玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト第10巻 バトルだ殺人だ!Gレコとの共通点と違う所

長谷川裕一先生のガンダム萬画だ!ほぼ、僕が感想を書いている萬画はこれくらいなんだが。
今回は木星帝国の皇帝の忘れ形見でザンスカール帝国過激派キゾ中将を倒すため、木星共和国穏健派蛇の足とリガ・ミリティア合同軍と、木星共和国過激派のサーカス部隊が三つ巴の戦闘になるというバトル中心の話。

なので、あんまり説教要素と言うか、ドラマとして取り立てることは少ない。最終決戦でもあるので色々なキャラが死んだり退場したりする。
機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト(10)<機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト> (角川コミックス・エース)


なので、そんなに感想はないんだが、やっぱり人を殺すバトルシーンに思想性があって、そこは面白かった。
生き生きと生きるため、正しい国を作るため、敵兵を殺したくはないがプロの軍人として殺す主人公のカーティスだが、彼はキゾ中将の臣下に下ることは断った。


なぜかと言うと、キゾ中将は自分に逆らう者は全員殺してゾンビにするという屍者の帝国の王を目指すからだ。キゾ中将は自分の軍の部下も殺してゾンビ兵にする。悪。


サーカス部隊の団長は金のために人を殺していたが、その思想の根底には強さこそ正義と言う木星帝国のカラス先生の考えがあり、強さ=資本力として金の亡者になっていた。単なる金の亡者ではなく、前作からの歴史的なつながりがキャラクターの思想に反映されていて深みがある。血縁や師弟関係が重要視されるのは武侠小説らしい。


もう一人の主人公で高校生の青少年のフォント・ボーはキゾ中将が自分の部下をゾンビにしてゾンビモビルスーツで襲わせるという蛮行をしているのに、敵を殺さないように気を付けて戦う。Gレコのベルリ・ゼナム君に似ている。また、ただ単に一般常識として人を殺したくないというだけでなく、フォントはこれまでの冒険の中で人の死に触れて、「死んだ人間は天国にも地獄にも行けない。消えてしまうんだ」という事を実感しているからこそ、殺人を躊躇する。


そのフォントの仲間であるMS乗りの元殺し屋傭兵のジャックはガンガン敵をぶっ殺しながら、人を殺さないように戦っているフォントに「そんな戦い方をしていると自分が死ぬぞ!」と怒る。フォントも反省する。しかし、ジャックは人を殺し過ぎた人間なので、口ではフォントが人殺ししないように戦うことに憤るが、内心では殺人サーカス部隊を裏切って命を大事にできるフォントの仲間になれたことを喜ばしく思っている。


そんな風にバトルマンガであるんだけど、バトルで戦う理由とか殺人に対する考え方が細かく一人一人のキャラクターで違う所に好感が持てる。


また、Gのレコンギスタでのベルリ・ゼナム君が人を殺したくないと強く思うのは、彼自身の性格と、恩師を殺したという悔恨からなのだが、割とベルリの周りの人はホイホイ殺している。また、ベルリが人を殺さないようにしたいと思うことに対して、あんまり周囲からのリアクションはない。ケルベスはちょっと空気を読んで褒めてくれたりなだめたりしてくれたが。
そう考えると、ジャックに怒られたりシーブックに説教されたりカーティスの背中を追ったりするフォントの人間関係はGレコよりはもうちょっとウェットなんだなあと思った。


そして、サーカス部隊最後の機体グレゴが、まんまパーフェクトパックと同じと言うか、全部載せ…。まあ、これはロマンですよ。全部載せメカは。blog.studio-himitsukichi.com

「10巻のメカニック解説で、『EMS-TC007 グレゴ』のページに『デザイン原案:樹季』の表記が抜け落ちていました。本当に申し訳ありませんでした。グレゴはMSコンテスト大賞受賞作、樹季さんのデザインをベースにしています。増刷分からは、かならず入れるようにしますので、なにとぞご容赦くださいませ」

全部乗せは大賞受賞作なのかー。コックピットのカバーのデザインが斬新。
あと、トモエが乗る巨大MAカオスレルのMS形態は生理的な気持ち悪さとメカっぽいカッコよさが同居している回デザインですごかった。

blog.studio-himitsukichi.com

「カオスレルは、アイディア賞のカオズレールと、名無しのマリオネット操縦型の合成モビルアーマーです。登場ポジション的に巨大MAになったので、デザインそのものは大幅に変えています。」
「うん、一応、ゴールデンエッグ部隊がジオンのMSの研究をしていた、という以前の設定を踏まえ、確かにエルメス発展形の雰囲気で作ったからね。そう思えるかも(笑)」


そういえば、キゾ中将の名前って何からつけたんですか? マリアはどうしたって「マリア」じゃなきゃならなかったと思いますが。
木曽義仲からとったのですよ(笑)。だからマリアさんがトモエなわけだ(笑)。もっとも、イメージソースに使っただけで、歴史上の人物とはキャラクターも行動パターンも全く違うけどね」
宇宙戦国時代にふさわしいネーミングだったわけですね。ということで、最強凶悪カップルなキゾとマリア。彼らの野望をフォント達がどう食い止めていくのか、クロスボーン・ガンダム ゴーストの今後の展開をぜひお楽しみに!

戦国時代だからなのかーッ!