この間の4月18日の月曜日に、ビリーズブートキャンプをしながら見るアニメを宝島の3話にしようと思ってパソコンを点けた所、出崎統が死んでた。
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しかし、出崎統の作品はいつでも完全燃焼だったし、遺作となったGenjiまで、ずっと突っ走ってたので、まあ、いいか。
67歳が特に早死にとも思わんしな。
そんな気分で宝島をなんとなく見ながら筋トレしてたら、「ビクビクするない、誰だって一度はあの世に行くんだ。面舵いっぱーい!」「ジム!ビリー・ボーンズ、最期にラム酒を一杯所望!」が実にヤバかった。
暗殺司令とアルコール中毒で心身ともにぶっ壊れて死に瀕したビリー・ボーンズ船長が、昔の思い出と、嵐の幻覚と、ジムとの絆と、宝島の幻想の、生と死、現と幻想、過去と現在と未来、悪夢と希望の間に揺れ動きながら逝くのが、実にすごい。出崎統だ・・・。
きれいな海の幻想に沈み、暗い床に倒れる。
この越境ぶりがアニメーションならではだなあ・・・。
ハーモニーの絵の、暗さや明るさの使い分けも美しい。
源氏物語千年紀 Genji の最終回でも、光源氏は夢と現実、生き生きとした妹、死んだ父、出家した姉、頼れる仲間、生と死、の間を揺れ動いて、「夢より儚い物ならば、どこへ行っても同じ事。なるがまんまに生くるのみ!」って叫んでいたな。出崎統は本当に終始一貫した男だったよ。ギャルゲー原作の劇場版AIRや劇場版CLANNADですら出崎統。
夢と現実、生と死の間を常に旅していたなあ。
しかし、ビリー・ボーンズという老いた男が死んでも、ジム少年にとって人生という冒険は始まったばかり、むしろ、ビリーの死が第一歩。ビリーが死んだジムの父親のリフレインにもなっている。そして宝箱。
ビリーの死があっても、海賊の襲撃という現実はジムの悲しみとは関係なくがむしゃらに来るし。ビリーの死体には布をかけるが、まずは戦う準備をするジムの男らしさのすばらしさ。
ビリー船長が死んでから、母親が帰ってきて、ジムが我に帰るまで、何分くらいあったんだろうか?アニメではカット・チェンジは一瞬であるが・・・。行間を感じさせるカット割りは出崎らしい。海賊襲撃を予告する時計って言う小道具もそれを感じさせる。
しかし、敵が来ると言うのにビリーの遺産の金貨を律儀に数えて宿代を計算する母さんの図太さはすごいけど、笑える。こういうユーモアが良いね。
だから、僕もジムを見習って、出崎統の訃報に涙しながら、涙をそのままにしてニートなりに実家の掃除をしたり各種財務管理をしたわけだ。
勇気を胸に進もうよ。
ただひとつの あこがれだけは どこのだれにも けせはしないさ
しかし、出崎統が生物である以上、死ぬと言う事は覚悟していたし、それは悲しくないのだが、源氏物語千年紀Genji2が永遠に失われたんだと思ったら、その途端に物凄く実感が来た。
出崎統はいつもそうだ!
源氏物語の時はアフレコが始まってるのにまだ絵コンテを書いてたり、劇場版CLANNADではヒロインの古河渚が「脚本は出来てないけど、頭の中では出来てるから幕を開けよう」ってやっちゃったりするし。
スケジュールが無茶苦茶なんだよ!どろろの時は自分で原画を描いてたりするし。
ばかーーーーーーーーーーっ!!!!
これから俺はずっと源氏の君さまを待ちつづける紫の君のような気持ちなんだ…。
やっと若紫を妻にしたのに。
藤壺は生まれ変わりを待っているのに。
やっと源氏は海に出たのに。
これからじゃないか。
まあ、ノイタミナは11話しかないとよく言われるけど、テーマ的にはある意味一定の終着点を見せてるんだけどね。Genjiは。華星夜曲もだけど。
でも、Genjiセカンドシーズンは見たかったなあ。でも基底現実からは永遠に失われたのだ。
もう、出崎統なんか遠藤綾が天寿を全うするまで地獄で源氏の2期の絵コンテを直し続ける地獄に落ちちゃっててください。
しかし、このタイミングでGyaO!であしたのジョーの無料配信をやってたりするので、今はそれを9話まで一気に見てたりしている。てなわけで、宝島はもうちょっとお預けかなあ。