玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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ショート・ピースに日本アニメ界を見た(前編)OP九十九・火要鎮

先週公開された大友克洋監督陣頭指揮のサンライズ制作の連作短中編集のSHORT PEACEを見てきた。68分。アニメーションとしての快楽があり、見た目もきれいだし面白かった。やっぱりアニメは面白いですね!


先週公開日に見たスタジオジブリ風立ちぬは倍の124分もあったのに説明や言い訳や説明セリフに終始して、アニメーションとしての気持ちよさがいまいち足りなかったし、富野信者としても宮崎駿監督へのこじらせた嫉妬心などでいまいち面白く見れなかったのだが。(後日他の人の感想をネットで見てみると、風立ちぬはホモ映画として面白がってる腐女子が一番楽しそうだったので、次に見る機会があったらホモになろうと思います)


では、ショート・ピースの感想を。
オープニングのショートフィルムと、15分くらいの4本の中編アニメーションでできています。
有頂天家族のようにポートワインをしこたま飲んできて疲れたので、前編だけ書いて寝ます。

  • テーマに対する反発

1500円もするパンフレット(でもスタッフインタビューとか、氷川竜介先生や木原浩勝先生の評論が載っていて読みごたえはある)を読むと
テーマは「日本」で「『アニメ』を失った大人たちへ」っていうのがキャッチコピーだそうだ。これを事前に知っていたら見なかったと思う。
なんだこのふざけたお題目は。自民党の「日本を取り戻す」かよ!私はアニメなど最初から失ってはいない。なぜならアニメは最初から私の手元にはないからだ。私はタイムシートも絵コンテも切れないもん。
そういう「(最初から手元にないものをあたかも取り戻すのが当然)という気分を消費者に起させることで需要を喚起する」っていうマーケティングはほんと、大っ嫌い!
となりのトトロの「忘れものを、届けにきました」とか「今の日本人は文明のせいで大切なものをなくしたんじゃないか」とかいわれるの、本当に嫌い。「豊かさが君たちをダメにする」なんて知ったこっちゃない!そういうキャッチコピーに踊らされる愚民たちもだ!
そういうわけで、お題目よりも、テレビCMでの「大友克洋監督がまた短編集を作るぞー」「カトキハジメ監督だぞー」「すごい絵が動くぞー」っていうだけの単純な広告の方が面白そうな感じがして、実際面白かったので、よかったですね!!!
アニメーションなんか、これくらいの面白さを提供する見世物小屋としての娯楽を提供してくれたらいいのだ。風立ちぬはなー、そこがなー「高尚なテーマなのだ」みたいな空気感がすっごいむかついた。ショート・ピースは裏では色々と考えてる設定厨の大友克洋監督が偉そうな感じやメッセージを表に出さず、短編にまとめて娯楽性を見せてまとめてくれたのがよかった。
短編連作のスピード感で映画的に編集された時間の速さが、メッセージの重さを吹っ飛ばして、日本サンライズ的なアニメーション力(ちから)を感じさせてくれてよかった。
もし「『アニメ』を失った大人たちへ」「日本の力を教えなおす」という説教を二時間以上にわたってストーリーとして見せられたら、僕は本当に怒り狂っただろうけど、15分強の短編4作にオープニングとエンディングをつけただけの1時間で楽しませてくれたのでよかった。
でも、かなりカロリーと密度の高い映画を4本立て続けに見せられたような感じもあるので、ちょっと疲れた。上映会っぽい感じ。それもこみで、「アニメを見たなー!」という充実感を得た。
日本っぽさと言うのは、全部見終わってから、「そういわれたらそういうテーマが多かったかな」という程度で、そんなに国粋主義的にとか思想的に限定して意識しなくてもいい感じで、面白かったです。むしろ日本と言うのは単一の概念ではなく、日本の中でもバラエティがあるんだなーっていう感じで面白かった。

主演・春名風花Twitterで有名な子役女優)
主演にリアル小中学生の春風ちゃんを使うのがずるいよなー!
ジブリかよ!
でもはるかぜちゃんは普段から「声優になりたいよーオメガ!」とか言ってたので、夢がかなってよかったですね!しかも海外でも芸術だと認められている大友克洋監督作品なので、よかったですね!!!
しかし、リアル幼女ですよ!やっぱりアニメと言う絵の中で幼女に好き勝手したい!と言うような気持ちはあるし、演じる女たちもそれを許したんだ!
このオープニングフィルムでは、春風ちゃんが声を当てているところの少女が幻想的な世界に突入してMinilogue音楽に乗せてパンツを見せたり冒険したりパンツを見せたりする。
不思議の国のアリスを念頭に置いたとのことで、非常にペドフィリアっぽさを感じますね。
これはぜひ片山さつき議員に鑑賞していただき、これが海外の人に見せていいのか考えてほしい。
まあ、九十九と火要鎮は、もう2012年アヌシー国際アニメーション映画祭短編部門にノミネートされてるので見られてしまったのだが。

片山さつき初音ミクがある日突然引退したり亡くなったら、あしたのジョーの力石のお葬式並みになると思う。そういうアイコンが作られて、そこにどんどん若者が入ってしまったなかで、児童ポルノ的な、扇情的なものをしょっちゅう見せられて、それが犯罪に走らないと言い切れるのかどうか」
一方で、同氏は「クリエイティビティをできるだけ侵すことがないようにという議論は党内にもある。センシティブにならなくても大丈夫だとはっきり申し上げたい」ともコメント。初音ミク発言の突飛さと、「センシティブにならなくても大丈夫」という発言の対比で、ますます規制推進への不安をあおる結果となりました。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw677814
http://blog.livedoor.jp/toratugumitwitter/archives/29153219.html

って言われているのですが、こういう女児こどもパンツが見えるアニメをクールジャパンの代表としての大友克洋監督が海外に見せてしまって、日本のイメージが悪くなりヨーロッパが世界大戦に走らないと言い切れるのかどうか。
自民党がさきの参議院選挙でたくさん勝ってしまったので、勝てば官軍負ければ賊軍‼‼‼
日本のアニメはどうなってしまうのか―ッ!エロゲーやエロ漫画やエロアニメやロマンポルノ出身の脚本家や萬画家やアニメーターや俳優や映画監督はたくさんいるのだが。
まあ、表現規制反対派の共産党も(一桁の)議席を伸ばしたので、それなりに頑張ってほしい。民主党表現規制慎重派だったんですけどねー。


しかし、「不思議の国の」っていうとすぐに「アリス」って考えてしまうローゼンメイデン的な発想の貧困さはどうなのかって思うのだが。でも、見た目はアリスとは違って黒髪の日本人の子供と言う感じで、リアル子供っぽくてスタジオジブリとなりのトトロ町田ひらくみたいな和製ロリコンっぽさがあったので、やっぱりこういうのがアートとして地球規模で評価されるのかもしれない。片山さつき議員の意志とは関係なく…。



以下ネタバレ




っていうか、サンライズが作ったDAICONフィルムだな!
と言う一言です。
パロディとロリコンっぽさ。でも、それが日本アニメ界を牽引してきて実際すごく売れたスタジオジブリGAINAXの要素なので、やっぱりサンライズとしてもそこには挑戦していきたいという意気込みはあると思う。
女児の体の中にあれが入って女児の体がリン・ミンメイみたいになるところがすごい女児アニメだなー。ダイコン・フィルムっぽいなー。まあ、ミンキーモモとかもそうなんですけども。
しかし、オープニングがこの女児の股間を意識させると言う要素がエンディングまでの重要な伏線になるというのがまた、アニメーションの俗悪な面白さを露呈していて面白いなあ。


  • 九十九(つくも)森田修平:監督、脚本。

悠木碧ちゃんが演じるもったいないお化け山寺宏一が対決する話。
日本昔話をCG頑張った作画で描いた感じの短編。
もったいないお化けは一分くらいのCMアニメだし、これも15分程度の中編アニメで特に説明もなくストーリーも単純でビジュアルの見た目中心で娯楽精神を感じさせてくれたのでよかった。
「もったいない」のジャパニーズ精神を長編アニメーションで見せられたら説教臭すぎて僕は怒り狂ったと思う。
でも、説教臭さを我慢できる程度の短い時間や、設定のあら捜しをする暇もないスピード感と画面の情報密度だったので、楽しく見れました。
あと、江戸時代の日本人の「背が低いけど筋肉質」というドワーフっぽさが面白かったです。また、「千と千尋の神隠し」みたいな妖怪絵巻に挑戦しようという所が感じられてよかった。まあ、百鬼夜行今敏監督もデカレンジャー化物語もぶった切ってたわけなのでよく使われるモチーフなのだが。あと鳥獣戯画

主演:早見沙織 森田成一

大友克洋
平行パースですね。


大友:
前半は商家の娘であるお若の静かなシーンになるので、なるべく絵巻物風にやりたかったっていうことと、後半はアクションになるので普通に戻したというか、カメラが進んだりしますからね。
大友克洋監督に「SHORT PEACE 火要鎮」の映像表現の凄さを語ってもらった - GIGAZINE

と言うわけで、絵巻物っぽい実験映画っぽい部分が冒頭5分くらいでやるんだけども、アイディア勝負の実験映画を長く見せられても飽きるので、いい塩梅でノーマルに戻るさじ加減がすごくいいと思った。
また、絵巻物部分が絵巻物としてあるのは単に実験映像としてやりたかったという作家性のエゴイズムではなく「時間や場所を飛び越える絵巻物の効果をアニメーションのジャンプカットに応用した」という、エンターティナーとしての技術の意味性をきちんと理解したうえで使っている感じで、大友監督はさすがにうまいなあ、とうならされた演出である。
で、前半では主人公カップルの幼少期から現代までを絵巻物風にジャンプさせつつ圧縮して描いて、最後の災害シーンのカタルシスをアクションアニメーションとして描くことで、「最後の破滅はこれまでの人生と同じだけの重みがあるドラマなんだぞ!」と観客の中で想像されて生まれるバランス感を中編映画の起承転結、というか序破急のスピード感で飛ばして感じさせる手腕が、本当に粋だし、そこが江戸文化を描いた本作の根幹を感じさせてくれる。演出と内容がお互いに影響しあって、「これぞ最善策」「これが本作」「これで行こう」という説得力を見せてくれるのが粋だねえ。
絵巻物風の現実感の薄い導入から始まって、膨大な資料の取材とCG技術を使って着物や髪型などで人物の質感や実在感を実写の時代劇以上にリアルに感じさせてくれるように存在感が高まって行って、そこでバッサリフィルムを切る中編ならではの潔さ。
粋だ。
刺青や着物の模様のCGはものすごくリアルで、巌窟王源氏物語千年紀 Genjiから確実に進化しているコンピューター技術なんだが、それを前面に見せていこうといういやらしさが少なく、むしろ入れ墨は全身に入れてるのに、上着を着てるからチラ見せというのが、また町人文化の裏地見せに通じる粋を感じた。
この前の九十九はちょっとゲームっぽい立体CGで、ま、それはストーリー原案コンセプトデザインの岸啓介さんが立体畑のアーティスト、っていう所が影響してる。九十九は扱う題材も陶器や工芸品なので、立体的。和紙のテクスチャは張ってあるけど。
対して、漫画家出身の大友克洋監督は絵巻物風の筆致で絵を描いていて、CGも応用しているけどもあくまで「絵」と言う感じである。なんだけども、それがペラペラの質感のない絵と言う感じではなく、ワンカットワンカットが浮世絵になってもいいくらいの美しい絵です。質感も手書きとCGを組み合わせることで概念として迫ってきて、それはそれで絵画ならではの表現です。そして、二次元の絵の要素を持つことで、火災で燃えていく「紙と木の町の江戸」「儚く消失する着物」という雰囲気と、悲劇性を見せてくれて、感嘆致した。


やはり大友克洋監督はこの陣営ではトップであるので、この連作では要の一作であると感じた。
基本的なストーリーはいわゆる「八百屋お七」ものだが、ことさら悲劇性や時代背景を説明せず、中編としてやり切ったスピード感がとてもいいと思う。だいたい八百屋お七なんてあらすじは言われなくても分かるし。でも、物凄く書き込んであって、作業量はすごそうなので、これが長編アニメーションだったらスタッフは死ぬだろうなーって思う。
外市場も含めて、赤字にならないように頑張ってほしい。
まあ、そこは大友監督には実績があるからなあ。

八百屋お七

八百屋お七


僕はAKIRAは見たけど全部読んでないし、幻魔大戦もMEMORYSも見てないし、スチームボーイやFREEDOMに至っては「なんで富野監督に予算を回さずに食いつぶす!サンライズバンダイのプロデューサーめ!」って怒ってたんだが。大友ファンと言うよりはむしろアニメオタクになり切れない中途半端なアニメ視聴者ですが。
でも、これくらいの短編でさくっと娯楽を提供してくれてると知識が無くても楽しめたのでよかったです。富野監督もGのレコンギスタが決定したので、そんなにキレなかったです。むしろ大友さんやヴァルヴレイヴの儲けを富野監督に投入してほしい。



後半の2作の感想はあした書きます。

  • 余談

しかし、でも、本当は僕は感想を書くよりももっと他に勉強することがありそうなんだがなあ。でも、映画を見たら感想を忘れないようにまとめておかないと生きてる実感がないじゃないの!
アニメブロガーウォッチスレでも「他のアニメブロガーはライターデビューしてるのに、10年後もだらだらブログを描いてそうなのはグダだけだな」って2ちゃんねるで言われてる無職だし。
でもなー、ライター仕事もなー。人づきあいがめんどくさいからなー。引きこもりニートなめんな。まあ、うまいオーダーを出してくれてほしいものリストからなんか送ってくれたら書いてもいいんですけどね。
http://www.amazon.co.jp/registry/wishlist/6FXSDSAVKI1Z
↑乞食リスト


一応、コミケに落選したので、2013年夏のコミティアのウェブニタス概念迷路にエッセイと小説が掲載される予定です。
http://blog.livedoor.jp/webnitas/archives/26359396.html
売れるといいですねー。
どうせ無職だからコミケコミティアも言っていいんですけど、乞食リストからもらった本も全然読めてないので、貧乏暇なしと言うか、報酬が書籍って、本を読まなかったら赤字だろうが!!!
でも金をパチンコ台に突っ込んでも楽しくないし、やっぱり本を買います。