玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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アイドルマスター劇場版 感想1 アイマスアニメであり人間ドラマ!

全国のプロデューサーさん、アイマスですよ、アイマス
劇場版THE IDOLM@STER 輝きの向こう側へ!見てきました。本当は月曜日に見てきたのでネタバレ抜き感想を書いておこうかと思ったんですが、もう公開1週間経ってしまって2週目の特典が欲しくて2回目を見てきたので、ネタバレに配慮する時期も過ぎたと思い、要所ではネタバレしつつ、まず総論を書こうと思います。
特典の、まなさんのコミックの0巻はオマケだと思っていたら映画の内容をさらに増幅させる前日譚で読み応えがありました。コミカライズもいいですね!

THE IDOLM@STER (2)  (REXコミックス)

THE IDOLM@STER (2) (REXコミックス)

僕のブログは基本的にネタバレしててもアニメ本編を見てないとなんのこっちゃわからんように書く癖があるので、見てない人も読んでください。映画は面白かったので見ましょう!

  • 春香が主人公

劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』公式サイト
基本的に、この公式タイトル画像での春香からの距離感がそのまま出番の多さになるような映画だった。
だから、亜美真美、やよいやあずささんや貴音のファンはキャラクター映画として期待したら物足りないかもしれない。でも、後述の通り人間関係が重たいドラマだったので、この「距離が遠くてもどかしい」というのも、重要な劇的要素なんです。当事者のアイドルにはなれないプロデューサーのもどかしさを味わおう!

人間ドラマなんですが、同時にやっぱりこの映画はアイマスPだったら面白さが倍増する映画だと思います。アイマスをやってて良かった!アイドルマスターを知ってて良かった!という幸福感をすごく感じられる映画でした!
でも、同時に、「うわっ、久しぶりにガッツリとした人間ドラマを見たなー!」という気持ちも味わえる120分でした。

  • 人間ドラマとして

パンフレットで脚本の郄橋龍也さんも仰ってたけど、人が死んだり、すごく悲しかったり、って言う劇的な映画ではない。戦争もないし宇宙人も超能力者も不治の病も事故も殺人も金銭問題も恋愛も廃校もレースも争いも、およそ劇的なフックらしいものが無い。びっくりした。これで2時間のドラマ作るんだって言うのが。
でも、おもしろい。そして、胸が締め付けられるようなところもある。それが解放されるカタルシスもある。これがすごい。人が死なないで感動させるのは劇作りとしてけっこう難しい。


また、アイドルアニメとしてはアイカツ!などでキーになるオーディションでの勝敗や、ランク付けも、劇場版にはない。
ゲーム版ではファンの数や勝利ポイントやオーディションの当落が非常に重要だし、TVアニメ版でもゲーム版の成長を踏襲する感じで徐々にファンを増やしていったりオーディションに合格して仕事を増やしていく(そのために内面的成長をしていく)と言う見せ方をしていた。
だが、劇場版ではそのような勝負の要素が一切ない。ただ、アリーナライブを成功させるという目標だけがある。
もちろん、アイドルアニメなんだから、それだけでも良い。ショーアニメとしてマリリン・モンロー紳士は金髪がお好きとか、シカゴとかムーランルージュみたいなミュージカル映画として見せるって言う手もある。(もちろん、劇中のライブシーンやアイドル活動シーンは良く動いたし、創意に富んでいておもしろかった)
AKB48マジすか学園とか、モーニング娘。ピンチランナーは見てないので、あまりアイドル映画についてえらそうなことは言えないのだが、「紳士は金髪がお好き」(古い)とかアイドル映画だと「女の子の可愛さで成功をゲットする」って話だし、あるいは最近は「努力する女の子の苦労を見る」というのがアイドル物の定型であろう。だが、この映画はそこに行かない。才能や努力論じゃないんだ。
アイドルなのに、「人間を描くぞ!」という作り手の情熱が伝わってきた。


THE IDOLM@STERは日本のトップクラスの2次元ゲームアイドルだし、萌え要素だけでも十分ファンを満足させる作品になれるコンテンツなのに、アイドルの可愛さを描いても利用しない(かわいくないわけではなく、十分かわいい)という姿勢が、逆にTHE IDOLM@STERっぽいなーって思う。
この、アイドルの女の子たちに対して恋愛とか勝負の対象ではなく、共に進む仲間の人間として描くのが、プロデューサーとアイドルの関係が重要なTHE IDOLM@STERらしい。
だから、THE IDOLM@STERの劇場版はアイドル映画と言うよりはヒューマンドラマなんだが、逆にアイマスらしさはすごくあって、本当にすごいんだよ!

  • 何が問題なのか

じゃあ、アリーナライブの成否が問題かと言う話でもない。アリーナライブが成功するのは約束されている。
実際、アイマスガールズの皆さんは2012年6月23日と24日の両日、アイドルマスターシリーズの7周年を記念するライブ「THE IDOLM@STER 7th ANNIVERSARY 765PRO ALLSTARS みんなといっしょに!」を横浜アリーナで開催した。このライブシーンをアニメーションに逆に引き写して劇場で見せるというのがこの映画のラストの見せ場である。
っていうか、アイドルマスターの映画なんだからライブシーンが劇場で素晴らしいのは当たり前と言うか予想がついて当然である。だから、それだけを描く映画だと、ドラマ的カタルシスはない単調になる危険性がある。
かといって、現実のライブの舞台裏をリアルに取材して、現場のルポと言う風に描いてもメイキングにはなってもエンターテインメントにはならない。
アイドルの裏側や日常を見せるというアイドル映画でもなくて、人間ドラマになってる。これがすごい。アイドル映画だから、アイドルが映って歌ったり動いてるだけでいいのにーって言う前半の幸福感から、もう一段踏み込んでる所がすごい。
だから、アリーナライブがちゃんとできるかどうかという所で、成功するか失敗するかハラハラする話でもない。できるできないじゃなくて、もっと心の問題が重要視されて描かれているので、本当に人間ドラマである。
ドラマチックに盛り上げる要素としての悲劇や事件や勝負もないのに、人間ドラマとしてすごく心が揺さぶられて、これはアイマスとしても面白いが、一個の映画としてもかなりすごいものを見せられたぞ!という感覚がすごくあります。
また、謎解きやミステリと言う要素もない。ちょっとした気持ちのすれ違いがあるだけで。その、ちょっとした気持ちが大事なんだよ!というのが、非常に人間ドラマ的で、人間讃歌は“勇気”の讃歌ッ!!人間の素晴らしさは勇気の素晴らしさ!!って思った。
人間賛歌を描いたジョジョの奇妙な冒険も、超能力や謎解きや悲劇でもりあげている。
でも、THE IDOLM@STER劇場版は、そう言った要素を一切排して普通の「人間」ドラマとして描いている。
なのに、リアルな人間の汚さを暴く!という露悪的なものではない。むしろ、この映画に悪人は一人も出てこない。
一人も悪人が出てこないしミステリ要素もないのに、ドラマとして緩急が付いているのが本当にすごくて、普段アニメを見ない人にも映画として、見てほしいな、と思う一品でした。

  • アイドルの可愛さや魅力でも無いのがすごい。

アイドルがかわいいから、とか、歌に力があるから、その魅力で人を引きつけてドラマを進める、というのがアイドル映画で割とよくある展開です。マクロスとか。
でも、今回の「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」は「アイドルがかわいいから」って言うのがドラマを進める要素に一切なっていないのがすごい。「アイドルがかわいい」と言うのは、テレビ版の成長を経た劇場版ではもはや当たり前の仕事のレベルになっているんだよ。765プロのアイドルの皆はもうすごくかわいい。
かわいいしファンを魅了してるんだけど、それはファンに対するサービスシーンっていうお仕事には成ってるけど、この映画のドラマのストーリーを進めるうえで、天海春香さんが問題を乗り越えるうえで「かわいいアイドル」という自分の魅力の要素を全く利用してない。武器にしてない。これがすごい。だから、アイドル映画と言うのを超えて、人間ドラマと言える。


人間が問題で、問題を乗り越えるのに人間という要素しかない。だから人間ドラマ。

  • でも、問題が無いと映画にはならないのである

ここ!
物語つくりと言うのは、ほとんどここに集約される。クーンツのベストセラー小説の書き方でも「主人公に絶えず試練を与えろ」と言っている。
だから、この映画には争いも恋愛も病気もないのに、問題はきちんと出ている。
そして、その問題も「人間」なの。
問題を乗り越える「人間」を描いているんだけど、問題を起こすのも「人間」。だが、それも決して悪意や利己主義からではなく、人間が人間だからしょうがないって言うのが、本当にこの映画のすごい所なんだよ!!!


ここからやっとストーリーの解説になるんだが。
簡単に言うと簡単に言えるんだが、細かいところを見ると、本当に細かいところまで作られているので難しい。難しいので、他のブログさんの感想でまとまっているのを引用する(ずるい)

少女達の不安と後悔 -劇場版アイドルマスター輝きの向こう側へ 感想その1 | 内科部長室
さて、この映画には大きく分けて二つの物語が存在します。一つは765プロのアイドル達の物語であり、もう一つはミリオンライブ!の少女達の物語です。実はそれぞれがもっと大きな物語の一部分であると推察されるうえに、二つが同時に並走して語られていることが、この映画に散漫な印象を与えると同時に、その解釈や評価を難しくする原因となっていると考えます。


さて、この映画のにおける『アイドルマスター・ミリオンライブ!』の少女達の物語を一言で語るならば、『アイドルを目指す少女達(アイドル未満)が、試練に出会うことで(少し)人間的に成長し、結果としてアイドルとして最初の一歩を踏み出す』ということになろうかと思います。


この物語の主人公が北沢志保と矢吹可奈の二人であることには異論はないでしょう。


表面上は対照的な二人。でも実は似たもの同士。心配で心配でたまらなくて。でも心の底からアイドルになりたくて。一生懸命がんばるんだけど、がんばればがんばるほどかえってうまくいかなくなって。そんな自分が情けなくて不甲斐なくて好きになれない。

がんばればがんばるほど事態は悪化します。矢吹可奈は姿を消し、北沢志保は一人努力しますが、チームワークを欠いたミリオンライブ!組のダンスはばらばらになり、かえってその質は低下します。


破滅がすぐそこに迫ったその時。


そんな彼女たちの前に天海春香が登場します。

このあらすじもいいんだけど、このブログさんも1回では書ききれないっておっしゃってるし、本当に複雑なんだよ!


天海春香さんが問題を解決する役割を担うんだけど、天海春香さんが問題をこじらせる部分もあるし、その問題がプロデューサーから来ている面もある。
そして、それがアニメ本編からではなく、ゲームのTHE IDOLM@STER2のストーリーである「プロデューサーがハリウッドに長期出張に行く前」と言う所と、GREEアイドルマスターミリオンライブ!から出演する新人アイドル候補生というゲームからの事情から発生しているというメタ構造もある。
でも、そのメタ構造がデウス・エクス・マキナになってなくて、むしろそういう「どうにもならない事情」が「人間に降ってわいた困難」と言う風に描かれてて、ヒューマン映画として現実味がある。


  • みんながんばってる。がんばってるけど!

この映画の構造としてすごいのは、特訓合宿が前半で終了するところ。
普通、困難を乗り越える系の努力の素晴らしさを描くドラマだと、特訓が重要な劇的要素になって、特訓を乗り越えられたから成功できた、と言う風に説得力を補強するのがスタンダードだ。
だが、この映画は「がんばったからできた」と言う映画ではなく、「がんばったけどダメだった」「ダメになりそうだったけどなんとかなった」という2段構え(3段構え?)の構造なんです。
これがほんと良くて、矢吹可奈ちゃんが問題を起こして、北沢志保ちゃんはその問題に怒るけど、それは二人が頑張ってないからじゃなくて、むしろ逆で「がんばってるけどできない」「がんばるほど悪化する」という人間のどうしようもなさの表現になってて、感心した。簡単な起承転結なら「頑張らない奴を頑張らせて成功!」「友情、努力、勝利!」にすりゃあいいものを「努力、友情、勝利」の順番になってるし、前半でこの子たちが頑張ってることは十分に描いてんの。
でも、頑張ってるのにできない、みんなが最善を尽くそうとしてるのに歯車がかみ合わない、っていうどうしようもなさがすごく人間臭くて、良い映画だなー、一生懸命作られている映画だなーって思う。

この話が、ドラマチックに可奈が不治の病にかかったり、突然暴走トラックが現れて事故に遭い入院したりするのではなく、ただ単に可奈が弱くてダメな女の子であることを淡々と描くのは、そうでなければアイドルマスターが成立しないからなのだと。
不治の病や不幸な事故でアイドルを諦めるのなら、可奈はその理不尽を呪うだけで終わってしまう。
自分の人生がうまく行かないことを、世界のせいにして生きられるでしょう。
だって可奈は悪くないから。しかたないよね。って言えてしまう。
そうではなくて、可奈が悪いんですよ。可奈が弱いんです。
その自分の悪さや弱さを乗り越えながら、それでも「キラキラする」ために悪あがきをする少女達の物語こそがアイドルマスターなのであり、そんな不可抗力な悲劇の運命で楽にアイドル諦めさせるほどやさしくないのが、アイドルマスターなのです。

劇場版アイドルマスター感想 輝きの向こう側には何があったか:でびめも - ブロマガ

ここら辺、すごくTHE IDOLM@STERらしい(特にアケマスから現ナマを溶かしてやってると実感する)部分だけど、同時にすごく人間くさいんですよねー。


頑張ったけど、ダメだった!ってのは実生活でもよくあることだし、頑張りたいのにダメになるってのも僕は何度も経験している。大学受験に失敗し、大学の研究と実験とサークルに失敗し、就職に失敗し、なんとか入ったKLab株式会社も過労で失敗し、転職したら親が自殺して仕事も辞めさせられるとか、もう、転がり落ちる人生なのです。(いや、THE IDOLM@STERのアイドルはちゃんと頑張ってるから僕の人生よりは全然マシですが)
そして、アイドルマスターのアーケード版とか、1プレイ100円でクリアーするのに最低でも数千円かかるのに、1回のオーディション失敗とか体調管理の失敗で頑張りが全部ぶっ壊れるとかそういうゲームなので、「がんばったけどだめだったよ・・・」と言うのはすごくTHE IDOLM@STERらしいなーって思うし、見てて今までのプロデュース活動を思い出してゾクゾクした。「俺は今、アイマスを見ている!」

  • 時系列の整理

私は悪いオタクなので、最近は映画を(気に入った映画は2回目以降は)見る時はシーンごとに蓄光腕時計でカットの分数をチェックするという見方をしている。最近はテレビもネット配信やHDD録画でタイムが計りやすいので、絵コンテの逆算がやりやすくていいですね。
まどかマギカ叛逆の物語は1シークエンスがほぼ10分で、ABパートに換算して2時間でOVA6話の構造になってる)
で、THE IDOLM@STER劇場版はだいたいのシークエンスが3〜4分で、120分を大きく分けると45分、45分、30分に区切れる。結構わかりやすいんですよね。ここら辺は。
序破急です。
で、3つのABCパートは4分くらいのシークエンスが10個くらい合わさってできてると考えると整理しやすい。


細かいストーリーラインの愛のあるレビューが詳しいブログさんもあって、細かい所はそちらを参照してほしい。
http://imastadium.blog.fc2.com/blog-entry-240.html

    • Aパート(45分)〜導入〜合宿終了まで

1(TV版の舞台、春の嵐から引き続いた感じのイメージで)桜の園を連想させる劇中劇から華やかなメインアイドルの魅力紹介、
2アイドル活動紹介、3アリーナライブと言う目標設定、4そのための合宿とリーダーに春香抜擢。
5夏休みのような合宿模様の楽しさと6キツさも描き、7先輩と後輩の交流も描きつつ、8、765プロの「GO MY WAY!」はバッチリ決まる。
そうやって盛り上がったところに、9プロデューサーがハリウッドに研修に行く、と言う告白をして、10ちょっとアイドルたちのテンションを下げて、Bパートに続く。(アイドルのテンション管理とコミュニケーションはTHE IDOLM@STERでは重要なんだが、Pも何が正解かわからない中で告白し、春香だけに気持ちをバトンタッチする)

    • Bパート(45分)合宿終了〜苦悩と不協和音

1夏の快晴の合宿終了から秋雨が続く季節になり暗雲〜ミニライブ失敗、2それについて書いた週刊誌の悪口と小鳥さんとPの会話、3バックダンサー組からのメールと会議、4バックダンサー組との合同再練習、5ジュピターとの遭遇、
6揉める再会議で来なくなった可奈からのメールがきっかけで、リーダーの春香とバックダンサー組で一番頑張り屋の志保も揉める、
7リーダーとして悩む春香は美希や千早と夜のバーで話す、8Pと律子も夜のビルの屋上で悩む、
9萩原邸と水瀬豪邸でのお泊り会で二組に分かれたアイドルたち(春香、千早、可奈以外)は春香の考えを待ちながらそれぞれの姿勢や性格を会話の流れから自然に示す、
10春香がしつこく送っていたメールに返さなかった可奈からの電話がやっと春香に通じた!そこで電話越しで二人の心をえぐり合う会話、電話では伝わらない!もどかしい!という悩みが頂点に達した所で、

    • Cパート〜走り出した少女たちは、輝きの向こう側へ!

1決めた春香は可奈に会いに走り出す!765プロもバックダンサー組も入り混じって可奈を探す!
2またもめる志保と春香、
3雨の中、全員で可奈と再会!喧嘩寸前の説得!
4アリーナで集合するアイドルとPと律子
5春香の演説とそれを受け止める仲間たち。雨は止む
6やっとまとまったバックダンサー組、同時に千早と春香もがんばって手紙を出す。季節は落ち葉の降る秋
7アリーナライブ!!M@STERPIECE!!
8P、ハリウッドへ
9エンディングテーマに載せて後日談〜イラストの点描で1年後の冬まで〜Pと美希の帰還、全員集合!


っていうか、TVアニメがほぼ1年を描いて、劇場版の中でも1年経って、そのエンディングでまた1年経ってるとか、3年!!!高槻さんが高校生に成っちゃう!!!
でも、モバマスも2周年で3年目だしなー。早いよなー。俺も32歳だしなー。大学をサボってゲーセンに通っていたのに!


で、細かく見ると本当にすべてのシーンが重要な意味があるんで、今回のブログでは日曜日が終わるので、次に回すんだが。
細かい所でとりあえず、言っておきたいのは、誰も間違ってないし誰も手を抜いてないというのがすごい所なんだ。
赤羽根プロデューサーがハリウッドに行く、と言うのは明らかに問題だ。
ライブの後にPがハリウッドに研修に行くからアイドルと別れてエンディング、って言うTHE IDOLM@STER2のゲーム版のストーリーをなぞったものなんだが、それはゲームでやったから仕方なく、と言う感じではない。
(実は僕は2は箱○が壊れたからやってないんだ・・・。他のゲームも基本的に忙しかったり精神病で反射神経が壊れて細かい音ゲーが出来なくなったのでやってないんだ・・・。モバマスは金を出せば楽しめるから楽。だから2のストーリーの細かい所はわからんのだが。映画の後、リハビリもかねてPSPのシャイニーフェスタを買いました)
赤羽根Pは、劇場版2周目の特典の0巻で描かれているように、「頑張ってるアイドルたちに追いつくために俺も頑張りたい」と言う動機でハリウッドに研修に行く。
同時に、アリーナライブも765プロが充実したからやるというよりは、ファンの数が急に増えすぎたから収容人数の多いアリーナライブをやろうとした、と言う理由で、結構受動的。(ここら辺は実際のバンダイナムコゲームス資金力と数年の人気の実績とは違って、765プロはやっぱりまだまだ弱小プロ。アイドルが12人いるのに、裏方が社長を入れても4人しかいない!!!)
そのせいで彼はアイドルの指導がおろそかになって、英会話の勉強やアリーナライブの対外交渉で電話をたくさんかけ続けて、いっぱいいっぱいになってしまう。
その負担が、急にリーダーになった春香に来るというのが、この映画の構造的な問題で、一番の乗り越えるべき試練と言えば試練なんだが。
それも、赤羽根Pが手を抜いてるからと言うんじゃなくて、「アイドルは頑張ってる」「俺も頑張りたい」「春香なら頑張れるだろう」という、ガンバリの連鎖で、それが結果的に苦労につながっていく、っていうのが人間関係そのものって感じですごい。
Pも全然バックダンサー組を気にしてないわけではなく、彼女たちを765プロで預かろうとしたり、ハリウッドに研修をあきらめようかと秋月律子Pに相談したりしてて、何とかしようとしている。それでも彼も彼なりにギリギリで頑張ってて見えないものがある。それで春香に任せちゃうけど、春香たちがアリーナに集まったと聞いたら、とにかく駆けつける程度には頑張ってる。この、ギリギリのガンバリのラインでストーリーを運んでるのが、ほんとゾクゾクした。


まあ、本当にアリーナライブをするんなら、それこそ水樹奈々ライブスタッフや田村ゆかり王国くらいに、裏方の人も膨大に居て、アイドルのレッスンからリハーサルまでのスケジューリングを固めるんだろうけど、765プロは裏方が4人しかいない零細企業なので、できない。
逆に裏方を見せちゃうとアイドルが主人公の映画として華がなくなるというエンターテインメント作品としての問題もある。それを、765プロは急成長した零細企業という設定でアイドルに自己管理させるというブラック企業に…。セルフスケジューリングはTVのアニメTHE IDOLM@STERの後半のテーマだったけど、それが出来た結果、セルフプロデュースをアイドル任せにして裏方が弱いという問題になっちゃうのが映画。

アニメの765プロはマニーが無いので、バックダンサーもプロのダンサーではなく、先生があまりケアしてくれない零細アイドルスクールに通う素人しか集められないの。
(アイドルスクールの態度が悪いというのは描かれていないが、そこは察するべき暗示)
ゲームの765プロだったら、お金がたまって社屋が大きくなったりとかスタッフが増えたりと言うのができるけどアニマス765プロはいまだに居酒屋たるき亭の上の借り事務所なのだ。
だから、ゴシップ週刊誌の「765プロの無理な急成長」と言うのも、あながち「悪口ばっかりの雑誌」とも言えない。ゴシップ週刊誌ですら間違ってない、でも、みんなが苦しむ!
誰も悪くないしみんな正しいことを言ってるけど、言われたら苦しむ!
人間関係!


また、春香さんがミリオンライブ側のバックダンサー組がミニライブでの転倒の失敗(アイマスらしい!)で楽屋で口論になってるのを聞きながら、声をかけそびれたって言うのが、「声をかけようとしたら、年上のあずささんが帰りの車が来たとバックダンサー組を呼んだから」という、微妙なボタンの掛け違いなのが、すごい。もし、三浦あずささんが声をかけるのが遅かったら春香が何とか先輩としてすぐにアドバイスできたかもしれないし、あずささんが逆に早く来て春香と一緒にバックダンサー組の口論を聞いて問題に気づいてあげてたら、と言うのがある。
で、三浦あずささんに悪意なんかあるわけないってのはみんな分かる。アニメやゲームを知らなくて映画だけを見ててもわかる。
あずささんっていう善意の塊みたいな人が事故の遠因になっちゃうっていうのが、本当に人間関係のままならなさの象徴みたいで、びっくりした。「ここであずささんをつかうの?」っていう。この判断はスゴイですよ。アイドルマスターってキャラの取捨選択がすごい大事なんですが。
逆に「幸福オーラのあずささんがいても起きてしまった問題」と言う所で、ままならないなーって言う人間関係の人間関係っぽさが出てて、映画って面白いなーって。


ここで春香が負い目を感じちゃってるから、TV版で千早に対してすぐに会いに行ったように会いに行くのが遅くなるって言うのも演出技法。あと、会わない間のメールでのやり取りでどんどん泥沼にハマっていくスパイラルも実にアイドルマスター(特にアーケード版)っぽくて思い出した。ここを描きたかったんだなーと。詳しくは、これ一本でも記事が書けるので後述。


いや、僕も大学時代にヨーロッパ企画と同期の学生劇団に居て、僕は大学の学業と精神病と機能不全家族を両立できなくて劇団を辞めちゃった(その上大学も休学した)ので、リアルに可奈みたいにドロップアウトを経験してるし、金が無い素人集団で公演をする時のギスギス感も体験してる。あと、ラブライブ!でヒットして金が潤う前のKLab株式会社で、新卒ながらサービス終了前のSNSの管理という責任ある仕事を逃げた上司に任せてもらって過労で死にかける(検査に異常はないのに熱が半年以上引かないという不思議体質になった)体験をしてるんで、ほんと、ここら辺の頑張ってるのにできないし無理と言うのは色んな記憶がフラッシュバックしてヤバかった。
(いや、僕が潰れた後に残った劇団やKLab社員も苦労はあったんだろうけど)


そう言う風に人間関係の不和が描かれるのが、ほんとすごい。すごく胸をえぐられた。
問題を起こすのはみんな人間で、不慮の事故とか宇宙人とか、ゲームのルールとか事件とかそういう劇的な要素はなくて、ちょっとした人間関係のすれ違いの連鎖がどんどんこじれていく、って言うのが人間ドラマらしくて、映画を見て、すごくグッと来た。
久しぶりにカロリーのある人間ドラマを見たなーって。
ガンダムとか怪獣映画とか美少女とか大好きなんですけどね。


  • 大事なのは心の問題なんだよ!

と言うのが、本当にガイナックス系のカウンセリングアニメだなーと言う感じで、このテーマでも一本記事が書けるんで、あとで書く。ステラ女学院高等科C3部とかキルラキルとかグレンラガンとかトップをねらえ!とかエヴァンゲリオンとか。あと、ラブライブ!の後半のシリアスドラマと嘘っぽい家族も。
この映画で面白いのは、もう一回書くけど、「努力」を先にやってて、がんばったけどだめだったよ・・・と、心が一回折れた所で、みんなの支え合いで心をもう一度接ぎ木して、そこからどうやって挽回するのか?という疑問は描かないでライブに雪崩れ込むというライブ感、ダイナモ感覚がすごい!
アイドルとしてではなく人間としてどうなんだ?という人間関係の問題をガンガン突いてきて、それで90分以上の上映時間を使って、やっと人間関係が改善したら、
「先に頑張ってたから何とかなる素質を持ってた子たちだったんだ!」
という、ちゃぶ台返しで一気に最後の猛特訓の泥臭い部分を描かないでキングクリムゾン的に過程をぶっ飛ばして、ライブは成功するのは言うまでもないでしょう!という、楳図かずおウルトラマンジラースの回みたいなライブ感!
いや、実際、ビジネス研修とか受けると、ビジネスプランナーの講師にも聞いたけど「仕事のきつさより人間関係のきつさの方がヤバい」と言うのが実感できる。
同じバンナムのアイドルでも、アイカツ!は超人バトルみたいなところがあるし、2年8クールで毎週エンタメなので、特訓描写が見どころで面白いんですが、劇場版はアイドルマスターアイカツ!よりは対象年齢が高いので、心理描写がすごいです。同期の女児向けアイドルアニメだと、プリティーリズム レインボーライブも人間関係をえぐってきてすごいんだが、プリズム時空って言うのがあるからな…。プリキュアも魔法を使えるし。
WUGはまだよくわからないけど…。結構、金とエロって言う部分を強調してるのがアイマスとは違いますね。作曲家などのスタッフは共通してる所があるけど。
すーぱーそに子アニメそにあには、すーぱーそに子さん自体がエロの塊なのに、妙にリアルに大学生活を送ったり、バイトとアイドル活動とサークル活動と掛け持ちしてハードワークすぎるけど、すーぱーだからな・・・。ニトロプラスだし。


閑話休題
あと、ライブ直前の追い込みで頑張ってるアイドル候補生の順調ぶりでテンションが下がらないように、ここで同時に春香のかぶせセリフで、「千早が親と向かい合う」というもう一つのキツいエピソードを入れて、ダレさせないという演出技法が憎い。水瀬伊織も言ってたけど、技術的なものより、心の問題なんだよなー。
と言うわけで、すごく人間関係をリアリスティックに描いた映画なんだが、「どうやってライブが実際に成功するのか」というリアルな現実の過程は演出ですっ飛ばして(実は他にもすっ飛ばしたシーンは細かくたくさんある)、映画にまとめてるって言うのがすごい。
だから、現実味と映画としてのトリックの両面があって、だから、「人間」「ドラマ」なんだなーって思いました。


  • 自己紹介

グダちんP(31)プロデューサー歴は7年。
主にCD収集でプロデュース活動。
プレイゲームはアケマス終盤期〜箱○無印〜シャイニーフェスタ〜シンデレラガールズ〜ミリオンライブという、微妙なプレイ歴。ちなみに脳内妹が好きなので、どの子をプロデュースする時にも妹と同じ「そら」って言う芸名を付けてます。どうだ痛いだろう。モバマスは[はっぴーはっぴー]野々村そらP!
765では美希ですかねー。ホントロングヘアの美人に弱い。

THE IDOLM@STER
でも、先代高木社長が「プロデュース暦には関係なく、我々は仲間だ」と言ったので、仲間だもんげ!
ライブに行ったことはないけど、2013年10月12日土曜日、徳島マチアソビで幾原邦彦監督と庵野秀明監督のトークショーを見た後にTHE IDOLM@STER今井麻美原由実さんのライブを聞いた。無料ステージだったので、幾原邦彦庵野秀明ってだけでもメチャ混みだったのに、アイマスPが押し寄せてヤバかったので、遠目に見たぞ。本職のPはサイリウムが一生懸命ですごかった。でも、良い声だと思うし、基本的にJポップはここ数年、THE IDOLM@STERばっかり聞いてる。Jポップは追うのがめんどくさいのだが、アイマスの曲はバラエティーやアレンジに富んでいて、割とアイマスを聞いてたら音楽的には満たされるというか。限定品は漏れてるけど、大体ドラマCDも含めて大抵のアイマスCDは聞いてるはず。

アイマス以外では声優CDをいくつか・・・。あとはピンクフロイドとかUKロックですねー。()
で、アニメのアニマスですが、実は地味に全話感想を書いてたんですね!
[アイマス]記事一覧 - 玖足手帖-アニメ&創作-
でも、今回は自分の過去の感想を読まずに映画を見ました。うん。時間が無かったんだ。
しかし、アイドルマスターゼノグラシアブレンパワード系のアニメとして、結構評価している。
だから、かなりパラレルワールド全開なTHE IDOLM@STERを貪欲に楽しんで行こうというスタンスです。出された食材をどううまく食べて見せるか!
アイドル道とは正に奥深きものです・・・。
モバマスでは社長です。モバゲーID33201777まで。けっこう、はてなダイアリーツイッターで有名なアイドルマスターP id:IdolMaster さんや id:SiTube ロストユーザーさんや正かなユーザー id:jonathans さんも所属しています。
亡くなったid:str017さんの席もまだおいてあります。
はてなからモバゲーでくねくねしよう!
あ、課金ノルマはないまったりプロです。
僕は月に5千円くらい入れてるけど。
やっぱり、映画のスタッフロールでたくさんの人の名前を見ると「この人たちを支えるために課金しなきゃ」って思いますね!
僕の母親は「どうせ年金ももらえないし」って言って自殺したし、僕は無職だけどな。僕は屑だけど、アニメやゲームを作る人は尊いので、彼らにお金が行くようにしましょう。


天海春香矢吹可奈を助けてくれたけど、鹿目まどか魔法少女を救ったけど、俺が大学に行けなくて引きこもっていた時も、KLabで過労になった時も、京都大学で働きながら母親が自殺した時も、誰も助けに来てくれなかった。それは僕が誰のことも愛さないクズだから。
それが現実だよ。
でも、アニメやゲームの中では「人間ドラマ」がある。それは尊いよね。
現実には、本当に本当の人間がいるのかな?っていうのは哲学的命題だよね・・・。生きるべきか、課金するべきか、それが問題だ。
しかし、年金督促状って本当にヤクザみたいですね。電話を下請け企業にかけさせるし。まあ、それがこの国のリアルなんだろ。

  • 書く予定

感想5 765プロの「まだまだ感」未来へ~
感想2 プレイヤー・プロデューサーとリーダー天海春香〜鏡アニメとして〜演出
感想3 ガイナックス・クズ系主人公の系譜として
感想4 リボン主人公として、天海春香の魔法と鹿目まどかの奇蹟の対比
感想余談 天ヶ瀬冬馬という生き方