生誕30周年祭 in NAGOYA ガンダムTHE FIRST 〜未来創造の世紀へ 〜
http://www.nagoyatv.com/gundam30th_nagoya/event/timetable.html
での、富野由悠季監督とGACKTの対談で、非常に印象的な言葉があり、ガンダムエース2009年10月号に載っていた。
富野「実は僕にそっくりなキャラクターが一人、出演してるんです。ミハルと接触して、お金を渡すスパイのおじさんです。僕はああいうことしかできない人間です。ああいう使いっぱしりしかできないのが僕です。約束を守って、知らない女の子に上から指示されたとおり、キチンとお金を全額渡す。そういう生真面目なおじさんです。
でも、あんなおじさんのような僕でも、周りの人に意見を聞いて、時代の空気を感じて、それらを作品の中に入れることを生真面目にやれば、ガンダムはできるんです」
このおじさんというのは、コノリーという名前である。彼について、僕は次のように先日、書いた。
http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20090816/1250381033
コノリー
中年の癖に、不況とか戦争の影響で職を失ったかなんかで、ジオン公社に入社した派遣社員。
ミハル
弟妹を養うために、汚れ仕事を引き受けたバイトの女の子。今までは、写真を撮って送るという簡単なお仕事でしたが、シャア課長が赴任してきたためにスーパー無茶ぶり潜入作戦をさせられます。死にます。
この、派遣で慣れてないコノリーと、バイトだけどそれなりに慣れてるミハルの会話がいい!
ミハル 「こんにちは。お急ぎですか?」 ←スパイ同士の合い言葉を先に言うバイト
コノリー 「え?あ、あんたが」 ←合い言葉を間違える派遣社員
「ああ、いや、別に急いでませんよ」 ←ここで、年上で派遣のコノリーよりバイトのミハルの方が仕事が出来ていると見せている。
ミハル 「こんな所に呼び出して、なんです?」 ←若干キレ気味のバイト女子高生。禿げた派遣社員には冷たいぜ。
コノリー 「いや、慣れてなくってな。あんたみたいな人だとは思わなかった」 ←バイトの女の子に「慣れてない」とか言い訳をいう。だからお前は派遣なんだ。
「これ、カネだってよ。命令は木馬に潜り込んで行き先をしらせろ、ということだ」
ミハル 「どうやって?」
コノリー 「そりゃあ自分で考えんだな。とにかく潜り込めってさ」 ←とりあえず、わからないことは相手の自己責任
ミハル 「だいぶあるね」
コノリー 「やってくれるな?」
「成功すりゃあまたカネをくれるってさ。これ」 ←命より金が大事という下っ端たち。
ミハル 「…?」
コノリー 「中に連邦軍の制服が入ってる。間諜の手紙も」
ミハル 「わかったわ、やるよ。弟達を食べさせなくちゃなんないからね」
コノリー 「偉いな。俺は帰るから」 ←偉いな、と感心するけど何もしないでさっさと帰るこの器の小ささよ。
あー、すっごい庶民感覚でいいわー。ぞくぞくする。
と、僕が、「器の小さい派遣社員のおじさん」と書いたコノリーについて「彼は僕だ」と富野監督は言う。
うわ・・・。
その上で、
でも、あんなおじさんのような僕でも、周りの人に意見を聞いて、時代の空気を感じて、それらを作品の中に入れることを生真面目にやれば、ガンダムはできるんです」
と言う。
それが一番難しい…。
時代の空気か…。
まさに、ニュータイプとして世の中を感じなければ…。
富野さんはまっとうなことを言う!