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玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」第10話『明日からの手紙』大人になる未来とは?

明日からの手紙のわりに主要キャラの回想シーンで過去を描写し直すって言う話だったんだが。
まあ、火星に残った鉄華団の子どもメンバーやビスケットやタカキ・ウノの妹からのメールというわけで、「子供」=明日、未来ってことなんだろう。
今回の冒頭でおやっさんに「まだまだ子供」と言われた三日月・オーガスがラストバトルシーンにガンダムバルバトスで駆け付けたのもある意味明日からの手紙なんだろうね。日本刀ガンダムで明日を切り開くって言う。
そういうわけで、子供が重要だ、純粋な子供は、一生懸命になる坊やは浄化されたもの!夢なんだよ私の!みたいな価値感なのだが。
まあ、富野ガンダムでも子供が明日の未来で希望だ、みたいな場面がある。一方でカツが堕落したりもする。
なので、子どもの良さをアピールするのはガンダムとしては本流でもあるんだけども。


今のところまともな大人が鉄華団のおやっさんとアトラちゃんのおかみさんくらいしかいない。
アトラちゃん、売春宿で虐待されてた。
クーデリアお嬢様の親父は娘を殺そうとしてた。
決闘オジサンもCGSの社長もクズだった。


じゃあ、悪い大人をやっつける子供が偉いって言う脳みそお花畑な話かって言うと、そうでも無くて。


今回は大人の女性に酒の席での醜態を見せた後に同僚になって大人として仕事上の付き合いをすることを学ぶオルガだったり、
風俗で童貞を捨てて大人になろうと背伸びするユージーンとか、
色々と仕事や戦闘や技術や経営を学んでいこうとする鉄華団の面々であったり、
「大人になろうとする過渡期の子供」
を描いている。


では、純粋な子供がその志を持ったまま大人になればいいのか?


っていうと、それはそれで話は単純じゃないんだ。


CGSの社長も昔はクズじゃなかったということをおやっさんが言ってたし、クズの大人も子供がなり果てたものなんですよね。
今のところカッコいいタービンズのハーレム男もまともな大人かって言うと、完全にヤクザですし。


文盲の三日月が字を習ったり、ビスケットやタカキは妹たちを学校に入れたいと思っているし、教育とか学習で成長していこうという志を持っている。


では、正しい教育を受けたらちゃんとした大人になってサクセスできるのか?家族を幸せにしたら成功なのか?


っていうと、高度な教育を受けて育ったであろう、家庭環境や血筋もよさそうなマクギリスがおそらくライバルとして立ちはだかるであろうし、彼もまた正義の人かと言うとそうでも無さそうな雰囲気を持っている。
マクギリスがラスボスになる手前の中ボスくらいで決闘オジサンクランクさんの「いい大人としての面」に薫陶を受けたアインが鉄華団と戦うだろうし、きちんとした大人と言うのが存在するのかわからないし、鉄華団のメンバーもCGSの社長やトドみたいに適当に世間に擦れてダメな大人になって挫折するかもしれない。大人だった子供はいないが、子供だった時期があるのが大人なので。


なので、鉄華団の「お金を稼いで教育を受けたら俺たちはマシになれる」「家族を守れたらいい」という理想像自体が敵として立ちはだかりそうな構成になっていて、じゃあどうすればいいんだーって思う。おそらく教育を受けてない貧乏な鉄華団のメンツは漠然と「お金と教育で家族を強くしたら社会的成功できるんじゃないか」くらいの認識しかしてなくてやっぱり場当たり的な子供なんだなー。教育を受けているクーデリアが意外と現場では無知という風にも描いているし。教育を受けたらハッピーかというとそうでもなさそう。
まあ、ロボットアニメなので大半のガンダムのパイロットは事態を暴力で解決(したことに)してきたのだが。だから暴力でガンダムが敵をやっつけたらガンダムのアニメは強引にでもいつでも終われるんだが。
「大人になろうとする方法」自体を描くっぽい雰囲気の鉄血のオルフェンズは暴力で勝ち取ればサクセスだと言えなさそうな物語構成で、どう言う倫理的価値感を提示しながら終わるんだろうと、今から着地点が心配です。


オルフェンズの大人たちは割と大半が分かりやすいクズとして描かれているのだが、そのことで「大人を目指す子供である鉄華団のノーフューチャーぶり」「純粋な子供も結局は汚い大人になるしかない感じ」が暗示されていて先行きが分からない。鉄華団による革命とか火星独立とか地球との和平とかギャラルホルン解体という大枠に向けて戦う話でもなさそうだし。
風俗で童貞を捨てたユージーンがそれで正しい大人になれるのかって言うと、やっぱり売春宿でアトラちゃんが虐待されてたみたいに被害者の女性も描いているわけで。
何が大人として正しいのか価値観が問われますね。


nuryouguda.hatenablog.com
こちらの記事で僕は三十代の老害ガノタとして、

あなたは鉄血の感想を書かないほうがいいと思います。
あなたは鉄血で言うところのクランクさんの立場でしか鉄血を語れないと思います。
まあ三日月さんが2発で殺した1番組と違ってクランクさんは3発でありがとうを最後に言わせないくらい非情にころされてますけど。

というコメントを名無しに送られたので、僕も若いアニメファンではなくダメな大人になってしまったんだ。


なんだかんだ言ってファーストガンダムアムロは大人にならずに戦士になってしまったけど、小説版では逆襲のシャアで父親として子どもを守るために戦うルートと、年下の女の子に三マタをかけるルートの二種類の極端な大人になってしまってもいる。
父親としてふるまい、きちんとした大人としての意地をジュドーに見せて殴られて逆襲のシャアにつなげた普通の人、ブライト・ノアの息子のハサウェイは結局テロリストになってしまった。


ガンダムのパイロットで一番子供を強調していたウッソは結局最後は最強の戦士なのに畜産農業に戻った。むしろ最初から農家として自活していたウッソがロボットやメカに乗りたいという憧れを捨てるまでの物語がVガンダムだったのかもしれない。


これまでのガンダムの主人公がどのように思春期に決着をつけて大人になったのか、あるいは挫折したのか思い返してみるのも面白いでしょう。
富野由悠季監督の最新作のGレコでは「親が用意したガンダムに乗って戦うだけで大人になれるわけないだろ。人生経験をしろ」ってベルリを旅立たせたのだが。
オルフェンズはどういう青年像を提示するんでしょうね。岡田麿里さんは思春期描写に定評があるので、その思春期の終わらせ方に興味があります。
明らかに今回のアトラちゃんの重婚したらみんなハッピーと言うのはダメルートだと思うんだが(演出的にもギャグっぽかったし)。
三日月はすでに農業というウッソやシーブックのラストのような達観した境地の将来像を描いているのだが、そこからまたどう変化するのかが見たい。(突然激昂して初対面の人を絞殺未遂する殺人鬼になる内面も持っている)
あと、火星と地球の政治対立と言う大問題にヒロインのクーデリアが取り組んでいて、クーデリアは女傑として政治の面で大人になろうとしているのだが、そういうデカい大勢の人がかかわる国家間の問題をビルドゥングスロマンとして消化しきれるのかも期待半分不安半分。



いやー、どうなるんでしょうねー。
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