玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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出崎統版あしたのジョー49〜52話 力石徹との死闘。と、死

視聴率的にマックスだった力石編の終了です。

話数 サブタイトル 脚本   作画監督 絵コンテ 演出 視聴率
第49話 果しなき死闘 小林幸   杉野昭夫 石黒昇 棚橋一徳 22.9%
第50話 闘いの終り 小林幸   荒木伸吾 (不明) 吉川惣司 19.9%
第51話 燃えつきた命 宮田雪   杉野昭夫 崎枕 崎枕 26.4%
第52話 さらば力石徹 田村多津夫 杉野昭夫 石黒昇  石黒昇 19.8%

あらすじサイト↓


試合自体は48〜50話の三回。
で、51話で死んで52話で葬式。
なんか、ちょっとプライベートで色々とありまして、ブログを書くやる気やきっかけや時間が無く、一番大事な力石戦の感想がおろそかに。
GyaO!ではすでにカーロス編に突入しているんだが。もう70話とか。


しかし、あまり言うことがないのだ。
半分うろ覚えだということでもあるが。

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演出的には49話の石黒昇、棚橋一徳は手堅く、50話の吉川惣司演出はラウンドのカウントをそのまま(新世紀エヴァンゲリオンイスラフェル戦みたいに)載せたりするのが


後の吉川監督のルパン三世ルパンVS複製人間」に出てきた実写コラージュに繋がりそうだなあ、メタな技法っぽいなーとか、有名な力石のダブルクロスカウンター回避の汗が飛ぶ演出は原作のちばてつやでも崎枕回でもなく吉川演出だったのかーとか(絵コンテは出崎統かもしれんけど)とか、51話で力石が死んだって聞かされる時のジョーの絶叫のバックで今までの総集編とか実写コラージュとか絵具をぶちまけた写真などが連続して高速で映されるのが現代アートっぽいしエヴァンゲリオンっぽいというか、エヴァンゲリオンに受け継がれたんだなーとか。
原作では、ジョーが絶叫する所は大ゴマブチ抜き3ページ。あと、力石がジョーに勝って見下ろす所も珍しい大ゴマ。基本的にあしたのジョーはコマが小さい。力石とジョーの握手がすれ違う名シーンも原作では小さいコマで流されてる。アニメはたっぷりと時間を使ってるな。力石の死を告げる記者の死神っぽさはアニメオリジナル。出崎統は陰影の使い方が上手い。
ちなみに、僕はルパン映画だとカリオストロの城よりマモーの方が好きだなー。大人っぽくて。あ、出崎統のテレビスペシャルルパンも好きなんだが、見たのがローティーンの頃だったのであんまり覚えてない。見返した方が良いのか・・・。ゴルゴ13はカッコイイよね。


ジョーって演出でアートっぽい事をやってたんだなー。と。
マモーも結構アートっぽいラストだったりしたけど。アートっぽいというか、奇抜な事をやるというか。
力石とジョーの汗がクロスカウンターの慣性で飛び散ったり、って言うのはリアルじゃないんだけど、アートとしてはビビッドな色遣いと残像と主観的な時間軸の変幻自在っぷりがかっこいい。かっこいいだけじゃなく、作品に合ってる。


ジョーが絶叫する時の背景の高速コラージュも現代アートっぽいし、最近の新房昭之シャフト演出とか言っても全然通じるよな。今の眼で見ても、演出的に尖っている。
そこには、やっぱり力石徹の葬儀を企画した東由多加寺山修司天井桟敷っぽさも絡んでるのかなー。いや、寺山修司は主題歌と力石のテーマの歌詞は書いたけどアニメ演出には絡んでないと思うけど。
天井桟敷と言えば、やはり、幾原邦彦監督の「クソつまんねー凡庸な女に俺様のスバラシー教養や趣味を披露しまくってたら、ある日突然天井桟敷の公演に連れて行かれてあまりの衝撃にションベンちびりそうになった」というエピソードとか。
最近、輪るピングドラムが好評で面白い幾原邦彦監督も少女革命ウテナ寺山修司やジュリアス・アーネスト・シーザーを引用したとかだよなー。とか。あと、幾原邦彦監督がアニメに興味を持ったのは、偶然見た「哀しみのベラドンナ」でそれは出崎統が最後に原画を描いた虫プロのアニメだったんだよなー、とか。
そーいう時代の横断と縦断な交流を感じるのも面白い。
最近のカオスラウンジあたりのコラージュアートも1971年の、40年前のあしたのジョーからあんまり変わってないのかなあ、とか思ったりなんかして。
ベラドンナはヤッパ見とくべきか。どろろは見たしな。


作画的には、やっぱり決戦の50話がほとばしってたなーと。

うわー、力石のアッパー痛そう、とか。

アッパーカットをゴングに合わせてぴたりと止める力石徹かっこいい。とか。



波ガラスとブラシ処理で入射光だ!


とかくらいかなー。


それと、原作を読んでたら、このあたりからジョーの顔が大人びて杉野昭夫っぽくなっていたり、アニメみたいにカット割りや動きを意識したコマ割りに変わってきている。最初の方は動きの少ない手塚治虫的バンド・デシネ(四角いコマの連続絵巻みたいな感じ)だったんだが。
アニメが始まった70年って連載だとどこら辺だろうか?
カーロス編あたりでアニメが追い付きそうになったらしいが。
東や寺山修司力石徹の葬式をしたのは、アニメのプロモーションも兼ねていたらしいので、力石の死んだ時期あたり?
調べたら、週刊少年マガジン 昭和45年(1970年)2月15日 8号に力石の死ぬ話が掲載されたらしい。
読むべし!2
アニメが始まったのは1970年4月1日だから、ここら辺でアニメからのフィードバックがあったとは考えにくいか。
力石の葬儀が行われたのは、1970年3月24日。
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こちらに掲載された天井桟敷による力石の葬儀の演出台本によると、尾藤イサオがジョーのコスプレをして歌っていた?らしい?
ということで、葬儀と言うよりはアニメのプロモーションを兼ねていた感じですね。




まあ、ちょっと見てから1カ月くらい時間がたってるので感想に熱意がないんですが・・・。(大事な話なのに)


やっぱり内容ですね。
試合内容が面白い。ジョーのこれまでの戦い方はある意味少年萬画的と言うか、敵の弱点を発見して作戦を立てるか、敵以上の異常なチート実力(無限ダウン後のクロスカウンターとか、ノーガードからのクロスとか)っていう、1試合1作戦的な、ジョジョの奇妙な冒険的な所があったんですが。これは梶原一騎っぽさなんですが。
この試合では、ラウンドごとに、矢吹丈力石徹の二人のスタミナとかダメージや相手の作戦の理解やそれに対する即時対応で、色んな作戦が流転するのが面白い。
ジョーが最初はノーガードで、力石の連続アッパーをスウェイバックで避けながらボディーを狙うという戦法

1Rではジョーが有利だったが、これではジョーは腰の引けたパンチしか打てない

力石のアッパーを喰らってジョーの顔が切れる

ショートフックの連打に切り替えるジョー

力石のカウンターとアッパーを喰らってジョーピンチ

ノーガードを辞めてガードを固めるジョー

ガードの上からジョーをボコボコにする力石

ジョー、スリップダウンをし、ボコボコになりながら力石スタミナを削る。

ジョーのパンチが偶然かどうか、力石のテンプルに当たり、力石ダウン

力石もスタミナを失い、ノーガード作戦に切り替える

ジョーも再びノーガードに

睨みあいのまま最終ラウンドに行き、殴りあえという観客のヤジでジョーがイライラする

ポイントで負けてて、短気なジョーが「力石はスタミナ切れだから、トリプルクロスカウンター(カウンターのカウンターのカウンター)を力石が打つ前に俺のダブルクロスカウンター(カウンターのカウンター)が先に当たるはずだ」って賭けに出て、先に手を出す。

力石、ジョーのダブルクロスカウンターをジョーがウルフ金串戦で使った必殺技のトリプルクロスカウンターで返すのではなく、真下にしゃがんで勢いよく回避、そのまま必殺の超大振りの超高速アッパーカット。

終わった・・・。なにもかも・・・。


と、二人の対話のように作戦が転変するっていう事実が、具体的に二人が会話をしなくてもライバル同士の語りあいッぽい。うーん。
本当に力石とジョーは特別なライバルだったんだなーという。
最後にジョーが賭けに出る理由が、「ダブルの方が先に当たるはず」っていうのは、ちょっと梶原作戦主義みたいな感じだったけど、力石はその上を行ったのですごい。
で、ジョーはあんまり頭がよくないし、言葉で分かり合うのが下手だけど、力石に叩きのめされた後、ものすごく晴れやかな顔で握手を素直に求めたのがすごい。
それまでの因縁を、力石に少年院で何度も邪魔されたということから始まった憎しみを、リングの血で洗い流したよう。
それは素晴らしくすがすがしい。
だが、握手で終わらないのがすごい物語だ。
やっと、スッキリしたと思ったら、力石が死んだ。


うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!


そりゃ、ジョーの背景もアートに成るわ。
そして、ジョーは新たな因縁を背負ってまだまだ物語を続けなくてはいけなくなってしまう。


だが、力石徹の死に顔は笑っていた。「燃えつきて死んだのだ。矢吹君に勝って満足しきって死んだのだ」と白木幹ノ介会長も言った。
力石はあしたのジョーの最終回を先取りして笑って死んだ。


なら、力石はジョーのレールに成ってしまうのか?ジョーはレールに乗って進むのか?ジョーのあしたはそれでいいのか?
しばらくジョーは迷走します。


ちなみに、ジョーが死んだかどうかという論争で、「ジョーが真っ白になっている時に、笑っているのは、解剖学的に無理だから、生きてる」っていう説もあるが、力石は完璧に死んでるのにカッコよく笑ってるので・・・。
だが、原作のちばてつや先生も「梶原先生の初期原稿や、自分の中でもジョーは生きて白木葉子に面倒を見てもらってるのでは」とか言ってる。
出崎統は「旅に出ている」と言っている。


あしたはどっちだ!
ていうか出崎統は旅が好きすぎるだろう。

あしたのジョー(5) (講談社漫画文庫)

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