脚本 :五武冬史
絵コンテ :須永司
演出 :森邦宏
作画監督 :木村貴宏
:森下博光
デビルガンダムについては総論で述べる。
師匠について。
っていうか、今回の話はすごい絵がきれいで力が入ってたなあ。
うん。原画多いな!多ければいいというわけでもないのだが。
超級覇王電影弾(スーパーヒーローテレビ弾)でドモン・カッシュとマスター・アジアの顔がメリーゴーラウンドになるのは当時のアニメージュの今川泰宏Gガンダム特集で大きく扱われるようなインパクトのあるシーンだったことを覚えているんだが、BGMはすごく悲しい音楽なんだな。
チボデー・クロケットも「悲しくも美しい、魂の響き…」という。
超絶戦闘シーンにマイナーコードを使うのはイデオンっぽいな。
他にも、展開に忠実に映像の原則を守りまくる。富野っぽい。
ずーーーーっとドモンが下手にいるんだが、
http://jiyuunomegamihou.hp.infoseek.co.jp/dai-45-wa.html
ドモン:あんたのやろうとしている事は人殺しに過ぎん!マスター:ドモン…(拳を開き、ドモンの拳を握ろうとする)
ドモン:えぇいっ!(マスターの手を跳ね除ける)
マスター:こ…このうつけものがぁぁ!!(師匠、すごく悲しそうな顔の後ぶち切れ)
このシーンでの交錯で上下が入れ替わる。なるほど、ここですでにドモンは師匠に勝ったも同然ということだな。アニメはこういう風に絵で判るのが面白いな。
ドモン:んんっ! 東方不敗! あんたは間違っている!
マスター:なにぃぃ?
ドモン:なぜならば、あんたが抹殺しようとする人類もまた、天然自然の中から生まれたもの! いわば地球の一部。それを忘れて、何が自然の、地球の再生だ! そう、共にいき続ける人類を抹殺しての理想郷など! 愚の骨頂!
実は、このせりふがガンダムシリーズのせりふの中でトップクラスに好きだったりするのだが。
(「クロノクル、来い!」とかカテジナさんも好きですが)
ここまで言葉で説明しなくても、その前の拳のぶつかり合いだけで当事者の武道家同士には心がわかっていたんだな。
まさに、武闘家はニュータイプだな。
その後は、もう師匠はドモンに自ら倒される事のみのために戦うのだ。
というか、最初からそもそもこの戦いには何の意味もないんだよな。デビルガンダムはぶっ壊れたし。
しかし、個人の感情の決着だけはつけなければいかん。というのがガンダムらしいな!
んで、正義の味方であるシャッフル同盟の仲間たちの戦いは、ただの戦闘行為や殺人、強さの序列ではなく憑き物落としだと僕は考えるようになっている。デビルガンダム四天王のミケロ・チャリオット、ジェントル・チャップマンも、キョウジとシュバルツも、死によって開放されたのだ。(逆に、旧シャッフル同盟は自らの死によって新シャッフル同盟のデビルガンダム憑きを落とした)
とはいえ、1994年のアニメ作品ということで注意しなければいけないのは、「悪いやつはポアしてしまえばよいのだ」という選民主義と受け取ってはいけないということだ。富野監督はすごくオウムに責任を感じたね。誰も頼んでないのに。そしてうつ病へ。西崎義展氏はコスモクリーナーまでパクられたのだが、特に談話を出したという記憶はない。っていうかつかまった。
松本零士はここでは触れない。
なぜ、オウムとガンダムは一線を画すのか!それは!憑き物を落とすのも、落とされるほうも、毒ガスなどというしょぼいものではなく、互いに生命を限界まで燃やし尽くすということが描かれているからに他ならないっ!
それは伝説巨神イデオン発動編を筆頭に富野アニメには描かれ続けていることだ。
で、Gガンダムもとてもガンダムらしいよな!
すばらしい!
というわけで、シャッフル同盟同士の戦いでも最後まで色が変わらなかった最強のゴッドガンダムとドモン・カッシュが、ついに!ここへ来て金色のハイパーモードとなります!ガンダムクロスっぽくもなります!
師匠も金色に!
これこそ頂上決戦!
マスター:ふん…ならばワシが正しいかお前が正しいか、決着をつけてくれるわぁぁ!
ドモン:おおうっ! キング・オブ・ハートの名に懸けてぇぇ! はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! たああっ!!
マスター:ふあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ… ぬああああっ!
ドモン:行くぞぉぉ!!
マスター:おおっ!!
ドモン:はぁぁぁぁぁっ 流派!
マスター:東方不敗がっ!
ドモン:さいしゅうぅぅぅ!
マスター:奥義ぃぃぃ!
チボデー:来るぞぉぉぉ!!
ドモン:せき!
マスター:はっ!
ドモン&マスター:てんきょぉぉぉぉっけぇぇぇぇぇぇぇん!!!
チボデー&サイ&ジョルジュ&アルゴ:ああっああ、あああっああっああああ…うわああああ!!
バニー:チボデー!
チボデー:俺たちは、ここを動かねぇ!
アルゴ:最後まで、見届けるっ!
ジョルジュ:なぜならこれがっ!
サイ:オイラ達が、一年間夢見た瞬間だから!
ドモン:ぐおおおお!
マスター:どぅあっふっふっふっふっふっふっ だぁーはっはっはっはっはっ! そこまでか! 貴様の力など、そこまでのものに過ぎんのか! それでもキング・オブ・ハートかぁっ! 足をふんばり、腰を入れんかぁぁっ! そんな事では、悪党のワシ一人倒せんぞぉ! この馬鹿弟子がぁぁっ!
ドモン:うおおお… ぬうっ…
マスター:何をしておる! 自ら膝をつくなど! 勝負を捨てた者のする事ぞぉぉっ!! 立て!立ってみせぇぇい!!
ここで、師匠はドモンのみぞおちに再度石破天驚拳を放ち、その勢いで起き上がらせるの。それだけでも泣けるのだが、このとき、師匠の拳に一瞬だけ、チラッとシャッフルの光が浮かぶんだよな!
まだ全部継承してなかったのかよ!
ドモン:うっうるさいっ… 今日こそは俺はあんたを超えてみせる! はぁっ!
マスター:どぅぉぉおお!
チボデー:行けぇぇぇぇ!!
ジョルジュ:ドモォォォォン!!
サイ:とどめをぉぉぉぉ!!
アルゴ:撃てぇぇぇぇ!!
ドモン:おおうっ! 石破てんきょぉぉ! ゴォォォドッ!! フィンガァァァァァァァァァァ!!!
マスター:ぬぅぅっおおお!!
ドモン:ヒィィィィィィトオオッ! エェェェェェェェェェェェェェェン……
マスター:よぉぉし…
ドモン:あっ…
マスター:今こそ、お前は本物のキング・オブ・ハート…
ドモン:し… し
しょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!
シャッフルの紋章を死に際に輝かせ、一子相伝継承完了!
すっげええええええ!王道だ・・・。
それでもドモンがサウザーみたいにならんかったのは愛と悲しみを知り明鏡止水の境地に達した男だからだな。うん。すげえ。
遅かったけど。
なるほど、ギアナ高地でゴッドガンダムがマスターガンダムをボコボコにしたのだが、その時はまだ、自分ひとりの明鏡止水にしか過ぎなかった。師匠の拳の悲しみを判ろうとはしなかった。だから、表面上ボコボコにしたのだが、マスター・アジアを完璧に打ち倒すことはできなかったのだな!
そして、師匠を屠った瞬間、やっとドモンは拳を通じて敵の心を知る、相手の心を飲み込んで、それでもなお明鏡止水であるギャザー・スタイム的な肉体派ニュータイプに成長したわけだ。
島本和彦先生の言うとおり、「今どき特訓くらい誰だってしている!肉体面だけではなく、精神面で勝つための説得力が萬画には必要!」
やっとマスター・アジアの決勝大会出場の謎が解けた!(ちょっとむりやり?)
そう考えるとGガンダムは今川版Zガンダムということもできるのではないかな?
で、真のニュータイプだから、相手のことを感知するだけの冷血人間ではないのだ。だから、師匠を殺してしまったら大泣きする。暁の美しさに叫ぶ。
うん。DVDを見るときは何度でも泣きましょう。
だが、一度泣いたら振り返らないのだ!
兄と師匠を殺したのはドモンだが、彼らの体も蝕まれていたのだから、これが一番幸せだったのだ。悲劇ではない。だが、何度でも泣きましょう。
ドモンの素敵なところは、主義主張が全くなく、とても大きな男である自分にあまり自覚が無い所が良いな。だから、マスター・アジアに説教をかました時も理屈っぽくないというか、当たり前の事を述べただけっぽくてステキ。
ただ、自覚がなさ過ぎて自分の愛を見失う事もドモンはよくやる。ニュータイプといっても便利ではないのだ。
- なぜ、師匠はドモンの当たり前の理屈に屈したのか!
師匠がドモンの言葉に負けたのは、
「あんたのやろうとしている事は人殺しに過ぎん!」
の一言。
ドモンは正論を言う。「だがっ! 無闇に人が死ぬよりははるかにいい!」とかも歴代ガンダム主人公の言ってきた事だ。
だがしかし、正論を言う主人公を見て、視聴者が「主人公は取ってつけたようなきれいごとを言うよね。マンガだしね」とか言うのは悲しい事だ。
まあ、悪党の方が色んな業を背負っててモノを考えているように見えるし、悪役の方が制作者の言いたい事をいいやすいという側面もある。
とか言っても、やっぱし正論というか単純な事の方が強いと思う。
だって、師匠の論理って破綻してるもんな。
なぜならば!地球は最初から泣きも笑いもしないのだ。泣いたり笑ったりするのは人類だろ。
動植物が地球に甦っても、そんな世界を守ってデビルガンダムは一人でぼんやりしていればいいのか?
そもそも、師匠がガンダムファイトの弊害を実感したのは、ローマ、パリ、ロンドン、京都、香港の都市が朽ちていく姿を見たからだろう。それって、人類の文化が壊れる事じゃないですか。それを破壊するのが人類だとしても、破壊されるのも人類なのだから、人類を憎んで地球を甦らせようとするのは対象をすり変えている。
むしろ、地球は勝手に甦りつつあった。チコ・ロドリゲスの海が。人類が滅ぶかどうかは、人類が勝手にやればいいだろ!あんたはあんたの人生をやってればいいんだ。
結局、マスター・アジアは人間が大嫌いで大好き。
だからこそ、ドモンの魂の拳の言葉には心を開き、そして自らの罪と間違いに気付いたのだ。
そのようにマスター・アジアは間違っていたが、アホだったから、とか、「悪役だから悪かったんだ」っていうような間違いではない。マスターが間違うのも仕方が無い。
なぜなら、マスター・アジア自身も地球と同じく病んでいたからだ。病んでいる自分が救われたいという欲求を地球と同一視する事を誰が責められようか?
東方不敗マスター・アジアの病気は正確には知らないが、彼も人類の環境汚染のとばっちりを食った被害者だったのかもしれん。だが、マスターは強い漢だから被害者ではなく加害者になることしか知らなかったのは悲劇だ。そして自分の体が発する人類への恨みがデビルガンダムの人類抹殺の意志が共鳴して自分を見失ったのだろう。
そんなマスター・アジアの心を正気に戻したのは自らが健やかに育てたドモン・カッシュの若々しく生き抜こうとする拳!
人殺しはいけないとか、人類が地球の一部と言うのは口だけの事。(好きなセリフだけど)
拳の温かさが嬉しかった。そういう愛情だけでいいじゃないですか。そう考えるととても感動した。
そういう愛情を持った人間なら、生まれてきてよかったよな。
ホモっぽいことを書いてるかもしれんが。ホモも人の心の雄たけびだ。
その健やかなるドモンの命を生かしたいという単純な愛こそがマスター・アジアの心を開き、憑き物を落とし、死を決意させた。
師匠・・・。
Gガンダムは愛の話なんだなあ。
そして、愛を必要としているのはデビルガンダムも同じなのだ。
こういうくり返し構造でテーマを反復するのは上手いなあ。
- ちょっと突っ込みを入れると。
ドモンは10年位前から東方不敗と一緒に修行の旅を続けていた。
東方不敗がガンダムファイトとシャッフル同盟に絶望したのは4年前の優勝の瞬間。
ドモンがキング・オブ・ハートの称号を受け継いだのは1年前。
アルティメットガンダム事件が起きたのも1年前。
東方不敗がデビルガンダムと出会ったのはその後。
東方不敗がガンダムファイトに出ているときに、ドモンは何をしていたのか?そばにいなかったのか?師匠の絶望を知らなかったのか?
っていうか、シャッフル同盟とも新宿に来るまで疎遠ぽかったし。
そして、絶望しながらの3年間、ドモンをどんな気持ちで師匠は育てていたのか?
ここら辺が疑問です。
まあ、Gガンダムは途中まで雰囲気があまり定まらなかったから、設定もあんまりきっちりしてないのかもしれないが・・・。始まるまで3回も特番で時間稼ぎしてたし。コードギアスよりひどい。
五武冬史氏の小説を読むべきか?
僕の妄想では、師匠はドモンの父のアルティメットガンダム研究を知っていて、それでアルティメットガンダムが完成した時点でドモンを卒業させ、失踪し、アルティメットガンダムを手に入れるために動いていたのが、ウルベの計画と入れ違いになった???という妄想。
だが、師匠がそんな回りくどいことをするだろうか???という気もするし・・・。うーん。
- 「人にやさしい政治」というと1994年当時の村山富市元首相
ウォン:今一度ネオホンコンに4年間の主導権をもたらして頂きたいのです! そして、デビルガンダムを人と地球に優しいガンダムに蘇らせれば…
マスター:笑わせるな! 貴様! 優しいという言葉を勘違いしておるのではないか? この政治屋め!
思いっきり体制批判をしましたね。日本は自由な国だなあ。
まあ、マスターは悪党だからいいのか?
でも、マスター・アジアこそ優しすぎて頭のネジが飛んだ男だよな。全てを守ろうとしすぎたんだよな。そんで、自分が地球に優しくしたいのか人に優しくしたいのかわかんなくなったんだよなー。まー、僕もよく分からなくなるんで、それはまあ、普通だ。多分。
- 関智一の声が裏返りっぱなし
にぃいいいいいさぁああああああんんんんんっ
しぃいいいいいいしょぉおおおおおおおおおおおおっ
ゾクゾクするなあ。
デビュー2作目の初主演。
惣流・アスカ・ラングレーの宮村優子も?