玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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無敵超人ザンボット3第19話 明日への脱出 人間爆弾編終了、そして自爆攻撃

脚本:吉川惣司 絵コンテ・演出:広川和之
あらすじ
http://higecom.web.fc2.com/kingbial/story/story19.html


今回の脚本は人間爆弾編の直前の無敵超人ザンボット3第15話 海に消えた老将 原子力と特攻、富野作品の重要要素 - 玖足手帖-アニメ&創作-で戦艦の特攻自爆攻撃を描いた吉川惣司さん。吉川先生は装甲騎兵ボトムズで脚本などを務めた天才アニメーター・演出家。そう言うわけで今回もミリタリーテイストが強い。また、洋画(60年代アメリカンニューシネマ)風でもある。タイトル自体「明日に向って撃て!」と「大脱走」の合体のようなところがある。
無敵超人ザンボット3 第17話 星が輝く時 進撃の巨人よりも残酷な世界 - 玖足手帖-アニメ&創作-
でも、人間爆弾編のミリタリーテイストの高さは指摘した。


そして、今回は人間爆弾に改造された名もなき技術者の男(田中崇銀河万丈)が自分に埋め込まれた爆弾を利用して敵の基地の内側で爆死して他の捕虜の脱出を助けるという英雄的な自爆攻撃をした。
吉川脚本で連続で自爆か・・・。


また、見逃せないのは主人公の少年、勝平の友人の香月も捕虜になり、自分から人間爆弾になって自爆する覚悟を他の捕虜に向かって語っていた所。香月は自爆する覚悟を決めて、それを他の捕虜にも明言していたが、いざ人間爆弾の手術を受ける時は生理的に恐怖を持っている、というのが絵面で示される。そして、自爆するのは少年ではなく名もなき銀河万丈ギレン・ザビ、ティンプ・シャローン)声の男である。
未来を作るのは老人ではない!とか子供に未来を託すための捨て石になる大人、という富野アニメらしい感覚ですね。また、人間爆弾の時限装置を牢屋の中で自分で改造するコンピューター技師の銀河万丈って、キャラクターデザインと声のニヒルで渋い感じとも相まって、非常にアメリカ映画的。特に監獄の中で隠れて武器を改造する、と言うのはショーシャンクの空にとか大脱走のような脱走もの映画を連想させて渋い。
この、敵に埋め込まれた爆弾を利用するニヒルな男というのは科学忍者隊ガッチャマンFコンドルのジョーみたいではあるが、ガッチャマンIIはザンボット3より後の78年オンエア。(初代ガッチャマンは1972年)


また、脱出する穴をあけるため自爆したのは銀河万丈声の男Cですが、もう一人、人間爆弾に改造された上で達観した雰囲気を見せる男Bが先日亡くなられた石森達幸さんが演じているというのも興味深い。石森達幸さんは伝説巨神イデオンのドバ・アジバやカミーユ・ビダンの父やリード中尉など、銀河万丈さんよりも富野作品やガンダム作品に多く出演された方。
どうでもいいが、この爆死することが確定しているのを受け入れている男らしい男Bの顔がすごく、はだしのゲンの親父や星一徹みたいな濃い顔です。ザンボット3安彦良和デザインは割と柔らかい感じなんだが、このゲストキャラだけ以上に顔がクドイ。多分、安彦さん以外の人が急きょ書き起こしたんだと思う。
今回の作画担当は鈴木康彦さん。初代宇宙の騎士テッカマンやグランプリの鷹、キャプテン・フューチャーなどに参加された方なので、濃い顔のオッサンを書くことに定評のある方だったのだろうか?(2007年死去)
香月はガイゾックの基地の中で自爆するんだ!と牢屋の中で他の捕虜に言っていたが、結局香月ではなく、その話を聞いていた男Cが香月を助けるために自爆した。元々男Cがどこで自爆するつもりだったのかは分からないが、香月が「このガイゾックの基地の中で自爆してやる!」と言った言葉に影響を受けたのは間違いない。
少年の特攻精神に大人が影響を受け、少年の命を救うために果てる、と言うのはなかなか劇的である。
富野監督アニメでは特攻とか自爆攻撃が多いが、やはりどれも年長者が少年の命を繋ぐために行う、と言う色合いが大きい。そこら辺は一貫しているのではないだろうか?
前回の少女、アキの無意味で無残な死は悲痛。
ララァやゴラオンのエレ・ハンムやサラ・ザビアロフの場合はもうちょっと事故的な感じの特攻だったので。年長の男の特攻とは意味合いが違う。
クラウレ・ハモンやアンナマリー・ブルージュやルペ・シノは特攻と言うより心中に近いと思う。


また、今回は神ファミリーでも大人組の活躍が目立った。いつもはザンボット3だけが戦闘しているが、今回は敵の巨大基地要塞のバンドックが浮上した際、ザンボット3が権勢に回って、本命のイオン砲は母艦のキングビアルで、宇宙太と恵子の父親の二人がエネルギーチャージや照準をしていた。
他のメンバーも銃座などで戦っていた。
ロボットに乗る子供だけでなく、大人も必死に戦う、と言うのがザンボット3のリアリズムである。(子供しかザンボットに乗れない秘密と言うのは次回明かされるが)


また、敵のメカブーストも前回に続き、複数展開している。
このように一話完結のロボットプロレスから、地球人類と宇宙人、大人も少年も総動員しての総力戦と言う盛り上がりに突入して最終決戦編の残り4話に突入していく。こうやって尻上がりにスーパーロボットからリアルな戦争に移行していく感覚は機動戦士ガンダムでも使われた手法だが、ザンボットのころから富野監督は考えていたのだなあ。
ライディーンでは監督降板で不発、初監督作品の海のトリトンでも基本的には一話に一匹怪獣を殺す話だったが、最終回で大量虐殺をおこなった)
戦局がインフレしていく迫力と言うのはある。


今回は割とミリタリーテイストで敵の基地に反撃の糸口ができる、というのがメインのストーリーで、田中崇の自爆以外、あまり他に語ることはないのだが。


反目して敵対したが、和解し、死線をくぐって、アキの死を共に悼む香月と勝平の握手が感動的と言うのは言うまでもないでしょう。