玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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重戦機エルガイム13〜17ミズン星編が終わった!

第13話 コンタクト 脚本:渡邊由自 ストーリーボード、演出:川手浩次 作画監督:中村旭良 亥間我子
第14話  レディ・ポセイダル 脚本:富田祐弘 ストーリーボード、演出:川瀬敏文 作画監督谷口守泰
第15話 プライド 脚本:渡辺麻実 ストーリーボード:湖川友謙 演出:関田修 作画監督北爪宏幸
第16話 ブロークン・ハート 脚本:渡辺麻実 ストーリーボード:滝沢敏文 演出:川端蓮司 作画監督:金山明博
第17話 ライム・ライト 脚本:渡邊由自 ストーリーボード、演出:今川泰宏 作画監督大森英敏


Gレコの10月からの放送前にエルガイムを全部見ることで富野アニメを全部見たという実績が欲しい。しかし、Gのレコンギスタはすでにdアニメストアで配信がスタートした。なので、急いで見る。感想も急ぎ目で。

  • 13話コンタクト

・ミズン星でのステラ・コバンのリトル・セイの反乱軍でエルガイムの量産が進む
・同時にミズン星でポセイダルが直々に民族根絶やしをするという噂がネイ・モーハンによって流され、反乱軍は動揺する。
 (ミズン星のヤーマン族は根絶やしにされたが、それ以外のミズン星の民族とは何だろうか?ステラ・コバンも元々は貴族だったらしいが、ヤーマン族ではないらしい…)
・1クール目のラストでやっとダバ・マイロードが義父のダバ・ハッサーの今わの際の会話を回想して、「自分がヤーマンのカモン家の王子であるということ」「ダバ・八サーがヤーマン族のヘビーメタルを量産しやすいようにカスタマイズしてエルガイムを作ったこと」「ポセイダルに反乱する人を集めろと言われたこと」「ポセイダルに近づくために正規軍に入るのはやめた方がいいと言われたこと」「ポセイダルは人を堕落させると言われたこと」などを思い出す
・ダバ・マイロードはポセイダルの戦艦エイプにロケット一台で接近し、親衛隊の新型ヘビーメタルのバルブドの威力に接する。バルブドのランチャーは強力で、直撃しなくてもビームの周辺の高速粒子に当たるだけで装甲に穴が開く、と、小説版ガンダムVガンダムで見られた表現が出る。
・ちょっと接近しただけですぐにロケットはまたミズン星のステラの基地に戻り、戦果としては大したことが無い。(ミズン星には他の場所はないのか?)
・ダバがカモン家の忘れ形見だと直感したキャボット老人はダバは不幸を呼ぶと思ったが、ダバの戦いぶりに感心してダバを褒めるようになる。
・作画は中村プロ回

  • 第14話  レディ・ポセイダル

・打倒ポセイダルの機運が高まる。ステラ・コバンはアマンダラ・カマンダラにもらった金貨を餌に反乱軍をまとめようとする。
・また宇宙戦艦一隻だけでダバがポセイダルの軍艦に接近した。これは反乱軍のリーダーのステラ・コバンの望むところではないが、なぜか反乱軍の戦艦の艦長やスタッフはダバに協力的で戦う。
・近衛兵のバルブドは地味にかっこいい。反乱軍のエルガイムに似せたホワイトブルーに塗られたレッシィのアローンもかっこいい。
・首尾よくポセイダルの旗艦のポセイダルのいる部屋にスパイラルフローで突撃するダバ。
・オルドナ・ポセイダルがホログラフィック空間の幻惑でダバ・マイロードに語りかける。ミヤマ・リーリンから代わって島津冴子さん
「私は自然の摂理に従っているだけ」
「星星と宇宙をかように不思議に組み合わせた世界を与えられた我々ペンタゴナの人々は、この宇宙から何一つ学ぶことなく、それぞれの王朝、それぞれの星の権益の争いに終始して、この聖なるペンタゴナワールドを汚し続けてきた。」
「私はこの世を治めるために人々に試練を与える神の子なのだ」
「それ(人殺しの暴力政治)を私にさせせているのは愚かなたみたち、愚民たちだろうが」
「自然の摂理だ。ヤーマン族の全滅は私の意志ではない」
「ペンタゴナは、神のためしの中に生かされている」
「人を鍛える独裁は良しとすべきだ。これを乗り越えた物だけがより良き明日を担う真の民となる」
「少年は、より良き民の道を選ぶのか?」
と、語るポセイダルの思想は富野由悠季のコスモ貴族主義と、「ペンタゴナ・ワールドはバイストン・ウェルのジャコバ・アオンの水晶玉の中のおとぎ話」という永野護の裏設定と相まって、富野監督の好きそうな思想だ。そして、「ヤーマン族のかたき討ちをする!」って言うだけの立脚点しか持ってないダバよりもポセイダルの方が正論を言っているように思えるのだが。そして、反乱軍も俗っぽいし正義があまり感じられない。そう言う点でもやもやする。でも、富野作品ってシャアやハマーンシロッコザブングルのイノセントみたいに愚民を統治しようとする貴族が主人公たちの暴力に潰される、という繰り返しなんだよなあ。
・オルドナ・ポセイダルの右目が金色で左目が銀色というオッド・アイのデザインが格好いい。髪型や、和風の天女の装束を機械サイバー的にアレンジした永野護の美意識がファイブスター物語に通じる感じだ。
・ちなみに、エルガイムの宇宙服はガンダムイデオンに比べると圧倒的に重武装でヘルメットも機械部品がたくさん入っている感じなのだが。実際の現在の宇宙服よりは軽装だが。ヘルメットの角ばった感じはエルガイムの頭に似ているので、全天周モニターと合わさって、闘将ダイモスGガンダムのようなマスタースレイブ機動をするという設定があるのだろうか?でも劇中ではそんな感じはないね。
・ポセイダルの軍艦に肉薄し、ダバに続いて反乱軍の第二波のロケット部隊も宇宙に上がってくるが、艦隊戦として盛り上がることはなく、なし崩しに終わる。なんとなく、またいつもの基地に帰投する。舞台が進行していく感じが無いので、盛り上がりに欠けるんだよなあ。
・原画に吉田徹氏、動画に沖浦啓之氏、逢坂浩司氏の名前が見える。ストーリーは煮え切らないが、ホログラフィック空間をダバが飛び回ったり、宇宙でエルガイムとギャブレーのグライアが格闘戦をするところなど、絵は格好いい。

  • 第15話 プライド

・正規軍のスパイによって反乱軍のリトル・セイ基地内でキャボット老人が「ヤーマン族は殺す」って張り紙をされて殺害された!
・「正規軍に入っておけばよかった」ってうっかり言ってしまったキャオがステラ・コバンにスパイに疑われる。
・またレッシィとアムのビンタの応酬が。ホント富野アニメはビンタが好きだよなー
リリス・ファウが自分たちのミラリーの種族がポセイダルが出る前に他の人間種族に滅ぼされたとダバに語る。妖精小人は玩具にされたり実験動物にされたり過酷なのだ。町田ひらくのエロ漫画みたいなのだ。
・キャオは脱走した所を本物のスパイの眼鏡の男と合流して、「ステラ・コバンを暗殺したら金と正規軍の軍籍をやる」と正規軍のチャイ・チャーに言われ、誘惑されるのだ。
・なんだかんだで反乱軍の基地に戻ったキャオはステラを暗殺しようとする。その前にダバに「俺と一緒に正規軍に入らないか」と持ちかけるが、ダバは「俺はポセイダルに会ってしまったから、わざわざ近づくために正規軍に入るつもりはない」みたいに言われる。キャオはダバが大好き。
・キャオと会話したせいで、ダバまでステラに銃殺刑にされそうになる。ステラ・コバンは反乱軍のリーダーな割に部下に対して恐怖政治するよね。だから好きになれないのだ。
・またネイ・モーハンが着替えをしている時に連絡に来て覗きをしてしまうギャブレーの繰り返しギャグ。
・スパイの破壊工作と連動してチャイ・チャーの正規軍がリトル・セイ基地に大規模攻撃を行う。戦闘のどさくさでアムのエルガイムに救われて牢獄から出るダバとキャオ。
・キャオはステラを殺害しようとするが、ダバに説得される。「誰が何と言おうと、俺にはキャオが必要なんだ!」と熱い男の友情。それを受けて、キャオはステラに拳銃を渡して謝罪に変える。
・しかし、流れ弾の爆風でステラ・コバンは重傷を負う。
・チャイ・チャーがB級ヘビーメタルの青い専用バルブドで、ネイ・モーハンのオージェとギャブレーのグライアが迫る。量産型エルガイムのディザートも白いものなどが奮戦する。チャイ・チャー専用バルブドの胸の装甲はちょっとターンエックスに似ている。
・バルブドはダバのエルガイムに敗れ、チャイは死ぬ。彼の死はネイが仕組んだ面がある。ネイ・モーハンはチャイの死を見るとレッシィのアローンにランサーを投げつけて去る。それを見てネイの意図に気づくギャブレーはともに撤退して、反乱軍を殲滅することはしない。

  • 第16話 ブロークン・ハート

・量産型ディザートの組み立てが進むが、指揮官のステラ・コバンが重傷になったため反乱軍は逃げるものも相次ぐ。(副官には恵まれなかったのか?組織が薄すぎる…)
・組織がバラバラになりかけたため、焦ったステラは金の力で残った反乱軍兵士を炊きつけて乾坤一擲に打って出る。
・が、ギャブレーのランドブースター付きの飛行ヘビーメタルの3機程の小隊に撃退される。
・ギャブレーはこれを機に反乱軍を掃討するべきだとネイ・モーハンに進言するが、ビンタをされてしまう。富野アニメらしいビンタ。しかし、結局ギャブレーはネイに責任を押し付けられる形で総力戦に打って出る。ヒート鞭で自分の髪を焼いてしまうネイのギャグシーンが必要なのかわからない。
士気が下がった反乱軍の基地ではレッシィが元ポセイダル軍ということで揉め事が起こるが、ダバが「レッシィや僕が居なくなっても自分で戦えるように、みんなは主体性を持って戦おうよ」と演説をすることで結束が深まり、残った前線力で総力戦となる。
・反乱軍と正規軍のミズン星での勢力図がいまいち分からないので、総力戦と言ってもあまり迫力が無い。有力ヘッドライナーもエルガイムのダバ、赤いディザートのレッシィ、正規軍ではギャブレーとオージェのネイくらいしかいないので、あまり盛り上がっていない。また、正規軍と反乱軍以外の人間も描かれないので、どういうレベルの戦争なのかあまりはっきりしない。ここら辺は、機動戦士ガンダムはサイド7の難民やアムロの母やミハル・ラトキエなどを描くことで上手くスケール感を付けていた印象。
・また、ムーバブルフレームとかでリアルロボットのデザインを推し進めた永野護氏のデザインラインには若い才能があるのだが、逆に反乱軍も正規軍も同じようなアローンや同じような飛行メカのランドブースタースピリッツを使っているために、いまいち敵味方が判別できなくてガンダムのジムとザクの対決みたいな分かりやすさが無い。それがリアルと言えばそうなんだけど、いまいち迫力が出ない。
・ギャブレーはダバに対する囮にさせられ、エルガイムと戦っている間に、ネイのオージェがリトル・セイの基地の中で虐殺をする。しかし、反乱軍の兵士たちのキャラ付けが薄いため、あまり悲しくもないし戦力が減少したという切迫感もない。(結局、ダバはリトル・セイの反乱軍が解体した後もあっさり自分だけで戦おうとするし)
・オージェが虐殺をしている所に、エルガイムが駆けつけ、オージェと交戦に成る。レッシィのディザートがオージェを押さえて、ダバはギャブレーのグライアと交戦する。
・ダバのピンチに、重傷のステラ・コバンが小型メカのフロッサーで出撃して、後ろからギャブレーのグライアを撃ち、ダバが勝利するが、ステラはグライアに殴られて死亡。
・しかし、悲壮感と緊迫感のあるべき自殺攻撃な割に、オージェとグライアのアニメーションに動画の中割が無く、無駄に2コマでパタパタ動くので、軽い印象がある。中割が入れられないとしても止め絵をスライドさせるとかブレさせるだけの方がよかった気がするが、無駄に変なポーズをするのでギャグっぽく見えて良くない。湖川友謙さんも山田きさらかの変名で原画に参加しているが…。
・ステラ・コバンの埋葬でレッシィが「ステラさんは騎士道のノブレス・オブリージュに憧れていたんでしょうね」と富野作品らしい精神を語るが、埋葬シーンにダバ、キャオ、レッシィ、アムしかいないので反乱軍の指導者の死にしては悲しくもないし、盛り上がりにも欠ける。ガンダムのテレビ版のリュウ・ホセイが死んだ時は号泣祭りだったのだが。
・似たような反乱軍の指導者としては、ザブングルのカタカム・ズシムがあるが、カタカムの葬式は落語の粗忽長屋みたいな感じのギャグがあったり、それなりにカタカムを慕う兵士の涙もあったりしたのだが、ステラ・コバンの葬式はサラッと流れてしまう。
・予告でバッシュが登場するので、印象もそちらに流れてしまう。

  • 第17話 ライム・ライト

・反乱軍は散り散りになり、正規軍に相当されるので、みんな逃げる。ダバとキャオもロケットに乗ってミズン星を後にする。
・レッシィはなんだかんだ言ってダバの船に乗り込んでいるが、アムは別に逃げろと言われてエアバイクのフロッサーで逃げる。ダバとキスをして感動的に分かれるのだが、アムが危険な戦場に一人で取り残されるのは理由がいまいち分からない。ダバと一緒にいた方が安全では?ダバは「他人の人生を決められないから」と言うが…。
・ギャブレーがスレンダースカラという名前の女性スタッフが多い宇宙戦艦を貰い、ギワザ・ロワウからゲリラ掃討をするように命令を受ける。
・名前だけはたくさん登場していたギワザの顔と声が出るのはこれが初めてであるが、チャイ・チャーの顔の色を変えただけって感じで、あまり十三人衆の筆頭としての凄さは感じない。永野護のオッサンキャラのデザインの引き出しの少なさを感じる。パンクロッカーのように髪の毛を逆立てたキャラクターは割とバリエーションがあるようだが。
・ちなみに、永野護ファイブスター物語デザインズなどで印刷の色にもこだわることで有名。なので、エルガイムでのキャラクターデザインと言うのは顔のデザインと言うよりもファッションセンスが買われたものだと思う。そうしてみると、レッシィの赤毛に紺色の服とか、アムが黒髪にターバンと黄色〜鶯色グリーンの服にオレンジをアクセントにして、ダバは褐色の肌に水色の服で橙色のスカーフをアクセント。というわけで、色彩センスがなかなかいいと思う。(まあ、私もあんまりファッションに詳しくないし、モテないオタクなので偉そうなことは言えないのだが)ムーバルフレームのリアルロボットデザインが注目されがちなエルガイム永野護なのだが、色彩のファッションセンスがいいと思う。元々はミュージシャンを目指していたシティーボーイの永野護さんです。しかし・・・なんでZガンダムの湖畔の私服は糞ダサデザインになったんだろうな。オシャレデザインと、おしゃれを意識しすぎてクソダサになるのは紙一重ですね。ガンダムSEEDの謎ベルトとかな!
・とか言っている間に、ダバのエルガイムはアステロイドベルトでギャブレーのバッシュと戦闘に成る。
・ギャブレーが戦艦と一緒にもらったバッシュはA級ヘビーメタルで強そうなんだが、関節からオイルが漏れたりしていて整備が行き届いていない様子。
・というわけで、エルガイムは格闘戦でバッシュを殴りつけて振り切ってアステロイドベルトの中に隠れることに成功する。
・HM戦と並行して艦隊戦もあったが、アムがいなくて困るってキャオが言う。レッシィがアムに嫉妬して降ろしたというんだが。キャオはアムが居なくて困ることは事前に分かりそうなものなのだから降ろしたということのシナリオ面での説得力が弱い。
・まあ、レッシィが女としてダバにアピールするためにアムにいじわるをする、って言う展開を入れたかったんだろうけど。そう言う風に女からみでダバとキャオが行動を曲げられるので、男の行動力が弱く思えるし、主人公のダバが弱く見える。
・レッシィが「女をやりたいんだよ!」と言うロマンスを入れたかったんだろうけど…。富野監督は女戦士を頻繁に描くんだけど。女が戦士と個人の間で揺れ動くのは富野作品でよくある展開である。前年のダンバインでも翌年のZガンダムでも女戦士が強調して描かれた。
・そう言うわけで、戦闘している間にサート・スターというアステロイドの中の宇宙基地のテリトリーに迷い込んだダバたち。そこでは、フル・フラットという土井美加声の女戦士がいる。すごい水色の前髪のボリュームである。本当に永野護デザインのキャラはヘビメタの人みたいですね。

舞台が変わるが、感情の盛り上がりも平坦で地味な印象がぬぐえないまま
つづく