玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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劇場版 機動戦士ガンダム00-A wakening of the Trailblazer-見た泣けた

自分では金は出さんが、人が見てたので見た。話はガンダムエース(富野目当てに金を出した)に乗ってた介錯ときた洸一先生の萬画とアニメ雑誌やネットのネタバレで大体知ってたし。別に見なくてもいいかなーって。
でも見た。ラスト泣けたよー。いやー感動したぁ。
泣けるように作ってあるって分かってても泣けるねー。音楽とか、光とか、花とか、主人公をアシストする人たちとか、グラハム・エーカーとか、盛り上げ方が上手かった。「あー、盛り上げに来てるなー」って分かってても感動できるのは、ハリウッド映画を娯楽だと認識しつつ楽しむような感じで、おもしろかった。ハリウッドアクション大作と同じ程度には面白かったと思う。

ラストの月と同じ大きさの巨大玉ねぎ宇宙人宇宙船と接触してからラストシーンまでの畳みこみのリズム感覚とか、石川智晶さんの挿入歌の「もう何も怖くない、怖くはない」は泣ける感じで良かった。沙慈やマリナが細かく頑張ってる感の入れ方とかー。アレルヤとハレルヤ・ハプティズムの会話とかも盛り上がってた。ソーマ・ピーリスは複座の機体の後ろで二重人格者がギャーギャー一人で議論をしてるのに、冷静の操縦をしててスルー力が偉いと思った。
HG 1/144 GN-011 ガンダムハルート (機動戦士ガンダム00)

HG 1/144 GN-011 ガンダムハルート (機動戦士ガンダム00)

あと、冒頭の総集編的な、メタフィクション的な、勇者シリーズガンダムSEEDやテレビシリーズガンダム00のセルフパロディ的な、大張正己的なフォルムの劇中劇のソレスタルビーイングの映画は、「メタフィクションの冷笑的なネタ」かと思ったが、アニメーションの動きとしては躍動感があって面白かったです。
人物のアップや、宇宙での破片や光やモビルスーツや戦艦のレイアウトも、劇場の大画面で映えるような感じで良かったです。ハイビジョンテレビで見たので割と綺麗だった。

あと、アクションシーンで良いと思ったのは、グラハム・エーカー率いるソルブレイヴ部隊(なんかマクロスバルキリー部隊みたいにガンガン変形してすごいビームとかミサイル撃つロボットに乗ってる人たち)が登場して宇宙金属生命体ELSの大群と戦う所は、作画が良くて良かった。単に良い作画でロボットが速く、たくさんのコマで動いて戦ってるだけじゃなくて、戦術があるのが良かった。人間を追いかける性質の宇宙人ELSを引きつける係の人と、引きつけられて追いかけている群れを横からビームやミサイルで薙ぎ払う係の人という連携プレーがいいね。
で、その繰り返しが3回くらい会って飽きてきた頃に、グラハム・エーカー隊長が自分で引きつけた群れに追いつかれそうな時に、ものすごい急減速で機体の軌道を変えて回避して、自ら群れを焼きつくすのがカッコ良かったし、グラハム・エーカー隊長の超すごい所がよく分かって、演出的にも魂的にもいい。

HG 1/144 GNX-Y903VW ブレイヴ 指揮官用試験機 (機動戦士ガンダム00)

HG 1/144 GNX-Y903VW ブレイヴ 指揮官用試験機 (機動戦士ガンダム00)

ティエリア・アーデがまたしても変な仕掛けのあるラファエルガンダムで登場したり、超すごいアームビームで戦ったり、セラヴィーガンダムを分離させて刹那さんを助けたりするのもかっこよかった。
HG 1/144 CB-002 ラファエルガンダム (機動戦士ガンダム00)

HG 1/144 CB-002 ラファエルガンダム (機動戦士ガンダム00)

それ以外は、なんかたくさんの敵にビービー、ビームを撃ってる繰り返しの戦闘が多く、しかも速いし、敵は途中から人類軍のMSをコピーして区別がつかなくなってくるし、なんか作画が細かいしたくさんロボットが出てくるからどこを見ていいのかあんまりよくわからんかったし、疲れた。
細かい尖塔の被害とかは出てくるけど、ドラマっぽくなかった。終盤の畳みかけ以外はBGMもおとなしいので、オペラ的な音楽での緩急もなかったし、盛り上げにかけてた。
戦いに戦術が無いから、何をやってるかわからんかった。
あと、戦略も、「地球に玉ねぎが来る前に、刹那さんを玉ねぎの中心部に送り込む」っていう単調な物で、飽きた。刹那・F・セイエイが目覚めるかどうか、とか巨大玉ねぎに入れるか、っていう所は面白かったけど。(世界中に遍在する刹那の霊体とかwww)
艦隊戦なのに、艦隊の布陣とか、防衛線の移動や、モビルスーツ隊の戦況や白兵戦などのリアルタイムな展開があんまり見えてこなかったのでつまんなかったです。岡部いさくが設定だった割に。演出で分かりにくかっただけ?裏設定には意味があったのかなー?フィルムで分からんかったら意味が無いと思うが。
でも、エルスの群れが作る銀色の雲とかは綺麗だと思いました。


んで、刹那がエルスと分かり合うっていうSFは、それ自体は面白いアイディアだと思うし、エルスの母星が赤色巨星に飲み込まれるっていうのは悲壮感があってなかなか壮大だと思う。その数億年の歴史を早回しで理解させるCGの美術もいいと思う。
ですがー、それをやるためにE・A・レイとイオリア・シュヘンベルグが語った「GN粒子」「意識共有」「太陽光発電」「イノベイドとイノベイターヴェーダの進化」「来るべき対話」とか、テレビシリーズで作られた「人類連邦軍」とか「世界は簡単に分かり合える」っていう、「設定」が、「エルスと分かり合うよー」というお気楽なエンディングへの簡単なお膳立てって言う感じで、レールに乗ったままって言う感じで、それは面白くなかったです。ドラマ的な葛藤とか、ワクワク感や感情の振れ幅が無いって言うか。
ハリウッド的に親切な映画だから、そこら辺は仕方ないんだけどね。
エルスがどういうものか、どういう宇宙人か、っていうのもオープニングのイメージ映像で大体分かるし。テレビシリーズの最終回の木星の光とか「来るべき対話」で、宇宙人映画って言うのは分かってたし。だから分かりやすく、「こういう宇宙人が来て、ピンチになるけど、刹那が分かり合ってハッピーエンドになるんだろうなー」「この設定はこのシーンのためだったんだなー」「ここが感動ポイントなんだなー」っていう、分かりやすい楽しみ方を出来る、ハリウッドの娯楽作品的な安心設計でした。設計がそうだから、まあ、多少ドラマ性が薄かったり、キャラクターがそう言うレールの上をなぞってるだけで生っぽさが足りなかったりするのは仕方ないかなー。と。作りの方向性がそうなんだからねー。
特に理由もなく唐突にカップルや恋愛感情が発生したりするのは「あー、分かり合いッていうのを見せるための道具なんだねー」っていう感じで薄かったけど、まあ、そこはハリウッド的に割り切って感動(おもしろい感情操作術ではある)するのがたしなみかなー。


それでも、スティーブン・スピルバーグ宇宙戦争やインディペンデンス・デイのように「宇宙人は悪い!」とかアーサー・C・クラークの宇宙の旅シリーズ(キューブリックの2001年の映画は若干別物)の「宇宙人は超越!」とかガメラ2レギオン襲来みたいな「宇宙人は怪獣!」って言うよりは、「宇宙人とも対話!」っていう機動戦士ガンダム00はもう一歩踏み込んでて良かったと思う。宇宙人が単純な異物になっていないのがいいね。宇宙人も滅びを目前にして、ひたすら叫んでいて必死っぽいのが良い。ただ、叫んでいるだけで、宇宙人がそれ以外は受け身だったのは、イデオンのバッフ・クランに劣るかな。まあ、バッフ・クランはすごく広い意味では宇宙人ではなかったのだが。
あと、エルスの母星が滅びかけてるのに、ホイホイ出かけて行く刹那や人類たちも意味が分からんって言うかバカなんじゃないかと思った。でも、まあ、そこが分かり合うための感動ポイントなんだろう。
ジーンダイバーは色んな異星人や異性体が出てきたけど、それぞれに固有の文化と目的と、独自の意思疎通手段を持っていて、その違いを乗り越える知性と利害計算を持っていて、そのドラマが面白かった。ジーンダイバーのエウロパ人とか、機械生命体は地球の人間とは違うだけで、彼らなりの人間らしさを持っていたのがいいよなあ。
宇宙人の描写としては、
ジーンダイバー>ガンダム00宇宙戦争
って感じでしょうか。
あ、ケロロ軍曹とか銀河ヒッチハイクガイドとか、色々あるので、その話は割愛・・・。


あと、やっぱり俺は「分かり合う」っていう概念が気持ち悪いわ。嫌い。無理。っていか、信じないし。薄っぺらい。
おれと分かり合ったら平和になるわけ?馬鹿じゃねーの。
俺の醜態や汚い心をさらけ出したら、ガンダム00のキャラの素直ないい子ちゃんたちみたいに受け入れてはもらえないね。フツーに迫害される。だって、俺はキモいし。
つーか、宇宙に花が咲いた所で、だからどうしたって感じに思うバカもいるだろう。ヤンキーとか。アリー・アル・サーシェス程の戦闘マニアじゃなくても、女を犯してドラッグをやって飯を食って糞して寝るだけの屑みたいな人類もいるわけじゃん。そんなのと分かり合えるわけねーし。そんなのが人と和解できるわけないじゃん。そういう人間のクズっぽさを最初から無視してるのが、言ってる事がでかい割にダサい物語だなーって思う。対話のための機体のダブルオークアンタって、バカバカしいと思うね。そんなので戦争は終わらないよ。アムロさんはニュータイプ能力で相手の痛みや不安を知っても、こらえてコクピットを撃ち抜くし、ウッソ・エヴィンはエンジェル・ハイロゥのサイキック・テリトリーで人々と意識を共有しながら、生身の女性をガンダムで殴り殺す。それが戦場って言う物の暴力なんだよ!その辛さがドラマなんだろ!

ROBOT魂[SIDE MS] ダブルオークアンタ

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イオリア・シュヘンベルグは「人類は知性があるから物事を難しく考えて分かり合えないんだ」って言っていたけど、違うね。感情が馬鹿だから、恨みを忘れられないし、嫉妬したり快楽を求めたり暴力を楽しんだりするんだよ。そこらへんの人間に対する絶望的な考察が、ちょっと足りないアニメだなー。夢物語っぽいというか、キャラクターが生きてない。最初は「機動戦士ガンダム00は現代の地球から300年後のリアルな西暦を舞台にしたドラマです。」っつって、300年もアイルランド紛争をしてリアルっぽさを無理矢理出そうとしてたのに、いつの間にかそう言う人の業や感情が特に理由もなく消毒されてて不自然だったなー。ソレスタルビーイングが武力戦争の恐怖を教え込んだから新政府は平和路線って言われても、それと人間本来の感情の問題は違うしさー。「知性が障害になってるだけで、知ってくれれば世界の人たちとは簡単に分かり合える。僕を分かって」っていうのは、ちょっと机上の空論って言うか、おたく的な発想過ぎやしませんかねえ。みんなが分かり合えば幸せって、エヴァンゲリオンですら否定した全体主義・・・。対話って言っても、対話した内容は明かされなかったしね。
ブレンパワードもオルファンって言う巨大異星人と分かり合う話だったけど、あれは人間の屑ぶりが発揮されていたし、異星人のブレンとグランチャーも感情的にいがみ合っていてアホっぽかったし、人間くさかった。オルファンと分かり合う時も、ガンダム00の特別なクァンタムシステムみたいな設定に頼らなくて、伊佐未勇が生身でオルファンに向き合って、比瑪が一番大事な男を捧げるって泣いたからオルファンがそれとなくちょっと共感した、って言う人の情があるんですよ。ブレンパワードに。ガンダム00はそれが人の情ではなく、設定レベルの出来レースになってるのが残念で、芝居になってない。

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しかし、「対話して分かり合う」っていう物語のレールに乗って、刹那がちょっとイイ子ちゃんというか大人しくなっていたのに対して、グラハム・エーカーミスター・ブシドー過ぎてわがままを通していたのが良かった。
「対話をするからELSと戦いたくない」っていう、不殺のジレンマに陥った刹那に対して「戦って生き延びろ!矛盾したまま生き延びるんだよ!それを教えてくれたのはお前だ!私は死なぬ!」って、刹那が背負えない業を勝手に背負って勝手に違う世界に行ってしまったグラハムの勢いは、刹那をエルスの中心に入れる穴をあけるためだけのストーリー上のおぜん立ての道具だったとしても、熱血で人の魂があって良かった。でも、刹那とちっちゃいティエリアは「あの男・・・?」ってポカーンってしてたwww. グラハム・エーカーは物語のレールに大人しく収まるようなタマじゃなかったわけだ。すげえ。


というわけで、グラハムが面白かったです。
グラハム泣けたなー。


あと、メタル刹那とババアマリナよりは、解釈の萬画版の王子様刹那とウェディングマリナの方が耽美で迫力があって、いいラストシーンだったと思います。
介錯くらい振りきったら、「ああ、バカなんだ」っておもって、細かい事はあんまり気にしないで済む。
介錯カッコイイよね。