニメだと思います!
興行収入 92.5億円
原作 - メアリー・ノートン「床下の小人たち」(林容吉訳、岩波少年文庫刊)
企画 - 宮崎駿
脚本 - 宮崎駿、丹羽圭子
音楽 - セシル・コルベル
作画監督 - 賀川愛、山下明彦
美術監督 - 武重洋二、吉田昇
色指定 - 森奈緒美
映像演出 - 奥井敦
音響演出・整音 - 笠松広司
アフレコ演出 - 木村絵理子
製作担当 - 奥田誠治・福山亮一・藤巻直哉
特別協賛 - MS&ADホールディングス
特別協力 - ローソン・読売新聞
配給 - 東宝
制作 - 星野康二
プロデューサー - 鈴木敏夫
監督 - 米林宏昌
- あと、参考。
牧瀬紅莉栖かわいいよねっていったら
牧瀬紅莉栖かわいいよねっていったらあー男のオタクって
・バカじゃない女で
・男側がある程度自由にコントロールできて
・オタクネタについてきてくれて
・世界で彼女だけは自分を理解してくれる
みたいなやつ好きだよねー。
あのキャラ男オタクの欲望だだ漏れすぎて引くわー
みたいなことを言われた。
牧瀬紅莉栖は「どこにでもいるあざとい萌えキャラ」なのか――特定のキャラクターを好きになるという事について - シロクマの屑籠
しかし、牧瀬紅莉栖にちゃんと思い入れのある人なら、そういう萌え属性の消費だけで満足してしまうこともないだろうし、「牧瀬紅莉栖はどこにでもいるあざとい萌えキャラ」で考えるのをやめてしまうということもあるまい。
言動がひとつひとつ組み合わさった結果、牧瀬紅莉栖というキャラクターは、「知的で、一途で、コミュニケーション下手な、処女の、ハーレム要員の美少女」というテンプレート的な括りでは掬いきれない、彼女独自のテイストを醸し出すに至っている。似たキャラクターも、似たシチュエーションも、似たストーリーも、ないことはない。けれども牧瀬紅莉栖という登場人物は、『Steins;Gate』のなかにしかやっぱり存在しないのだ。彼女の物語も然り。
そうした“牧瀬紅莉栖を他のキャラクターと区別するもの”“牧瀬紅莉栖のかけがえの無さ”を見出し愛好するのでなければ、牧瀬紅莉栖を好きになったとは到底言えまい。
男性の僕が、千と千尋以降女性向けにシフトして大ヒットを飛ばす事を気持ち悪いと思うのと同じ程度に、女性も男性の萌えアニメを気持ち悪いと思っているという性差については、留意していきたい。お互い様です。
俺はシスコンだよ!
輪るピングドラムの幾原監督は男の子だけど、女性スタッフの意見を取り入れたらしい。ガンダムの富野も女性の感性を手に入れたいと思っている。だけど、女性におもねるだけでは狭い作品に成るので、もっと世界への反逆が欲しい。が、狭い物語でも女の子が萌えられたらいいと思う。
いや、しかし、たまゆら〜hitotose〜は女の子の狭い日常の萌えアニメだったけど、女学生の人生を真剣に考えたアニメだったと思うのだ。が、それは僕が男性だからか?
いや、だが、けいおん!の山田尚子監督は女性だ。
サラマンダー伯爵という男性の悲哀と、それに立ち向かう息子と、それを支える少女を描いた映画 ハートキャッチプリキュア! 花の都でファッションショー…ですか!?の監督は松本理恵という女性。だから、簡単に区分できるものでもない。
ただ、アリエッティはプログラムピクチャーで独自の作品ではない気がする。そして、僕みたいな母親との関係をこじらせている感じのオタクから見ると、母親や女の描写が嫌な風にリアルで、男が去勢されていて見捨てられていて道具として扱われていて、見てて苦痛でした。
でも、それを男は萌えアニメで女にしているのかもしれない。
いや、でも、男は女に萌えるけど、道具にはしていないぞ!というエクスキューズは持ちたい!
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