玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。


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リーンの翼新装版3巻 第六章「原子力空母と一発のテロ」

八十ページ読みましたー。すっげえ疲れた。頭痛い。
もうね、むちゃくちゃだ。これ。
とりあえず、あらすじを書いて寝るー。そして起きた。
というか、wikiと巻末年表と人物相関図を照らし合わせて、手持ちの資料ともにらめっこしないと読めない小説とか何なの…。ドストエフスキーなの…。
異世界ロボットファンタジーライトノベルを読んでると思ったら、戦後史と富野思想がごった煮になってて…。

  • あらすじその1

パパブッシュ艦隊略してパブッシュ艦隊の司令、エメリス・マキャベルは、地球環境の有限性が分かっても消費活動と経済のための戦争とバーチャルな金融や(ryをやめない、とにかくすごく愚かで絶滅が確定しているのに現在にしがみつく人類に対して、意識改革を迫ると言うゴッドマザー・ハンド計画を発動した。
これは国連軍縮のために作った対テロ用無国籍艦隊パブッシュ艦隊と、アメリカ第五第七艦隊と日本に秘匿された核爆弾を用い、世界各国の首都に向けて同時多発核攻撃(メフメト作戦)を敢行するものである。これにより、全人類に決定的に戦争のトラウマを植え付け、インターネットや軍事のインフラを破壊し、人類の環境を苛酷にすることで人類そのものが生き延びるための技術に力を結集させようと言う荒療治であり、彼の妄想である。
が、青春時代の初陣をベトナム戦争サイゴン陥落で迎えた彼は、米軍にありながら第一次大戦からの戦勝にはしゃぎ続けて泥沼の戦争を繰り返しても強引な物資で止めないアメリカ、ひいては人類の行動を客観的に観察し続け、変革しようという確信に至る。
アメリカ軍のトップにまで上り詰めつつ、その人類粛清計画の親派を世界中の政財界のエリートから集めて行った。アニメ版ではただのデブで悪い爺だと思われたが、富野巨悪らしくなった。ジャミトフ・ハイマンのように憂国の志と地球環境全体への杞憂と、見識によって、ある特定の政党や状況がどうだ、ではなく人類そのものに意識改革を迫るという、シャアとかウィンストン・ゲイブリッジとか、いつもの富野のアレです。
彼のシンパは世界中の政財界に居る。アメリカだけじゃなく、中国にもドバイとかにも。むしろ、超セレブの方が自分たちのやっている経済活動の限界とそれを支える大衆のあさましさが見えて、リセットをかけたくなっている様子。
第二部の一応の主人公、エイサップ鈴木君の父であるアレックス・ゴレム在日米軍岩国基地司令も日本人妻の鈴木敏子さんに一目ぼれする前の若いころから、エメリスの親派でシークレットエージェントであった。むしろ、彼がアメリカの妻と離婚して在日米軍に赴任したことにもエメリスの息がかかっていたりするらしい。鈴木君、エメリスのおかげで生まれたのかー。ひゃー。
そんで、彼がその人類粛清計画に至る思想過程や、パブッシュ旗艦艦長のブレン大佐の逡巡、アレックス・ゴレムの作戦準備と回想、核武装したF-35ライトニングのパイロット・ジャック・ガンズのトリガーハッピー等を通して、
ジャッキー・エミー・デリダ脱構築論、アダム・スミスローマ帝国衰亡史、ハンナ・アーレントの「悪の陳腐さ」、アルール・H・エリス少佐のオレンジプランハーマン・カーンの水爆戦争論、マンハッタン計画ナタリー・ポートマンのマーズ・アタック!、冷戦構造、2001年の同時多発テロからテロとの戦い、エマニュエル・トッドサダム・フセインの死刑等、等、等、およそ富野由悠季の興味と勉強が全て実名でブチ込まれている。
デリダ脱構築論から来て、村上春樹1Q84みたいな「現実は虚構かもしれないから、脱虚構のために核攻撃をする」とか、ベストセラーみたいな事を取り入れてる。しかもそれが異世界ファンタジーと並行して描かれるのだから、虚構の階層は果てしなく読者を殴りつける。ダンバインから普通にエリザベス女王を出してるし。
頭痛い。
富野監督の作風は「とりあえず、持っているものを全部出し切る」です。いや、でもさ、ほら、出版社的には読者層とか、マーケティングとかジャンルとか、あるし、社会派サスペンスをやりたいならそっちの棚で…。富野さんはガンダムの親なんだから帯にガンダム芸人の土田さんのコメントもつけたんだから…。
って言う事は関係ないぜ!
出し切るぜ!
しかも、そういう現代の実際の乱れもバイストン・ウェルの影が為さしめた物らしい。フジヤマにかかる謎の影(バイストン・ウェルの意思)と言うのは、アニメでも描かれたが、小説を読むまで全然気付かなかったよ…。
エメリス・マキャベルの虐殺主義者だけではない人間味もアニメーションでは分からなかったよ…。
(作戦前に緊張してコーラを飲んだり、チキンサンドを上手そうに頬張る俗っぽさとか、作戦前に黙って部下に敵前逃亡のチャンスを与えたりする所とか)
 
 
で、頭が痛いのはそのような知識や富野思想がブチ込まれているカオスですよ。
蘊蓄披瀝や理論武装のために学者の名前を持ち出してる、というよりは、実際の学者や歴史という現実全体に対しての怒りを表明するための実名表記であり、実に生々しい。
しかも、富野監督の性質が悪いのは、悪人の思想の方に作者本人の心情を語らせているところ。
本気で人類を絶滅したいし、そのための理論武装を本気でやっている所である。ライトノベルとかだと、悪人は悪人ってわかる雰囲気とか、あるじゃん。
でも、最近の、イラストwindows2000擬人化四肢切断マニアが現実で殺人を犯した後に死体損壊をしたことがセンセーショナルに取り上げられたような時事ネタを通じて、「そんな殺人者の精神をワイドショーレベルの常識で考えて罪の軽重を分かったつもりの大衆って何なの?馬鹿なの?」ってキレて、そこから「発展途上国までが機械文明を欲しがるのは、地球と言う星の死体をさらに損壊させるという事だ」とか論理が飛躍して、富野の怒りが地の文から溢れまくっていて素晴らしい!登場人物の視点と見せかけて地の文が暴走している。
もう、愚民大嫌い!
人類が達観や悟りで自殺をしたら平和になるのに、愚民はバカだから核兵器だ!死ねー!最高!
御本尊の富野御大将は本当に原液ですねー。濃い。岩塩。
と、見せかけて、テロに走るマキャベルの思想について「所詮は彼も現実を自分の魂のありように合わせて理解するしかない誤謬を行うのだ」など、富野が雑誌で書いた自分の思想を語らせるキャラクターに対してツッコミを入れたりして、ますます分裂気味になる。

 
 
いやー、頭が痛くなりますね。
 
 

  • あらすじその2

パブッシュ艦隊と岩国米軍基地が核攻撃を準備して、日本政府を脅迫して、自衛隊スクランブルしてテレビ局のヘリが飛び交うというカオスな時に、『実行してみるしかない仲間たち』略してジスミナのロッテ会長(テロ首謀者と言う意味のハンドルネーム)こと矢藩朗利と金本平次が、中古のロケット弾を岩国米軍基地の戦闘機格納庫に打ち込んで火災発生。
で、グダグダ。誰が何に攻撃しているのか大混乱グダグダ。
ロウリィも地元のテレビ局にアジビラをばら撒いたりしつつ、金本がジープを運転して必死に米軍から逃げると言うスペクタクル!
あと、パブッシュ艦隊と同タイミングでジスミナもテロを行うと言う事で、アメリカのトップと山口県民の大学生の人類への憂いが同調している。
エメリス・マキャベル達が「先進国のすべての首都に核攻撃をした後に太陽エネルギーによる循環社会を作る」という目標に対して、ジスミナは周りを見てないネット発祥の若者テロ集団で夢みたいなマニフェストだが同じような案を出してる。
自衛隊に老人介護や農林水産業と防災を行わせる。関税を設ける。エネルギー問題には廃棄物の少ないトリウム溶融塩炉原子力発電所を補助的に使いながら環境エネルギー発電所を配備する。そんで循環型社会を目指す」っていう、あ、ロウリィも以外に考えてる。
米軍トップも、国道私立大学生も同じような時代を感じてる?
最近富野監督がガンダムエースの対談取材連載「教えてください。富野です」で覚えた事を、いきなりブチ込んでる。
富野監督はとにかくたくさん本を読んで、取材して、覚えた事はすぐに使うぜ!
もう、トミノすぎるなあ。でも、昔から富野小説ってEMOを出したり、島3号をパクったり、すごい富野だなー。
やっぱ、富野監督の周りの若い技術者やブレーンが影響してたりして、現実ともリンクしてたりするのかな?
ロウリィの2ちゃんねる描写も、富野監督はあんまりネットとか2ちゃんねるはやらないって表明してるけど、周りに2チャンネラー多いし、観察してるんだろうなあ。
あと、ロウリィがロケット弾を撃ちながらアジテーションビラをバラ撒くのが妙に楽しそうに描写されてるが、うつ病の時の富野さんがサンライズに妄想でテロをしかけたかった時の気持ちが伝わるようでした。なんか、本物さんだ。
どのキャラクターも富野の角度の違う投影みたいだにゃ。

  • あらすじその3

エイサップ・鈴木君の逃亡。
鈴木君のお母さんが、テロ当日の朝にエイサップの家に行こうとしたら、テロをしてるロウリィにすれ違って、ブチ切れて混乱してる基地司令のアレックスの携帯電話に電話して、エイサップの家に米兵と一緒に乗り込む。
エイサップ君は取り調べを受けますが、本人には何も悪い事はしてない。だから、尋問されても関係ないのだが。でも、その時に、敏子お母さんが自分の部屋のゴミ箱をチェックした事とか、大人の前で子供扱いされた事にキレて逃げて、いつの間にかロウリィと同時並行でパトカーや米軍に追いかけられてゴリラバイクで山口県の農道をかけずり回ったり、さらにグダグダに。
悪い事をしてないのに母親がウザいから逃げて状況を悪くするとか、こういうガキっぽいところも、思想以外の富野さんの投影だ。
バイクの運転描写のリアルさとか、狭い住宅街を走って、壁に当たってバイクがボコボコになっていくスピード感とか、70前の爺さんとは思えない小説だなー。
そして、グダグダだ。
 
 
岩国基地海上自衛隊の海楽三等海佐さんのスクランブルを通じて、日本の飛空艇開発と配備の歴史と問題とか、id:kanabowさんが喋ってるようなミリタリーな話も出てきて、なんだかなー。視点飛びまくり。
 
 
でも、これはまだアニメ版の冒頭5分くらいなんだぜ…。今からオーラロードが開かれて、空中戦艦とミニスカニーソ絶対領域和服姫がリーンの翼をはばたかせて空から降ってきます。ラノベ絶好調です。
もっとグダグダになります。なにこれ・・・。


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