玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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創作幻視小説版「夢兄妹寝物語」 2003年10月 第10話 第5節

サブタイトル[ロマンスの休日]
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創作幻視小説版「夢兄妹寝物語」 2003年10月 第10話 第4節 - 玖足手帖-アニメ&創作- 
前書きなし


 女二人がじゃれていると、キッチンから簡単に炒めたベーコンとキノコのパスタと、レタス入りのポテトサラダ、それに飲み物の替えを乗せたキャスターを押して社が戻ってきた。
社「身の上話は終わったか?」
そら「ええ、あんたたちがすっごいハチャメチャな生き方で意地悪な性格だって、よくわかったわ!」
 振り向いて、イーッ!っと歯をむきながら言った。
社「アリサめ、言ったな」
アレッシア「悪口は言っていません。ただ、ありのままを伝えました。社先生は教え子には嘘はつかないのでしょう?」
社「ああ、それでいい。
 夕食はあり合わせしかないが」

アレッシア「節約してもらった方が助かるわ。先生の買い物の請求は私の口座に来るんですからね」
そら「そういえば、社っていつもカードで買い物するし、領収書も貰ってたわね。あれ、パラサイトだからなんだ」
 料理を作った上にいそいそと配膳をしている男に向けて美少女は言い放った。
アレッシア「そう。この人に自由な財産を渡したらすぐあなたみたいな美少女に貢いじゃうでしょう?だから私が監査役なのよ。この部屋も、家具も、車も、全て私が贈ったものです」
社「お前の息のかかった企業の在庫か試作品だろう」
アレッシア「そらちゃん、あなたの新しいお家の手続きをしたのも、実は私なのよ。先生は私に連絡しただけ。この人じゃ、不動産取引はできないわ」
そら「へー、社って犯罪者でロリコンでマザコンでシスコンでヒモで禁治産者なんだ。すっごーい!サイテー!」
 美女と美少女が仮面の男を左右から笑う。
社「人聞きの悪い事を言うな。冷める前に食べなさい」
一同「いただきます」
 レイもそらの右隣に座り、食卓に着いたが、もちろん食べるふりをして口の中の異次元空間に放り込んでいる。社はアレッシアと向かい合う席で、そらとの間にはレイが居る。
そら「人聞きって、仮面で盗聴されてるのに、いいの?このうちの中だったら、それ、外せるんでしょ?」
社「ま、警察とはある程度の司法取引をしてある。固有名詞さえ出さなければ記録など、どうにでもなるさ。アリサもそれが分かっていてここに来たのだろう?」
アレッシア「ええ。さっきアントニオにしたみたいに、先生の秘密を買い上げるのも、こうやって視察するのも身元引受人の仕事です」
そら「なんだかややっこしいなぁー」
 もぐもぐもぐもぐ
アレッシア「ええ、ビジネスの世界では情報と信用が全てですから。身元引受人としては先生には大人しくしてもらわないと困ります」
社「そこまで心配しなくとも私も反省した。若いころのような無茶はしないさ」
アレッシア「出所した途端に、勝手に私立探偵みたいにこの子を探し出して、無理やり家庭教師になった人が言えたこと?
 まさか、また悪い癖が出たんじゃないでしょうね?」

 美少女と食事をして機嫌よさげに社は軽く微笑で自嘲したが、アレッシアの眉間が軽くこわばるのを、そらは横目で見逃さなかった。
そら「悪い癖?」
アレッシア「この人は昔から、美少女と見ると見境なく後をつけたり拾ってきたり、面倒を背負い込む癖があるのよ」
そら「えーっ!あたしってそんな捨て猫みたいな扱いなわけ?変態!レイ、どうしよう!」
レイ「そら様、大丈夫です。社先生はただの家庭教師です。そう振舞っていただきます」
 芝居がかってしもべの体の影に隠れる少女主人に言いながら、頭部を社の方に向けて牽制するレイ。
社「・・・・・・アリサ、今回は依頼された仕事だということはお前も知っているだろう」
アレッシア「ええ、だから今日はその事を聞きに来たんです。
 あなたは保護観察期間中なのに、私や警察以外とも探偵として司法取引をしているそうですね。どういうことかしら?ハッキリさせていただきたいわね」

 仮面で視線が隠されている兄の溜息を見ながらテーブルにフォークを置く時、彼の身元保証人であるアレッシア・マセラッティの碧い眼とプラチナのブレスレットがチリっと光った。


そら「むむむむ・・・・・・。おかわり!」 
レイ「あ、それなら私の分をあげます」
 家庭教師、社亜砂の自宅での姿を、覗くだけのつもりだったのに、いつの間にか金髪兄妹のお家事情と修羅場を見せられる羽目になってしまった。それで、そらはひたすらパスタをすする。しもべはいそいそと主人の皿にパスタをよそう。
 ちゅるちゅる

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