玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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ベルリの殺人考察第2部第13話B 飛翔すアイーダと記憶

 ガンダムGのレコンギスタ第13話「月から来た者」のBパートの考察です。


 ベルリの殺人や戦闘に対するリアクションについてのブログですが、ベルリのワンショットごとに分析する精度で見ていたら他のキャラクターの心情も見えてきた。また、マスクやクリムとアイーダと言ったメインキャラはベルリの心情に大きな影響を与えるので、中盤では彼らの行動を追っていくのも良かろうと思う。
 そういうわけで、今回は謎の月への欲求を見せたアイーダさんについても考えていきたい。月に1回くらいしかブログが書けなくてすまない…。富野監督の劇場版公開とどっちが速いのか…。しかし、動かないままでは始まらないから…。ゆっくりでも書く。


 あと、文章の質を上げるためにはキャラクターごとに項目分けをした方がいいんだけど、インスピレーションの速度がすぐに劣化するので動画を再生しながら画面ごとに順番に書いていきます。
 刹那主義!



 本放送の時の感想↓
nuryouguda.hatenablog.com

前回Aパートの殺人考察
nuryouguda.hatenablog.com

  • 地球人共同戦線!

 ベルリがケルベスと


アイーダに役割を確認させて何とかイニシアチブを取ろうとするのに、アイーダ

「さっさと行かないとマスクになめられます!」
 姉…。ほんと、姉はこういうムーブをする。この時点ではまだ姉弟と本人たちは知ってないんだけど、アイーダはマスクには敬語を使ってるのにベルリにはすごい当たりがきつい…。カーヒルを殺された恨みだけじゃなくて、わりとベルリが自分を守ろうと頑張る気持ちを分かった上でアイーダが年下の彼への当たりをきつくするの、本当に女って感じがする。
 アイーダに恋しているベルリにはこれはつらいと思うんだけど、がんばってしまう。



 しかし、まあ、クリム主導の月人討伐へのベルリのやる気の無さがこういう隊列の順番にも表れてしまうのだ。G-セルフは後ろの方。


 ほんで、先陣を切るマスク大尉はクリム・ニックからの光信号を受信する。

「あれこそアメリア軍のクリム・ニック大尉か」
 うーん。Gレコは未来を舞台にした時代劇なんだなあ。こういう古風なセリフ回しの雰囲気、実は結構好き。ていうか、マスクおまえ、5話でクリム・ニックのことを知らない時点でモンテーロの頭をもいでただろ。こういうモビルスーツ越しの殺し合いをしてる人間同士の雑な認識の関係、アバウトで人間らしい。



 で、先日まで殺し合いをしていたマスクに対して、ベルリは映像の原則的には最高の悪意と殺意のポジションである「左上」からマスクに接触回線で温和な口調でクリムのモビルスーツを紹介する。ヤバいね。これは。映像の原則では左上はめっちゃ悪のポジションなんだけど、そこから全く敵意の無いベルリ君の接触回線を描くことで、逆説的にベルリ君は敵意のポジションに立っても悪意を発揮しないスーパー善人のノンポリ平和主義者だと表現しているわけ。ビビる。


 ちなみに接触回線と左右の映像の原則としては、第4話でベルリがカットシー部隊をガンガン殺してしまって自分の中の「悪」に震えるところに、「善」を象徴する「右上」からクリムが接触する場面がある。

 この4話のカットで、ベルリは自分の悪を善のポジションのクリムに言いくるめられて、恩師との戦闘をうやむやにしてしまうって言う、けっこうひどいシーン。
 あと、左上のG-セルフは問題の前期EDのパンチ。
 クリムは善人かって言うと、まあ、最後まで見ると善でも悪とも言い難い武人だったのだが。富野監督レベルの映像の原則マスターになると、映像の原則の画面の印象の演出をキャラクターの性質の「外し」に使うことがあって、まあ、それはすごくテクニカルにうまいんだけど、ぱっと見のわかりやすさとはちょっと違う。


 そういうわけでやっぱりGレコはわかりにくいと言えばわかりにくい作品なんだけど、そういう演出技巧が60回くらい見てると今みたいに分かる時があるので、それはワクワクしますねえ!
 とりあえず、ベルリは前回までガチの殺し合いをしていた相手にも全く敵意を持たずに通信するような、すごい純粋な青少年と言うことだけ読者の人はわかってくださればよろしい。
 しかし、G-セルフは隊列の後ろの方に居たのに、マスク大尉がクリムの光信号を読んでいる間にマックナイフの真横に気配無く追いつくので、やっぱりベルリの操縦テクニックと敵意の無さ(これはガンダムのNT戦術ではチート)はヤバい。ベルリがここでマスクをなんとなく殺害していたら最終回であんなにハチャメチャバトルをしなくてもよかったのに…。ベルリは最強だし、最大のライバルのマスクに気配を感じさせずに接触するとか、地味に怖いな。でもそこでマスクを殺せないところがベルリの「秩序/善」の弱点なんだよなあ~。


 で、流行りのFate/GO風に言えばベルリは「秩序・善」(主人公とか円卓とか術ギルね)で、クリムは「中立・悪」(SNのキャスターやアサシンとか赤のアーチャーね)で、マスクは「混沌・中庸」(モーさんとかフランちゃんとか葛飾北斎とか)だと思うんだけど。
 まあ、別に富野監督は奈須きのこさんのことは意識してないと思うけど、善悪と中庸のパワーバランスの類型として、ベルリとクリムとマスクの三人の青年を配置したって言うのはエンディングテーマの絵でも分かると思う。



 マスクからクリムにワイヤーで接触回線をするときは、先ほどのベルリからの手と肩の接触とは違って、ワイヤーで距離を置いて、上下関係も緊迫した平衡の構図になっている。敵意の無いベルリは「左上」からなんとなくマックナイフに手で触ってしまうけど、悪意を持っているマスクとクリムは腹の探り合いをしているので、ワイヤーで距離を置きつつ、同じ高さでにらみ合いになるわけ。こういう地味な対比で感情表現を作っているの、実に感心する。
(ここら辺は菱田正和さんなのか斧谷稔なのか、どっちがコンテを切ったのか、スタジオの裏のことは視聴者の僕にはわからんのだが、まあ、キンプリも上下関係とか勝負に厳しいアニメだったから…)


 で、ガンダムZZだったらリィナが嫌がりそうな嘘まみれの会話をするライバル二人。





 ホント、クリムのこういうところ、めっちゃ「中立・悪」って感じ。キャピタル・タワー憲章の救助の項目のルールを悪用するところとか。
 抜け目なく戦争慣れしている自分を意識して、戦争慣れしていない連中の中心部を効率よく殺すために、前回まで殺し合っていたキャピタル・アーミィのマスクたちと共同戦線を張るとか、実に「中立・悪」。
 で、マスクの強化で混沌属性を帯びているけど、善悪の両方を持っているルインでもあるマスクは「混沌・中庸」。


 クリムの指揮官をピンポイントで殺そうって言う邪悪なプランをメタに批評しながら、適度に付き合うし表面的に友好的にする態度なー。


 で、

 「秩序・善」のベルリはクリムのプランの悪辣さをそもそも認識できなくて「交渉団が出たなら別に戦わなくてもいいんじゃないですかね」、みたいにおっとりしたことを言う。この、倫理レベルの個人差によってコミュニケーションの観測がちゃんとできない感じが本当にヤバい。



 悪い、悪すぎるクリム・ニック。交渉団を殺すんじゃなくて、交渉団が出たことに気づかないふりをして旗艦を叩くって言う主旨らしいが。クリム、ゴンドワンとの大西洋大陸間戦争でもこういう態度をしてたんだろうな…。
 で、「白旗を上げて行ったらトワサンガの艦隊は油断するだろう。そこで旗艦を殺す」ってクリムは発案するが、ベルリは善の人なので、その卑怯さに気づかず「白旗で友好関係するんですねー」みたいに言いくるめられる。お前、主人公なんだからもうちょっと気を付けろよ!まあ、この時点のベルリもトワサンガの艦隊を宇宙からの脅威だと思っているので、効率厨としては「一番悪い指揮官の乗っている旗艦だけを落としたら戦争が一番早く終わるし、犠牲者も少ない」と考えていたのかもしれない。(こういう考え方が最終回でベルリを泥沼のカバカーリー戦に追いやるのだが)

 まあ、視聴者も3話のクリムがレックスノーをあんまり殺さなかったので、第一印象でクリムは殺人をしない人って思いこまされた部分もあるんだが、ベルリも「メガファウナで同じ釜の飯を食ったクリム大尉がそんな卑怯な人だとは思いたくない」という心理で懐柔された面もあると思う。



 ここら辺のすごい嘘くさいマスクとクリムの、互いにうわべだけの嘘で会話してるって言う感じが出ている声優の演技もすごい。音響監督もどういう指示をしたんだろうな。しかし、Gレコは堂々と悪いことをしてるキャラが楽しそうだな…。




 で、交渉団のボート(ランチ?)に乗っている三幹部のターボ・ブロッキン大佐に「大桟橋から地球人どものMSが出たんだぞ!」と注意されて、MSモランの優秀な複合センサーでクリム達の白旗を確認したロックパイ・ゲティくん。「降参したって相図じゃないか!」ってコロッと騙される。
 ロックパイくんもトワサンガから見たら主人公格の若者で、その土地の「秩序・善」の青年なんだろうなあ。それで、白旗のルールを守って投降の使者だと思い込んでしまう。ドレット艦隊の戦艦を見せただけで地球人は降参すると思い込んでいた、∀ガンダムのムーンレィスみたいな富野アニメの月人の伝統でもある。
 しかし、レイハントン家との抗争を経験した世代でもあるターボ・ブロッキン大佐やノウトウ・ドレット将軍は冷酷。




 ここでマッシュナー・ヒュー中佐が殲滅の指示を出した時に、ドレット将軍はちょっと嬉しそうな顔をするのだが、マッシュナーはドレットから見ると少年兵でもないけど、次代の本物の軍人の候補の三十代女性キャリア職員って感じなのかな。目をかけてるんだろうなあ。マッシュナーの隣に女性軍人がいるのも、女性も軍人になる富野アニメらしい。



 んで、アメリアの出来立ての奴ではなく、本物の宇宙艦隊を見てノープランで「どうするんだ?」とか思っていたベルリ、クリムの後ろをついてきただけなのに、メチャクチャ砲撃される。ベルリは天才だし反射神経もすごいけど、わりとノープランで戦場に出るところあるよね…。Gレコは所属が流動的だし指揮系統がちゃんとしてないところもあるけど…。シンカリオンは公共事業なので頑張っている。ダリフラは指揮系統と言うより思春期がテーマだから…。


 見破られていたのでとりあえず無敵バリアーを張りますよー。ベルリは割とノープランなのに、G-セルフは超絶無敵汎用マシーンなのでどんな苦境に陥ってもいきなり無敵バリアーを張れたりする。いや、こんな広範囲の無敵バリアーとか今までのガンダムにはなかったのに…。軽率にイデオン並みの最強のバリアーを出すのが富野…。ガンダムセンチネルで「オールドタイプ最強のSガンダム」とか若手が頑張ってたのに「νガンダムのフィン・ファンネルはバリアー・フィールドも張れます」ってチートなアイディアを出す富野。そういうところだぞ!



 G-セルフが守ってくれなかったらどうするつもりだったのだ天才。


「迎撃は!」

なんでこんなに楽しそうなんだバララ・ペオール中原麻衣)。

 ルアンも死に瀕してなぜか楽しそう。
 バララの「戦艦は飛行機には勝てないの」発言もあるけど、さすがにミノフスキー粒子なしで艦隊からホーミングミサイルと艦砲射撃をくらって、なんでこんなに楽しそうにできるのか、ちょっと謎。Gレコの時代の地球人は闘争本能がすごいのかなあ。まあ、G-セルフがシールドを使わなかったら迎撃する以前に即死してたわけだが。


 で、砲撃がやむ。


 秩序のベルリはルールに則ってザンクト・ポルトの地形効果を当然のことのように説明するが、中立悪のクリムはそれを自分が利用できたことで笑う。こういう性格の違いが地味に。同じ場所、同じものに対しても、受け取り方が育った環境や性格で全然違うって言う、手塚治虫的なグローバリズムの先を行く富野世界観なー。
 ちなみに、クリムが一方的に「相手は戦争慣れしていない。白旗とかザンクト・ポルトなどのルールを逆手に取れば自分が勝てる」って思いこんで死にかけたのは、おそらく前回、キャピタル・タワー憲章のルールを逆手にとってザンクト・ポルトを占拠した成功体験で認知が歪んでいたからだろう。キャピタル・タワーの上に行くにしたがってルールに縛られているので、その上のトワサンガの連中もタブーに縛られているんじゃなかなあ、みたいな思い込みがクリムにはあったんだろうな。
 つかめプライド、つかめサクセスがGレコのテーマの一つだが、前回の成功体験が次の作戦の落とし穴になるという教訓も含まれているんですねえ。塞翁が馬ですなあ。

  • 月人との交渉



 有名な、ギリギリまで引き付けて、ドレットたちに会わないように音もなく逃げるクンパ・ルシータ大佐の問題のシーン。そういうところだぞ。




 ずっこけるよな。
 「問答無用で軍艦を撃ち落とす月人の軍人!コワイ!」って第一印象を植え付けて戦闘した後、Bパート後半で「同じ宗教の文化を共有してるし、法皇とも知り合いでした~~~」って、この視聴者の印象や認識をぐちゃぐちゃに揺さぶるスピード感!
 いや、法皇様、ドレット将軍と知り合いならガビアルが撃沈された時点で「トワサンガはそんなに怖くないよ」って言えばよかった気がするし、なんで退避しようとしてグシオン総監のボートに誘われたりしたのか謎なんだが。でも、法皇と言う日本の天皇に匹敵する重責の立場だったら、現場が炎上して戦争してるときは黙ってて、落ち着いて会議が始まってから挨拶をする、っていうのがゲル・トリスメギストス・ナグ法皇の処世術なんだろうか。ゲル法皇は最後まで見ても底知れないな…。すごくガタイが良いのに、本人はあんまり動かない法皇。さすが人類が絶滅しそうになった時に作られた宗教の最高職だぜ。
 善悪の彼岸にあるなあ、Gレコは。このキャラは敵、このキャラは味方。みたいに区分けしてない。ぐっちゃぐちゃ。知り合いが砲撃してきても法皇は事態が落ち着くまで静観。うーん。大人。



 お姉さんたちの香りに圧倒されたので、マスク大尉の正体に気づかないベルリの問題のシーン。でも、ベルリの隣の4人は全員男なのでは?そんなに姉が好きなのか…。バララちゃんとは生身では初対面だと思うけど、やっぱりバララちゃんはベルリ候補生には刺激的なのだろうか。プリキュアがデザインモチーフだしな…。



 あれ?スペース・ガランデンモビルスーツデッキでAパートでマスクとバララは自己紹介してなかったっけ?でももう一回する。テレビだからか?その時に居なかったクリム達にも聞かせる気分があるのだろーか?





 クリム、白旗作戦が破られたし、そもそも白旗作戦で狙っていた旗艦ギニアビサウにはノウトウ・ドレット将軍たち三幹部は乗っていなかったのに、この切り替えの早さ。
 天才は頭の回転が速すぎる。失敗体験を引きずらない!クリムのメンタルの強さはどこから来ているんだろうか。大陸間戦争や恋愛で成功体験を積みまくったんだろうなあ。しかし、男性なのに腰まである長髪とか、ちょっとイケメン過ぎない?自分より背の高い金髪女性にもコンプレックスを持たずに普通に恋愛するぜ!




 頭の回転が遅い一般人のモブキャラは前回と同じことを言う。「もう見た…」
 ザンクト・ポルトスペースコロニーらしいけど、劇場版ではここで暮らしている人々の描写は増えるのだろうか?145個のナットにはそれぞれ町があるらしいけど、どの程度ヒトの交流や移動の自由はあるのだろうか?(地球にはキャピタル・テリトリィ以外にはほとんど人類がまともに住めるところはないって言う設定らしいが)(日本は富士山が数回噴火してもしぶとく新幹線を走らせるぞ)


 ルアンが「スペースコロニーの構造とかよく分からねーな」ってケルベスに言って、教員免許も持ってるケルベスが指導したり、知能指数のキャラごとの違いを見せてくる。



 身分の違いも見せてくる。クンタラのマスクがセフレのバララに「ハイクラス部隊しか入れないところなんだぞ」って言うの、めっちゃメンズって感じ。メカの後ろに女子を乗せて自分たちの身分を自慢するマスクとか、鳳暁生だ…。
 クリムもミックを後ろに乗せて得意げにエスコート。


 んで、我らが主人公のベルリ君。

 思い人を後ろに乗せて、女友達(ベルリのことが好き)のノレドがともだちのラライヤが熱を出したことを訴えているのに、無言でスルー。そういう所だぞ!!!!!!!!!!(密会のアムロもフラウの生理に無関心という描写があったので、ガンダムの主人公の伝統ではある)(使用人のロランはお嬢様の生理用品を手配していたのだろうか)(ディアナ様は生理があるのだろうか)
密会―アムロとララァ (角川スニーカー文庫)
ターンAガンダム 1 角川文庫―スニーカー文庫

 まあ、好きな人を後ろに乗せていたら、男子高校生としては勝手に片思いを寄せてくる女子にかまう余裕はないんだろうけど、そういうところだぞ!ベルリはアイーダさんに惚れっぱなしなので他の女子にかまわないのでハーレム展開にならないんだよなあ。まあ、ハーレムを維持するのはめんどくさいって、富野作品では割と初期に破嵐万丈が示してるし、ハーレムは実際しんどいんだけど。こういう細かい所でベルリは弾けきれないんだよなあ…。
 (ノレドに医者を紹介したのは知的レベルが低いと思われたケルベスとルアン。ここら辺は成人男性の余裕だろうか)



 押し通るマスクとバララとクリムとミック。ベルリたちは何となくついていく。ベルリ、ほんと、こういうところで主導権を握れないんだよなあ。




 地球のアメリア人と月のトワサンガ人がたがいに相手の悪い所を言い合って主導権を主張する議論。
 ドレット将軍はマッシュナー中佐に「地球人が大陸間戦争をしているからトワサンガも武力は必要だと思ったんです」と論点を微妙にずらしていく言い方をさせて、自分は鼻をいじる。大陸間戦争をするようになったのはピアニ・カルータがヘルメスの薔薇の設計図を撒いたからなんだけど。ドレット将軍とクンパ・ルシータはどの程度交流があったのだろうか。地球で戦争が起きてるから月も軍備が必要、って因果関係が微妙にずれているんだけど。でも、現実の21世紀の地球のテロ対策もそういう所がある。


 しかし、クリムはそういう前世代の暗躍を知らないので、分かってしまう。




 いや、なんも分かってないやんけ!クリムは「ゴンドワンとの大陸間戦争で戦い抜いた俺!」という自意識がすごくあるのだが、ゴンドワンにそそのかされてトワサンガが地球にレコンギスタをするって言うのはゴンドワンへの風評被害がすごいだろ。ゴンドワン人のガランデン艦長はトワサンガの存在を知らんかったしな。クリムはゴンドワンへの敵意が強すぎて認知が歪んでいる。
 「レコンギスタを実行するのだな!」って13話にしてタイトルの伏線を回収したので何となく正鵠を射たように見えるけど、この時のクリムの台詞、全部思い込みだ…。視聴者も「タイトルを回収したからクリムが分かってしまったのは本当かな?」って思わされてしまうのだが。実際、テレビ番組だと真偽はともかく自信満々な態度で発言する大統領の息子の言っていることがなんとなく正しいように聞こえる傾向があるし。トランプの息子のシオニストとか。
 クリム、態度はでかいけど、この時点では全部嘘やんけ。(交渉のテーブルをわざと揺らして何かを出そうというブラフの可能性もあるが)



 当然、トワサンガ人のロックパイに滅茶苦茶怒られて腹パンされる。トワサンガゴンドワンにそそのかされるようなへぼい国じゃないからね。クリム、ベルリにも関節技を決められたし、MS操縦の天才だけど生身のケンカは弱いのでは…?




 地球と言う自然保護区を管理していた自負のあるトワサンガ人のロックパイと、そこで育ってきた地球人のクンタラのマスク大尉の地元愛のぶつけ合い。ちょっとけものフレンズジャパリパークのミライさんとフレンズみたいなところあるね。ラッキービーストがフレンズを敵視し始めたらBLAME!みたいになるな…。そういう戦争がGレコなんだけども。こういう部分部分ではGレコはヒットアニメに似てる部分がある。というか、富野アニメを適度に薄めた後発作品がヒットするというのがここ10年の僕の持論。富野アニメは、岩塩です。ナメクジは触っただけで即死します。(富野アニメを全部見た僕は、ちょっとラーメン大好きに味覚が偏ってるところがある…)



 そんで、部下や若者に適当に論戦させた所で、なんとなく落ち着いた態度で場をまとめる感じのドレット将軍。




 会話の運び方が老獪~~~!富野監督もテレビアニメの企画制作と言う闇の業界でこういう風な口八丁手八丁の海千山千のプロデューサーや代理店やスポンサー連中と渡り合ってきたんだろうなあ。後、学生運動
 適当に部下に揉めさせておいて、そこで注意する体裁で自分が正しいことを言っている雰囲気で周りの人をなんとなく納得させる雰囲気~~~。



 で、なんとなく場を仕切ってから、さらにトワサンガからの協力者や密航者やレイハントン家の生き残りなどのリストアップの要求をする。政治論戦は勢いに乗って要求を畳みかける!
 しかし、その何気ない「トワサンガ」というワードがアイーダさんの記憶の逆鱗に触れた!


 アイーダさんがここで無意識にベルリの肩に手を置いたのは血のつながりを本能的に感じていたからだろうか…。







 周りのメンズのびっくりした表情など、当時富野監督が大いに影響を受けていたという週刊少年ジャンプ連載のONE-PIECEっぽさがある。
 しかし、グランドラインとかワンピースという作中のみんなが常識で知ってる伝説と違って、トワサンガはあんまり知られてない。なので、アイーダがここでワンピースのルフィみたいに目標設定をするのはちょっと唐突感があった。
 なのだが、今回ベルリの殺人考察をするにあたり、ベルリの射撃の一つ一つのお気持ちを忖度する作業をするくらいの解像度でGレコを見たところ、どうもアイーダさんがトワサンガを目指したのは、単なる望郷意識なんじゃないかと思えてきた。13話の各所で「トワサンガ」や「レイハントン」というワードに反応していたし。幼児の時のアイーダの記憶が無意識にあったのではなかろうか。
 アイーダ自身はこの時点では「レイハントンの記憶」を自覚していないので、「大人たちの会話だけでは何も分からないので行動した!」みたいに言っているし、視聴者も「大人たちの既成概念に捕らわれない新世代の女性としてのアイーダさん」みたいに思わされたのだが。
 何度も見ていると、そういう「世界の本質を調べたい」という理屈ではなく単に「無意識に帰巣本能が刺激された」という本能的な感情がアイーダを突き動かしたようにも見える。NHKの人形劇、プリンプリン物語ですね。
 ここら辺の女性キャラクターの理性で動いているようで感情で動いている部分の動かし方は富野由悠季作品の女性キャラクターのなんとも曰く言い難いものです。しかも、それを台詞で説明しないし、キャラクター自身も自覚してないので、視聴者は細かい手先の動きから類推するしかないという。
 そして、やっぱりベルリはそういうアイーダの尻を追いかけるだけで自分の欲はないんだよな…。

  • CM

starwing.jp
(音が出ます)
 アニメ制作サンライズアーケードゲーム制作スクウェア・エニックス!Gレコのメカニックデザイン形部一平さん、Vガンダムメカニックデザイン石垣純哉さん、アイカツ!の脚本加藤陽一さんが作る
 星と翼のパラドクス
 キャラクターデザインは富野監督が潰したいエヴァンゲリオン貞本義行さん!
 声優には今話題のクソアニメに出演している小松未可子さんたち!
 アニメーターには今回のGレコ第13話に参加した黒崎知栄実(代表作、Go!Go!ゴマちゃんのキャラクターデザイン)さんなどサンライズ系の人が参加しているぞう!
 Gレコファンは劇レコを待つ間に星ツバにドロップドロップ☆(これの売り上げが会社をロンダリングしてGレコの劇場版の資金になるといいなあ…)


 以上、お知らせでした。

  • 次回予告



 ライバルが戦って姉が着飾ったら主人公はキレる。



 ラライヤさんに対して、本当に雑な認識のベルリ。



 ベルリが現実を直視しろと視聴者に訴えるとき、ベルリもまた現実と直面しているのだ。(ラカン派)


 つづく!


  • 私信

 殺人考察第二部は13話で区切りがつく気がしたけど、14話まで引っ張る気がした。第三部は月と金星で、第四部は金星から戻ってからだと思う。しかし、富野監督は五部作にしたいという。うーん。今までのガンダムの総集編は前後編か三部作だったのに。まあ、オリジンよりもボリュームはある。区切りとか配分、どうなるんでしょうね。
 でも、さすがに殺人考察に2年もかかっていると記憶が薄れてきたので、ちょっと後半を一気見してから書こうと思います。なのでただでさえ遅れている考察がさらに遅れます。
 あと、GyaO!でなかなかレンタルビデオにないシスタープリンセスが配信されたので、それも見ます。もう購入しました。シスコンなんですがシスプリ、ジャスト世代なのに見てなかったんですよ。あの頃の堀江由衣…。いや、まほプリとプリアラシスプリ声優は出ている…。
 富野監督のGレコ劇場版が先か、僕のテレビ版2周目の感想が先か、競争だ。
 Gレコファンは劇場版が遅いし他のガンダムのアニメが新作発表されて焦れている。
 しかし、僕はテレビ版の反芻も終えていないのに劇場版が出されると非常に困る。
 うーん。
 富野監督はとりあえず、生きている間にやりたい仕事を片付けてから老人として終活してください。


 Gのレコンギスタは当時60代後半だった富野監督が吉田健一さん、コヤマシゲトさん、あきまんサンライズなどの才能を巻き込んで企画に7年もかけた異常な作品ですので、それを前代未聞の五部作に再編集するのは想像を絶するので、時間がかかるのはしゃーない。
 でも、アニメ監督が死んで企画がぽしゃるのは何度見ても本当に残念だし、富野監督は終わるまでは生きててほしい。
 Gレコのブルーレイディスク最終巻の特典に収録されているGのレコンラジオに、わたくしグダちんはお便りを投稿して、「富野監督はテレビ版終了まで生きてて偉い!」って直々に褒めたのですが。(わたくしグダちんのことを呼ぶ寿美菜子さんが聞けるのはGレコだけ!買ってね!)
ガンダム Gのレコンギスタ  9(特装限定版) [Blu-ray]

 本当に劇場版が終わるまでは生きててくれ…。俺も止まらねえからよ…。止まるんじゃねえぞ…。富野監督はクリント・イーストウッド監督よりは若い!大丈夫!

  • 次回の殺人考察

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このブログは基本無料で最後まで読むことができますが、読者は著者に物を送ることもできるし、物を送らないこともできる。(意味が分からない人は保護者の方にもGレコを見せてください)
 別に憐れんでほしいわけではないので乞食行為ではない。贈与税は年間110万円まではかからない。
 僕もリアル現金がたまったらサンライズ第一スタジオのアニメーターにお米券などを送ろうかと思っている。まあ、リアル現金がないからブログの更新も遅れてるんだけど…。はあ。働かないでブログを書いているだけの大学生時代に戻りたい。(留年はしたし、むしろ休学して引きこもっていた。就職にも失敗したので六本木ヒルズのKLabにしか就職できなかった。過労で辞めた。ドリコムアイマス新作にスクフェスが焼き尽くされたらいいのに…)


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