玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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放浪息子3回目 ロミオとジュリエット の、多次元バランス

なんかツイッターで考察とか政治的文脈とかジェンダー論とかフェミニズムとか言う噂と共に噂が流れてくる放浪息子ですが。
俺はアナーキストだから分からんわー。普通に中学生のグダグダ感が面白いわー。

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あおきえいとかほしかわたかふみが作りだすid:mattuneさんが好きな枠枠ナメナメな補助線バリバリの直線的構図に、志村貴子のふわふわした絵柄が融合ってのが面白いな。水彩って言うすごいアナログな物を、思いっきりコンピューター技術で制御してるキメラ感が面白いわー。しかも、それが中学入学とか体験入部とか変声期とかトランスヴェスタイトを扱ったストーリーのあやふや感に混ざってて、おもしれーわー。いいねーこういうトリップ感。大好き。



で、いろんな要素が絡み合ってる群像劇なんだけど、単にキメラ的にぶち込まれてるだけじゃなくてバランス感覚が在るのが良いね。
面白いなー。バランスが面白い。主人公の二鳥修一氏が女装癖以外は常識人で、その上で女装させたがる千葉さんに「打ち合わせをする時に女装は必要なのでしょうか」と常識的にツッコミを入れるのがすっごい笑えた。
高槻さんと修一君の保健室でのやり取りに、的確なタイミングで「元気になったら授業に出なさいよー」ツッコミを入れる保健医の先生とか、視点の外部感が面白い。
作品が一つのイデオロギー、つまり、萌えとか戦いとかのルールにコントロールされてなくて、いろんな価値観が在るのが面白いな。生活感が在るっていうか。
だって、「女装少年萌えイチオシ!」ってだけの萌えアニメだと二鳥君は「何をおいても女装したがる変態キャラ」という記号になっちゃうと思うのよ。でも、放浪息子は普通の人間みたいに「いや、今は文化祭の打ち合わせだから、女装はやめとこうよ」ってすげー普通にTPOを考えてツッコミ。で、そのリズム感が逆に面白い。あはははは。おもしれー。
とらドラ!は見てないけど。
その色んな視点や状態の中の一つ一つに、女装癖とか中学生の悩みとかクラスの中でのグループや性格や容姿の違いとか性同一性変更者とか新任教師税所学の教育方針とか、色々在って面白い。
主人公が女装少年っつーことで、同性愛とかホモフォビアだけで語られがちかもしれないけど、それだけじゃない人間の多様性がおもしれーなー。同性愛も天然自然から生まれたもの!言わば人類の一部!
で、外部の人々のツッコミが連鎖する、女装修一と誠が女装声色を吹きこんで遊んでいる所に水樹奈々演じる二鳥真穂姉のツッコミがはいり、そこに真穂の彼氏がお見舞いに来てツッコミを入れてグダグダに成る所とか、すっごい笑えたわー。で、姉はさらに熱が。恋も。あははは。いい展開だ。
(ちなみに、私も若いころは女声色と地声の絡みでエロアニメを作ったら面白いかと思って吹きこんだ事が在るんですが、聞いてみたら物凄く気持ち悪かったので、即効消しました。やっぱり、自分をオカズにするのは難しいわー)
高校の頃に女装して演劇で濡れ場を演じたら本当の女と思われて、クラブ停止に追い込まれるくらい先生に怒られるほどの美少年だったんだけどなー。いまはおっさんだー。


あと、うちの妹の中学生時代を小説に書きたいと思いつつ8年くらい経って、妹ももう今年で成人するとか言う歳に成ってしまったので、そこら辺のフィーリングを思い出す資料としても助かるわー。原作にも興味が在るっていうか、志村貴子の本は百合姉妹が創刊された頃にいくらか読んだけど、今は忙しいからねー。アニメは飯を食ったり筋トレしながらでも見れるのがすごいよな。本は難しい…。


ちなみにー。
百合姉妹百合姫を読んでいると(今は百合なら何でもいい時期ではないし貧乏なのでタカハシマコくらいしか追ってませんが)、「同性愛は思春期特有の一過性のものでしかないなんて、間違ってる!」という主張が頻繁に載ってますけど。
私はそういう若者の主張も間違ってると思うな。だって、オッサンになったらオッサン自体の一過性の苦労があり、爺には爺の一過性の苦労があり、万物は流転し、一切が無常なんだ……。安定出来るのは死んでから二千年くらい経って歴史からも葬られてからだよ。
命短し、生きよ乙女。


ラストシーンで修一と誠は立ち止まり、瀬谷を見送る。よしのはあとからやってきて、二人を追い越していく。っていうあおきえい監督のtwitterでのまとめは、成長度合いの事なんだろうけど。
ザーメンは出るのかなー。まあ、画面に出なくても良いけど。ザーメンが始まったら、男子はもう如何にザーメン衝動と付き合っていくかと言う事がライフワークになるわけだが。
あ、よしのさんのスポーツブラっていうチョイスは良いと思う。本田貴子演じる性転換者のユキさんのアドバイスとかあったのかなー。母親のアドバイスかなー。先輩かなー。
っていうか、放浪息子っていうタイトルが「息子」呼ばわりで、親視点の物なので、親の今後の動きも注目ですね。