玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。


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リーンの翼新装版3巻 第四章「一軒家でのこと」

あ…ありのまま今読んだ感想を話すぜ!
『俺は本格異世界ファンタジー小説を読んでいたと思ったら、いつの間にかデュラララ!!涼宮ハルヒの憂鬱電車男をパクったライトノベルを読んでいた』
な…何を言っているのかわからねーと思うが おれも 何を読んでいるのかわからなかった…。
頭がどうにかなりそうだった…文体トリックだとか超展開だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
もっと恐ろしいバイストン・ウェルのオーラ力の意思を味わったぜ…。
 
 
と、いうわけで迫水編の次は21世紀編です。
あらすじとしては、大学2回生にしてテロ集団ジスミナの会長になった矢藩朗利が2015年テロ決行前夜から明け方まで、間借りしているエイサップの家のソファで自分の半生とテロ集団結成を回想するというもの。前章の対話形式から回想独白劇の形をとる。うむ。これも古典的戯曲形式だな。
が、矢藩朗利、通称ロウリィの回想はテン年代だかゼロ年代でのインターネット掲示板でのやり取りであり、前章の迫水真次郎が様々な人と出会い対話した事と重なる。
あれ?ロウリィが主人公…?あれ?エイサップ君…影…薄い……。なれるのか?主人公???
と言う感じで、ロウリィの受験勉強時代からのネットへの出会い、エロサイトに飽きて(というか富野小説らしい独自の美学により、エロサイトを見る品性の汚さを嫌い、)2ちゃんねるの軍事板やミリヲタサイトにハマり、遂に自分のブログを立ち上げてそれからジスミナという組織を作り上げるのが描かれる。その間に、岩国在日米軍基地に勤める父親との微妙な距離感のある会話を思い出したり、エイサップへの想いが挿入されたりもする。
うわー。デュラララ!だー。ダラーズだー。ジスミナもダラーズみたいに表掲示板とパスワード制裏サイトがあったりするし。エイサップはロウリィの裏の活動を知らないノンポリでボンクラの立ち位置。黄巾賊を知らなかった龍ヶ峰帝人君みたいだなー。
ロウリィは岩国基地司令の息子であるエイサップを利用しつつ、自分たちの世界に深く引きずり込まないようにする友情を感じている。エイサップも薄々ロウリィの行動が危険だって思いながら、「本気なわけないよな」って自分に信じ込ませようとしてたり。もう!男の友情だし!その間、ずっと金本はソファであどけない寝顔を見せるし!ホモい!
デュラララ!!ってどんくらい腐女子に人気なんですか?デュラララのアニメではセルティさんと杏里ちゃんのエロさを感じたし、結局みんな男女カップルが成立してたんですがー。
富野小説はガチホモです。いや、ホモじゃないんだけど、なんか創作JUNEっぽいの!SEEDや00には反応しなかったのになー。
 
 
で、電車男みたいにロウリィがネットで出会ったみんなの書き込みで思想を固めて行く。
そのネットやブログの描写がまた電車男っぽいというか、富野じいさんが無理くりネットスラングを書いている感じがして、ものすごい文体になっている。富野節と2ちゃん用語と80年代風軽薄言葉が混同されて、なんとも言えないスメルを発しているwww。そして、地の文で『この「藁」というのは笑ってしまう、とか、話をはぐらかす気分らしい』などといちいち解説をする富野。ネットスラングは賞味期限が短く、すぐに死語になるのだから、100年も読み継がれる古典にしたいと言う富野監督の野望としては解説は必要なのだろうが、なんだかものすごい事になっている。筒井康隆パソコン通信を題材にした「敵」にも似た感じだが、それよりも無茶苦茶だ。
『「DQN」はドキュンである。』ってだけの投げやりな説明があったりもして、非常に笑える。いや、それは「目撃!ドキュン」というテレビ番組にヤンキーが登場した事が多いって言う歴史的な説明が必要でしょう…。でも、富野は投げっぱなし。
しかし、その地の文の気分も、ネットの書き込みの羅列するページと溶け合えば、そのカキコミ内容が「桜花を発案した大田正一についてはこちらをクリック」と言うようなネットらしい投げっぱなし、リンク貼りっ放しのものであるから、全体的に「ググレカス」というか「かってに調べろ」という雰囲気を醸成している……のかなあ・・・?
 
 
まあ、富野さんが80年代アニメ文化を持ち上げて行ったって言う部分もあるし、ミリヲタガノタっていう人も結構いるわけで。また、富野節自体が”短い尺の中に感情と情報を入れて行く”という条件によるもので、twitterの140字制限が出る前から長文を嫌う2ちゃんねるっぽいネット文化圏の文体と富野語の親和性はあんがい高かったりするんですよね。今でこそ富野さんは巨匠の年齢になっているけど、もともとミーハーな部分もあるし…。結構軽い調子の文章をアニメ誌に乗せてたりした事もありましたよね。いや、富野だけでなく80年代雑誌の軽さが今の軽い文体の素地になってるとは思う。
(ちなみに、オタク文化圏にガンダムが与えた影響は大きいと思うのだが、リーンの翼の作中ではガンダムは存在するのだろうか?メタなギャグになるかもしれないが、ガンダムも現実の一部と言う漫画みたいな現実が今の日本でもある)
 
 
で、ロウリィのブログが発展してネットは荒らしにグダグダにされて行って、ジスミナ幹部メンバーは郵便とアナログ電話を使ったマジテロリストになっていく。わー。まるで、ネットの力を借りて現実恋愛をした電車男の恋愛が、現実テロ行為と世直しに変わったみたいな感じだね。(ちょっと違うか?)
そんで、ジスミナ[JISMINA]は”実行してみるしかない仲間たち”の略らしい。「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」略してSOS団かよ!「死んだ世界戦線」略してSSSかよ!もう駄目だ…。腹筋崩壊した。
まあ、エゥーゴとか、ありました、けど、ね・・・。ここら辺の変な略語も富野が元凶か!いや、サイエンティフィックアタックフォース略してSAFとか、ありましたか・・・。特撮…。
 
 
富野さん!富野さんがミーハーだと言う事はわかった!流行りものを取り入れて感性を若くしようとする努力もわかる!角川グループへの義理立てもわかった!わかったけど!富野さん、そんなに時代に迎合しなくても良いから!っていうか、迎合しようとして違う方向のオーラロード開いちゃってるから!
池袋ダラーズは「池袋の町を良くしましょう。ボランティアをしましょう」ってなるけど、ジスミナは「日本を良くしましょう。憲法自衛隊を再編して、アメリカ主導を脱して新時代の国際救助隊としての新生自衛隊による統治をしていきましょう」とか言う。
富野さん!風呂敷でかいから!それ、サージェイだから、富野さんの別の小説の「アベニールをさがして」だから!ソノラマ文庫だからぁああ!
退屈な日常を壊す非日常で、空中戦艦とニーソ美少女が降ってきて東京タワー折れるから!
富野作品はもう駄目だ…。何をしでかすかわからない…。面白すぎる…。
 
 
しかし、アニメではあまり描かれなかったロウリィの意外なる思想の深さが感じられて、また共感できた。憂国の想いはある。
しかも、ロウリィやジスミナメンバーが富野由悠季が近年、インタビューや連載で言っていたハンナ・アーレントとか全体主義がどうとかを書いていて、富野の言葉なのかロウリィの言葉なのかぐちゃぐちゃになってきている。
だけど、作者の主義主張をそのままトレースしているだけのように見えて、ロウリィ自身の頭の悪さ、志はあっても面倒くさがったりする部分も描いている。登場人物の思考能力限界が決まっている。作者と言う神の言葉にはなってない。
かと言って、それ自体も近代世界史や思想や軍事を理解したいが所詮は聞きかじりであると言う富野本人の「ぼくは勉強ができない」という気持ちの表れかもしれないし、それを客観的に登場人物に投影しているという技を使っているのかもしれない。
小説と言うのは、幾重にも思考が重なっていておもしろいものです。
また、聞きかじりの知識という感覚は2ちゃんねるwikipediaに浸かった若者のリアルって言う感じでもある。
頭の悪い元理系大学生で、富野信者の僕のブログの文体も、ロウリィの駄文みたいに飛躍したグダグダなものだから、とても共感した。
 
 
ただ、ロウリィは山口県民としてバーテンのバイトをして、新米の不良アメリカ兵士に地元の女を斡旋したり、イケメンを利用して自分も女から人脈を作ったり、結構地道な努力もしてるんだよなー。エイサップの親父のアレックス・ゴレム大佐も友達の親と言う感じで観察していたり。
ネットだけじゃない。
ここら辺はバイストン・ウェルで見聞を広めていく迫水真次郎ともダブらせてあるのだろう。あれ?ロウリィが主人公?鈴木君…。
 
 
それから、金本平次もなかなかいいキャラクターだ。ロウリィの腰巾着かと思わせて、ミリヲタギークでロウリィをサポートして意見を出す参謀。また、韓国系在日三世としての日本に居場所が無いと思う視点や思想は、ロウリィをおだてながらテロに導いて行ったりもしている。ダンバインでいうとドレイク・ルフトを操る妻、ルーザ・ルフト的な感じ?
あれ?金本ヒロインじゃん!
細面で、おしゃれで、実家が中華料理屋で料理上手でエイサップに手料理を振る舞う代わりに同居しているとか、押しかけヒロインじゃん!萌えるわ!
しかも、この章のラストは作戦実行の朝を迎えた朗利がブリーフ姿で寝ている金本を叩き起して「ちょっと!見てないよね!」とか言う。
もう、けっこんしちゃえよ!!!!!!
ロウリィも「男性的な体格だが、名前やしぐさがどこか女性的でしなやか」とか、いちいち萌え要素を・・・!
 
 
あと、なんか鈴木君は金髪のせいで虐められてたのに、なんとかグレずに大学生になったとか、そういうことをグダグダ思い出したりする。アニメ版より家庭環境がすっきりして、親父が家庭を大事にしてるの分、甘ちゃん度がアップしてる。だからこそ、アマちゃんのエイサップを作戦にはオルグしないっていうロウリィの気遣いにもなって、萌える。
 
 
しかし、エイサップ鈴木君の親父のアレックス・ゴレム指令はジョージ・ブッシュを旗艦とするパパ・ブッシュ艦隊略してパブッシュ艦隊と言う、ロウリィよりもさらにでかい規模の秘密作戦をしているのであった…。うわぁ・・・。
戦場の構築されない時代の対核、対テロ、対海賊のための国連直属の無国籍艦隊の名前がパパ・ブッシュ艦隊って、ものすごいダメな匂いが…。
ブレンパワードのノヴィス・ノア艦隊がさらに軍事的になった感じで、富野集大成っぽくもある。リアルにありうる感じでもあるし。
 
 
でも、えーと、この小説、まとまるんですか?