玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト第8巻 すごい科学と人間観

今回の内容はフォント・ボーがファントムを変形させて超スピード加速をして、宇宙戦艦から発射された核ミサイルを破壊する。という話。
ファーストガンダムアムロ・レイマ・クベの水爆ミサイルを切ったことのオマージュなんだが。ミサイルに追いつくという、ファーストガンダムでもかなり一二を争う荒唐無稽な展開を、「すごい科学で守ります!」の著者である長谷川裕一先生が科学的考証をしてできるという風に実証した感じ。
ミサイルに追いつくために、大気圏上層部で地球を半周して加速して大きな軌道を描くという戦術で実証している。非常に科学的だ。ミサイルとの相対速度を大気圏上層部で合わせたり、ミサイルの破壊圏内を計算して攻撃の時間がたった6秒とか、超高速移動をしながら敵艦の砲撃を躱すとか、高速戦闘のサスペンスが楽しめた。高速で加速して、コックピット内のパイロットが押しつぶされそうになるというのも、F91の小説版からの流れをくむクロスボーン・ガンダムらしい。
発射のタイミングや軌道など、萬画には書かれていない部分で長谷川先生はたくさん計算したんだろうなあ。
機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト (8) (カドカワコミックス・エース)


だが、科学的なだけではない。
超高速で地球を回りながら、夕日を追い越したり、朝日に照らされる海を見たり、星空から青空に変わる空を眺め、同時にモビルスーツのコックピットの中で情報収集のために世界中のテレビを見ることで「世界は生きている!」と思い、だから「生きている世界を焼き尽くす核ミサイルは許せない!」という主人公の真っ当な正義感がとてもいい。生きることや世界の自然や人間の営みへの熱い肯定が長谷川裕一作品らしくて感動できる。


また、ニュータイプ描写も独特の深みがある。フォント・ボーが世界中のネットのデータを見て核ミサイル発射の場所を3つまでに絞り込むが、それを最後に選択させたのはテテニス・ドゥガチの娘のベルのニュータイプ能力。ベルはフォントの気力も奮い立たせる。
また、5Gの加速度で気が遠くなったフォントは自分自身の幻影に励まされる。人格が分裂するくらい脳を使っているのだろうか。作戦後、フォントはカーティスに「頭ミソの使いすぎ」「個人の限界を超える判断をし過ぎた」と言われたのだが。また、以前カーティスはフォントについて「ニュータイプの雰囲気を感じない」と言っていたのだが。
フォントはテレパシーをしたり予知するタイプのニュータイプではなく、内面の処理能力が高すぎるタイプのニュータイプなんだろうか?長谷川裕一先生のVガンダム外伝プロジェクトエクソダスでもニュータイプの中でも違うタイプのものが描かれていたけど。
機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス (カドカワコミックス・エース)


そして、脳を暴走させてしまったフォントはクロスボーン・ガンダムに乗って心を落ち着かせるための旅に出るのだが…。そこで出会ったシーブック・アノーとのやり取りは8巻の感想で書く。


また、木星共和国のエージェントのカーティス・ロスコとリガ・ミリティアの代表のジン・ジャハナム(ハンゲルグ・エヴィン)が会談するのもVガンダムファンには見逃せない。
機動戦士Vガンダムのアニメ本編ではジン・ジャハナムも、カーティスが救おうとしているエンジェル・ハイロゥの中のサイキッカーたちも悲惨なことになるのだが、この萬画ではいったいどうなってしまうのだろうか?