玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

バトルスピリッツ ブレイヴの最終回の不評の理由の予想

僕はバトルスピリッツブレイヴの最終回はよかったと思う。
ただインターネットで、「主人公が消えたからバッドエンドだし、納得がいかない」という書き込みを見た。
納得がいかないっていうのは、まゐ様がダンが消えて悲しいって言う気持ちに感情移入したからだろうか?確かに、紫乃宮まゐは泣いてたしなあ。でも、ラストシーンでは悲しそうな顔をしながらも「ダンの守った世界を私たちが今度は守ろう」って立ち上がってたし、そういう悲しい気持ちを抱えながらも立ち上がる事の大事さを僕は感じた。
視聴者が「バッドエンドに納得がいかない」「ぶちこわしにされた」って思ってしまう気持ちは分からなくもない。むしろ、それはそれだけ視聴者にダンが大事に思われたって事だから、それは作品の
出来が良いという事でもある。(ダンの声優の大浦冬華さんのブログに不評を描きこむのは大人げないと思うけど・・・)
ただ、感情レベルで納得ができないバトルの痛みを抱えたまま、強く生きろっていうメッセージをバトルスピリッツダンシリーズで感じました。異界王とか百瀬兄妹の死とか、ザジの過去とか、痛みを痛みとして受け入れる、でも生きる、って言うのが「震災以後の前向きなアニメ」って感じがした。いや、あんまり震災以後ッていう言葉は好きじゃないけど・・・。
ただ、「破壊はあったけど前向きに再建しよう」っていうアニメはこれまでもあった訳だ。
わりと。


ただ、ダンの場合はガチで逝っちゃったからなー。ダメかもしれない、ダメじゃないかもしれない、ってぼかしてあるけど。(同じサンライズガオガイガーみたいではある)
脇役がたくさん死んだ後に再生を頑張るラストではなく、主人公が消えたので「破壊の後の再生をがんばろう」っていうラストでも、「破壊」のウェイトが大きく見えて、それでキツく感じたと思う。


それと、「破壊の後の再生」だけど、「再生」のビジョンがいまいち具体的によくわからんって言うのもある。「これからがんばろう」だし。それは、まあ、視聴者の側も「頑張って平和になった世界」「環境汚染や民族対立を乗り越えた後の世界」をリアルに感じられない世相だからかなー?っていう気もする。
クラッキーバローネが握手して世界が平和になるとは思いにくいのだ。
ただ、最終回はそういう印象だったけど、ユースとルガインの和解や、ザジへの許しとか、デュックの復活とか、そこら辺で救いは既に描かれていたのかもしれん。
だから、感情レベルで最終回を見ると理不尽でダンが可哀そうだけど、全体的に見るとダンは未来の世界を確かに救ったという風に見える。自分のバトルのことしか考えてなかったバローネがいつの間にか女王から魔族の代表を譲られたように、責任感に目覚めた、って言うのも大きい。
ダンさんはバトルジャンキー→自分を殺して世界への責任感で行動だったけど、最後の最後で「ありがとうございました。良いバトルでした」で終えるのが、滅私奉公だけでなく自分の意思で納得したっぽく構成している。


ただ、現代の、未来世界から帰って来たまゐ様の「これからのがんばり」は全く先が見えないし、それは視聴者の「がんばり」と同じ世界の事っぽい。それだから、エンターテインメントのアニメで「世の中を良くするためにがんばれ」って言われると「楽しくない」と思う感情も理解できる。


でも、やっぱり「痛みを超えて頑張る意思」を印象付けるには、それだけ大きい痛みがないと説得力がないし、お話としても「勇者が強い心で世界を救いました、めでたしめでたし」だったら、環境問題とかエネルギー問題とか差別をリーンの翼のように描いた世界観の作品の最終回としておめでたすぎると思う。それに、ダンシリーズは「バトルの痛み」がテーマだったからなあ。その痛みを「痛みを超えてよく頑張った!」って言う言葉だけでなく、本当の痛み、喪失感として描くには「主人公の消滅」という事実を描くしかなかったのではないか、と了解しています。


「痛みを超えて立て」と言われて「辛い」と思うのは分かるし、むしろ、そう言う風に「辛い」と思う事こそが大事なのではないか、って思う。だから、ダンがいなくなったのは僕も嫌だし辛いけど、物語としてはこれで良かったと思う。
実際の世の中でも辛い事の後も色々とするものなので、そういう辛い世の中に生きる身としては、辛いことがないハッピーエンドより、辛い事も肯定した上でのエンドが良かったと思う。


というか、僕が富野由悠季ファンでリーンの翼が好きだから、こういう事を考えるのかも。
バトルスピリッツ 少年激覇ダンの異界王がリーンの翼の迫水王とほとんど同じだったし。声とか。


でも、リーンの翼のラストの方が罰ゲーム感は強いよ。ヒロインが特に理由もなく消えるし。
しかも、争いが終わった後に海岸の美しい景色を見てヒロインが「きれいな所なのに・・・」って呟いた先に、福井県原子力発電所が映る。争いが終わった後も環境汚染が続いていて、世界に立ち向かい続けなければいけないって言う事をダメ押しするリーンの翼はすごい。
このラストは福島第一原子力発電所が半年も放射性物質を撒き散らし続けている日本に生きている今、思い起こすとすごい。富野の現実認知アニメヤバい。あと、アニメ以上に状況が悪化し続けているこの現実がヤバい!


まあ、いろいろと世の中について思う所はあるけど、ダンの最終回は実感が色んな意味でリアルで良かった、って言う話。です。
あと、リーンの翼の長編焼き直しとして、バトルスピリッツを見るとなかなか趣深いです、って言う話。


子供向けアニメと大人向けアニメの区別はあんまり付けないタイプですねー。手塚治虫もロック冒険記で主人公を殺したし。
僕は子供向けとか区別しないので、サザエさんのワカメはエロいと思う。