玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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無敵鋼人ダイターン3第36話 闇の中の過去の夢(デス13とシビルウォー)

脚本:星山博之 絵コンテ:斧谷稔 演出:小鹿英吉 作画監督:やしろかずお
パターン化したあらすじ
http://higecom.web.fc2.com/nichirin/story/story36.html


夢の中の世界で過去の罪を再自覚させられて精神的に潰される、と言うのはジョジョの奇妙な冒険のスタンド攻撃っぽい。
罪悪感で押しつぶされそうになるというのは4部の錠前にも近いが、やっぱり過去の一番つらいことを思い出して精神攻撃されるっていうのは7部のシビルウォーの過去の罪に押しつぶされそうになるって言うスタンド攻撃に近い。
ジョジョって割とロボットアニメに近いところある。
しかし、その万丈がとっ捕まった夢の世界が書割の舞台装置のお化け屋敷の中に過ぎない、っていう楽屋裏の貧乏臭い感じは、アニメの中で「作りものの世界」をやるっていう、メタ要素がある。
メタ要素はダイターン3にはかなり多いネタで、万丈に過去のトラウマを見せるという作戦の前は単に万丈をお化け屋敷みたいな基地に誘い込んでお化けで驚かせるという作戦だった。コマンダー3人組がそのネタ出しをしていたところは、紙に描いたお化けの設定画を机に並べていて、あたかもロボットアニメのデザイン企画会議のよう。
こういう、作中で悪の幹部の楽屋裏を描きつつ、それもアニメ制作現場の楽屋裏をメタファーにしている、って言う、後のエヴァンゲリオンガイナックスのメタネタにも通じる感じがある。ダイターン3はそういうことをやってる。まあ、ダイターン3以前にもアニメ屋萬画などでスタッフをモデルにしたキャラクターを出す、ということは手塚治虫だけでなく色々あったと思うが…。

 万丈はプロイドにより最も幸せな夢を見るようにと暗示をかけられていた。彼が最も求めていたものは家族との日々なのか。しかしプロイドの作戦は一筋縄ではいかない。目の前の兄と母がメガノイドへと変わっていく。このまま万丈の恐怖は最高潮に達成するかと思われた瞬間、万丈は恐怖をふっ切りメガノイドへの怒りの感情を爆発させた。
 破嵐万丈はメガノイドを生んだ破嵐創造の息子だ。それゆえにメガノイドへ挑戦する男として悲しみや恐怖を怒りへと変えた男になったのである。

コマンダー・プロイドっていうのは明らかに夢分析などをした心理学者のフロイトから来ているんだが。
ここで過去の嫌な出来事を見せるって言うのはジョジョだけでなく、ブレンパワードの第21話「幻視錯綜」第23話「スイート・メモリーズ」第24話「記憶のいたずら」にも似ている。
また、暖かな両親と死ぬ前の兄の幻影を万丈は見るのだが、ブレンパワードの17話でも、バイタル・グロゥブで北欧に飛ばされたショックで気絶した伊佐未勇は暖かな両親と優しい姉との家族の夢を見る。
ブレンパワードでも富野さんはダイターン3でやったようなアイディアを流用していたんだな。
しかし、万丈も伊佐未勇も現実の家族関係は過酷。
伊佐未勇は両親と姉を敵にして戦う。
万丈はメガノイドを生んだ破嵐創造の息子だ。それゆえにメガノイドへ挑戦する男として悲しみや恐怖を怒りへと変えた男になったのである。父の償いを晴らそうと、万丈は怒りに燃える。
そして、幻影を打ち破り、お化け屋敷のセットを破壊してプロイドたちを殺害する。


彼らを殺害した後、万丈が「人間の弱点を知っていた恐ろしいコマンダーだった」と言うのだが、家族との嫌な思い出とか、家族が死ぬ瞬間を思い出させられるって言うのは本当に嫌な人間の本能的な弱点です。私も実感がある。
なので、そういう攻撃を受けたら、やっぱり恐怖で潰れるというより、そんな攻撃をする奴は絶対に生かしてはおけないのです。迷いはない。漆黒の意志で殺す。