玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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侍ジャイアンツ1、2話の長浜・宮崎 出崎統・富野のコントラストがヤバすぎる

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監督(演出)・長浜忠夫作画監督大塚康生、第1話のコンテ・出崎統(矢吹徹名義)、原画・宮崎駿小田部羊一(以上敬称略)と今では信じられないドリームチームの作品である事などは、この期に及んで筆舌するまでもない

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1話すごいな!美術も小林七郎ガンバの冒険少女革命ウテナ)だし、音楽も菊池俊輔仮面ライダーキャシャーンなど)だし、最高だ。主役も富山敬さんだし男らしい。
なんかこう、当時の生のキルラキルって感じで、バンババーン!って書き文字が出たり、ギャラクシーエンジェルAのオープニングのギャラクシー☆ばばんがBang!の野球シーンの元ネタだったり、21世紀のアニメ界に多大な影響を与えた感じの1973年のテレビアニメなのですごい。実際の巨人軍の川上監督、長嶋茂雄王貞治が出てくるのがすごい。
あと、1話は原作者が同じ梶原一騎だし出崎統コンテだし、あしたのジョーみたいな感じで番場蛮が無頼で暴力描写がすごい。いきなりクジラを殺害しようとしたり、顔でデッドボールを受けたり、相手校の全選手と番長を叩きのめしたり、当時のヤクザ映画のように連発される破壊描写がすごい。あしたのジョーもものすごい暴力アニメだったので。
「キ○○イ」って規制されるセリフがすごい。
長浜忠夫監督は情念の人でヤバいからなー。それに出崎統だし。ベルばらかよ。しかも宮崎駿作画。
物凄い迫力で面白かったぞ!1話。
キルラキルを評して「わざと昭和っぽく作っている」と言われることもあるのだが、なるほど、これが昭和の現液かー、ヤマトのアニメブーム前の昭和アニメの一つの頂点か。読売巨人軍V9全盛期で景気が良かったころのアニメなのかー。
川上哲治監督が試合中にいきなり長嶋茂雄に「今の巨人軍には侍が必要なんだ!紳士な巨人軍ではなく野生の勘を持った侍が!」とか発言して番場蛮をスカウトしに行く決意をしたり、ものすごいスピード感のアニメ。で、ミスタージャイアンツの二人が高知県までいきなり番場蛮の高校野球の試合を見に来て、そこで番場蛮がものすごいバッティングとピッチングと暴力を見せてすごいなーってなる。これは映画にもなったのですごい。
川上監督がものすごく面白くて、番場蛮を見て「瀬戸内海は無駄には渡らなかったようだな…」と謎ポエムを言う。
試合の後に海辺で殴り合いするのは紅の豚っぽさもある。


で、2話からは当時33歳の富野喜幸が46本中15本の絵コンテを書くわけだが。出崎統監督は…?
と思ってwikiを見ると、あとは39話しか書いてない…。ていうかむしろ富野さんとほぼ折半する形で兄の出崎哲さんが絵コンテ…。たまに吉川惣司さん石黒昇さん奥田誠治さんなど。あれ?

アニメ化は『巨人の星』と同じく東京ムービーが手がけ、監督も同じく長浜忠夫が担当。しかし『巨人の星』よりもコミカルでテンポの良い陽性の作品に仕上げられている。


当初の監督候補には、当時東京ムービー傘下のAプロダクションに所属していた高畑勲が挙がっており、実際に監督就任の打診があったが、高畑は『アルプスの少女ハイジ』を監督することになり退社、宮崎駿らは1話の原画を描いた後に高畑の後を追った。キャラクターデザインおよび作画監督を務めた大塚康生は、演出方針を巡って長浜監督と対立し、途中降板。以降、名義上は作画監督のままだったが、実際の作業は各話の担当に任せる形になったという。
大塚康生・著『作画汗まみれ 改訂最新版』(2013年・文春ジブリ文庫)P.212-213、222-223より。
作画汗まみれ 改訂最新版

あれ…?後のジブリ組なんで降板したん…。
協力 - 週刊少年ジャンプ東京読売巨人軍のビッグヒットを狙う、現実の野球選手や実写シーンもある挑戦的な作風でメディアミックス作品なのに…。
1話、後のスタジオジブリが集結してる(後の話数で男鹿和雄さんも背景スタッフで参加)わけだが、1話でいきなり破局!富野、出崎哲の絵コンテ、作画はマッドハウス、動画工房へ!(東京ムービーの回もある)
ヤバい。
長浜忠夫監督の現場破壊力がヤバい。ベルサイユのばら勇者ライディーンの監督交代劇もヤバかったが、侍ジャイアンツもヤバかったのか―。ていうかハイジもいろいろとヤベえな。宇宙戦艦ヤマトの裏番組だし。名作劇場のスタッフの出入りもいろいろとヤバいんですけどねー。ジブリ設立とか。


で、2話。
富野絵コンテに作画・川尻善昭バンパイアハンターDハイランダー、当時23歳)ヤベえ!今だと絶対実現しないだろ、このタッグ。
そして1話と全然話の内容が違う!ヤバい!
1話の脚本の七条門さんは「大笑い次郎長一家 三ン下二挺拳銃」とか1960年代の実写プログラム映画の脚本を書いて、70年代はあしたへアタック! (1977) 空手バカ一代 (1973~1974)赤胴鈴之助(1972)ルパン三世 (1971~1972)アタックNo.1 (1969~1971) 

とかの人。
七条門 のプロフィール - allcinema
だけど、侍ジャイアンツには1話しか登板していない。
2話から9話まで松岡清治さんが脚本を書いてる。その後は13話、33話、40,41話しか書いてない。
ウワァ~~~。1973年でもメディアミックス、実写コラボで現場崩壊スタッフ入れ替えか~~~。ヤベえなー。21世紀でもメディアミックスでグダグダになるアニメはあるんですが、侍ジャイアンツもすごいなあ。
松岡清治さんは海のトリトン宮田雪さん辻真先先生と手掛けた人ですが、最終回は富野監督がやらかしたので名義だけクレジットと言う因縁が…。ヤベえなー。
海のトリトンで富野監督がやらかしたのが1972年なので、その翌年に侍ジャイアンツから宮崎駿出崎統が下りた後に、松岡さん脚本で富野絵コンテ…。うわぁ~。心中お察しします。


で、1話は東映チャンピオンまつりで再編集映画になったくらい完成度が高いんですが。
2話は全然違うからね。
まず、ヒロインが違うからね。

美波理香(みなみ りか)
蛮と同じ高校の2学年上の女性。土佐の網元の娘でもあり、漁師の家庭に生まれた蛮とは対立している。蛮の巨人入団と同時期に東京の大学に進学した。

1話では対立してないからね。なんか峰不二子みたいにバイクを乗り回す宮崎駿の姉御好み系女子なんだが、番場蛮は試合の応援に来た理香にデレデレになったりする。番場蛮はすごい理香を好きっぽい。試合を理香が見に来たら番場蛮は「小生の拙き野球をご観覧下さり」とルパン三世みたいな喜び方をするから。
2話からいきなり理香と番場蛮は対立して、理香はジャイアンツのスカウトを蹴った番場蛮を挑発したりするし、金持ちの理香に対して番場蛮は敵意をむき出しにハングリー精神で怒ったりする。
あれ?1話では惚れてる設定では?いや、2話の回想シーンでは理香が観戦しに来て喜んでいたか?
脚本がガバガバだ。すごいなあ。原作付ジャンプ萬画原作で実写メディアミックスでジブリ組が1話降板でヒロインの性格設定が2話で変わるとか、役満だな。今だとまとめブログも炎上だよ。
1話の方が原作を改編したのかな?素直に理香に惚れてる感じだったのが、2話以降は好意もありつつ経済的地位の差で反発するって言うあしたのジョー的な梶原一騎のめんどくさい部分を描いていくんだろうか。


しかも、2話は水着回でもある。
特に意味もなく、理香はモーターボートで水上スキーをしてる。原作でもあったの?
特に意味もなく番場蛮の試合中に理香は水上スキーをして「私は強いものが好きよ!蛮ちゃん、男なら見事プロへの道をつかんでみせるのね!」って富野ヒロインの姫系の雰囲気を出してる。カテジナっぽさもある。カテジナの源流が梶原一騎にあるとしたらヤバいな。(白木葉子系譜でもある)
カテジナ・ルースはアニメ界の一つの特異点だけど、それに対する梶原一騎という巨人の影響もあるとすると考察し甲斐がある。


で、その理香が遊んでいる海に番場蛮が打った場外ホームランのボールが飛んできて着水するという謎のドラマ性を出している。逆境ナインの男球かよ。
2話で男球かー。


しかも、ワンカットの空中撮影の俯瞰で理香が遊んでいる海と臨海野球場を1場面に入れているという邪悪な絵コンテで、ものすごく時空が歪んだ背景が描かれている。
富野絵コンテやべえなー。脚本段階か漫画のコマ割りの影響かもしれんが。普通は絵としてワンカットに入れないだろ。今の実写取り込み系背景だとかなり無理があるレイアウトを繰り出しててヤバい。
「なんでこの女はいきなり水着なんだ?」って思わせて、ラストで番場蛮の打球が女のところに飛ぶって言うドラマ性。


しかも、野球部マネージャーの土佐勝子があの時代にブラウスの上にジャージでミニスカハイソックスで赤縁眼鏡オカッパというものすごい萌え系デザインでヤバい。これ、誰がデザインしたんだろう。富野コンテだったらヤバいけど原作にもいるの?ていうか主人公が2話で高校を中退して野球部も退部してるから勝子は今後出るの?
そして、番場蛮が理香のことを考えて試合に集中してなかったら、勝子は「他の女に気を取られて!」ってGのレコンギスタにも通じる富野ヒロインみたいなことを言うので、ヤバい。1973年の勝子から2014年のマニィ・アンバサダちゃん、ノレド・ナグさんまで40年間富野の女の子の描き方が変わってないのがヤバい。


しかも妹登場回でもある。


あと、1話は出崎統コンテだからか描き文字とか漫画っぽい止め絵とかギャグマンガっぽいカット割りでいきなりけが人を出して省略したり、楽しいんだが。
2話の富野回はいきなり入院する母親の病室でものすごい俯瞰だったり、2階の病室から地上をバイクで走る理香を見下ろす番場を入れ込む物凄い煽りの構図がある。あと魚眼レンズっぽいカメラが近いパースのつけ方も富野絵コンテっぽい。


前の試合の模様をテープ録音の再生と言う子供向け番組としては妙にテクニカルな回想シーンで圧縮するのも富野っぽい。


40年間ずっとこれかよ…。


赤い褌を見せて無理やりギャグを入れるのはいなかっぺ大将を引きずっているなあ。富野のギャグはふんどしか。ブレンパワードのカナンのパンモロもその系譜
ど根性ガエルの流れもある。ド根性ガエルは昔再放送で見たんだが、富野監督の作風を知った上で見返すとまた発見がありそう。


なんかテンションが高いですね。富野監督は無敵超人ザンボット3で良くも悪くも理屈っぽくなり、良くも悪くもロボットアニメばっかりやるようになったんだが、そうなる直前の富野演出が見れるのが侍ジャイアンツなのかなー。富野の一つの可能性としての侍ジャイアンツ。あと、キャプテンに通じる出崎哲さんの演出も押さえておきたい。
富野由悠季全仕事―1964-1999 (キネ旬ムック)