玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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創作幻視小説版「夢兄妹寝物語」 2003年7月 第7話 第3節

サブタイトル:[そらの愛は地球を救う]
 

  • メインステージ

 メイン収録会場には、気まずい空気が流れていた。放送が大詰だというのに、チャリティーマラソンを走っている女お笑い芸人がおくれているのだ。メイン司会者の徳川光輝タレントやアイドルグループのTECHNOなどのチャリティーパーソナリティーが今までのコーナーで障害を克服したという人たちに対する感想、またはお笑い芸人チャリティーランナーにむけた励ましのお便りのFAXを読み上げるなどをして、時間を稼いでいた。
 
 

  • 調整室

小松康次チーフチャリティーディレクター「これは、不味い流れだ」
 モニターを睨みながら、でっぷりした体型の小松ディレクターがひとりごちた。
小松CCD「おい、次のCMを前倒し、その間にランナーの映像を差し替え、車でショートカットさせるように伝えろ」
D「ほんとにやるんですか?」
小松「そのために準備をしてあるんだろうが。マラソン班は次の分岐を使うように」
 そのような指示を出しているというのに、その時のスタッフはマラソンではなく、ステージを映すモニターを一斉に注視していた。
D「あっ!あれはなんだ!」
小松「どうした!」
 ステージには、何の前触れもなくアイドルが出現していた。
 
 

  
  
 誰も知らないアイドルだった。しかし、誰もがアイドルだと認識した。この場で、あんな風に屹立できる女は、アイドルだけだ。
小松「あ、アイドルだとっ!」
D「アイドルですよね・・・・・・アレ」
小松「私は知らんぞッ!どこの事務所だ!」
 グーグリでアイドルを検索するパソコンのモニターに次々とザクレロインベルといったアイドルの写真が点滅したが、「NO DATA」。
AD「ハロプロ、765、ツィマッド、アルタネイティブ・・・・・データベースに該当アイドルなし!」
 アシスタントディレクターが悲鳴を上げた。
小松「私の知らない新型アイドルだというのか・・・ッ!」
  
  
 
 そのアイドルはステージの上に、いつのまにか在ったベッドの上に仁王立ちをして、その脚の間には、頭令グダが横たわっていた。
 アイドルは手に持っていたカセットテープ付きマイクを操作すると、叫んだ。
アイドル「私の歌を聞けえっ!」
ちゃらら らー らー らー♪
アイドル「ゆーんゆーん ゆーんゆーん わたーしのかれーはー 昏睡状態♪ 」
  
  

 会場に居た物は、みな、目の前で起こることを異常事態だと認識していた。マラソンの予定外の遅れでダラダラとした時間つなぎをしている間に、いつのまにか勝手にステージ上に上がりこんだ、威容にエロティックな格好をした、誰も見たことのない超絶の美少女アイドルが下らない替え歌を歌いはじめたのだから。だが、頭令そらが変身したアイドルの声は強制服従音声なので、誰も止めようとも思えず、聞きほれた。
  
  
アイドル「♪今日も一人で 夢の中 
いつも私は 見つめてる
ポッカリ浮かんだ UFOめーざーしー
やさしくーそーっとー さらってほしい
彼と一緒に 夢飛行
I Love You
You Love Me ?
だけど彼ったら わたしより
自分のセカイにお熱なの
ゆーんゆーん ゆーんゆーん
わたーしのかれーは昏睡状態♪」

  
   
 謎のアイドルは足元の植物人間を題材にしたと思われる電波替え歌を歌いきった。
  
  
 その時点で、やっと司会者としての仕事を思い出した徳川光輝(愛称・徳光)が、なんとかテレビの進行をしようと声をあげた。他の出演者は混乱している。
徳光「あ、ありがとうございます。素晴らしい歌声でッしたッ。えーと、サプライズゲストですネッ!」
 謎のアイドルから見えない位置にしゃがみこんでいるフロアディレクターがカンペで「どこの事務所のアイドルかわかりません。なんとか収めて下さい」と描いた紙を徳光に見せた。ベテラン司会者としての徳光の実力が試される時が、来た。
  
  
徳光「はい、では、次はネスカポネ(漫才コンビ)に登場してもらいましょー」
 言いながら、舞台袖のスタッフに(つ・ま・み・だ・せ・!)と、合図を送る徳光であったが、
アイドル「ダメっ!うたう」
 強制服従音声が発動した。
徳光「では、歌っていただきましょうっ!(わ、わたしはなにをいっているんだっ)」
 その間に隣の女子アナウンサーが調整室に居る小松から無線の指示を聞いていた。
小松『この混乱を利用して、マラソンランナーを移動させる。なんとか注意を惹き付けるのだ』
女子アナ「あ、その前に、自己紹介をして下さいっ!えー、本当にサプライズという事で、我々にも、知らされてなかったですけど」
 女子アナが一世一代の機転を利かせた。
  
  
アイドル「ふむ。みなさんっ!
わたしは『魔道のアイドル 天宮L'aurore(あまみやロロール)』17歳、とでも名乗っておきましょう!
今日はわたしのために集まってくれて、どうもありがとう!」

 観客全ては、頭令そらがロザリオの作る光子フィールドによって変身した天宮ロロールのために、集まった事になった。
徳光「えーと、その、お足元に寝ている男性は、どなたでしょうか?」
ロロール「徳光ッ!」
徳光「はっはいっ!」
ロロール「お忘れか?彼こそが眠れる夢の王子、頭令倶雫よ!」
 ビシィッ!と指を指して宣言した。
徳光「ははぁーっ!」
ロロール「さきほどの放送では、グダお兄ちゃんには非常に失礼な表現があった事をお詫びします!訂正し、今からっ!お兄ちゃんのために!歌いますッ!
みんな!おうえんしてねっ!」

観衆「おにいちゃんっ!おにいちゃんっ!おにいちゃんっ!おにいちゃんっ!おにいちゃんっ!おにいちゃんっ!おにいちゃんっ!おにいちゃんっ!おにいちゃんっ!おにいちゃんっ!おにいちゃんっ!おにいちゃんっ!」
 日本一武術館をおにいちゃんコールが充填したっ。