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玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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響け!ユーフォニアム最終回のピントと手の距離感に青春を見た

感想 アニメ ユーフォニアム

nuryouguda.hatenablog.com


前、熱心にこういう感想を書いた私ですが、はてなブログ公式に紹介していただきました。最終回もピント送りに注目してみました。blog.hatenablog.com

他の皆さんも熱心な感想をお書きで、盛り上がった作品ですね。


第13話さよならコンクール 脚本:花田十輝; 絵コンテ:山田尚子; 演出:河浪栄作; 作画監督:引山佳代、秋竹斉一、瀬崎利恵.

  • 最終回でもピントは合わないが…

響け!ユーフォニアムは他のアニメ、京都アニメーションの過去の作品と比較しても偏執的なほどピントの被写界深度が浅いと述べた。フォーカスが合っている部分と合ってない部分の差が激しい。


なぜそんな表現にしているのか。
個々人の意識の狭さを表現しているのではないかと推察したのだ。
響け!ユーフォニアムのピントが映す音楽性のアニメ演出 - 玖足手帖-アニメブログ-

吹奏楽は個人個人と楽器の感覚と指揮者の世界で、吹奏楽部員全員が仲良しになったり一致団結したりは、しない。放課後ティータイムのように密接に仲のいいバンドのように全員にカメラのピントが合って協力はしない。
最終回ではさすがに全体が一つにまとまるのか?と思ったのだが、そんなことはなかった。
描かれるのは個人個人が精いっぱい演奏する断片で、それが音では合奏になっている。音はあっているが、カメラで一斉にみんなを照らし出すことはなかった。そんな最終回の演奏だった。
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演奏の終了シーンでも全体にカメラが遠くて熱気っぽいぼかしが入っていて、「全員が揃って、はっきり映る」ということはついぞなかった。
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みんながはっきり映るのは、「記念写真」という体裁で、さらにテロップ付きエンディング映像という「作った映像」で、動きのあるシーンではほとんど全編にわたってピントが各キャラクターごとにずらされている。
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ピントが合ってないということはそのキャラクターは同じグループに属してないということで、個人個人の意識の境界がぼんやりとにじんで繋がっているけど同質化していない、という高校生らしい視野の狭さ、視界に入って相手が見えてるけどはっきりと何でもみんなが仲良く同調できないという部活動らしさ、自分の楽器に集中して他の人の演奏を意識する余裕はないが全体としては響く吹奏楽と言う題材を表現していた。


じゃあ、吹奏楽は表面的には同じ空間に居ても一人一人は孤独なのか?って言うとそうでもなくて。
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指揮者の「手」によって音が強調され、絵としてもピントがフォーカスされる。一人一人は「みんな」ではなくて「一人の特別な演奏家」なのだ。
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「みんな」に「ひとつ」になって演奏するという全体主義的表現ではなく、「一人一人が特別だ。主人公だ。青春の当事者だ。みんな自分のなすべきことを一生懸命果たした。」という個別性を強調した最終演奏だったと思う。
幕裏で聞いているオーディションに落ちたサブメンバーの夏紀先輩と葉月も、ちゃんと聞くという役目を果たした。
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さすがに私も最終回では「反目しあっていた部活のみんなが一つにまとまって協調しました!」というユートピア的な演出が来るかと思ったら、違った。
全体が揃ったり融け合うということではなく、一つ一つ粒だったものたちに「指揮者がポイントを当てる」ということで、「一人一人は違うけど、指揮の手によって繋がる」という演出だった。
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この滝先生の光る手の送り方が素晴らしい。ちゃんと「あなたたちを見ていますよ」ということを視線からもっと踏み込んだ能動的な手の動きで意思表示している。それで、一人一人は並列的な自分のことで精一杯な青少年だけど、先生の手をハブとして通して、まとまろうという意志が肉感的につなげられている。
目で見てはっきりと認識する、同じ座標位置に合わせる、というのとは違って、一人一人はピントがずれているけど、手を伸ばすことで繋がろうとする気持ちに、音楽を生演奏する人間の生っぽさ、身体性とつながった音楽の感覚を感じる。人のことはハッキリ全部見えないけど、手は伸ばそう、って言うポジティブな人と関わろうという意識があって、青春だなーって思った。
手の演出が意識的なのは山田尚子さんらしいなーって。
あと、「手を伸ばす気持ちはあるけど」「はっきり見られたくはない」というのが女の子らしい。
まー、ここら辺のカメラの使い方とその思想性はすでに映画たまこラブストーリーで示されたかもしれないんだけど、個人的に親が死ぬ話は苦手なのでまだ見てないのです。


TVアニメ『響け!ユーフォニアム』オリジナルサウンドトラック おもいでミュージック

  • 各論

総論は上で述べたが、以下は各論に移る。映像の順番に。
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黄前久美子のタコ頭は視線を遮る馬のブリンカーみたいな、外界への意識を遮断して自分の気持ちを圧縮するものかなーって思っていたが、ついに1話以来、久美子がポニーテールにして顔を出した。
これは覚悟の表れ?髪を括ってない姉との決別?

かと思ったら本番演奏では高坂麗奈と田中あすか先輩もポニーテールにしてる。みんなでそろえたのか?と思ったらLOさんとか括ってない人や三つ編みおさげの人もいる。


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で、序盤から指をわしわしする久美子の手のアップがあって、
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肘でつつき合って互いの存在を確かめ合う麗奈と久美子。顔を映したり見合ったりではないけど、触り合う繋がり感。女子のどうしはべたべたしますしね。


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かと思えば、それぞれ秀一が電車に乗ったり、みどりが気を引き締めたり、あすか先輩が朝に音を出したり、それぞれの朝が描かれる。

小笠原部長と香織先輩はピントが同じで、割と同じような位置にある感じ。

遅れてくるナックル先輩こと田邊名来とか、微妙に噛み合ってない奴もいるし、それぞれのパートごとに違った役割をしつつ朝の準備をする。

64人もいるので、全員が全員とピントを合わせて認識し合うってのは難しいっぽい。なので、パートリーダーや係ごとに少しずつ動く。

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目を閉じて集中する麗奈と、それをパートリーダーとして見ている香織先輩、それを挟んでる優子先輩。
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ピントが合ってないので視線がすれ違っているけど、後ろから意識する三角関係の久美子、秀一、葉月。というか、今回の秀一は背後霊レベルで久美子の後ろにいる。でも、葉月は楽器を運ぶ時に秀一の近くに居ようとして未練がましいか?
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なんか謎の写真に「いこうか」と触れて言う滝先生。写真のピントはアニメのテレビの枠のピントから外れていて彼の秘密がまだあるって暗示される。


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愛情のお守りを全員分手渡しするって言うの、画面としてはピントは合ってないけど、お守りを作る時はサブメンバーは手で相手のことを思いやっていた、という目ではなく手のコミュニケーション。で、拍手。LO先輩、キュアプリンセスみたいでかわいいよな。


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小笠原部長のスピーチに手のサムズアップで元気を送るあすかだが
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北宇治高校ファイト―!は御唱和せずにピントがずれてて、「私たちの三日月が舞うよ!」ってコールして盛り上げる。この距離感は?最終回なのに微妙に田中あすかと言う人の内面は全部は分からないように描いていた。原作への誘導?二期への伏線?
で、みんなが盛り上がったら久川綾先生にコラーって怒られて、滝昇先生が「シーッ」って指でサインする。

バスに乗って会場に付いたら、乗り物酔いをした子がいたり。
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指の傷をさりげなく強調して(指の怪我じゃなくて傷防止のテーピングらしい)、強いサファイアちゃんが久美子の緊張をほぐして励ます。緑輝ちゃんは名門中学出身だからな。サファイアちゃんの後ろ姿も力強い。


コンサートホールの待合室で
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立花高校の田所あずさちゃんと遠い手のあいさつ。


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でも、あずさとは麗奈も同じ中学だったのに、麗奈は久美子を引きはがすかのように?自分の髪を結ぶのを手伝わせる。濃厚な身体的接触。


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そこに通りがかった夏紀先輩とグーでコミュニケーションして、麗奈も「いいね、中川先輩」って評価。触れ合うコミュニケーション。サブメンバーの中川夏紀先輩は控室には入れないっぽいけど、体温を残した。この拳を通じた身体的接触が今回のテーマだなあ。演奏の生音が繋がるというのも拳の延長である。

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控室でチューニングは各自バラバラに音を決めていくし音がぶれているのを表すかのようにピントが一人一人の画面でもぼかしが入ってて不安定なんだが


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最後は指揮者の滝先生が引き締めた。ここで滝先生が指を組んでるのもなかなかいい。忍者か行者のような思慮深い感じ。ペットボトルの水が倍音に反応して明鏡止水のよう。

  • 滝先生のハンドサイン

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「あまり私から話すことはありません」
って言うと、ちょっと不安そうな顔をするメンバーもいる。指揮者の先生が「みんな」の意志統一をしてくれないのだから心配にもなる。そこで滝先生は「みんな」ではなく「あなたたち」の自主性を説く。
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「春、あなたたちは全国大会を目指すと決めました。向上心を持ち、努力し、音楽を奏でてきたのは、すべてみなさんです」
「誇ってください」
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ガシッ!
たなごころで、みなのひとりひとりの自信を自覚させ直す。「あなたたち」一人一人に自覚させたその後、「私たちは北宇治高校吹奏楽部です」と今度は改めて意志統一する。「組織」があって「構成員」がいる、のではなく、「あなたたちひとりひとり」がいて「わたしたち」がある。
そのあと、「私は聞いているんですよ。会場をアッと言わせる準備はできましたか?」と「私から」個人と個人として聞く。全員で「ハイ!」って答える。
「行きましょう。全国へ…」
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ここまでだと滝先生が有能なスピーチをして指揮しているって感じなんだが。みんなでハイ!って答えてまとまってるのだが。


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滝先生を好きなはずの麗奈が久美子をつついて、個人的に「本番がんばろうね」と「みんな」から「ふたり」に久美子を引き戻す、この少女同士の他の部員たちとの距離感の取り方がアナログ的に揺れていて面白い。みんな主義の賞賛だけでなく特別になりたい二人の関係性もある。その後ろにピントをずらして立ってる秀一も含めて、分離してはいないけど一致してもいないという微妙な人間関係。

  • 入場直前

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「大丈夫うまくいく」
「普段通りいこう」
「どう?大丈夫?」と恋人や仲のいいグループ内で声を掛け合う部員達。
ここで吉川優子が香織先輩以外の部員に目配りをできるようになったのはすごい成長っぽい。
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そんな部員たちをチラ見するけど「自分は特別なんだ」と言う風に目を閉じる。僕の自論ではこのアニメではピント送りがキャラクター同士の関係性を視覚的に表現している作品だ。その中で「目を閉じる」と言うのは関係の拒絶とか内向を意味する。久美子は自分の内面に集中したいのだろうか?
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そんな外界を遮断して自己集中して、無防備になった久美子の耳元に秀一が「大丈夫かよ?」と声をかけて、
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久美子の目がパッと開いてピントが凝縮して一気に秀一を意識する。エッチですね!自分が目を閉じてるのに一方的に男子に見られて声をかけられるのはエッチ。
エッチなことをされたので久美子は秀一の足を踏む。「問題ない」「うるさい」って拒絶する。一旦は跳ねのけるのがラブコメっぽい。割と密度が濃いシナリオなのに、ここでラブコメ要素を入れてくるのか。
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だが、前の学校の演奏に対する拍手に一瞬久美子が怯えた時、もう一度秀一が「大丈夫」って言う。ここで禁断のイマジナリーライン越えで久美子視点で秀一の真摯な横顔で印象がガラッと変わる。
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「あんなに練習したんだからさ」
ここでラブコメ的に「女の子に急に声をかける軟派野郎の秀一」って印象から、芸術ドラマ的に「川べりでずっと練習していた同志の秀一」って印象がガラッと変わる。この男の子のナンパモードと真面目モードの変化に気づく女の子ってのがすごい青春してる。
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それで、ムッとしつつもグッと拳を向けて「認めてやる」ってコミュニケーションの意志を見せる。
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この時、身体的に拳でコミュニケーションするのに、意識的な目線は外しちゃうというのが実に青春で奥ゆかしい。気付いてくれないから足を蹴るって言うのも、また幼馴染ラブコメらしい距離感。目を外して手を出して気付いてくれないから足を出すという距離感。今回は久美子の身体的距離感の使い方の演出がすごく生っぽくて良い。
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で、秀一も気付いてハッとしてグッとする。ここで他の部員のピントが滅茶苦茶外されているのが、二人の距離感と言う、暗がりでの密室でのやり取りと言う感じで萌える。みんながいるのにみんなに気づかれない二人だけの接触って言う。エッチだなあ。

  • 演奏直前

で、異様に美人なモブの京都コンサートホールのお姉さんが扉をあけてくれて舞台に上がった所でCM。
CM明けは今度はあすか先輩とのイベント。

「なんだか寂しいね。あんなに楽しかった時間は、もう終わっちゃうんだよ。このままずっと夏が続けばいいのに」という意味深な事を言う、あすか先輩。
負けるということか?勝ち進んでも楽しくないということか?音楽の天才のあすか先輩だが。あすか先輩は音楽のプロを目指すんですかね。あすか先輩の顔のアップも微妙にピントが揺れる。
それに対して「今日が最後じゃないですよ。私たちは全国に行くんですから」と説得する久美子だが…。
「そうだったね。そういえば、それが目標だった」と言うあすか先輩の真意とは?
そんな暗がりでの密談を打ち切るように光が差す。
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秀一!聞いていたのか!彼は二人の女子の密談を聞いて何を思ったのか。
ピント送りが印象的な演出だが、「自分では意識してないピントが外れている場所にいる男子に声を聞かれちゃう女子」と言う。色んな距離感を感じさせる。

  • 演奏開始

滝先生がピントを振り分けていく指揮をするって前述したが。
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輝いたステージに立てば、過剰露光でピントがまたボケボケになって、みんなが自分の輝きに集中しているのかステージの全体像ははっきりと撮影されない。
一人一人が主人公であるかのようにみんな輝く。みんな輝くと同時に「吹奏楽部全体」は描かれなくなり、一人二人が分断されて描かれる。(しかし、久美子の後ろには、久美子は意識していないが秀一がいる)
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久美子はもう隣のあすか先輩を意識することも無く、自分自身と向き合う。
今回はここだけがモノローグで、こういう説明過剰ではないモノローグの使い方は良い。まさしくモノローグを思うであろう過剰集中の状態。
そして過去を思い出す。
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「叶いもしない夢を見るのはばかげたことだと思っていたから」と過去の自分を見つめ直す。
「だけど、願いは口にしないとかなわない」
「絶対‼全国に行く!」
と、「口が封じられている演奏中にモノローグで口にする」という離れ業で叫ぶ。
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そして光り輝く。すごい!プリキュアかよ。
課題曲はモノローグを使ったり編曲して、かなりすっ飛ばされているが、ピント外しとか過去回想の演出を使って「体感としてはスッ飛んでいる本番」の感覚は出されている。

  • 自由曲 三日月の舞

一曲目と同じく滝先生が音楽の輝きを当てていく感じで、それに答えて一人や二人がアップで輝く。
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だが、二曲目では一人一人の輝きと同時に、並んだ隣の相手が微妙にピントは合わないけど意識されたり。
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譜面にメッセージが在ったり。
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香織先輩が大好きなはずの優子が一人で輝いているのは意外でもあるけど、微妙に香織先輩と麗奈がいる右側に偏ってる所とか、関係性を醸し出している。
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ユーフォニアムの難しい所は、結局久美子が演奏しないであすか先輩だけでやってるのかもしれないけど、ここで秀一を映すことで秀一の久美子への想いって言うか、本当に秀一は久美子が好きだなーコノヤロー。


ピントを外しまくるこのアニメでは珍しく加藤葉月と夏紀先輩が目と目を合わせて、しかし、口を閉ざして耳をすまして低音のところの見せ場を聞く。
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ピントを外しまくって個人個人が自分の楽器に集中していくのが印象的な響け!ユーフォニアムの最終回で「目配せ」
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譜面に寄せ書きして、そこに見えないけど意識は通じてる。
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で、低音パートが上手く行ったらカット尻で一原画だけ久美子が演奏しながら笑う。すごい細かいアニメーションの芝居してるな。
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で、聞いてる側が喜ぶリアクション。成功したんだ!って絵にして表現している。実際演奏はプロが録音しているわけで、実は演奏の演技の良し悪しはよくわからないんだがアニメで奏者と聞き手の表情で表現している。聞き手のリアクションを挟むのは長い曲を編集してアニメのBパートに収めるためでもあるけど、「離れてても通じてる」とか「音楽が届いた感動」とか「体から出た音の延長線である身体コミュニケーション」の表現でもあるよなあ。
(聞き手を撮影している間に曲は編集される)


曲が編集されるのは、「自分のパートの見せ場で手一杯」という青春の集中力とか吹奏楽のパートの表現でもあるのかな。視聴者としてはきれいな曲の全編のフルオーケストラを聞きたいという気持ちもあるが、このアニメは「キャラクターの観測範囲がピントのボケで限定されている」という演出が多いので。ウェルメイドな完成品の演奏では無くて、生で演奏して、自分のところに偏って集中して意識している青春の思い出の表現か。というか、曲をアピールしたいんじゃなくてそういう青春の心情を表現したいのがこのアニメなので。なのでBパートに収める事情と同時に曲の演奏を見せるのではなく劇と心情を表現するというアニメーションの本質に基づく演出で曲は編集されるのです!
(多分、低音パートの山場が終わって久美子の集中力がちょっと飛んだんだろう)


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曲をぶった切って立花高校のあずさちゃんが描かれるのも、「関係性」を描くためなんだろうな。また、他校の存在があることで「北宇治高校が勝つかどうかわからない」という緊迫感も残している。

  • 麗奈のソロパート

ここの入りがすごい。よくこんな絵コンテを書くなあ。
一旦全体を落ち着かせてから、
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見る!
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受ける!
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吸う!
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どうぞ
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繋がる!


滝先生は他の部員にはハンドサインで指揮していたけど、それはそれでちゃんと見て感じていることだけど。
麗奈のソロパートに入る時に視線とサインの一瞬のやり取りをすることで、やっぱりこの二人は特別な関係なんだって感じさせる。
秀一と久美子は微妙に視線が合ってないけど、拳が触れ合った。滝先生と麗奈はふれあっていないけど視線は濃厚に絡み合った。この高校生同士の恋愛と大人との恋愛の距離感の違いも内包して、しかも音楽芸術表現でもあるという。いいなー。指揮者との関係。のだめカンタービレの細かい演出は忘れちゃったんですけど。

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麗奈のソロを聞いてる吉川優子先輩と中世古香織先輩の関係性。2曲目はより関係性の描写が増えている。
麗奈のソロを支えるように入る久美子の低音やクラリネットも温かさがある。何も言わずに葉月の肩を抱く夏紀先輩とか関係性が強調されている。


しかし、曲の最後にはカット割りでひとりひとりの点描になって行き…
並んでユーフォを演奏する田中あすか先輩の視線は久美子とは違う方向で何を思うのか…


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そして最後に「みんな」をまとめていた滝先生が「ひとり」になって演奏が終わる。滝先生もまた一人の演者だったのだ。


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演奏が終わり、久美子は熱に浮かされたようになる。

  • 結果発表

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余韻冷めやらぬので、画面の四隅がボケて暗くなっている。
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みんなが金賞に喜ぶが、関西大会に進める学校は…。


ここでピントをぼかし続けてきたこのアニメはついに「言葉をぼかす」というテクを使って結果は描かない!ただ、北宇治高校吹奏楽部員はそれぞれに喜ぶ。

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あすか先輩は何を思うのか…。


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だけど結果がどうだろうと、アニメの続きがあるかどうかは決まってないけど、つないだ手と手の暖かさは確かなものなんだ。
という、「手」エンド。


「耳」がテーマの作品だが、「目」のピントや意識や視線を意識させて音を視覚化して表現した。それが最後に「手」という生身の「繋がり」を暗示させて、終わった。
絵だけど、作り物の劇だけど、触れ合いたいとか音を届けたいという感覚的な身体的な生っぽさが、青春の瑞々しさがあった。それって録音じゃなくて生演奏の醍醐味だよね。
青春だなあ…。


  • 過去記事

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響け!ユーフォニアム 3 [Blu-ray]