玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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「マイマイ新子と千年の魔法」批判と今後の展望。と、個人的な事情

ほんんんんっとうに、俺はこういうノスタルジックな映画が大っきらい!
上の記事ではほめましたよ、そりゃあほめますよ、普遍的な感情をあのように描写されたら、自分の人間としての限界と琴線に触れられてしまい、そのような上手さは、そりゃあほめますよ!
でもね、だからと言ってね、
「高度経済成長は間違いだったのだ」
とか
「今の子供たちは子供らしくない」
とか
「昔の子供の方が本当の子供だ」
とか
「千年前と40年前は繋がってるけど40年前と今は繋がってない」
とか、
言われたら、
「過去の力は使っちゃあいけないんです!」と、思う。それに、平成初頭の私も、平成20年代の子供も、割と手遊びなどは共通した事をやっていまして、そんなにノスタルジックに過去を美化、というか現在を切り離すのは、現在の人の言い訳のように思えて、それは、パンフレットに載ってた感想などを読んで、「またか」とも思いながらも、一応、やだな、と。
あ、ですけど、作品の中では世代間は有機的に繋がってるようなので観客側の方への反感だな。作品自体には「現代は間違っている」というような恣意的なメッセージはあまりなく、作品を見ていれば、それでいいとは思う。
僕としては医療技術とか環境浄化技術が発展したのは良いと思いますよ。ま、ちょっと齟齬はありますけど、それはいつもいつも。オトナ帝国とかトトロとか・・・。

  • あと、もう一点批判と言うか、DVDが出ないって、何よ。と。

TVアニメでも今は1話の時点でDVDのCMをしてるのにねー。なんかすごく良くわからない事態です。今時、同人でもDVDは出す・・・。企業連合のプロジェクトとしては何か、DVDを出す事のコストパフォーマンスが悪いという何某かの判断があったのだろうか。
って、そこら辺の内訳は、私の様な観客にはいまいちよくわからないのだけれども。
スタジオぴえろの「雲のように風のように」がソフト化されたのは2002年のDVDが初でしたっけ?)
ファンの熱意とロングランのおかげでDVDセールスの発表は先日なされたそうですけど。
作品の上っ面を1回スクリーンで見ただけの私ですけどね、それでも「コストパフォーマンスが悪い映画だなあ」とは思いました。


  • つまり、作画が良すぎるんです。

ここら辺は囚人022さんの記事からリンクをしている片渕須直監督のインタビューにも載っているんですが、なんか、こう、リアルなリアルな世界を丁寧な丁寧なロケーションハンティングで構築した結果、アニメーションを実在的にしたいという欲望が強いお方なのかな、と。
背景がすごい良くて、CGで背景動画にパースペクティブをつけて消失点を動かしたりしてるとか細かい労力をしています。貴伊子が序盤で自動車に乗っているシーンで対向車とすれ違うたびに車内の明るさが対向車の形に合わせて変化するのは、非常にリアルで感心した。
でも、大勢の(一部の好事家ではない)アニメファンが注目する作画の良さって言うのは基本、メカと女の子ってぇのはまあ、2009年のアニメ映画のラインナップを見たら、大体そうですよね。
でも、マイマイ新子は女の子の話なんですけど、ストレートな萌えや美少女ではない。
いや、同じマッドハウス細田守映画やら京都アニメーションも背景美術や撮影効果にかなり力を入れてますし、それも売りなんだけど、基本的な印象はメカ(ファンタジー)と女の子路線ですわ。
だから、その、注力のコストパフォーマンスとしてはやり過ぎな部分もあったのかなーとは思います。
それに、麦畑の並んだ麦や直行した道や用水路の直線が印象的なのが防府の景色なのだなあ、と思いましたが、パースを強調してCGで動かしたりしてたんで正直、酔った。片渕須直監督は「アニメで描いた背景の外も実在するように描きたい」との事でしたけど、うーん、麦畑はちょっと広くて疲れたかもー。
まあ、アニメ自体、見るのが2週間ぶりとかいうひどい生活だったんですが(笑)。
アバターは見たらCG酔いで死ぬという事が分かっていたので、絶対見ませんwww
しかし、僕のインターネットの知り合いではマイマイ新子を見た人はみんな絶賛していて、リアル知り合いは「人並みに流行りのアバターを見て、映像はすごかったけど、内容は大したことない」ってみんな言ってて、内容と流行りの関係について考えたりもした。
やっぱCGとか、キャッチーなものは見世物小屋的なプラキシノスコープ(回転覗き絵的なアレ)の眷属として、映画の本流で物語は後付だったりするんですかねえ。フライシャー、ディズニー。
まあ、一番の理由は金と時間が無いからなんだけどね!去年はヱヴァ破しか見てないという体たらく。


あと、CGといえば奥の人物を別に描いてCGで縮小して奥に張り付けるのは、ちょっと違和感があったです。線が細い。
なんか萬画でモブシーンをコピーして貼り付けているような感じで、手間はかかってるのに手抜き感が感じられるような感じがしてしまい、残念。
ちょっと雑になっても線をそろえた方が一枚絵としては認識しやすいかな、と。
赤毛のアン路線の作品だし、赤毛のアン宮崎駿氏がやってた回とかはすごいパースの立体感が上手かったんですが、人物も背景も含めて、もうちょっとざっくりとした感じだったような気がします。(視聴者の見た眼であって、宮崎脳の内部演算は知らない)
ナウシカ王蟲ハーモニーみたいに草花をCGで動かしてる部分もあったけど、浮いてた気分もやや、あり。
そこら辺が、ちょっとツールがやりすぎたかな、と。
まあ、アニメは一枚絵として網膜は一瞬で認識しますが、アニメーションとしては脳が全体としては動画として認識するので、そこら辺、ツールを使って一枚の絵として完成していないから駄目だ、とは言えないのですが…。ああああっ!むずかしいわ!


後半は物語に引き込まれたのか慣れたのか、あまりに気にならなくなってましたが。流星の様な蛍が良かったですねえ。
また、子供の空想がモリモリ湧き上がって景色になっていくのはまさに21st世紀のアニメーションの面目躍如で、とても良かったです。


そこら辺で予算超過してDVDが出ない云々、の話になっていくのかしらん?
あと、マッドハウスって割と自社競合するよね…。サマヲとか四畳半もそれぞれは面白いからいいんだけど。
植芝理一ファンとしては夢使いはもっともっともっともっと頑張ってほしかった。あの時のマッドは6作品くらい並行して放送してて、夢使いにしわ寄せが行ったような感じで、非常に切れましたね。放映後リベンジの小林靖子さんの絵物語小説版夢使いは良かったけど。

  • 口コミマーケティング

マッドハウスのブロガー試写会とか口コミ効果って、どうも時をかける少女で味をしめたような気がして、そこらへんもしゃくにさわるような部分が無きにしも非ず。またやりやがって、みたいなところはある。まー、角川映画時代もマッドハウスは色々やってましたけど。
「DVDが出ないからおうえんしてねえっ」っていうのも、そこら辺の煽りなんじゃないの?って。いや、煽られてでも映画を見る動機になって面白かったので、怒る気は毛頭ないです。
地方では映画が見れないのは昔はある意味当たり前だったのかもしれないけど、インターネットで逆に飢餓感が?うむむむ。
地方には夢も娯楽もない?ってid:p_shirokumaシロクマ先生周辺でも最近言ってるけど。
で、地方の映画館は手堅く金になる大作映画ばかり上映で、差別化ができない…。アバターは見ない。それより、大自然の魔獣バギをだな・・・。



それに、天空の城ラピュタラピュタ阿佐ヶ谷じゃなくて映画の方)を長崎県で見た時も有志のアニメファンが公民館を使っての上映会だったような気がします。(記憶はあいまい)
なので、今回の「売れてない良作をファンの力で売れさせてメジャーにする」っていうプロモーションは賭けでもありますが、上手くいけばすごく良いですね。ガンダムもそうだし。ジブリみたいな潮流になるといいですね。
ただ、80年代後半のアニメブーム衰退もあったわけだし。ファンの熱意も無限じゃないのよねえ…。私の財布もね…。不況だし。そこら辺で「とりあえずジブリ」みたいな流れになっちゃって、ジブリだけが一人勝ちしてるのが現状なのかね。
私もパルムの樹とか見てないし、アニメファン失格と言うか、ガンダムがたまたま好きなだけの人なんだなーと。
有志のファンを獲得するには、作品の良しあしと同時に普遍性や人に誇れる感じが大事な気がするので、その点ではマニア向けOVAよりマイマイ新子はそういうプロモーションに向いてる。

  • 地方上映

しかし、地方シネコンってそんなにメジャー志向ばかり上映で身動きが取れないものなのかな?なんか地方では見れないとか、地方アニメファンの方もたくさん言ってる。テレビなら違法アップロードも容易ですけど。(私は大っきらいですけど!金を払わないと最終的に自分の首を絞めるので、で、見ない)
私は京都でみなみ会館のアングラ企画上映にかなりお世話になった大学時代でしたけど。東京ではあんまり動いてないですが。
片渕須直監督のお祖父様がやっていたような個人運営映画館が次々とつぶれてシネコンになるのは京都でも実感してましたが。でも、幕が増える事自体はうれしかったな。


地方では映画が見れないのは昔はある意味当たり前だったのかもしれないけど、インターネットで逆に飢餓感が?うむむむ。
地方には夢も娯楽もない?ってid:p_shirokumaシロクマ先生周辺でも最近言ってるけど。
で、地方の映画館は手堅く金になる大作映画ばかり上映で、差別化ができない…。アバターは見ない。それより、大自然の魔獣バギをだな・・・。


うーん。通信カラオケは発達したのにねえ…。インフラの問題?権利関係?10畳くらいの映画館よりは小さいがホームシアターよりは大きい程度のカラオケボックス的な通信映画館とかできませんかね。インフラは設備もだけど常識の壁もあるしな…。うむむむ。
っていうか、それ、ラブホのテレビ・・・www
郊外モーテルとラブホとシネコンとカーシアターってヤーパンでは無理なのかなー。

  • Summer編について

蛇足ですが、出崎統劇場版AIRのSummer編よりもマイマイ新子平安時代編の意味は全然わかりませんでした!ごめんなさい!
でも、わからなかったけど、なんか気分的には盛り上がったので考察はしませんが、映画体験としては楽しかったです。
ちなみに、Keyと京アニA I RのSUMMER編よりは出崎統版の方に近いです。少女の空想という意味合いとしては。貴伊子は緑川光ではないが。


ここら辺はもう一度見たいなー、と、思いますね。
と、最後に持ち上げて終わる。