玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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渋谷アニメランド第5回に富野由悠季監督がゲスト出演。にモノ申す2

字数制限により、前項の続きである。
では、拙速。

  • 巨大ロボットと人間ドラマ

「巨人がいるというのは、ロボットであろうと、物語が鮮明でないと、それだけに注目されるだけのものになってしまう」
「巨人に負けない人間側の劇を作らなければ、ただのマンガになってしまう。それを要求されて作ったのがガンダム
「ロボットプロレスに対する反発は無い。そのような作品もやってきた」
「ただ、それだけを繰り返すだけでは新作が作れなくなるので、新しい物語をオリジナルとして作るしかなかったのが仕事である。仕事としての要求だけである」
(途中、人身事故ニュースがあったために一部発言がカットされる)

斧谷稔井荻麟はスタッフ、プロデューサーにダブルブッキングだと思われるのが嫌だったからwww」
「今も使っているのは、自分で作った固有名詞がすごく上手で、すごく大好きだから」

リーンの翼の話題の後は土屋アンナのMY FATE,井荻麟の話題の前にキングゲイナー・オーバー!交通情報では5/4moon。藤津さんの選曲センスが良い。

  • どんな時に胸が熱くなりますか?

「登場人物や、劇展開の対立→対決→共感、という流れがよい。これが組めたときは自分は天才だ!と月に1回、2,3日は盛り上がる」
「芝居で重要視するのは、ドラマラインにのっとった正確な感情表現ができるかどうかという事だけ」
「僕はストーリーライン以上の演出を付けられていないので、僕の欠点です」
「良い作品は、ストーリーライン以上の、監督やライターが想定する以上の演技ができている」
「動画やCGなどのツールで縦横無尽に自由な体、自由な動きが付けられる、と思っているのは間違い。描線やコンピューターで自由になるほど身体に共感させられ得る作品作りと言うのは甘いものではない」
「3000年前から、人間は演技論を考えて、飽きることなく演劇を作ってきたのだから…。映画も100年」
「世間で20年くらい名作と言われているものを見ていくしか覚えられない。恰好だけでは分からない」

  • 声優

「セリフだけを絵や形に口先で当てはめる作業は陰鬱なものです。体を動かす舞台役者の声は内にこもっていない」
「声優ブームが若い人に認知されてしまって、僕一人ではこの流れを止められない」
藤津さん:でも、声優さんの中にも開かれた人がいますよね
「そりゃあ、これだけ人がいればいますよ(笑)」
ここで、開かれた声優・俳優・歌手の戸田恵子さんの「いまはおやすみ」が流れるという神展開。

  • アニメの機能について

「表現したいドラマは20年考えてきて、2,3年で落ち着いてきたもの。アニメは実写以上に『概念を伝えられる媒体』ではないか」
「実写的生っぽさが無いので、シンボリックに理念とか概念を伝えるのにとても便利です」
「ディズニーアニメから始まったので、こどもが好きなものを動かすものだと思われてきたのではないか」
「実写以上に飽きさせず、神話や寓話を伝えられるもの」

ここらへんは、桃太郎 海の神兵という作品があり、イデオロギーに動員されやすい危険性もあるね。あの時は子供向けだったけど…。
ヒットラーの民族の祭典はそれに近いものだったのかもしれん。

「リング・オブ・ガンダムは実写作品のつもりで、モーションアクターを使ってCGやった。生身の人間の演技はライブに近いので、概念を伝えるのには邪魔だな、と思ってしまった。自分がアニメで訓練された演出家でもあるから」
「アニメは東欧の人形劇やアートアニメーションも含めて、まだ個的な表現にとどまっているのではないか?アニメはもっとオープンに概念、理念を伝えられるものではないか?」
「アニメのポテンシャルを引き出すなら、個人の好みではなく、概念・理念・哲学を伝える作品を作れたらスーパースターになれる」
ビートルズイエローサブマリンがそのようなものにちかい。イエローサブマリンに思想をもっと付け加えたら、ただのグラフィック・ビジュアル・アート以上の物になるのではないか」

杉井ギサブロー監督や出崎統系の人あたりはやっていたかもしれない。
また、富野監督はロボットアニメだからオリジナルができた、と言うが、80年代の魔法少女ものもオリジナリティや思想性の発露になっていましたよね。
ファウ・ファウ物語はすごく面白かったなあ。富野さんも女児向けファンタジーに行きたい時期があったのやもしれん。
まあ、ファウ・ファウ物語にはダンバインでもリーンの翼でも出なかった昭和天皇が出るのに女児向け玩具が出ないのでスポンサーは付きにくいよね。でも、あれは映画で見たいなあ。タモリ出ないかなあ。

  • 新作についてのおたより

「予算が付かない限り予定があるとは言わない。概念を伝えるものにしたいと言うと、スポンサーが逃げる」
ガンダムは若い人に受け渡したので、作らない。が、ガンダム的なロボットものは作るつもりはある。RoGの後、やる事が増えた」
「20代のファンのためにアニメを作るつもりはありません!アニメは小中学生向けて作るつもりです!」(芝居がかかったようなユーモラスな声)
「でも、自分が年をとったことを実感して、困ってます」

  • 富野監督にとってアニメとは?

「時代が追いかけてくれたアニメと言う職種に出会えて、まだ現役が出来て、実写コンプレックスもなくなり、幸せです」
「でも、義務と任務がはっきりしちゃって、うわあああああいやだなああああああ」
ディアナ様みたいに義務から逃げたがりつつ、やっぱり最後は聖戦士をやってしまうんだろうねえ。
神奈川県出身の王様!

  • 次回

6月8日
ゲストはMay’nさん。おたよりぼしうちゅう。
 
 

  • 総評

藤津亮太先生の構成力とNHKの編集力が光っていた。
富野監督の喜怒哀楽や思想もうまく引き出せていたと思う。
評論家の藤津さんは私以上に富野監督にいくらでも突っ込みをいれられたはずだが、整合性よりも富野と言う人の現在の気分を引き出すインタビュアーに徹していて良かったと思います。
っていうか、監督に整合性なんかないし。でも、統合性はある。
リーンの翼を読まなくちゃね。再放送も。