玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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闇月夜行(2)

闇月夜行 2 (BLADE COMICS)
蒼井エン原作 コミック作画睦月ムンク ストーリー構成野口芽衣
あら、おもしろい。

知人の睦月ムンク氏が明日のご飯のために手がけた処女萬画単行本2巻で、処女作完結ということで読んでみたのさ。
知ってる人だからと言うことで甘めの感想を書いてはブロガーとしてはいかんのだ、小奇麗な絵に騙されてはいかんのダ、という風に読んでたんですけどねえ。
いやー、まあ、たしかにぃ、キリシタン弾圧を行なっていた幕府家臣と将軍家光との対立構造が見えにくかったり(おっさんキャラの比重が軽かったのと、セリフの配置が目立たず印象に残りにくかった)、そのせいで二つの事件が二つの事件ではなくダラダラっと続いているように見えたり(弥一が何者かわからんかったし)、急にセイちゃんがゾンビになったり、天草四郎が取ってつけて沸いたり(ここら辺は1巻で終わっても良くするためなんだろうけど)っていう構成の甘さとか、セイちゃんと華月の見分けがつきにくかったり、場面転換がわかりにくかったり、絵はしっかりしている分、書き文字などの雰囲気が甘いとか、1巻に比べてオリジナル要素が増えたためにあんまりGガンダムに似なくなったとか(笑)*1
自分で描けもせん癖に、と言うか自分では難しいから辞めたあたりに文句をつけたりした。



んだけども、いやー、謎が解け始めて敵とガチンコを始める最終4,5話あたりは面白くて一気に読めました。最終回は文句の付け所が思いつかん。

  • 良かった所
  1. 華月が上手い事ジョブチェンジして顔もバタ臭い感じになってわかりよくなった。髪の色は知らん。つか染めろ。
  2. あと、忍者装束の色分けがちょっとわかりやすくなった
  3. 場面転換とかコマのつなぎとかアクションも上手い所は序盤から無かったわけでもなかったが、後半はすごい上手い所が増えて面白い。ワクワクしたよー
  4. 1巻の時は1話完結の捕り物系萬画だと思ってたので、テンポがつかめなかったが、2巻でさっくりとまとまってると構成として綺麗にまとまってた。映画一本分くらいかな。小事件があって、一息ついて本事件で、大決戦って言う。
  5. 伏線も上手い。派手なセリフとか、解説を入れるというテクニカルな盛り上がりに欠けたので、一読して事件を把握はできんかったけど、読み直したら大体わかった。短いし判りよい。
  6. でも、天草一味の行動は行き当たりバッタリで小物っぽくも見えたんだが。まあ、一応、裏から4人くらいで政情不安をこっそりやっていこうと思ってたところに最終兵器彼女が入り込んできて暴走か。ふーむ

あー、でも、映画っぽいのはすごい面白かったっす。あとがきにもあったけど、古きよき忍者バカ大衆映画って言う感じで。睦月ムンク氏は調べ物が得意っぽいんで考証をもっとキッチリしてくるんかと思ったけど、いやー、忍者バカだな〜\+++/
実は!あの人があの人の!謎の地下洞窟!妖術対忍術!なんか怪獣!KAGEBARA大逆転!!
あははははは
こういうの好きだなー。アクションもキレがあった。
必殺技も派手で良い。っていうか、あんなに描き難い鎖ガマを必殺武器にチョイスするなんて、忍者だなー(笑)
やはり、忍者は良い。キングゲイナーコードギアスGガンダム勇者シリーズも何をしても「忍者だから」で済むという。


あ、あと、僕は基本的にガンダムか妹の出てくる話しか面白くないんですけど(さらっと最低の発言)いやー、セイちゃんがあの人の姉であの人の従妹兼嫁と見せかけて、あの人の娘で、その上あの人の妹!!!!
いやっほぅ!妹キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
こういう複雑な妹は大好きです!復活シーンではちょっと泣けたし。
妹に愚か者呼ばわりされるとか、最高ですね!(最低の発言)
あと、セイちゃん可愛い。ムンク氏は切れ長の顔が得意で美形のバリエーションが脇役のバリエほど少ない*2、と思ってたんですけど、いやー。いいねえ。
かわいいかわいい。顔も良いけど、和服の尻がいいねえ。襟がだらしなく無防備な感じもエロイエロい。
あと、指を立てて笑う癖がかわいい。


でも、体は非処女(最低)。すわ、かんなぎ騒動か!(最低)
あ、でも、中身は処女なのかーッ!(最低)
でも、史実によれば嫁いでいってしまうのよねー。あああ、悲恋だわ。
まあ、女性誌のコミックブレイドアヴァルスの割にはあんまりラブ描写はなく、少年誌のような活劇だったんだが。これはこれで童貞の私にも読みやすいな(あなたって最低だわ)
原作者的にはセイちゃんと半蔵がくっついても良いらしいんですけど、でも、三代目服部半蔵様が御内儀も取らずに若隠居して広い屋敷で昼間っからおっさんとキャッキャウフフしてるのはすごく不健康で萌えますね!(CV:矢島晶子


まー、欲を言うと、雷蔵と首斬り浅右衛門のヤングメン組にもうちょっと必殺技を出して活躍して一人前になる展開が欲しかったけど、いや、まー、暴力的には元々カンストしてる実力者だから、雷蔵がちゃんとあいさつしたり、浅右衛門が自分で信じる人を決められるようになったりって言う魂的な成長が大事なのかなー。
こういうベタな少年萬画っぽさも好きです。


というか、やっぱりこれは半蔵とセイちゃんの話なんだなー。
中間管理職で組織の組換えのリストラのせいで中途半端な処分を喰らってニートに成ったおっさんが、特にラブとかでもなく「役目だから」と背中で語りながら若者のために責任を果たすって言うのが、すっげえかっこええです!
で、結局は元の胃潰瘍親父の日常に戻るけど、どこか晴れやかって言う読後感はよいね。うむ。
正統派娯楽時代劇で。キリシタンとか、ダーク路線に持っていこうとしたら割と簡単にこじれた病的な話にもできただろうし、思春期や腐女子の読者的には*3そっちの方がウケがいいかなーっておもったりもしたが。オレが面白ければそれでよし。


セイちゃんは暗黒キャラになるんかなーって思ってたんだけど、視野の狭い育ち方をした兄に対して、ふざけてるけど頭が切れて穏健派の将軍様とか忠犬とかイジりやすいオジサマの半蔵とか芝居とかとの暮らしでなにか感じ入るものがあったのかもしれん。浅右衛門も。
こういうのは良いね。
まー、島原の農民とのふれあいとかはどうしたんだって感じではあるが、そこは娯楽忍者映画だから。悪党は悪党で。(いや、あの育ち方は可哀想だとちゃんと描いた方かな)


なんというか、全体的にかわいくて元気で、ちょっとカッコいい感じだったんでいいかなーって。
大体そんな感じ。
これがデビュー作という蒼井エン×睦月ムンク両氏の次回作にご期待下さい。
野口芽衣氏はアヴァルスの12月号に読みきりを描いてたのかー。

*1:いや、最初からガンダムカンケーねーし

*2:普通の若手萬画は脇役のバリエの方がおざなりで少ないんですけどねー。キッチリ描こうとすると美形は髪型とか記号で差別化が難しいか

*3:まあ、あんまり詳しくはしらんが