玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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超電磁ロボ コン・バトラーV 43 女帝の趣味は豹馬狩り 富野回

脚本:五武冬史 絵コンテ:斧谷稔 演出:横山裕一作画監督塩山紀生、金山明博


超獣シシリス・キバ
超獣シシリス・ガロ
→マグマ獣ビッグ・シリウス(二体合体)
マグマ獣ダルト


42話に続いて、富野回。ただし、演出はやらずに絵コンテのみ富野(斧谷)。


あらすじ。

超電磁ロボコン・バトラーV 全話解説


最近、精神病と風邪とプライベートの人間関係が悪化しているので、44話の感想は書かない。元気が出ない。
また、箇条書きにする。

  • 空間演出が面白い

富野由悠季らしい。
空中戦などの立体感を感じさせるアクションが富野コンテの持ち味だ。
戦闘機や怪獣のアクションだけでなく、モトクロスのジャンプ、バイクの切り返し、崖からの落下、など、舞台装置を駆使して高低差や奥行きを表現している。
奥行きと言えば、画面奥に、4号機と5号機が別のベクトルで直線移動することでパースペクティブの広がりを感じさせる。
左側から上にジャンプした敵が画面の外に見切れて、右側から現れるなど、カメラの死角を利用した驚きなどは面白い。一度画面の外に出たものが、画面の外で動いているのは、逆襲のシャアアムロのバズーカなどが有名。富野喜幸はこういう芝居が好きなのだろう。

  • 映像の原則


作画があまり良くない70年代アニメなのだが、絵としてシンプルなので、逆にコンテの意味合いがわかりやすい。
ちずるや豹馬などのメインキャラの煽りや俯瞰のアングルの変化でピンチ感や抑圧感、決心などを表現している。
ここら辺は非常に映像の教科書的なカメラワークだと感じる。もちろん、僕がちゃんと読んだ映像の教科書は映像の原則だけであり、また、映像の原則は富野が描いた富野の中の映像の原則なので、他の映像作家には当てはまらないかもしれないが。だが、少なくとも富野作品を見る時には「あー、富野はこういう気持ちや癖でこうしたんだな」と思えて面白いよ。
また、カットインや通信機を使って「聞こえているけど、相手の表情は見えない」という演出術を使ってドラマ性を盛り上げているのも、富野らしい。ガンダムに通じる。

映像の原則 改訂版 (キネマ旬報ムック)

映像の原則 改訂版 (キネマ旬報ムック)

  • ちずるの絵

あまり作画が良くないと書いたが。
塩山紀生、金山明博の色気のある南原ちずるだが、やはり今のCG処理をしたアニメキャラや90年代初頭のエアブラシを使ったセルアニメよりは簡単な絵である。まあ、塩山紀生、金山明博の絵は良い。色気がある。

  • 男装のちずる

大けがをした豹馬の代わりに豹馬の戦闘服を着て、ちずるが囮になる。男装の麗人と言う感じがする。色気がある。両性具有的な手塚治虫的エロス。
コン・バトラー隊の戦闘服は男女ともほとんど共通したデザインで、スカートがズボンになっているだけだが。
また、ちずるがバイクに乗って男装をして猛獣をライフルで撃つというのは、ダーティーペア的なセクシーさもある。美女と野獣とメカと鉄砲。フェチズムを喚起する。
タイトルの女帝の趣味は豹馬狩りというのも、割と富野のSMフェチを感じさせる。
また、こういうロボットアニメの中での人間サイズのアクションはこの2年後の無敵鋼人ダイターン3を彷彿とさせる。ジャネラ女帝がエリート的趣味で、怪獣を使った狩りを楽しむのもダイターンのメガボーグみたいな思考回路だなー。そして、その趣味や変なこだわりのせいで仲間割れして主人公に負けるのもダイターン3っぽいです。
ワルキメデスがダンゲルの反逆をジャネラに黙っていたりっていう腹芸をするのも富野のマ・クベみたいでおもしろいなー。

  • 恋愛描写

これまで、富野はちずるの心情を掘り下げた回や、豹馬の孤児としての過去を掘り下げた回や、豹馬のゲストヒロインとの悲恋など、ドラマチックな回を担当している。
というわけで、今回は豹馬への愛のために命を捨てようとするちずると、彼女を助けるために重傷を押して戦う豹馬が描かれる。壮絶なラブロマンスでもある。


富野はハッキリ言ってギャグや生活感のある温かみのある回が苦手です!
楽しくかっこいいロボットアクションヒーローも苦手。
というわけでこういうひりひりするような痛みと情熱を感じさせるドラマチックな回が面白い。演出家や、ストーリーを進める回と娯楽を見せる回の配分をした長浜監督の手腕も感じられる。


ちずると豹馬の関係がこれまでも3クール以降、すこしずつあったわけだが、満を持して描かれている。
やはり、子供向けロボットアニメと言うスーパー戦隊のような番組としては、あまりヒーローとヒロインの恋愛は描かれないんだと思う。なんでかっていうと、子供にとって男女の恋愛と言うのはよくわからないし、からかいや冷やかしの対象になるからだ。ようするに気恥ずかしいのである。


だから、子供番組でヒーローとヒロインが相思相愛になり、カップルになってしまうと「ヒューヒュー!あついね!」であり、恋愛は終盤まではあまり描かれないんだと思う。コンVはライディーンのアスカ・レイより子供っぽい。明日香麗は富野っぽい大人なヒロインだったが、長浜忠夫編になると降板させられたんだよなー。
逆に、テッカマンブレードのアキは割と序盤からDボゥイの事が好きになってるし、カップルになった後の苦労もドラマチックなので、アダルティ―。しかし、テッカマンブレードのアキはちずるに似てるよなー。作り手の年齢と年代が77年→92年ですかねえ。


ところで、話を戻すと、今回のコンVでは「子供にとって恋愛は気恥ずかしい」「子供は恋愛を良く分かってない」というのを逆手にとって、今回「ちずるは豹馬を愛している」という台詞を言うのは幼児子供キャラの二人だけなのだ。
これは上手いね。
大人のキャラが「ちずるは豹馬を愛している」って面と向かって本人たちの前で言うと無粋なんだが、子供キャラだと空気を読まずに「ちずる姉ちゃんは豹馬兄ちゃんが好きなんだよ!」って口走っても違和感がない。また、子供番組において子供キャラと言うのは視聴者の代弁者であり狂言回しなので、説得力が3割増し。つまり、子供番組で恋愛をすることを視聴者の子供に「気恥ずかしいもの」と思わせないためには、劇中で子供キャラに恋愛を肯定させるという技が有効。
うーん。これは脚本の五武さんの上手さですかねー。


で、豹馬とちずるは口では「愛してる」って言わないけど、互いに相手のために傷を負ったり命をかけたり、励まし合って、行動で愛を示している。ここら辺が大人の恋愛っぽくて富野らしいカッコよさである。大人は軽々しく愛を語らず、戦うのだ。渋いぜ。

  • ちずると豹馬の愛の超電磁スピン

今回、南原ちずるが葵豹馬の代わりに超電磁スピンを放つ。
愛の共同作業っぽくもあるんだが、超電磁スピンの最初のスタート動作は1号機でしか発動できないという糞仕様で、途中で重傷を負った豹馬の意識が混濁して、スタート動作のスイッチを入れるのが精いっぱいと言う、かなり痛々しい必殺技でもある。
こういう、戦闘の最中にロボットの内部の誰かがダメージで欠員してしまう、と言うのは戦闘のシビアさで、富野らしい。イデオンっぽい。
だいたいコン・バトラーVは豹馬が一人で動かしてるんで、リアルロボットを先に見てしまっている僕としてはリアリティを感じないんですが、今回は豹馬の意識と左半身がぼろぼろなので、他の乗員が代わりに腕を使ったりミサイルを撃ったり、敵の攻撃を避けたりする。これもイデオンっぽい。




というわけで、古いアニメは基本的に古くて作画がヘボいしストーリーも子供向けで単調ですけど、富野の他のアニメとの共通点や、演出手法の原点を感じると、ワビサビ的アトモスフィアなアトラクティブルはある。


あ、44話はこれを書きながら見ましたけど、やっぱり子供が主体のエピソードや動物お涙ちょうだい系、親子関係を美化したエピソードは苦手です。富野ファンなので。
作画もガキっぽかった。