玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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ガンダムビルドファイターズ第10話ときめく「開幕!世界大会」王道と邪道の構成の上手さ

前回の感想で「チナちゃんのセイへの好意とキャロラインのお嬢様要素、ケロロ軍曹西澤桃華さんの要素を分解再構成した奴だ。」「ケロロ軍曹銀魂のアニメが一段落して、ガンダムビルドファイターズ制作っていうサンライズの流れは分かりやすいなー。」
と、書いたんですが、ケロロ軍曹新アニメ化ですってね。
ケロロ|ケロロ新アニメ化!!
サンライズバンダイガンダムマーケティングの大きな時の流れの中にビルドファイターズもあるんだなー。ガンダムパロディの流れがSDガンダムケロロ銀魂、ビルドファイターズっていう。
ケロロ日向冬樹が故・ウテナ川上とも子さんからユリカ桑島法子さんへ変わった以外は割とそのままなのかな。でも塗りがちょっと違いますね。
革命機ヴァルヴレイヴはパロディ路線ではなく、コードギアスからのガチロボットアニメですが、トリッキーな展開が続きますね!富野監督のGのレコンギスタはどこに組み込まれるのかな?富野監督は創設者にして破壊者という腕白おじいさんなので伸び伸びとやってほしいですね。

で、今回のビルドファイターズですが、パロディアニメなのに、逆にパロディを手法として逆手に取っているのか、意外と演出や脚本は教科書的というか王道的でわかりやすい。ヴァルヴレイヴよりよっぽどわかりやすい。
少年ジャンプをパロディにした大ヒットマンガのバクマン。でも「王道と邪道」は重要視されていたけど、ガンダムも「作品としての王道」と「シリーズパロディとしての邪道」のバランスが問われる作品ジャンルですよね。
常に歴史の最先端を切り開く富野由悠季監督ガンダムは別格として。

  • 単発ネタのように見えて奥が深いキンゲネタコンボ

「ときめくお名前です」って、ガンダムではなく富野監督のキングゲイナーまでパロディにしてて、非常にネタに走った感じの邪道ネタなのだが。実はそれが一発芸に終わってないのがいい。ちゃんとドラマの役に立ってるのがいい。
「ときめくお名前です」ってのがキンゲのゲイン・ビジョウを連想させて、二枚目半っていうリカルド・フェリーニのキャラ立ちに生かすって言うのもある。もちろんキララのリュボフみたいなチョロいちょい年増の女って言うキャラ性を手短に付加するっていう面もある。
でも、それだけでなく、フェリーニとキララの4コママンガみたいなギャグの起承転結として、「ときめくお名前です」っていうパロディセリフをチョイスするのは上手い。
なんでかっていうと、「ときめくお名前です」でキララが落ちるってだけで、「アニオタのフェリーニキングゲイナーのセリフも知ってる」&「にわかガンダム知識を詰め込んだキララはキングゲイナーを知らない」って言うキャラクターのガンダムに対する姿勢を暗示的に演出しているわけだ。
これは上手い。ミステリ的な台詞のトリックである。
四コママンガ的に言えば、
1、「ときめくお名前です」起
2、「胸キュン」承
3、「電光石火の早業や!」転
4、「見ました?08MS小隊の特典映像!」「幻滅や」結
(欄外ネタ、二日酔いファイト)
と言う風にまとまってる。究極超人あ〜る漫研も4コマが基本って言ってたしな。「ときめくお名前です」でフェリーニがアニオタだってネタを振ることで「見ました?08MS小隊の特典映像!」が単発のネタではなく天丼として機能してオチの面白さが倍増している。お笑いとしても上手い。

  • 邪道をスパイスにして王道展開を盛り上げる構成

でも、それがそのパーティーのシーンの雰囲気作りだけではなく、次のシーンへのつなぎにも影響しているのが面白い。フェリーニとミホシのコメディラブが、アイラ・ユルキアイネンとレイジのボーイミーツガールの雰囲気を重すぎず軽すぎないラブの連想の雰囲気作りになってる。
キンゲネタでオーバーマンキングゲイナーの北国の雰囲気を連想させて、そこから暗喩的に雪国から来たネメシスのアイラ・ユルキアイネンとレイジの絡みの雰囲気へのつなぎとしてスムーズにしている。ビル街の中で飛び回るアイラのアクションは「ときめくお名前です」が出たキングゲイナー1話のドームポリス感がある。瞬間移動するレイジもオーバーセンスがある。落とした食べ物を食べたがるって言うのも、ゲインとママドゥのやり取りを思い出させる。
こういう風にパロディを一発ギャグとしてだけではなく、視聴の際の連想ゲームイメージつくりとして演出的に利用して、脚本の密度を高めてスピード感を出してるのは上手い。こういう脚本の土台作りは王道的というか、きちんとした技を感じる。
こういう風にスピード感を出していくのは、開会式で各国の代表が一同に会して出会うという、開会式回で必要な段取り展開を段取りと気づかせずにドラマ的に、同時にエンターテインメントとして、描くための演出技法だな。こういう工夫は好きです。
開会式回と言えば、大体、出場各国のチーム名とメカニックとキャラクター名を順番に読み上げていく、っていう段取り展開が多く、予定調和になりがちである。特にガンダムシリーズだと、紹介だけでエンタメのネタとして楽しめるGガンダムのネタ感には敵わないのである。
もちろん、メカネタっていうかガンプラのサービス要素もある。タイ代表ルワン・ダラーラの明らかなカブトボーグ感のあるアビゴルとか
Gボンバー | メカ | ガンダムビルドファイターズトライ
プラモ化されていなかったはずのゲーマルクや、キュベレイパピヨンと対戦したTHE・O、ガンダムヴァサーゴ、ガンダムスローネツヴァイのラスボス悪役MS軍団集合って言うサービスもある。グフ飛行試験型みたいなゲルググにスモーの飛行ユニットをつけてるドイツ代表とコブラガンダムの対戦もサービス感がある。

1/144 アビゴル (機動戦士Vガンダム)

1/144 アビゴル (機動戦士Vガンダム)


そういうサービスもあるんだが、開会式のあいさつとか、入場行進などの段取り展開を「レイジがサボったから」っていうキャラの性格で大胆に省いて、アイラ・ユルキアイネンとレイジの一見ギャグシーンにも見える逢瀬とかキララ再登場とか委員長のお守りなどのキャラクターのドラマ的な掘り下げに時間を使う、という工夫や構成方針は上手いと思う。前回はSDガンダムギャグ回だったけど、ちゃんとニルス・ニールセン君とのフラグになってたし。
うーん。
学校生活がメインだった1、2話は「唐突で雑な脚本だなー」って思ったし、そういう風な感想を書いたんだが、世界大会が始まってバトルがメインになる中でキャラ立てしていくのが必要な段階になると、逆に段取りを省いていく工夫が上手く感じられますね。
でも、褒めてる感想よりも批判して炎上させる感想の方がブクマ付く、っていう所にはてな村の闇を感じます。


そう言う風に、脚本のお約束や予想を壊して退屈さを殺しながらも、ちゃんとエンタメにしようという作り方は逆に王道だと思う。
それに、ちゃんと世界大会での主人公の新メカの強さのアピールもしてた。お約束展開は極力省きながらも、Bパート後半に主人公のかっこよさのアピールって言う本当に大事なお約束展開はきちんと入れてくるところに、丁寧さを感じる。

  • ホビーアニメとしての強さアピール

スタービルドストライクガンダムの強さアピールは1回目では全部は見せないけど、ビーム吸収とか、光の翼や、すごい可変式の(陸海空に対応したナディアのグラタンみたいな)ヴァリアブル・スピード・ビーム・ライフル(ヴェスバー)とか、全部は見せないけど沢山見せるって言うサービス精神があってよかった。
それにただ単に強いギミックを見せるだけでなく、前週までに触れられた「粒子の特性を考えよう」って言う伏線を回収してるし、キュベレイパピヨンが「スゴイツヨイハヤイファンネル」っていう特性を見せて、その上でガンダムらしい「ファンネルを見切って落とす」ではなく、「見えなくても射程内のファンネルを全部落とす」っていう対策の見せ場がいい。
ファンネル落としのお約束の破壊と同時に、敵の特性を上回る主人公の強さアピールという点では脚本構成技術としては非常に教科書的というか、少年漫画の王道を行ってる。
玩具とタイアップしたパワーアップがきちんとドラマと噛み合ってるって言うのは仮面ライダークウガの毎週パワーアップにも似てて好みです。
スタービルドストライクガンダムの名前ってスターガオガイガーみたいなんだが、名前だけではなく四つ星極制服って言う事でキルラキルの流行にも繋がってる(多分関係ない)。
変形ビームを特徴にしていくのはビームフラッグ、V2ガンダム月光蝶、ビギニング30ガンダムの進化の流れにあって、ガンダム進化的に正しいなー。

そう言う風にスタービルドストライクガンダムのギミックの凄さをアピールして、各国のファイターがそれに注目するけど、アイラ・ユルキアイネンはギミックではなく「あの時の動き」に注目する、って言うのも上手い。
これで、アイラがガンプラの知識や技術ではなく動体視力に長けたファイターだとアピールできてるし、他のファイターよりも別格って感じが出てる。同時にアイラとレイジの関係が「会ったけど、お互いがライバルだと知らない男女」、「でもアイラはレイジを知らなくても彼の動きが印象に残ってる」、っていうフォウ・ムラサメカミーユ・ビダンみたいなラブな出会いの関係性を連想させて上手い。

  • いともたやすく行われるえげつないバンダイ

こってりとかっこいい主人公メカの顔見世の後に、Cパートのメイジン・カワグチ即バレの笑いでエンディングにオチをつけて視聴にリズムをつける緩急も上手い。1クールか2クールかあんまり把握してないんだが、1話が短いテレビアニメの尺の中で個性的なキャラクターとガンプラを描いていこうって言うサービス精神と、それを成り立たせる構成の技に、感心します。
「単にガンダムっていうビッグネームに乗っかって玩具を宣伝するだけのアニメ」ではなく、きちんとエンタメ作品としてまとめて行こうという健全な芸能精神を感じる。
もちろん、見ててプラモデルが買いたくなるし、いろんなガンプラを作りたくなるし、実際ビルドファイターズに影響されてTwitterガンプラやMS少女フィギュアの写真をアップしあうって言うネットの動向もある。
エンターテインメント作品として面白いんだけど、面白がらせた分だけ煽って財布のひもを緩めさせて金を落とさせようって言う精神もあって、そこら辺はバンダイナムコゲームスTHE IDOLM@STERシンデレラガールズにも通じる商魂たくましさだなあ。
ガンプラバトルの変則ラウンドによる「勝利ポイント」獲得、っていう大会形式もモバマスのイベントに似てるし。
汚いなさすがちひろきたない。

(もちろん、単なるトーナメントではなく変則ラウンドって言うのは、モバゲーアイドルマスターガンダムファイトも、客を飽きさせない工夫としては王道の商法なのだが、非常にバンダイのノウハウがあるなーって)

  • 上級者向けのネタ

今回のパロディネタで個人的に面白かったのは、スーパーカスタムザクF2000のビルドファイターの人の「食らいやがれ!」がTHE KING OF FIGHTERS 2000の草薙京みたいで面白かったです。格ゲー世界大会っぽさがあるよな。

カプコンは連ジでバンダイガンダムには借りがあるから、こういうコラボはアリですね。(∀ガンダムあきまんさんは多分関係ない)

前回の一瞬スペリオルドラゴンといい、こういう細かいネタを入れてアニメーターや演出も楽しんで作っているって感じは良いですね。

しかし、ヴァルヴレイヴやケロロ新アニメ化やビルドファイターズを見て、サンライズの作品履歴について考えた。
ガンダムとアナザーガンダムと オリジナルロボットアニメと 原作付きアニメとガンダムパロディではどれがサンライズの本流なのかなー。 明るいイデオンパロ制作とかもやってたし。スタジオが複数あるからなー。どうなんだろうなー。バンダイ側からの企画もあるし、色々です。

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