玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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氷川竜介のアニメの楽しみ方。池袋。第5講「音響」→富野の∀の音響について聞いてみた

先日わたくし、土曜日、池袋の池袋コミュニティカレッジで、「氷川竜介のアニメの楽しみ方」というカルチャースクールに行ってまいりました。
http://hikawa.cocolog-nifty.com/data/2009/09/post-cb7c.html
http://college.i-printnet.jp/html/200904/20090420/20090400384.htm
月一講義で、私は2回目から参加いたしまして4回の講義を受けました。
今回は、「音響、心理効果を支える音」がテーマでした。
それについては、こちらの方がすでに三越での講義を元にまとめ、今回の講義についても描き足してくださっているので、私が触れる必要性はあまり感じません。
http://www.green.dti.ne.jp/microkosmos/anime/hikawa_culture.html
氷川先生が書かれた世紀末アニメ熱論も読んでませんし。
コミケで購入したロトさんの本に前回の作画や美術についての講義の内容が載っていたので、私がわざわざここでそれを書き移さなくとも…。かといって、メモしたことを全部タイプするのも睡眠時間が足りないのでやらない。
先生には「ブロガー向けにやってる講義だからブログで書いてくださって結構ですよー」って言質は取ってありますが。


って言うか、講義のあと、「有志での夜の部」なども在ったのですか!
今知りましたよ。つまり、まじめに先生のブログを読んでなかった。まあ、日曜日も忙しかったのですが。次の機会があれば、濃いおたくの方に混ぜてもらいたいものですね。オタクとしては若輩者ですが。


で、本題。
ここで書く意味があるとすれば、私の個人的な体験でありましょう。
と言うわけで、講義の後に、氷川先生に質問をしてみた。
∀ガンダムの音響効果について、です。


そもそも、富野由悠季と言う作家は、著書、「映像の原則」でも「音響のことは音響のプロに任せればよろしい」と発言しているにもかかわらず、ものすごく音楽的に恵まれた作品が多い印象がある。
っていうか、富野作品のサントラだけは全部そろえている。
聞いていて心地いいのである。ジブリ作品なども、音楽はいいと思うのだが、なぜか購入したりずっと聞いていたいと言うレベルにはなってない。
もちろん、それは私の感性の問題なのであるが…。


絶望先生の黒板に書いてあったり、氷川先生が「最近のアニメの視聴者は自ら楽しもうとする努力を怠っているのではないか」とおっしゃっていたりする。
その点、私は富野アニメをlilithプレイヤーで2〜4倍速にしてmp3プレイヤーで聞いているので、努力している(笑)
と言うのは冗談で、単に自己啓発脳力開発の速聴を試してみたら「ポジティブな発想で、必ず成功するのです」とか早口で延々と繰り返していて陳腐だったので、「だったらVガンダムイデオンを高速で聞き続けたほうが賢くなるような気がするお!機材を買うのはぼったくりだからフリーソフトでやるお!」ってなっただけで、別にアニメを楽しむ努力ではなく、自己啓発です(笑)


と言うのも冗談なのだが・・・


以前、
■[∀][ガンダム][感想]∀ガンダムがオペラ過ぎてヤバイ
http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20081012/1223744581

今、∀ガンダムの音声をメモリープレイヤーに落として、しかも1倍2倍3倍4倍の速聴音声に変換してウェルニッケ中枢を刺激(笑)という事をしているんですが。

いやはや、絵が無い分、音楽にも注意が行くのですが、これがまたすごい。こないだ、絵のリズムと曲の区切りが一致しているのがオペラっぽいと書いたが。

絵がなくとも、菅野よう子の劇伴曲はかなり主張の強い曲調なんだと思う。

で、ありながらセリフの邪魔という事はなく、むしろセリフも込みで一つの曲のように聞こえてしまうんだな。

(もちろんターンAガンダムだけではなくてイデオンダンバインとかもそうなんだけど)

自転車に乗りながらノックス崩壊を聞くとノリノリでした。曲が終わると同時に「ボストニア城のシンボルが崩れた」だからなー。


ここらへんの音楽の乗せ方の上手さは富野由悠季監督って言うよりは音響の人の調節やら編曲編集が素晴らしいって言うことなのかなー?そこら辺の区切り方はあまり知らない。

今回追記:ターンAガンダム1話のEDクレジットより。


サウンドデザイン:笠松広司(デジタルサーカスサウンドサーカス代表
フォーリー(生音):森川永子(ちゅらサウンド代表)
録音調整:名倉靖(デジタルサーカスサウンドサーカス
音響制作:楽音舎(デスク:杉山好美
音楽制作:太田敏明(ボーダー・ライン)

と言う記事を書きました。

それに絡めて、氷川先生に質問したのです。

私「氷川先生は、近年のアニメの音響面の問題点として
『電子化・無機質化 情報過多・説明過多。
ライブラリの増大により、逆に独創的、画期的な効果音が生まれなくなった。』
と言うことを上げていらっしゃいました。
しかし、∀ガンダムの効果音はかなり独特だったと思います。
(ホンダP2以後のリアルロボットアニメとして)空想巨大機械の駆動音をかなりリアルに考えて作り、独特に出していたように思います。
と言うのは、以前ブログでこのようなやり取りがあったからです。
http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20081013/1223875641#c


氷川先生「確かに、∀ガンダムは当時としても画期的で、アクチュエーターの音だったり、風切り音がこまめに入っていたりして、音響面でも演出されていました。
ターンエーガンダムのサウンドデザインは確か、笠松広司さん(サウンドサーカス)の仕事ですね。あの人は実写の映画もこなす人で、青の6号などでも音響監督の鶴岡陽太さんと組んでいました」


私「なるほど、実写のフィーリングを取り入れているんですね。*1
でも、続くガンダムSEEDや、他のSFアニメーションにおいても、∀ガンダムの路線を踏襲したリアルな音響を使ったアニメーションは見られないように思います」


氷川先生「SEEDは福田監督ですから、勇者っぽい感じですね。そこら辺は、それぞれの作品の考え方、演出意図の違いでしょうね」


私「私などは、∀ガンダムのリアルな音響では、破壊的な音を立てる機械の異物感という演出意図があるかと思ったのです。そこに、富野的な思想があるのかなあ、と。」


氷川先生「しかし、富野由悠季監督自身はそれほど音響に関して詳しい人ではないですよ。音に対するボキャブラリーはあまりない人です」


私「確かに、監督本人も音響は音響のプロに任せるとおっしゃっていますものね。ですが、富野作品と言うのは不思議と音楽や音響に恵まれた作品が多い気がするのです。」


氷川先生「それは、富野監督は自分では音楽は作れませんが、OK・NGの判断はしますからね。
そこはコミュニケーションでしょう。
私が見たわけではないですけど『こんなのだったら、ロボットアニメの薄っぺらな音でしかないじゃないの!』くらいは言うんじゃないですか(笑)」


私「それ、すごく言いそうです(笑)」

って言う感じですね。
やはり、ディレクターはコミュニケーションが仕事なんですねー。
こんな感じ↓

富野「男性と女性の裏に秘められた、その、レズとかホモとか、そういう危うさも含んだところでの、あの、遺伝子の暗躍する感じ」
菅野よう子「どういう意味なのか悩みました。すごく悩みました。」

やっぱり切磋琢磨が重要なのかー。
うーん。オタクでもコミュニケーションをしなければ…。コミュニケーション能力!

*1:前回の講義でも、富野監督は実写志向だと教わった