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GyaO!で無料配信しているので見てる。序盤はレンタルビデオ屋で見た。(制作者にあまりお金を出さない悪いファン)
今、無敵超人ザンボット3(1977年)を見ている。1976年がコンVである。1975年の勇者ライディーンは見たし、ゴッドバードも読んだ。そんなタイミングである。富野由悠季の歴史を体感するのである。
今回、19話が富野(斧谷稔)回。
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 登場怪獣 |
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17 意外! Vは地獄の使者 田口章一 安彦良和 横山裕一郎 佐々門信芳
金山明博 どれい獣ザンギャル
18 発進! ガルガンチュワ 辻真先 高橋資祐 高橋資祐 金山明博 どれい獣ギャルどれい獣ニュートロール どれい獣ペロス
19 戦慄! 真っ赤な妖花
脚本 桜井正明 絵コンテ・演出:斧谷稔(富野喜幸) 作画監督:坂本三郎 金山明博 怪獣どれい獣バララ
20 卑劣! 博士誘拐さる 山本優 出崎哲 金山明博 どれい獣ガニガマラ
まあ、そんなにすごく面白いというわけではないし、僕も就職したので、無理して全話の感想を書く事は無いのである。でも、一応インターネットではグダちんは富野信者と言うペルソナで有名になっているので、とりあえず富野演出回の感想くらいは書いておこうかな、と言う腹づもりである。
とりあえず
- 17
安彦回。
ロボットもの、その前のウルトラマンから連綿と続く、ヒーローの偽物回。あ、鉄腕アトムでもあったかもしれないね。アトムは全部は見てないんだよなー。原作も長いし。オムニバスだし。
そんなヒーローもののテンプレなんだが。ヒーローの偽物話が成立するのは、ヒーローがヒーローとして信頼され、愛されているからなんだよね。ほら、もともと善も悪もなく、万民に対する闘争状態で、ヒーローに対する信頼感が民衆になければ、民衆が偽物にヒーローへの信頼感を傷つけられて混乱する、という話も成り立たないのだよ。
そんなヒーローのヒーローらしさが、安彦良和の健全っぽい(若干子供っぽくもある)絵柄で「善きもの」として描かれていたと思う。
ただ、この安彦絵の子供っぽさは宮崎駿のとなりのトトロに通じる物でもあるんだけど、ザンボット3では逆にその健全性がギャップ燃えに使われてたよね・・・。まどかマギカの蒼樹うめみたいな・・・。うん。
あと、この回では1話以来、久々に(?)国連や日本国や自衛隊のお歴々が出てきて、コン・バトラーVの戦闘行為にいちゃもんをつける。彼らはコンVの偽物のした残虐行為に対するクレームをつけるのだが。久しぶりに大人社会の面倒くささが描かれていたように思う。
ただし、やはりコンVは子供向けアニメと言う事で、「大人は偽物に惑わされてヒーローに文句を言うけど、子供たちはヒーローを信じる」という、視聴者ターゲットの子供に媚びたような、子供万能、子供性善説みたいな構成である。ここら辺、ヒーローの玩具を買ってもらいたいけど、親にあんまり買ってもらえなくて大人に不満を抱く子供の心情がよく描かれていますね。コレジャナイロボを買って来られたりするしね・・・。
- 18話
魔法少女まどか☆マギカを褒めていた辻真先先生が若い頃に書いた脚本です。
ちなみに富野は「なんでまどか☆マギカが一番なんだ!」と文化庁メディア芸術祭で氷川竜介先生に詰め寄ったそうです。作家性の違いがうかがえますね。
内容は、前回登場した国連や自衛隊を受けて、「コンVに文句があるならお前ら大人が量産型ロボットで戦えよ・・・」という、当然の疑問から発生する話。結構リアル。まあ、マジンガーZでも既に量産型マジンガー軍団はいたんだけどね!鉄人も少なくとも28号まで制作されたし・・・。ガンダムのGMは多すぎである。
ガルガンチュアとは、イギリスっぽいグレートブリテン国の博士がコン・バトラーVに匹敵する人類軍の戦力として作ったロボットである。しかし、コン・バトラーVほどの強度と必殺兵器が実装できず、それだとイギリスの恥だから、って言うんで実戦に出るのを渋っていたのだ。
なんだかGガンダムみたいな話ですね!機動武闘伝Gガンダムのメインライターの五武冬史さんはコンVにも参加してるしなー。うーん。
結局、どれい獣が暴れて、コン・Vのピンチにガルガンチュワも出撃するが・・・。と言うちょっとブラックな話。
ガルガンチュワのラストシーンはちょっとオカルティックな人の情念を感じさせる演出。今回の高橋資祐 さんは11話「豹馬よ痛みの炎を跳べ」13話「死をかけた友情」で生々しい痛みや激情を演出した。うむ。
しかし、これでコンバトラーV以外のロボットが作れないという事を示したのだが。コンバトラーVを作った南原博士が死んだから作れないというわけだが。設計図くらい残しておけよ・・・。というツッコミどころがあるのもまどマギに通じる感性ですね。いや、別にまどマギ関係ないけど。いや、まあ、コンVの仕上げ会社はシャフトなんだけど。
怪獣の3体出現というのも、割とリアル、かな?まあ、ウルトラマンでも怪獣無法地帯回とかあったんだけど。ていうか、キャンベル星人は地球を太陽光発電衛星に改造するつもりで来ているのに、毎週一匹ずつ怪獣を出してくるというのは、微妙だよね。もっと一気に攻め込めよ・・・。って思うよね。
- 19話
富野(斧谷稔)回。
そして、貴重なコンバトラー隊の隊員一人一人にスポットが当たる回。今回は珍しく西川大作。
西川大作は3号機(動力の小型原子力発電所兼戦車)のパイロットであり、気は優しくて力持ちの巨漢であり、しかも漫画家志望という、微妙に要素の多いキャラなのだ。柔道キャラなのか、オタクキャラなのか、いまいちハッキリしないのだ。しかも、今回の舞台は九州阿蘇山。ここが西川大作の故郷であり、西川大作は大家族キャラと言う事も描かれる。要素が多い!ていうか、あれだよね。同じ長浜忠夫監督の巨人の星の左門豊作のセルフパロディだよね。左門も醜男だし。大作が漫画家志望と言うのは、オタクっぽさによる不細工男っぽさを醸し出すためじゃろうか・・・?
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この郷里の村の阿蘇山の洞窟内部にキャンベル星人が巨大熱線兵器工場を建造したわけだが、「高い山に固定した巨大砲台によって都市を粉砕」という作戦。今までの怪獣主体の作戦から、やっとまともな戦争をガルーダが・・・。感慨深い。
でも、スゴイ科学が発達しているキャンベル星から来ているのに、「地球人を現地徴用して奴隷にして熱戦法をその場所で組み立てさせる」っていう、金があるんだかないんだか、マンパワーがあるんだかないんだかよくわかんない状態ですね!
特に訓練も受けてない上にやる気もない奴隷に作らせるとか、兵器としての信頼性が低すぎるだろう!!!!!
そういうツッコミどころは、ある。所詮子供向けですよね・・・。そこは富野ファンでも割切らなくては・・・。
ただ、富野ファンとしては「怪獣主体」ではなく「リアルに街が吹っ飛ぶ」という所に富野っぽさを感じますね。富野が得意の超兵器系(ソーラ・レイやアガトの結晶)の感覚や、富野がライフワークにしている核兵器への批評性など。
あと、開始3秒で阿蘇山が噴火して巨大地震で人が死んで、マグマに人が飲み込まれながら焼かれる残酷な被災描写など、勇者ライディーン1話に通じる酷さ。自衛隊もちゃんと展開してるよ!負けるけどな!!!
阿蘇山の噴火の火山灰に大作の実家が押しつぶされる被災描写の喪失感なども、富野的リアルさ。
辻褄合わせのリアルさだけでなく「突然さ」「喪失感」とか被災の心情的な共感を呼び起こさせる所が、リアルさと言えるのではないでしょうか?
これはザンボット3にも通じる。そんで、富野由悠季が2011年3月11日の東日本大震災の時に「耐えてくれ。私たちはここで生きてきたんです」と言った声明文をガンダムエースに載せた事にも通じる。あと、逆襲のシャア小説版「ハイ・ストリーマー」でアムロが「人間はそれほど傲慢ではないぞ!シャア!台風で死に、ちょっとした地震でおろおろとする!」と言った事にも通じる。つまり、3.11以降世界が変わったという事はちょっとした5年単位の流行でしかなく、40年前のアニメとかを見たら、普通に伊勢湾台風とか他の地震とか戦争のメタファーが描かれていて、やっぱり酷いことは昔から起き続けているわけです。うん。だから、諦めも肝心だ。
小ネタの見どころとしては!
1話なのに状況が色々と変わるのが面白いです。怪獣との戦いだけでなく、解決すべき問題が次々と出てきて、面白い。地震→火山→基地潜入→バトルチームの分断→奴隷解放→敵との銃撃戦→マグマの正体→熱線砲の脅威→怪獣との戦闘。というような。エンタメしてるね。
敵の基地に強酸の罠があったり、大作がスパイアクションしてる。変装した大作が弟、妹たちに自分だと知らせるために萬画を描いて見せるというのもなかなか良い展開。ていうか、大作の萬画が役に立ったのがやっと19話だという!
あと、見どころとしては、奴隷を監督している敵に化けて敵の基地に潜入するところ。これ、敵の顔の皮をはがしたら人間で、皮を大作が被って変装するんだが。これ、敵がキャンベル星人と言う宇宙人なのか、キャンベル星人に仕える地球人の裏切り者の奴隷人なのか、評価が分かれるところですね。富野的には地球人の裏切り者っぽい。
富野は基本的に人類をクズとして描いているので、クズは侵略されたら侵略者の走狗になるよね。そういう裏切り者は序盤の豹馬のサイボーグの腕を設計した博士など、富野回以外でも出てきてるし。
絵コンテ的な見どころとしては、画面分割で、戦闘機のコックピットの中のバトルチームの人たちの顔が出るのが、ガンダムっぽくて面白かったです。ほかにも画面分割で複数の人の顔が出るのは出崎統っぽいし、通信相手の顔が出るのはトップをねらえ!とかエヴァンゲリオンみたいで面白かったです。
そんな感じで、敵の巨大兵器を何とか粉砕したのだが、阿蘇山一帯は噴火と戦闘と熱線兵器の2回の発射で焼きつくされたのだ。いっぱい死んだんだぞ!
しかし、この顔である。
街が滅んだので、とりあえず畑でもやるかー。みたいな。人は土から離れては生きていけないのよ!という、ラピュタのような、Vガンダムのような・・・。いいのか?それで?
そして、このエンドカードである。
たくさん民間人が死んだけど、とりあえず西川大作の家族は助かったから良いかな?平和が戻ったぞ!っていう。
うん。本当は平和なんか戻ってないんだけどね、被災難民の恨みは消えないよねっていうツッコミを入れるのが、ザンボット3な。
さんざん残酷な虐殺や凄惨な戦いを描いておいて、ラスト30秒で平和な日常っぽい雰囲気を取ってつけたから子供向けでもオッケー!みたいな、子供向けロボットアニメの矛盾を、ある意味皮肉たっぷりに演出してる感覚がある・・・。
本当に富野監督は性格が悪い。本当に悪いと思うよ。なまじ自分の演出力で視聴者を騙す自信がある分、余計に悪い。
ここら辺、富野は矛盾を自覚しながら、無理矢理こども向けに救いを取ってつけたんだろうな。その葛藤が翌年のザンボットで炸裂したと思われ。
いや、まあ、何度吹き飛ばされても草木を植えるという、人間と自然のたくましさを描いている、と言う風に見る事も出来るんだけどね。
でも、実際の震災の被害を見ると、そんなに簡単にはいかないよね。経済的な問題とか、それに乗じて詐欺を行う奴とか、ヤクザやそれに類する団体とかもいるし・・・。
- 20話
出崎回。
といっても、兄の出崎哲さん回。
脚本はJ9情け無用の山本優さん。
四ツ谷博士がさらわれて、コンVの弱点をガルーダに自白させられたと思わせて・・・という話。
まあ、「敵を騙すにはまず味方から」というのも、ロボットものやヒーローものテンプレである。(あと、人格入れ替わりネタとか)
そんなに難しい話でもないんだが、珍しく四ツ谷博士にスポットが当たる。そして、先週に引き続き、珍しく西川大作が博士の護衛に失敗したり、その責任を感じて困ったり、西川にスポットが当たる珍しい回。萬画は描かない。
次回は、やっとこさ可愛いと評判の南原ちずる回。ちずるもヒロインなのに、スポットが当たってない女だったよなー。21話まで。怪獣戦闘か子供っぽい話か、豹馬の話か、ガルーダとの決闘がメインで。ちずるの入浴シーンはあったけどねー。
演出的には、拷問の精神的ショックから四ツ谷博士の顔が劇画っぽくなったり波ガラス処理になったりっていう所が出崎統を意識したのかなーって感じ。
作戦的には、ガルーダは先週まで世界同時怪獣攻撃とか、巨大兵器敷設とか地道に頑張り始めたのに、またコンバトラーV一つに焦点を絞った微妙な小さい作戦に・・・。まじめにやれ。
母オレアナのガルーダに対するお説教シーンは、あまりにも失敗が多すぎるので最近ないです。
しかし、ガルーダの性格の繋がりとか戦略の進め方はぐちゃぐちゃに破綻してるよなー。
ちなみに、19話では敵の兵士は人間の裏切り者に見えたけど、20話では「キャンベル星人」って呼ばれていた。ここら辺はどうなんでしょうね。ガルーダの正体も・・・だし・・・。一般のキャンベル星人とは・・・。後半に分かるか?
あと、コン・バトラーVの胴部の動力炉は小型原子力発電所なのに、電磁力でエネルギーを吸収する事ができるというのも、いまいちよくわからないですね。磁界閉じ込め式の核融合炉なのかなー?
まー、70年代特有の高度経済成長を支える科学者への信頼感みたいなのは、まだまだあったよね。
四ツ谷博士はお茶の水博士のアンチテーゼで、不良博士だけど、やっぱり根性と知性のある、良い科学者として描かれていたし。
70年安保闘争で団塊の世代が大学教育を破壊する前の60年代の方が科学礼賛は強かったけど。
ほら、70年代は湯川秀樹や朝永博士がまだ生きてたし、平和維持反核活動とかしてたし。
世界平和アピール七人委員会とかね。
1955年11月11日、平凡社社長・下中弥三郎の提唱によって結成された。結成時の委員は下中弥三郎・植村環・茅誠司・上代たの・平塚らいてう・前田多門・湯川秀樹である。
2010年現在の7人の委員は、武者小路公秀・土山秀夫・大石芳野・辻井喬・池田香代子・小沼通二・池内了となっている。
こういう、平和を愛する理性的な人への信頼感が、まだまだあった時代なんだよねー。
ただ、世界平和アピール七人委員会 - アピールここら辺を見ると
1966 38J アメリカのハノイ・ハイフォン地区爆撃に対する抗議アピール
1966 37J フランスの核実験に反対するアピール
1966 36J 中国の核実験に際し軍縮会議の開催を要望する
1965 35J ベトナム戦争の平和的解決に関する佐藤首相へのアピール
1965 34J アメリカの北爆に反対するアピール
1964 33J 中国核実験に際してのアピール
1964 原子力潜水艦寄港の政府内諾に反対する茅委員の談話(要旨)
1964 中国核実験に際してのアピール
1964 原子力潜水艦寄港の政府内諾に反対する茅委員の談話(要旨)
1963 ケネディ大統領の不慮の死に哀悼の意
1963 32J 部分的核実験停止条約成立に際して米英ソ三国首脳へのアピール
1963 31J 原子力潜水艦寄港問題に関する要望書
1963 30J 軍縮委員会に対し核停止協定の成立を望むアピール
1962 29J キューバ危機に際しウ・タント国連事務総長へのアピール
1962 28J 原爆投下十七周年に際し米国に核実験中止を訴える
1962 27J 原爆投下十七周年に際しソ連に対し核実験の中止を要望するアピール
1962 26J ケネディ大統領に核実験停止を訴える
科学者の理性的な訴えと言うのは、政治の圧力と経済の都合と大衆の無関心によって圧殺されてきたよねーっていう感じ。80年代のバブル景気で科学の無力感は決定的になったね。80年代以降の富野は色々とやってたけど、科学者に対する信頼はなかったな。まあ、富野は最初からあんまり人類を信頼してないんだけど。フォルモッサ・シェリルやショウ・ザマの両親やカミーユの両親など、科学技術の能力はあっても、大局は左右できないし人格的にも欠陥を持っていたよね。
それで、90年代のオウム真理教や幸福の科学のメディアやアニメへの露出とテロ事件で、科学に対する不信感は高まり、最近のアニメに出てくる博士は、あんまり地球平和とかを考えてなくて、思想が妙な信仰のようになっている狂人が多い。
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なんで、俺は楽しいロボット娯楽アニメを見て、世界に対して絶望しなくちゃいけないのか・・・。まあ、30にもなると絶望的な世界に加担した罪悪感が溜まってくるよね。
70年代には薔薇いろの未来だったはずなのに、人間がクズだったせいで景気は悪いし・・・。そりゃーシャアも隕石を落としたくなるというもの。