玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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劇場版アイカツ!大スター宮いちごまつり!が拓いた輝きの地平線

ひと言で言えば、尊かった。
うん。尊い。みんな尊いって言っている。だが、「“尊い”以外の感想を読みたい」ってTwitterで言われたので、論壇アニメオタクっぽいおじさんらしい感想を書いてみようと思う。
先行の感想はこちら
『劇場版アイカツ!』(大スター宮いちごまつり)とは何か? 見所解説とか感想とか - karimikarimi
2014年12月のブログ|るんどどど
粗筋などは、みんな当然見ていて知っていると思うので割愛する。




まず、根本的なキャラクターデザインの話からするが、この星宮いちごと言う女の子を見て、皆さん、どういう印象を持つでしょうか?


この子が主人公だとわかるのではないでしょうか。
なぜならば!
左右対称で豊かな金髪の美少女だからです!(断言)
このキャラクターデザインは非常に強固で、非常に同じようなキャラクターは多いのです!

では、その中でも星宮いちごは何故強固なキャラクターだと言えるのかと言うと、幼女先輩にも分かりやすいはっきりとした少女の象徴だからなのです!
アイカツ!のキャラクターデザイン論を書くと、映画の感想から離れるので、また後日書くことにしますが、とりあえず星宮いちごというアイドルは子どもにも分かりやすい左右対称で金髪でリーダーのレッドやピンクの色の衣服が似合うわけで、ど真ん中ヒロインで安定感のあるデザインだと言えます。なのでなので、アイカツ!2年間の101話で星宮いちごは太ったり伐採したり色んな試練を乗り越えたり成長したり仲間との絆を育んだり別れたり再会したりしますが、中央で勝ち続けるだろうなーという安定感は常にどこかにあって割と安心感を持って見ることができました。
ぶっちゃけると、ディズニーのふしぎの国のアリスが源流です。

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青い目で青い服のアリスに対して、服と目を赤くしたのがいちごです。(不思議の国のアリスの色変わりの話は1期の神谷しおんの話、43話「不思議の国のアイドル」であったので意識的だと思われる。)
こういうキャラクターデザインはデザイン強度がありすぎて浮いてしまったり逆に陳腐や無個性になったりする可能性がある。だからこの星宮いちごを主人公にデータカードダスアイカツ!とアニメのプロジェクトを進める決定はかなり覚悟が必要だったと思う。

アイカツ!のキャラクターデザインを一言で言うと、左右対称で金髪でスター性のある星宮いちごが左右対称で高貴な紫がテーマカラーで髪の毛も盛っている大スター神崎美月を目指す中で、髪の分け目の左右や色の濃淡でキャラクターのバランスを取る仲間と出会うというもの。(ここら辺が何故かというのは、アイカツ!のマイキャラのアバター理論でもある)

スター性のあるいちご色だから星宮いちご、キリッとした青いから霧矢あおい、お姉さんっぽさ(高貴さ)があるから紫吹蘭とか、クッソ分かりやすい記号的なキャラクターです。スーパー戦隊レベル(対象年齢も)。こんなに分かりやすすぎていいのかよ?と言うくらい安定感とバランス感覚があるデザイン。それだけ、バンダイにとって「外せないプロジェクト」だったのだと思えます。(逆に売れなかったら半年で打ち切られる可能性もあった)
(左右対称の髪型のバランスとかキャラクターのキーカラーのバランスという点ではTHE IDOLM@STER(やセーラームーン)もあるんですが、アイカツ!アイマスよりもさらにビビッドに分かりやすくしている)
そんなデータカードダスアイカツ!は基本がプリキュアデータカードダスだったけど、既存キャラクター商材ではなくゼロから(実際には夏色キセキから)のスタートの事業だったのですが、見事大ヒットした!



そして、いちごは2期の後半で大スター女神になりました。(左右対称の女の子が女神に成るのは魔法少女まどか☆マギカに似てますね)
おめでとうおめでとう。
それを受けての祝!劇場版!単独ライブ!
ということで約束された勝利の劇場版であり、アニメの本編も主人公が星宮いちごからさらに親しみやすい(地味目の)デザインの大空あかりに交代しつつあり、ぶっちゃけると私には大スター宮いちごまつり!の内容に関しては大して期待してない部分もあった。ファンサービスのライブショーとして及第点であればオケオケオッケーで、あるとしても星宮いちごから大空あかりへの世代交代劇と美月さんのめんどくさい所が描かれるかな?と言う程度の期待値であった。
ていうか、アイドルのライブなので「楽しければそれでいいじゃん!」って、思うじゃん?
「ライブを見てみんなが元気になってお腹がいっぱいになって、見てくださった方がすてきな明日を迎えられるような、そんなステージにしたいです」って思うじゃん。ていうか、芸能ってそれでいいと思うじゃん。
でも、スター宮は途中で「それだけじゃものたりないな」って直感的に感じるわけです。スター宮はスターだし、アイドルの匂いとか食欲とかで天才的な直感と貪欲さで進んできた子なので。それが中盤で劇中歌の歌詞をリテイクする展開とリンクするのですが。
それが、「ライブショー」から「劇場版映画」に変化した重要ポイントだと、私は思うわけですよ。それがあるからこそ、楽しいんだけど楽しいだけではなく尊い映画作品に成りえたと思うんですね。
ライブを見に行ったと思ったら映画だった、と言うのがこの作品の尊さだと思う。

ハリウッド脚本術とかベストセラーを書く方法とかで有名なんですが、揺るがないパワーを持った主人公が揺るぎかける試練とか困難とかトラブルに見舞われることが映画のストーリーのある種の王道です。
なので、劇場版アイカツ! 大スター宮いちごまつり!でも星宮いちごは色んなトラブルに見舞われる。
ここで重要なのは、どれくらいのトラブルに見舞われるかではなく、トラブルを通じてテーマを描き出すことです。なので、テーマからかけ離れた唐突なトラブル(例えば交通事故とか暴れカンガルーとか)に襲われると下らない茶番になってしまいます。(もちろん、暴れカンガルーがテーマに合致するタイプの作品もあるので一概に暴れカンガルーを禁止すべきとも言えないのですが)
じゃあ、アイカツ!の映画での適したトラブルと言うのは何かって言うと、まさに「アイカツ!に欠けていたものを提示していく」なんですね。
ドーナッツの穴がスタードーナッツをドーナッツ足らしめているように、欠落こそが個性なわけです。何が足りてないのかを常に自問自答自省して行く態度が自分を自分足らしめるわけです。
また、アイカツ!の最初の星宮いちごとかマイキャラの初期アバターは左右対称で安定感があるが、面白みがない。なので、色んなカードを入手してコーデのバリエーションを広げて、色んな仲間と出会ってますますアツくしていくのがアイカツ!なのですが。
今回の劇場版では映画ならでは、ということでゲームやアニメのアイカツ!では微妙に取りこぼしてきたものを盛り込んでいる。
(逆に、スターライズスタジアムを押さえるとか大道具とか経理とか、テーマとはちょっとずれるところは割と大胆に端折って学園長や仲間たちが用意してくれている)


■まず、歌。

劇場版 アイカツ!ボーカル集 輝きのエチュード

劇場版 アイカツ!ボーカル集 輝きのエチュード

芸能人はカードが命!というわけでアイカツ!はカードを販売するアニメなのです!
だから、アイドルアニメなのに歌の面が雑だった。どれくらい雑だったかと言うと、歌の心得をゲットする 第9話「Move on now!」は歌じゃなくていちごが崖を登って縁ジェリーシュガーのプレミアムレアドレスをゲットする話だったということ。トレーニングで発声練習をしてても崖は歌とは関係ないよね????
しかも「Move on now!」って元は美月さんの歌なわけで。
ていうか、アイカツ!はゲームも色んなキャラが掛け持ちで歌を歌うので持ちコーデに比べると持ち歌と言う概念が割と薄い。ふんわりとfrom STAR☆ANISがついてるなーと言う程度で。
もちろん、ユリカ様の「硝子ドール」とか北大路さくらの「同じ地球のしあわせに」とかの持ち歌色の強い曲もあるが。基本的にいちごは王道アイドルの安定感があり過ぎて個性的な持ち歌が若干苦手だったのかもしれない。「アイドル活動!」とか「カレンダーガール」とか、アイカツ全体や女の子らしい女の子を象徴するような曲がいちごの持ち歌といえるのかな。
そんないちごが「“Move on now!”みたいに、私もイベントのための新曲が欲しい」って言いだすのは王道展開であると同時に今までのアイカツ!とはちょっと違った面を打ち出してきているな?と思えた。
また、第9話「Move on now!」で自分の歌を後輩に歌われた美月さんがいちごたちに「あの瞬間、あなたたちの歌になってた」って言って歌の心得を授けたのだが、それが今回のいちごの「新曲が欲しい」につながると考えるのはうがちすぎだろうか?


■恋愛1
じゃあ、どんな歌を作ろうかな?って考えるわけですが、作曲を依頼した花音さんは自分の恋愛の歌をモチーフにするのが得意の流しのインディーズシンガーソングライターという、かなり大人っぽい人。大人の恋愛と言うのもアイカツ!がスルーしてきたポイントだ。
しかも、元はいちごたちは「自分のことを一番よく知っている音楽家」ということでインディーズロックバンドのモアザントゥルーのボーカルをしながら普段はスターライト学園で清掃業をしている涼川直人氏に作詞作曲を依頼するわけですが、彼は断る。男女の恋愛を映画版で描くのかな?描いちゃうのかな?と思わせておいてスルーする。でも、涼川氏は「知り合いの花音なら合うと思うし、花音のためにもなる」と、意味深な発言をして紹介する。
ど、どういう関係なんだ?
ただ、涼川氏の恋愛関係はその後は特に掘り下げられず曖昧にとどめられている。ここら辺の恋愛を曖昧にしちゃうところが「アイドル」って感じのバランスです。また、テーマの本論とは逸れる曖昧な感情を曖昧なまま余韻を含ますのは「劇場版」っぽい。テレビアニメのアイカツ!はデザインレベルから分かりやすさが優先しているんですが、ここで涼川が微妙な態度を取ったり自分の恋愛の歌を歌う大人の女性が絡む所で、いつもとちょっと違う劇場版ならではの豪華な感じがしますね。(いや、マスカレード関連とかで大人の微妙な感情がテレビになかったわけではないけどさあ、割と微妙な感情は過去話に多い感じ?)


アイカツシステムなしのライブ
で、花音さんにいちごたちは突撃するんですが。路上ライブで初対面の花音さんの失恋ソング『グッバイ・ティアーズ』を聞いていちごは作詞作曲をさっそくオファー。お前失恋のことは分かってないだろ、って思うんですが。まあ、いちごは直感に優れているんで言葉ではわかってなくても芸能人のオーラ的な感じで良さが分かったんだろう。
いつもはプレミアムドレスのトップデザイナーにアピールするのだが、今回は曲をゲットするために歌手の花音さんに対していちごたちがアピールする。なので、アイカツシステム無しで歌とダンスだけでアピールするわけです。アイカツシステムなしでどれだけ通用するのか?という疑問に対して力強いアンサーである。
また、スターライト学園のジョニー別府先生はレジェンドアイドルマスカレードの振り付け師でもあり、芸能界歴が長いダンサーでもあるんですが、シンガーソングライターの花音さんのことは知らない。また、花音さんもいちごの事を知らないで、辛うじてトップアイドルの神崎美月の事は知っている。ここら辺のインディーズソング界とアイドル業界との微妙なジャンルの違い、認知の違いがある。
「アイドルって知名度でバーターされてるだけじゃね?アイドルが好きな人だけがファンなんじゃないの?本当の歌の実力はどんなもんだよ?」というアイカツ!の根幹にかかわる問題に対してもアンサーしていく。
「芸能人の命であるアイカツカードが無くても、歌とダンスで通行人やインディーズシンガーの心も射止めるよ!」と。
「芸能人はカードが命!」っていうアイカツ!の根幹に関わる部分を曲げてパフォーマンスをするのがすごい。
まあ、もちろん、星宮いちごたちアイドルはアイカツシステムライブ以外でのパフォーマンスもすごいですが。斧とか。

腹筋、走り込み、クライミング、体作り。




日常的に床は削る。


そんな超人的なアイドルたちの体力に対して、シンガーソングライターの花音さんは「あんなに踊りながら歌えるんだ!息も切れてないし!」と、アイカツ脳筋なコメントで感激していちごたちのオファーを受けることに。芸能人はカードが命だけどカードが無くても筋肉があります!!!体力の凄さとか女の子に言う言葉じゃないけど、実際アイドル声優さんの腹筋とかすごいからな!
アイカツシステム無しのライブでありながら、アイカツ!らしい脳筋ぶりを両立させている。
また、そのすごさの説得力をアニメ映画を見る視聴者に対しても「3DCGでスターライト学園の制服を着ているアイドルが、2Dの背景にマッチして踊る」というアニメ表現の見せ場として表現している。3Dのすごさとか2D手描き作画との対比をただ単に見せるだけでなく、「違う分野の芸能人もリスペクトし合う」というメタ視点での説得力を劇進行に盛り込んでいくという構成が素晴らしい。私はガンダムの富野監督アニメが好きなので、こういう複数の意味合いを持たせたアニメ演出は好きです。味わい深い。
こういう豪華さも劇場版ならではと言えるでしょう。


■恋愛2
で、夜の喫茶店に移動してソレイユの三人は花音さんを交えていちごパフェ特盛をまた食べながら、曲のイメージを伝えるし「自分のことを知ってください」と言う。花音さんは自分の恋愛を歌にするのが得意な女性なので、そう言う女性と会食するのは、お見合いっぽいとも言える。(男性で運転手であるジョニー別府先生はちょっと離れた席で飲み物を3杯飲んでいて、背中で見守っているというのもお見合いっぽさがする)

<3番目の食事:花音との打ち合わせ>

ここがポイント。ソレイユ3人がいちごパフェを頼んだ後に、花音もいちごパフェを注文し、一緒に食事をする。路上ライブ後のソレイユ3人のパフォーマンスに感銘を受けるというのが、花音の動機ではあるが、このシーンにより、明示的にいちご達の仲間になったことを示している。また、ここで、最初の食事と同様に、いちごパフェであることが、この花音が、あおいと蘭と同様に、いちごの為の存在の一部であることの示唆となっている。

また、画面前部で時折うつるジョニー先生が、コーヒー→オレンジジュース→コーヒー、と三杯飲み物を変えていることで、この打ち合わせがそれなりの時間の長さ、少なくとも待機している人が飲み物を3杯頼む程度の時間行われているということがわかる。


余談だが、ここで一人いちごパフェを食べるペースの速いいちごや、上部を崩してしまい焦るあおいは、特に作中で焦点はあたらないが、なにげに凄くかわいい。


http://d.hatena.ne.jp/karimikarimi/20141213/1418475585

karimikarimiさんが「余談だが」っておっしゃっているが、百合お見合いとして考えると、あおいがパフェの上のアイスを落としそうになったのは、いちごが大好きなあおいが大人の女性にいちごを取られそうに感じてちょっと慌てた気持ちの表現とも見えるんですねー。
この「自分でも気づいてないけど反応しちゃう感情」ってのは女の子らしい(少女漫画っぽい)し、アイカツ!の映画のテーマにもなっている。
一応、あおいはいちごまつりのプロデューサーとして花音さんに表立って敵対したりということは無く、その後はちゃんといちごを見守るんですが。でも、ここであおいが微妙に取り乱すところで、いちあおカップリングを微妙に匂わせていて味わい深い。出端ではいちごに間接キスであおいと蘭がパフェを食べさせていたのと、対比する演出になってます。ていうか間接キッスが常態なんだ・・・。で、花音さんとの打ち合わせでいちごがアホみたいにパフェを早く食べるのも、いちごの花音さんに対して(というかライブに対して)ぐいぐい前向きだという気持ちを表している。いちごのやる気のバロメーターは大体いつも食欲と筋肉で表現されているわけです。
欄は衣装担当なので、普通に食べてる。花音さんはアイドルじゃないけど、特盛イチゴパフェは完食できたのだろうか?いや、いちごなら2杯は余裕だな。のり弁も朝から2個食べる。


で、お見合いをこなした後に寮に帰っていちごとあおいは同じ部屋で寝る。あおいは疲れからか、熟睡。しかし、いちごは本能的に何かが引っかかって眠れない。なにかって言うと、美月さんなわけですが。
そこに、美月さんからのメールが!
いちご大好きのあおいをベッドに寝かしたまま、美月さん大好きいちごは夜のスターライズスタジアム(徒歩?)で美月さんと密会するんです。うわぁロマンチックエロい。
ここは濡れ場なんですよ!!いちごがあおいをほっぽってるシーンは数秒なので見逃しがちなんですが、恋愛っぽさを匂わせている。アイドル色を好む!!!
それで、いちごは嬉しそうに「ライブするんですー見に来てほしいですー」って言うと、美月さんは「私はずっといちごを待っていたのかもしれない…。いちごがイベントを成功させると私を抜いてトップアイドルに成るわ…。」
「トップアイドルを譲るわけじゃない。あなたに奪われたいの。いちごの時代を作りなさい。」と!

美月さん(高校3年生ながらビジネス番組のキャスターを務める!)は割と最初からトップアイドルに君臨していることに疲れていて辞めたがっていた面があるんだが。ついにここでいちごに言うわけです。美月さんの引退願望は割といつものことでもあるんですが、「いちごがあおいをほっぽってメールで呼ばれて喜び勇んで美月さんに会いに行ったら突き放された」って言うわけで恋愛のメタファーであるんですよ!
アイドルは恋愛が割とタブーだし、涼川さんの態度を見ると「アイドルのいちごには恋はまだ早い」(アイドルを引退した後に星宮太一のような人と巡り合うのはアリ)という微妙なさじ加減を調整されてるのがアイカツ!ですが。劇場版はラブストーリーにも構成を似せることで、いつものテレビとはちょっと違う味付けの豪華さを加味している。と、同時に恋愛行動とリンクさせることで美月さんへの感情を視聴者も(幼女先輩に連れられてきたお父さんなどのアイカツ!初見の観客にも)分かりやすくなるように調整している。映画って感じです。
やっぱりアイカツ!は百合アニメだし。(まっP)
この、三角関係の一方通行で健気なあおい…。幼馴染青キャラは不憫の法則…。
で、いちごは美月さんへの気持ちを抑えきれずに、美月さんに引退の話を聞かされたと大親友のあおいと蘭にだけ伝えるというのが、また恋愛映画っぽい。

<4番目の食事:ソレイユ3人のお茶会>

美月のアイドル引退の情報をソレイユで分かち合うシーン。ここでは、いちご=オレンジジュース、あおい=アイスコーヒー(? ウーロン茶?)、蘭=コーヒーと皆がバラバラの飲料を飲んでいる。これは、それぞれが違う個性として、この事実に相対していることを意味している。つまり、憧れとして美月を思ういちご、アイドルオタクとして美月を思うあおい、トライスターとかいろいろあって美月を思う蘭、という具合である。三人が同じいちごパフェだったことと対照的に、ここでは三人が違うものを飲み、安定に対する不安定を示している。(あと、確かここだけ、やたら背景が寒色系だった記憶)
<4番目の食事:ソレイユ3人のお茶会>

http://d.hatena.ne.jp/karimikarimi/20141213/1418475585

あおい的には口に出さないけど「私以外の女の話をさあ…」と言う気持ちがあるのかもしれん。しかもわざわざあおいの主演ドラマのイケナイ警視総監の収録中に飛び込みで言いに来るし。
真っ先に相談してくれるのはうれしいけど、それが他の女の子の話だけど、でも1話で美月さんのライブにいちごを誘ったのはあおいだし…。うーん。

その次にみんなで分担を決めるアイドル企画会議は楽しいシーンなのだが、他のアイドルに美月さんの引退の話をしないっていう、いちごにしては微妙な友情の線の引き方も劇場版らしい繊細さだ。いちごは基本的にあんまり悩まないし考えなくても直感で正直に口に出す子なんだが。そんないちごが言ったり言わなかったりするというのが美月さんの引退が今回はガチで大変っぽいという演出的重み付けにもなっている。


■歌と恋愛3
そんなこんなをしているとスターライト学園に歌を作った花音さんがギターを持って来校。
花音さんはいちごの「よりよい明日を目指して」という意見で歌詞を作って生ギターで歌う。この歌は前述の路上ライブと同じく、アイカツ!の歌の作詞を多く手掛けていたこだまさおりさんの生歌。輝きのエチュード-prototype-としてパンフレットにも歌詞が載っている。
良い歌なのだが、「明日で会おうね 微笑んで目覚めるの」というラストフレーズに逆行するように太陽を雲が隠す背景演出。
で、いちごは微妙に歌に納得がいっていない感じ。何が足りないんだ?
そこで、いちごは「ファンの皆にも元気になってほしいけど…、まだ伝えたい人が…」と。
「私はいつも目の前の一人に伝わればいいと思って歌ってるの
ぼんやりとみんなに伝えようと思うより、1人の人に絶対伝えたいと思って歌った方が結果的にみんなに伝わるものよ。想いの強さでね!
それに私、伝えるの得意なんだ。そういう恋みたいな気持ち!」
って花音さんが言う。それを聞いて、いちごは「は?!」と言う顔をして、その後ろであかりがいちごを見つめて「そうか!」と言う顔をする。
どうもいちごは自分の美月さんへの気持ちが恋心に似ているとは分かっていない鈍感主人公なのだが、あかりは「私は星宮先輩が神崎先輩を思う気持ちが分かる…。だって私が星宮先輩を思う気持ちも同じだから…」みたいなことを言う。ほとんど天才的な直感で生きているいちごより、後輩のあかりの方がいろいろ気を回している。
美月←いちご←あおい も穏やかじゃないが、美月←いちご←あかりも穏やかじゃない。
そんな恋みたいな気持ちで歌詞を描き直すことに。歌にリテイクを出すのも劇場版ならではで、今までのアイカツ!にはなかったような「揺らぎ」だ。アイドルが大人のデザイナーにインスピレーションを与えることはあったけど、リテイクって珍しいな。今まで有ったっけ?大人に意見するって言うのもいちごの成長にも見えるし、美月さんへの気持ちの揺らぎが大きいとも見える。


■イベントのトラブル
ここで、エジェリーシュガーのトップデザイナーの天羽あすかさんが当日になってもドレスの花の刺繍の手作業が出来てないというクソ進行のハプニングが!!!おい!トップデザイナー!おい!
ただ、今まではトップデザイナーのプレミアムドレスを着ることがアイドルの誇りだったのだが、今回はいちごに着てもらうことがデザイナーの誇りと言う風に逆転しているので、その重みを表現するためかと。アムロガンダムの反応性を超えた感じですね!サンライズのアニメだしな。
イベントが始まってもドレスが無いとか、芸能人はカードが命なのに最悪すぎる…。大スターの星宮を映画の運命が揺らそうとしているのだ。
ですが、星宮いちご、歌います!「アイドル活動!(ver.rock)」でステージを始める。ショーマストゴーオン!続いてソレイユの3人で「ダイヤモンドハッピー
「チャンスチャンスうぉーうぉーうぉーピンチだって負けない!!!」
ソレイユの3人の「ダイヤモンドハッピー」は正直、映画館で長く聞きたかった感じはある。
ですが、これは同時にエンジェリーマウンテンの頂上にある天羽デザイナーの事務所までドレスを取りに行くユリカ、かえで、さくらの冒険のBGMにもなっていて「つまずいた瞬間、悔しさ噛みしめて、笑顔見せる!泣きながら」がユリカ様にシンクロしている。
また、上映時間が同じようなアイドルアニメの劇場版THE IDOLM@STERの半分くらいの79分の尺でライブシーンがフルじゃなくて歌が途中で終って次の曲に行くという忙しさも、「準備ができてなくて焦っててもアイドルは客にはそれを見せないのだ!」という「ダイヤモンドハッピー」ぽさを出している。
劇場版THE IDOLM@STER 輝きの向こう側へ!もアイマス最高で尊いアニメだったので、今年はそれを超えるアニメは難しいんじゃないかと思っていたのだが。劇場版アイマスはトラブルはありつつもライブ前には解決した。対してアイカツ!はライブ中も出来てないという新たなトラブルで差異化してきた。
これは同じバンダイのアイドルアニメでも、劇場版THE IDOLM@STERA-1 pictures製作で140分くらいまで伸ばして長い間を使って天海春香の揺れる心情を描いたが、サンライズアイカツ!は79分で短く作ることで逆に切迫感を表現していて対照的。
サンライズバンダイの「客が入るんだから映画は短く作って劇場の回転率を上げろ!テレビシリーズと同じ絵を使いまわして予算を縮小せよ!」というのは劇場版Zガンダムみたいで、「あー、サンライズバンダイアニメだー」って感じもあり。
そういうメタな裏事情もあるんだけど、女児アニメなので子どもの集中力が持続する時間内に短く作るべきと言うのもわかるし、それを「一度始まったライブの疾走感」「トラブルが追いかけてくる!」という感情につなげるのはグッド。(ポケモン的に10分くらいのオマケ映画があったらなお子供向けアニメになって良かったが)
とにかく揺らがない星宮いちごという大スターをいかに揺らすかって言うのが映画の劇構成なんです。
でもいちごは大スターなので「ハッピークレッシェンド」、ツウィングスの「フレンド」と楽しそうにステージパフォーマンスをする。
座長は幕が上がったら焦らない!慌てない!この芸能人らしい気迫はいちごのオーラを感じた。
ウィングスの『フレンド』にかぶせてかえでに抱かれてユリカがスカイダイビングするのも百合演出。短い尺にいろんな感情を複合させるの、良い。

■茶番劇
で、アイドルのライブの箸休めとして生ドラマが始まる。
かっこいい3DCGの歌は中断しておいて、生ドラマを引き延ばしてドレスが到着するのを待つとか、かなりふざけているんだが。この「おい、ふざけんな!なにやってんだ?」と言う感じもイベントが進行している最中にも感情を揺らしてくれる演出だと思えるとグッド。
生ドラマはいちごの大事なマイクが紫吹蘭と風沢そらペアの怪盗スワロウテイルに盗まれたので、イケナイ刑事の神谷しおん巡査と警察犬とあおい警視総監とチョコポップ探偵が捜査するという、すごい茶番。
でも、この茶番感が良いんだよ。
2006年1月21日のアイドルマスターシークレットイベント@赤羽会館の「舞台劇〜伊織を探せ!」を思い出させる。8年前!!!のアイマスイベントでは何かの事情で釘宮理恵さんが登場できなかったのだが、それをネタにして寸劇を入れたのですが。
これってアイドルあるあるだよね!
そんなアイドルライブによくある寸劇の茶番は客からすると歌の合間の休憩のギャグなんだけど、そこを本気で時間稼ぎをするためにあおいたちが登ったり落ちたりするのがアイカツ!らしい。茶番と言えど、芸能人は本気でやる!って言うのを強調するためにピンチを持ってきたようだ。
元レジェンドアイドルの学園長と星宮りんご母も「こんなハラハラするイベントは経験したことないわ!」と。
また、この茶番劇を本気でやることで、終盤にいちごがあかりにマイクをバトンのように手渡すことに重みを付けている。単なるイベント中の小道具やいちごの使った記念品ではなく、みんなでつないだ記憶のバトンになっているので、尊い。
また、「おしゃもじをマイクに持ち替えた割にアイカツシステムではマイクをあんまり使わないよね」っていうアイカツ!の穴をついて「いつもと違う感じ」を演出している感じがする。
そういえば、開幕の「アイドル活動!ロックバージョン」でいちごがスタンドマイクを「ガシッ!」って取る所がめっちゃカッコよかったですね。音城セイラちゃんが2期の開幕でマイクパフォーマンスをしたのは結構衝撃的でしたね。


アイマスのプロデューサーとの違い
ここで、学園長がドレスの受け取りと言う重大事項に対して何にも動いていないのもアイカツ!らしさであり、ピンチ。

劇場版THE IDOLM@STERはアイドル集団の中でリーダーの天海春香さんがプロデューサーからセルフプロデュースとチームマネジメントを託されることで発生するピンチで、春香を揺らす話だった。春香が後輩アイドルに対してプロデューサーとして接することができるのか?と言うのがゲームシステムとリンクした問題提起だった。
対して、アイカツ!は普段から学生アイドルがセルフプロデュースする話だ。だから、大スター宮いちごまつり!で学園長はスターライズスタジアムを押さえただけで経理までいちごの仲間たちに一任させていたようだ。ここら辺はゲームのシステムの違いが見える。
なので、いちごを座長として盛り立てながらも、あおい以下のアイドルたちはそれぞれの部門のプロデューサーとして奮闘する。
劇場版アイドルマスター天海春香は後輩と対話して「どうしたいか」を聞いて導いた。これはこれで尊い。春香が後輩と上手く話せなくて学級会っぽくなっちゃうのも「アイドルだけど春香はまだ高校生」と言う感じだったし若さが感じられた。
アイカツ!は「高校生だけどトップアイドルなんだ!セルフプロデュースが当たり前」という世界観なので、正反対と言えば正反対だ。
で、春香は間を置いた長い尺の映画でもどかしい対話で劇を盛り上げたけど、いちごは短い尺の映画で対話せず、ただただ仲間たちがプロデューサーとして自分を後押ししてくれるということを信じた。
生ドラマの時のいちごはあおい警視総監やスワロウテイルが冒険しているけど、それをただただ信じて見上げるだけのお姫様っぽい感じだった。
「信じる」=「尊い」とは、キリスト教や浄土真宗で強調される普遍的な感情です。
ただ、天海春香矢吹可奈に「アイドルを本当にあきらめるの?」と聞いたけど「可奈は本当は辞めたくはないのだ。アイドルは尊いのだ」ということは信じていたわけで。
尊い・・・。
いちごとあおいは美月さんの引退を打ち明けるのどうのこうのでちょっと心理的に遠ざかったようなメタファー演出があったが、いちごがあおいを信じるお姫様のような状態になり、あおいもプロデューサー兼助演女優としていちごを全力で支えることで二人のドラマも上手く決着している。
そうして姫里マリアちゃんが空から舞い降りてドレスのトラブルを解決しちゃうのも面白いサプライズであると同時に、いちごが仲間を信じた想いのご褒美としても見える。ウテナっぽいというかピングドラムっぽいというか?


ちなみに、ライブの終盤に天羽先生が会場に到着した時にジョニー別府先生も映っていたので、どうも天羽先生を運んだドライバーはジョニーだったように見える。なので、大人が子供アイドルに丸投げしているわけではなく、本当にヤバかったらジョニーはアシストをする用意はあったようにも見える。でも、なるべく手を出さずにセルフプロデュースさせるのがアツいアイカツ!の世界観。ジョニー別府先生のハイスペックなのに出しゃばらない感じは尊い。ていうか、ほとんどすべての学年の授業とか運転などをジョニーがやっていて、ジョニーの労働基準法がヤバい。



■後輩のあかりと先輩の美月の三角関係
ここで、企画会議で特に何の役割も割り振られてなかった大空あかりが失踪した神崎美月さんを探しに行くというプロデューサー行動をする。
大空あかりは後輩だけど受け身じゃないんだ!さすが3期の主人公!アイカツ!はセルフプロデュース!
尊い・・・。
3世代でバトンを繋ぐ盛り上げがあるんだけど、それをちょっとひねって、あかりが先々代の美月さんまで自力でバトンをもぎ取りに行く所が面白い。
カレイドスターっぽさもあるんだけど、先々代に後輩がアプローチする女子校と言うのはマリア様がみてるの薔薇様とつぼみの妹の関係にも似ている。
百合なんだなー。
あかりはいちごが美月さんに対して恋心に近いものを持っていると思っているけど、いちご本人はそれに対してあまり自覚が薄い。いちごの自覚が薄いけど、あかりは「神崎先輩がいないと星宮先輩は揺れるんです!」と思って行動する。あかりはいちごに恋しているけど、いちごの恋を応援するために美月さんをさがしに走る。これは男女の結婚をゴールにしたヘテロセクシャルではできない、百合ならではの関係性ですね。
この映画は星宮いちごを色んな映画的な試練が揺らそうとするけど、大スターのいちごはなかなか揺れない、っていう綱引きなんですが。
いちごはあかりに「美月さんを連れてきて」とは言わないし、そこは美月さんの自由意思を尊重している。でも、あかりは「絶対連れてきますから!」っていちごにメールして、いちごは「あかりちゃんがそうしたいんならそうすればいいし、美月さんのことは信じる」という気持ちでステージに若干の不安と緊張感を持ちながら全力で行く。
「本人も無自覚な内面の動揺」とか「いちご本人にはどうにもできない美月さんの内面」をラストの試練に持ってくるのが非常に少女物語っぽい。最後は気持ちの問題だけど、自分の気持ちも自分では動かせない!映画だなあ。
美月さんもいちごのライブから逃げて遊んでいるうちに気持ちを整理して「いちごがトップになる所を見るのが怖かった」と自覚するまでになった。トップアイドルに君臨していた美月さんも女の子なんだよ!乙女なのだ!
美月さんがやりたかったリストがすごい乙女チックな「普通の女の子の娯楽」なのがまた・・・。


■輝きのエチュードのソロ
一曲目のソロいちごの「アイドル活動!」以降は仲間たちと一緒に演じてきたが、ライブのクライマックスの新曲の「輝きのエチュード」は星宮いちごが本当に一人だ。
ここで「一人」なのが大きな試練ですね。改めて一人でアイカツシステムで着替える疾走シーンを入れて「一人」を強調する。
本当は一人じゃないんですよ。いちごは「美月さんに気持ちを届けたい」と思って「輝きのエチュード」を歌うのですが、歌っている時に「美月さんをあかりちゃんが連れてきている」ということは知らないのだ。もしかしたら美月さんはいないかもしれないけど想いは届くと、奇跡を信じて沢山のファンに向かって歌う。
この微妙な所がすごいアイドルだなああああ!!!と。
アイドル映画でアイドルとファンの関係を描くのは面倒くさい。なんでかと言うと、アイドルはすごいけど、ファンはモブだからだ。キモヲタが出しゃばっても絵的に汚いし、うるさいじゃないっすか。
でも、アイドルアニメ映画ではファンを大事にするアイドルも描かなければならん。(あー、マジすか学園とかは見てなくてアニメばかりで申し訳ない)
なので、星宮いちごは「たった一人だけど」「伝わると信じている一人に向けて」「沢山のファンの前で」信じて歌う。
この信じているのが尊い。いちごが美月さんとあかりを信じて確証が何にもないのに本気で歌う。いちごが先輩の美月さんを信じることでファン全体をも信じているような構成になって、アイドルの信仰対象としての尊さを押し上げている。
劇場版THE IDOLM@STERでは後輩の矢吹可奈をファン代表にして信じていたのが好対照だなあと。


そして、輝きのエチュードの本番の歌詞ですが。プロトタイプの仮歌の歌詞の分かりやすい前向きさに比べると、抽象的になっている。プロトタイプの出端が星だったのが本番では月になっていて美月さんリスペクトをしているのは何となく感じられる。仮歌が一人で自分で自分に歌う気持ちだったのに対して、本番はわたしがあなたに語る歌になっているが、わたし達でもある。
CDを買ってフルコーラスを聞いたのだが、輝きに包まれながら、いちごが美月さんに対して独立したいのか一緒に居たいのか、すごくふんわりした微妙な乙女心の歌詞になっている。
だから、いちごが美月さんにたいして「いっしょにいて!」なのか「わたしはだいじょうぶ!」なのかどっちにも取れる。ただ、愛情はあるんだろうな、と。それは聞いた人がそれぞれ考えればいいんじゃないのかな?と含みを持たせるところもまた劇場版らしい。解釈にも揺れ幅を持たせる。


■アンコールの三世代の三角関係
美月、いちご、あかりの三世代がバトンを繋いでアンコールの「Let's アイカツ!」を歌う。
あかりは美月をスタジアムまで連れてきたが、美月はあかりをステージまで上げる。この拮抗した感じが良い。あ、あとドリーミークラウンのトップデザイナーの瀬名翼氏はあかりにプレミアムドレスをプレゼント。うわっ。天羽先生はギリギリまでできてなかったのに、瀬名君は出来てたのに黙って持ってたのかよ。この二人の男女関係はいちごと美月の同性関係とはまた違う穏やかじゃなさを秘めているのかも・・・。


いちごは「美月さんへ歌いました。輝きのエチュードは恋の歌ですけど…(だから美月さんへの気持ちは恋じゃない)」と言っていて、あかりが「星宮先輩は恋をしているんだ」というのと微妙にずれているんだが、そこも劇場版らしいぼかし方かなあ。いちごが恋心に鈍いというのは最後まで一貫していてそれはそれでアイドルらしい。逆に先輩の恋心に敏感なあかりが今後の展開でどういう恋をしていくのかって言うのがね…。少女漫画ですね。どうなるかわからないのがアツい。
最後まで緊張感があるのは、「いちごが三角関係でも恋心に鈍い」という事件性を最後まで用意しているから。「いちごが気付かなかったこと」をドラマ作りのキーにしているのは最後まで一貫していた。そして、最初に述べたように「いちごが何に気づかなかったのか?何が足りなかったのか?」がこの映画を個性的な作品にする一因になっている。ドーナツの穴がドーナツをドーナツ足らしめているのだ。
分からない空白が、アツい。


※追記-ただ、いちごは自分の気持ちが恋だと明言していないんだが、最後まで何もわかっていないボンクラではない。輝きのエチュードを本気で歌っているうちに、いちごは歌いながら何か美月さんへの自分の気持ちに気づいたようだ。2回しか映画を見てない僕はそれがどういう思いなのか判らないが、いちごの中には確かに熱い気持ちがあるのだということは分かる。だからこそ、引退をしようとしていた美月さんの気持ちを動かす説得力になってる。輝きのエチュードを歌いながらいちごも強い思いに気づくし、美月さんもそれに動かされた。歌詞の意味がどうとかではなく、「歌の力」「想いの力」ですね。


そして、やっぱりなんで美月さんが引退を止めたのかはいろいろ言っているけど理屈がいまいち分からない。いちごの歌をどう感じたのか、ぼかされている。でもアイカツおじさんの僕にはわからなくても、美月さんの自分の中で何かが確かめられたようなので、その気持ちを尊重したい。アイカツランキング更新の時に美月さんがどういう顔をしていたのかもぼかしている。
トップアイドルがどうのとか、何かをしたいとか理屈ではなく、アツい気持ちでアイカツ!したいという熱がある。だからこそ映画としての非言語的な説得力になっているのだ。アツいアイカツ!


というか、星宮いちごエースをねらえ!岡ひろみみたいな野生の天才で、神崎美月さんは完全にお蝶夫人。でも、エースとは違って後輩の後輩のあかりが出てきてなんかするので先輩もなんか考えて引退を留まる。
学園に戻ってしまうのか。
ここら辺はトップをねらえ2!のノノとノノリリとお姉様の榎戸脚本っぽさもある。


また、ここで着ているロマンスコーデが眠れる森の美女というのがまた。
あかりがスリーピングオーロラコーデで、いちごが春のリラの妖精で、美月さんはシャインウィッチコーデ。
茨姫をモチーフにしたレズビアン映画のマレフィセントの影響もあるか?
アイカツ!第9話「Move on now!」はいちごが崖を登って初めてのプレミアムレアドレスのオーロラキスコーデを手に入れ、美月さんの歌で歌の心得を得る話であった。キスでアイドルとしていちごが目覚めたわけだが。


劇場版のコーデではスリーピングオーロラのあかりに、リラの精と良い魔女であるいちごと美月さんが眠りの魔法をかけている感じだ。
あ、瀬名翼君が王子様になるんだ…。あかりは瀬名君が作ったドレスのカードにキスをしていたが…。
そして、いちごと美月さんは永遠を抱きしめてアイドル学園と言う夢の眠りの魔法を後輩にかける…。薔薇のお姫様は目覚めるのか?永遠に幸せな夢を見るのか?
少女革命ウテナ
という、微妙な含みをも持たせているラストがじわじわする。楽しいライブショー映画で良いと思って見たのだが、笑いあり涙あり、恋や百合や薔薇の紋章や友情と信頼があり、ドラマ性がありアイドルになった少女のおとぎ話みたいなメタファーもあり、アイカツ!の新しい輝きの向こう側の地平線を開拓したように思える!
おとぎ話はキュートだけど甘すぎないドリーミークラウン!アイドルはどんな夢を見るのか!
ますますアツいアイドル活動!!!


美月さんもトップアイドルとしての重圧から解放されてさらなる力を…。お。おう・・・。

  • まとめ

どうも、「“尊い”以外の感想」を書こうとして、結局“尊い”を連呼したような気がするが…。
とりあえず、尊い星宮いちごを映画が揺らそうと色々するが、いちごは最後まで安定を保っていちごまつりを成功させてトップアイドルに成った!尊い!
今までのアイカツ!で描かれなかった歌作りや恋愛や天羽先生の限界などを加えることで、さらにアイカツ!らしさを完全に近づけようとしている。でも、まだまだアイドルの世界の果てには輝きの向こう側が広がっていて、アイドルたちは輝きのエチュードを歌いながら進んでいくのだ…。
アイマスにも曲を提供しているMONACAさんの輝きのエチュードは、THE IDOLM@STER輝きの向こう側へ!とはまた違ったアイドルの地平線の向こうを開拓したと言える!
そして三世代が入り乱れてさらにアツくなるアイドル活動!アイドルアニメが、アツい!!!来年はアイドルマスターシンデレラガールズのアニメ、WUGの続編映画やプリキュアオールスターリニューアル、プリパラの映画もあるんだ!アイドルには色んなドラマと可能性があるな!



ジョニー…。


あ、あと、アイドルの皆がカフェの店員さんとか花音さんとか先輩や仲間や後輩に対してよく「ありがとう」って言うシーンが多い映画だなーと思いました。
ちゃんとお礼が言えるアイドルたち、偉い。


ありがとう・・・ありがとうございます・・・。




1万6千文字も書いてしまった…。
ううわあああ・・・。アイカツおじさんめんどくせえええ…。