玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。


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リーンの翼新装版3巻 第二章「テロだって!?」

3巻は、全八章なので、一章ごとに感想を書いてもよかろう。
この章は迫水真次郎達昭和50年代以前の軍人達が異世界で軍備を拡張している事の対比として、21世紀の若者たちが描かれた章です。
20世紀の地上での戦争の結果がバイストン・ウェルへの軍人の流入であり、21世紀の若者によるテロです。どちらがどちらの影なのか。
それにしても、バイストン・ウェルの勇者と現代っ子を並行して描くのはガーゼィの翼みたいですね。章のタイトルが口語になってるのもガーゼィっぽい。ただ、ガーゼィと違って、エイサップ鈴木くんと迫水真次郎は別人である。が、バイストン・ウェルの意思で繋がっている聖戦士なら、双方が影なのかもしれない。と、なればガーゼィの翼のように一人の人が地上とバイストン・ウェルに分裂させるという仕掛けが無くとも、暗示的な効果は生み出せるのかもしれん。
それに、もともと聖戦士というのはオーラバトラーの事ではなくジハードを起こす人と言う意味で、現代ではゲリラやテロリストの事だからな。
そういう意味では、エイサップの山口大学での悪友にして学生テロリストの矢藩朗利(文中ではロウリィ)が、この章では聖戦士と言うか主人公のように見える。この章では、テロ決行前夜(アニメ一話の前の晩)で、エイサップの部屋をアジトにしてロウリィと悪友の金本平次(在日朝鮮人)がロケット弾の準備をして、エイサップと最後の会話を交わすって言う青春映画みたいなヤクザ映画みたいな村上龍の小説みたいなシーンが描かれています。
今まで異世界剣豪小説を読んでたと思ったら、いきなり現代青年たちのテロ行為に飛ぶ。ジャンル分けなんて関係ないぜ!!
いやー、これはこれで面白い。

とってもやおいです。あー、やおいやおい。富野小説はやっぱなんかヤオイをガチでやるからなー。小説版Zガンダムとかもすごかったけど。
新装版のエイサップ鈴木君は、アニメ版とは違ってアレックス・ゴレムに認知されて一緒に暮らす準備をしているようです。しかも、山口の大学に浪人せずに受かっている。工学部。おお。今までの聖戦士が浪人していたのに比べると格段の進歩。バイトはピザ屋。
で、東京都武蔵村山市で大学まで暮らしていて、金髪でいじめられたり、見た目だけで女に惚れられて面倒くさい生き方をしていたハーフの鈴木君は入学式の日に初めて自分に偏見なく話しかけてくれたロウリィと親友になります。
どこの新條まゆだよ!
しかも、この出会いはオーラ力の導きだったかもしれないとか!運命かよ!やべえ!
エイサップの父の岩国基地司令のアレックス・ゴレムは超金持ちだから、「基地の近くの家を六軒買いました。パパの仕事が落ち着いたら、そこを取り壊してエリザベス朝風の家を建ててみんなで住もう」とか言います。超金持ち。
でも、アレックスも母の鈴木敏子さんも今は仕事で飛びまわっているから、エイサップは六軒の家の中の一つに一人で住んでます。そこがロウリィと金本の溜まり場になってます。っていうかNANA状態。3人ともオナニーの都合があるから12時以降は互いの部屋に入らないという男の約束があります。わぁい。逆にそういうのがリアルで萌える。
金持ちの金髪ハーフの大学生が初めての友達と初めての一人暮らしでどんどんただれていく!萌えるわーっ!
そんで、金本はロウリィの腰巾着で在日朝鮮人だか韓国人の三代目なんだがロウリィと仲が良い。ロウリィはただの排他的日本人至上主義右翼ではなく、金髪や地付きの在日韓国人にもフレンドリー。結構懐が深い?
金本はちょっとしゃべり方がおかまっぽい。まあ、おねえ言葉と言うよりは富野語の範疇なのよね。そしてブリーフ一丁でロウリィの横のソファーで寝る。わぁい。
ロウリィはデカい体で乱暴者。だけど文字は丸文字でかわいい。髪型を気にするナルシストでもある。いちいち萌えポイントを入れて来ますね!富野御大将は!
わぁい!
で、エイサップは二人のテロ行為を知りながら、友情のために止めない。ロウリィも宿を貸してくれたエイサップを気遣って計画を話さない。友情だねー。すごく…BLです…。直接的描写が無いのがまたいいんだ!

矢藩朗利の父親は米軍基地の食糧庫で働いている、あまり風采は上がらないが普通のおっさん。ロウリィはそれを通じて米軍や世界に対していびつな印象と攻撃的な性格を育ててる。
金本の親父は山口県の在日朝鮮人だけど、不動産屋に踊らされてバブルの時に損したらしい。
なんか、親の世代の負債を抱えて、自分で何かを見つけられないっぽいようないらだちがあるね。一応食っていけるし、今はネットも使える豊かさがある。でも、これからのことはわからない。わからないのに、負債ばかりは増えていく。岩国市も東京から見たら観光名所がまばらにある長閑な地方都市と思われてるけど、そこに住んでる彼らは米軍基地や地付きの差別の間で生きていて、将来も不安だし、世界情勢も不安定だし…。東京の政治はくそだからな!
twitterには山口県民が結構多いけど、山口には職が無いらしい。長州出身の政治家の選挙区は多いのに、大抵今は東京在住だよなあ。
そういう大人たちに対する苛立ちがすっごいある。じっさい、リーンの翼のアニメが配信されたときに一番感情移入できたのが朗利だったし。「一千万人死んでもまだ一億人いるんだからよ!」
それで、この章の最後に、ロウリィが書いたテロ声明文が、すごい。
何がすごいって、大学生ネトウヨレベルのネオコン批判の内容と、稚拙で飛躍した文体と、若者のイキガリがリアルに再現されている。(「ソースを書くのは面倒だから、NHKの番組を見て勉強してくれ!」とか書くのがすごくダメっぽい)うわー。匿名はてなダイアリーみたい。これを65歳オーバーのおじいちゃんが書いたのかー。
その合間に富野由悠季自身が自著やインタビューで語った「このままでは人類は地球が太陽に飲み込まれるまで生き続ける事が出来ない!」などという地球平和と政治への怒りと妙な人類愛思想が盛り込まれて混同されて、何とも言えない味わいを醸し出している。70手前でテロ学生に自分を同化できる爺って何なの…。
そして、ロウリィは自分のテロ行為を事前にテレビ局に取材させようっていう予告も出してる。ここら辺の自己顕示欲も若者らしいね。
ロウリィはカメラ映りを気にしてるし。けど、今だとUstかニコニコ生放送でやるのが若者らしいんじゃないかなー。
「テロってみた」って感じで。保育園に突撃して「僕はロリコンです」って言う奴もニコニコ動画で居るし。
まあ、ジープで逃走しながら配信とかだったら足が付くのかもしれないか…。ロウリィも盗聴を気にしてたもんな。岩国襲撃の後は韓国軍の密輸武器も使う計画があるとか。
グーグル(文中ではグールリ)を使う事にも慎重にしてる。エシュロンについても書いてる。エシュロンとエシャロンが混同誤植してるが。まーいいか。でも、NHKNHKなんだね。
 
 
そんなノーフューチャーでテロリストな理系学生の朗利と金本ですが。
今のネトウヨ大学生がtwitterやブログで愚痴って気を済ませてるのと違って、こいつらは実行するんだね。まー、小説だからな。ロウリィはヤクザや米兵と渡りを付けててすげー実行力だ。
でも、富野が書いた事は割と実現するからなあ。くわばらくわばら。