玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

創作幻視小説版「夢兄妹寝物語」 2003年9月 第9話 第4節

 サブタイトル:第9話 [家庭教師VSニンフェット!頭令兄妹誕生の秘密です!!]


Jack IN
  
  

2003/09/14

2003/09/16

 
 
Jack OUT


 

  • 四つの塔の屋敷の、そらの勉強部屋

 家庭教育を始めて2週間ほど経ち、そろそろ秋分の頃となった。
そら『お兄ちゃんはガンダムとか仮面ライダーが好きで、夢の中の世界での友達もいるのかしら』
 そんなことを考えながらも、そらは社から出された宿題のプリントを解いたり、一日数時間の講義を受けたり、初めての教育なるものをきちんとこなしていた。今までのそらは図書館や宇宙人の収集してくる書籍を使い、その時の興味や必要に応じて独学していたが、社亜砂は彼女の知識と経験を整理し、体系立てる事から始めた。そらの知識が偏っているため、小学生のための国語算数理科社会だけでなく、外国語についての話をする事もあった。特にそらが11歳にして英語だけでなく独逸語を習得していた事は社を驚かせた。
そら「ああ、独逸語は医学書を読むのに要ったから辞書を読んだのよ。お兄ちゃんのためにいろいろやってたし」
社「すごいものだな」
そら「あたし、一度覚えた事は忘れないの」
社「それでか、貴様が模擬試験で同じ間違いを二回した事がないのは」
そら「教える事、ないかしら?」
 机に向かう小さなそらが、傍らに立つ長身の社に向けて背骨を捩じった上目遣いで笑いかけると、社亜砂のロリータコンプレックス抑制装置が作動し超音波と電磁波で彼の脳を焼いた。
キュィィィ………
 が、それはまだ軽微な波動であり、彼も自制したので、彼はそらの邸宅で鼻血を出した事はなかった。しかし、家庭科と称して社がそらに買い与えた、白く広い襟の水色のワンピースを着た教え子は、彼の嗜好そのものの美少女なのだ。
社「いや、何を教えればよいか、私も考えるのが楽しい」
そら「そ、じゃあがんばって見つけてね」
 授業中は常に勉強部屋のドアの前に黒い執事服の宍戸隷司が置物のように侍り、二人だけにはしなかった。体育の授業でテニスに行った時もレイは付いていた。
 
 

  • 私営テニス場

そら「社!あんた家庭教師の癖にずっと勝ってるのがずるいわ。レイ、あたしたちはダブルスでやるわよ。ハンデ!」
レイ「よろしいのでしょうか」
社「ご老体、授業では正式なルールと体の動かし方を教えたいのでシングルスのままで結構です。
 頭令、貴様は今のゲームの勝ち負けより、体の動きに集中しろ!今日始めた貴様に私は負けんよ。ふっ」

レイ「そら様。社先生に道理はあります」
そら「なによ!バカ!レイの癖に社の言うことを聞くの!」
社「目を逸らすな!私のサーブを見るのだ!」
 言いながらも、赤い半袖のウェアの社は随分と手加減してゆっくりと、手順と体の線がわかるように軟式のボールを投げ上げ、打った。
そら『確かに綺麗な動きだけど……さ!』
カッ!ポッパシンッ!
 多い長髪を後ろで括ったそらの白いテニスウェアが滑り込んで打ち返し、ボールは社のコートで跳ねた。
そら「やたっ」
「ちょっとすみませーん」
 テニスコートの職員の声がそれに水を差し、ボールは社の後ろに転がっていく。
レイ「なんでしょう」
職員「そちらの方なんですが……」
そら「ちょっと邪魔しないで!」
社「頭令、静かに」
 制した社はコートから出、球避けネット越しの男性職員に近づく。
社「で、私に何か?」
職員「大変恐縮ですが、社亜砂さんですよね」
社「ああ、そうですが」
 仮面の嘆息。
職員「ご予約いただいたのに申し訳ないのですが、その仮面を見て、隣のコートのお客様が苦情を……」
社「そうですか。この仮面ですからね。わかります」
職員「すみませんが……」
社「頭令、今日のテニスは終わりだ」
そら「全然わかんないわよ!やっと慣れてきたのにさっ」
社「私の仮面は犯罪者に付けられるものなのだよ」
 用具を片づけながら彼が言った時に、そらは既に隣のコートに走り、仕切りの金網越しに、苦情を出した20代後半風の女数人に叫んでいた。
そら「こいつは犯罪者じゃない!単なる元受刑囚よ!あれはやり直すための仮面なの!ビビって邪魔すんじゃないわよ!」

女「やだ、何この子」
女「調教されてんじゃない?」
女「あの仮面、ニュースと同じ」
女「怖いー」

そら「はっきり喋れ!こいつの仮面が有名なら分かるでしょ!変な事をしたらすぐに逮捕されるようにできてんのよ!」
社「頭令、もういい。貸し切りにしなかった私のミスだ」
 肩に置かれた社の手を、そらはラケットのふちで殴り払った。
社「痛いぞ」
そら「あんた悔しくないの!」
 振り向きざまに叫ぶ。
社「慣れている。社会とはこういう物だ」
 隣のコートの女に、背筋を伸ばして金髪の頭を下げる。
社「お騒がせして申し訳ない。
 宍戸さん、帰りましょう」

レイ「片づけは、終わりました」