玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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∀の風と共に去りぬ

∀ガンダムの元ネタっぽいし、首藤剛志さんが褒めたたので、見た。
南北戦争シーンは∀ガンダムっぽかった。というか、技術で勝る敵にやられそうな時にホワイトドールが一体あるだけで心強いだろうなーって思った。まあ、ターンエーガンダムは無敵ですが。

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この作品はあまり好きではない。美女映画ですが、スカーレット・オハラがナルシストでヒステリーで共感能力と因果応報のケジメがなくて母性のディストピアってたので、シスコンの僕にはノーサンキューでした。
最後は地母神オチに投げたな。母なる物は怖い。お父様の土地を愛するとか、女がいなくなったらダメになる男とか、そういう価値観はぞっとする。まあ、子供の扱いとか、スカーレットの嫌な顔とか、ぞっとする部分も描く所は偉いと思うけど。
人間性とか性格の悪さとか口汚さとか都合のいい死とか金銭欲を満たした上での恋愛とか、視聴者を主人公の贅沢やモテに共感させるけど同時に主人公の汚さも描いて主人公の成功に嫉妬する視聴者の溜飲を下げたりする所が、レディースって感じだなー。
女の子用と言うか。私はミソジニストです。
まあ、昔から昼ドラ展開やレディース萬画の源流に成ってるのはすごいと思った。原作者のマーガレットも含めて、いけすかない女だが、キャラクターの類型の識別しやすさ、展開の早さと事件のアップダウンの激しさや、その繋ぎ方のうまさとか、演出の分かりやすさとか、物語や映画の技量としては評価できる。
俺は世界的名作に対しても上から目線ですよ。当たり前じゃん。俺の脳内妹の方がかわいいぞ。
スカーレット・オハラと作者のマーガレット・ミッチェル自己愛性人格障害については、以下に書いてあった。

パーソナリティ障害―いかに接し、どう克服するか (PHP新書)

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マーガレットはレッドという男性と離婚してから、母親に愛されていて人格が安定している男と再婚して、彼の編集者としての協力で、物語を構成して完成できたとか。やっぱり母親の愛とか、そっち方面に頼っちゃうかー。うぇえ
アシュレーの妻のメラニー女史の人格者ぶりはそれっぽかったな。


レット・バトラー"船長"は出崎統的でカッコよかったけど、スカーレット程度の女に入れあげるのは女の幻想と言うか都合よさって感じだなー。船長の部下を描かないのが女の子用だと思った。
まあ、男の子向けの置き物ヒロインも似たような機能なので、あんまり女ばかりを責める事は出来ぬ野だが。
船長は最後に船出するのが、女の呪縛を振り切った感じで良かったと思った。流石船長だな。ていうか多分どこにでもスカーレット的な女をこさえているような気がする。港ごとに。女は土地で死ね!
それが出崎統的価値観。
華星夜曲もタカが怒涛の上海でメガネとワルツだからなー。萬画はまだ続いたけど・・・。あれも風と共に去りぬを意識してたのか。
そういえば、いきなり最新アニメだが、STAR DIVER 輝きのタクトは学園青春ドラマだけど、処女を無くした巫女たちは土地と学校から去っていくんだなー。船で。タクトにボコられた戦士たちは割と平気で南十字学園島に居るのにね。
ターンAガンダムといえば、スカーレット・オハラにそっくりなリリ・ボルジャーノ嬢に恋愛で振られ、政治的にも支配権を取られたグエン卿が船出していくのがカッコよかったですね。リリ様もサバサバしてたなー。あの二人はあの二人で、どこからが恋愛でどこからが打算で、どこからが利用し合いかわからん貴族的思考なんだが。リリ・ボルジャーノ様もお父様大好きで、上のお姉さま(多分嫁に行った)と違って、お父様の土地の後継者になるためにグエン・サード・ラインフォードと付き合って、グエンが父のボルジャーノ公に逆らって野心を出したら切り捨てたのが、色々ときつい女だな。しかし、リリ様は風と共に去りぬの農場主レベルを超えて、ルジャーナを中心にしたアメリア合衆国の同盟の幹部に成って月との外交の指揮を執るのが色々と視野がでかくてすごい。
あと、南北戦争∀ガンダムといえば、ロラン・セアックが黒人奴隷と見せかけて白い悪魔を飼いならす美しくて強い黒い豹と言うのが素晴らしいですね!
風と共に去りぬの映画は公民権運動前に作られて、南北戦争を南部側の視点で描いたので、奴隷制度礼賛ともとれる描写があるわけだが。しかし、∀ガンダムはイングレッサ領主のラインフォードが黒人的な色で、主人公のロランも黒人っぽかったので、色々と未来と言うか、グローバルと言うか、時代や土地を超えてユニバーサルな物に成っていると思った。ユニバース!ユニバース!
∀のジェシカはもろに風と共に去りぬのマミーだし。ていうか毎回次回予告で風が吹いてるし。そういう面ではこの映画を見て良かった。(ハリーの災難のヒッチコック版ではハリーが死んでたけど)
∀ガンダムのキャラクター原案の安田朗ことあきまんさんは「グエンを黒くしたのは、黒人が白人を使うという一種の逆転感を付けたかった」「主人公のロランを黒くしたのは、富野由悠季監督の発案ではないが、富野監督のやりたいであろうという事を自分が先回りして付けてみたアイディア」「ロランは明確に黒人と言うよりは、よく日焼けした少年だと思っている」と、様々な証言をしていた。
インターネットで。
でも、風と共に去りぬはなんか喧嘩ばっかりでギスギスした印象が残りましたが、∀ガンダムはみんな可愛くて頑張ってたのが良かったと思います。
超悪いスエッソンも最後が可哀そうだったり、ケーキを食いまくるのが可愛かったり、女として癇の強いリリ・ボルジャーノ嬢もココアを美味しそうに飲んだりキエルさんと仲直りしたり、どのキャラクターにも愛があって良いなあ。
ミハエル大佐とヤーニ少尉や、コレン・ナンダー軍曹も暴走したけど、家族を愛していたり女たちの眠りを守ったり、人間性を感じさせる場面があって良かった。
風と共に去りぬも、スカーレットの2番目の夫がスカーレットのために死ぬとか、ちょっと人間性があったけど、それも主人公の人生を彩る添え物だったので、やっぱり主人公中心補正のレディースの域は越え無かったなー。富野の方が広くて深いよ。劇場版ガンダム風と共に去りぬよりちょっと長いけど、劇場版でも面白い。
ガンダムSEEDは主人公無双で、レディース受けして、ガンダム市場の枠を広げてくれたので良かったと思います。
ファースト機動戦士ガンダムも主人公無双でレディース受けしたのになあ。なんかファーストガンダムは見ててもあんまりギスギスしない。南北戦争など問題に成らないくらい開始30秒のナレーションで人類の半分が死んでる荒野なのにな。
何が違うのか・・・。まあ、これを軽々しく言うと面倒だから考えるのを辞める。

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閑話休題


しかし、この風と共に去りぬの特撮とファンタジアを見たら日本が戦争に負けたのは仕方ないとよく言われる逸話ですが、僕は七人の侍の方が好きです。戦前の黒澤明作品もみたいなあー。やっぱり僕は日本人なんだなあ。
日本映画や日本のアニメがアメリカで評価されないから駄目、とか、アメリカで評価されたから良い、ってよく言われるけど、僕にとっては富野と黒澤と出崎統が超強いからそれでいいと思う。っていうか、世界中のすべてのコンテンツを消化してたら時間無くなるから富野とその周辺程度をつまみ食いする程度の人生で十分です。



と、まあ、世界的名画を見ても大体富野の話に成ります。それが僕と言う人間なんだよ。


あ、レット・バトラーが大塚明夫のバージョンでしたけど、それも出崎っぽくて良かったです。レット・バトラーってショーケンに似てるな。コンビーフを真似して食ったりしたよな。(年齢がばれる)
まあ、岸田森が死んだ年に生まれたわけだが。



追記:レット・バトラーがアシュレーをライバル視して嫌いながらも、スカーレットに「お前ではあの男を理解する事は出来ない」って言ったり、アシュレーが最初にレットの軽薄さの裏の強さに気づいたりって言うのは出崎統の男関係の源流っぽくて良かった。女さえいなかったらなー。