玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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無敵鋼人ダイターン3第16話 ブルー・ベレー哀歌 メガノイド仕掛けのソルジャー?

脚本:星山博之 絵コンテ・演出:貞光紳也 作画監督:富沢和雄
あらすじ

http://higecom.web.fc2.com/nichirin/story/story16.html
買い物中の万丈とビューティを襲うブルーベレーの少年達。相手は子供だが自分を名指しで狙っているのであれば容赦はしない。万丈もマシンガンで彼らを応戦し、隊長のラットの脚を撃つ。
逃げるブルーベレー部隊だが、彼は今自分が生まれ故郷にいる事に気付き、妹のケリーの元に会いに来る。ケリーはラットを暖かく迎えるが、教育評論家の父からは勘当を喰らっており、彼も帰るつもりはなかった。
マッハアタッカーでのドッグファイトの中で、マッハアタッカーに搭乗するケリーを見てラットは万丈が妹を人質にしたと誤解する。この時ラット達にはまだ人間の心が残っている事を知る。まだ彼らを救える可能性がある。だが、ラット達ブルーベレー部隊はマクロメカ装置によりメガボーグ・ヤンガーへ合体・変身。ダイターン3とヤンガーの戦いの中で万丈は彼らを説得するが、自分達のようなはみ出し者を拾ってくれたメガノイドの命令に従えば、自分達は世間へ仕返しする事が出来ると考えを改めない。
 その時彼らを雇ったコマンダーのデスバトルが撤退した。それはダイターン3をまともに倒せない彼らへ愛想をつかせ、所詮屑は屑という証であったのだ。戦う理由はなくなったと説得する万丈に対し、ラット達は元はといえばダイターン3が悪いと逆恨みをして襲いかかってくる。そしてサンアタックがヤンガーの盾へ直撃し、それによりマクロメカ装置が破壊されて彼らは元の人間に戻った。ラット達が気付いたのは戦いに巻き込まれて崖から落ちようとするケリーの姿。ラットは彼女を助けようとするが崖から転落してしまう。そんな彼兄妹を助けたのは万丈であった。ケリーの無事を喜ぶラットの姿を見て、万丈は彼ら兄弟を見守る事を選んだ。
 戦いが終わり、自分達の過ちに気付いたブルーベレー部隊は新たな船出に出る。ソルジャーの体で新しい仕事を成そうと。ラッドは家族と万丈へ別れを告げるのであった。

  • 妹を想う人の心はメガノイドにあらず

 シリアスな展開であり爽やかなラストとスタジオZの皆さんによるアクティブな作画と話、作画共に見どころの多い佳作回。今回は金田アクションが心地よく感じられます。ケリーちゃんも可愛いし。どうでもいい事ですがマッハアタッカーへ変形させようとしても何も起こらないシーンの間、傍の木の上にカタツムリ→芋虫→亀の親子と変わっていくシーンは地味に冴えたコメディシーンです。
 あとケリーを毛嫌いする父親のテッドは教育評論家でもあり、世間体を気にするような大人の印象がありましたが、最後の旅立ったケリーに対して若い頃の貴方そっくりとフォローする奥さんの言葉もあり、妙に味がある人になったと思います。そこのフォローもまた良し。

感想とあらすじを外注に出すブロガーのクズ、それが私だ!


いや、実際、名無し・A・一郎さんは私よりもたくさんロボットアニメを見ているし、記事のまとめも的確なので。
しかし、名無し・A・一郎さんは金田伊功さんのアクションの中に唐突に挟まるギャグ作画はあまり評価してなかったんですが、ジャングルの中でのカタツムリ、芋虫、亀の動物ギャグは評価されている。これは金田伊功さんじゃなくて富沢さんの作画かなあ?機動戦士ガンダムジャブロー蛇にも通じるネタですよね。こういうど根性ガエルみたいなエープロの流れの作画ギャグは良いよね。
あと、メカ作画だけでなく、ブルーベレー部隊と銃撃戦をしたりジャングルで格闘する万丈の肉体的ジャンプ・アクションも躍動感があって良い。爆発のエフェクト作画もいい。
また、万丈を四方八方からジャングルで狙い撃ちにするブルーベレー部隊が自分で銃を持たず、木に取り付けた機関銃をリモコンで操作して、インベーダーゲームみたいなインターフェースのコントローラーで万丈を狙うって言うのがマイコンブームの70年代の若者っぽさを感じさせる。


というか、今回の話、完璧に時計じかけのオレンジのオマージュですよね。
同じ色の服を着てるベレー帽の不良少年のカラーギャンググループとか。教育評論家とか。不良が両親の家に偶然帰宅するとか。大人(メガボーグ)の都合で勝手に改造されたり捨てられたりするとか。
いや、前々回の感想で「ダイターン3は11話のドイツ人は博士の奇妙な愛情、12話の宇宙シーンは2001年宇宙の旅スタンリー・キューブリック作品に影響されているし、メガノイドが機械じかけの超人って言うのはオレンジっぽい」って書いた時は16話は全然見てなかったんですが。いや、思いっきりオマージュをささげてるなー。

時計じかけのオレンジ [DVD]

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顔も似ている。時計じかけのオレンジでは右目の付けまつげだが、ダイターンでは右目の涙黒子に。


合体変身に使う時計とかな!(時計じかけのオレンジでは眼球を模したアクセサリー)」


他にも、スケボーとか車を盾にするガンアクションとか、洋画アクションぽい要素が目につく。
万丈とビューティーが買い物中に襲われて、紙袋を落としてオレンジが転がるのも洋画によくある奴。
アクション中に窓の二階に飛び込んだスケボーが1階の玄関から花鉢を載せて出てくるのは、ピタゴラスイッチっぽいけど、モンティ・パイソンあたりのコメディーが元ネタかなあ?
ダイターン3は色んな洋画をオマージュにしてる感じがあるね。万丈の造形自体が007だし。


ただ、時計じかけのオレンジは暴力と退廃、国家や家族や仲間や道徳や人間全てへの不信感などをテーマにしたディストピア小説だったわけですが、それをオマージュをささげている今回だが、銀河漂流バイファムなどを描いた星山さんの脚本のラストには母親のフォローとか妹の愛とか、若者の船出など前向きな救いや温かみを持たせている。
メガノイドの支配から脱出したラットが仲間と共に船出してサイボーグの体を武器にして海の男として力強く生きていく、って言うラストシーンは出崎統っぽさもあり。そんな兄の顔を妹が水彩画に描くハーモニー演出は、やっぱり日本のアニメらしい。


やっぱり、妹の力だし、日本のアニメは無垢な美少女に支えられている所があるよね。ジブリとか。うん。


ちなみに、今回のゲストキャラのラットは安原義人氏、ラットの部下に水島裕さんなど、ゲスト声優が豪華。
メガノイドの側近役の田中崇(現・銀河万丈)さんが珍しく太った男の声を当てているのも聞きどころ。