第0話 1984年1月28日 エルガイムスペシャル (これはアンダーグラウンド流通で見た)
第1話 2月4日 ドリーマーズ 脚本:渡邊由自 ストーリーボード:斧谷稔 演出:井内秀治 作画監督:北爪宏幸
第2話 2月11日 スキャンダル・P(プレアーモ) 脚本:渡邊由自 ストーリーボード、演出:今川泰宏 作画監督:大森英敏
第3話 2月18日 カミング・マン 脚本:富田祐弘 ストーリーボード、演出:川手浩次 作画監督:遠藤栄一
「エルガイムは富野作品でもそんなに面白くないよ」という風のうわさを聞いていたのだが、面白いじゃないか!!!!
やっぱり、僕は富野作品が好きなんだなあ。肌に合ってる。富野作品からはエナジーが得られるな。
元気のGだ!
というわけで、ガンダム Gのレコンギスタの本放送前の一か月ちょいで一気にエルガイムを見ることでパキンと富野アニメをコンプリートしようと思い、あんまり長文感想を書かずに構えず、一気にサラーっと見ていこう。古いアニメなので、いまさらあらすじを解説する必要もなかろう。
今回の視聴完走のテーマは疾走感!
- 冒険アニメのコンティニュイティー
富野由悠季と言えば絵コンテの名手であり、絵コンテとは絵・コンティニュイティの略称であり、つまりアニメとは映像の連続性ということだ!
エルガイムの1,2,3話が一気にスルスルーっと見れたのもこの連続性のつながりが面白いからだ。
ペンタゴナワールドというスター・ウォーズみたいな完全な異世界(ただし何故か言語は文字も英語である。セリフ音声は日本語だよ!)を見せるにあたって、スター・ウォーズの冒頭みたいなだらだらした説明文字列ではなく、自然な冒険の流れや、キャラクターの口論とか動作確認の独り言で説明セリフを使わずに、メカの性能とか性質、あと作品世界のテクノロジーや異世界なりの土地の文化や社会の一角などなどを退屈させずに見せるのはほんとすごい。
太陽系以外の星が舞台のリアルメカと言えば、高橋良輔ダグラムとかボトムズが先行ではある。(イデオンはちょっと妙なループもの的な輪廻転生っぽさがある)
リアルロボットアニメでは俗に「エルガイムの洗礼」と言われるくらい、内部構造と装甲と二重関節に嘘が少ないリアル感と美意識を両立させた永野護のデザインは革新的だったので、そういうメカニズムを仰々しく見せるのか、と思っていたのだが。そんなことはなく割と自然にサラッと流れの中でメカを見せていて良い。
永野護さんも富野アニメファンからスタッフになった第二世代の富野の弟子世代のデザイナーなんだが、それは出渕裕さんがザブングルに参加したあたりからの流れなのか。富野監督としては、そういうファン出身の永野護さんの才能を認めながらも、「若造を強調してたまるか!」という気持ちもあったのかな。そういうわけで、ファイブスター物語につながるほどのデザインパワーを持ちながら、メカを見せるだけのアニメではなくストーリーや演出の面でも頑張っていて相乗効果を感じる。
んで、ストーリー上でもコンティニュイティーがすごく面白いのが、イベントが次々に連続しているところ。そんなわけで3話のミヤマ・リーリン編までするっと見れた。ダバ・マイロードの冒険ロードストーリーという感覚で、序盤ではダバが何を目指しているのか、ポセイダルの正規軍とは何なのか全くわからないのだが、イベントが次々に起こってそれを面白がっている間にどんどん物語が進んでいくインフレーション的な面白さがある。その過程で徐々に世界が広がっていくんだろうな、と言う予感の面白さ。
1話の冒頭でも、ファンネリア・アムが盗賊の美人局をするためにミラウー・キャオの運転するワークスっていうエルガイムを積んだトレーラーの前に現れてフラフラしている。
これはザブングルの冒頭でフラフラしていたジロン・アモスを女の子に置き換えたような導入だが、アムがパンチラしまくるので、パンチラですごく視線が誘導されて興味が引かれる。そのパンチラしまくる女子がトレーラーに乗り移ってエルガイムを調べることで、パンツからロボットに興味が接続されるんですねー。
そして、そこに盗賊の本隊が現れて戦って、ヒーローのダバが登場して盗賊女の腕を切り落として、腕はなんかよくわからん未来っぽい技術で着けなおされるんだけど、盗賊の女頭目のミヤマ・リーリンはダバたちを恨んでエルガイムを奪おうと襲ってきて、また戦って、その戦闘の中で死んでいく盗賊の男から謎のアマン銀行の手形なる物を託されて、それを調べるために町に行って、その町の中でまた盗賊の手下に襲われて、そんなこんなをしてる間にダバはリリス・ファウと出会って、アマン銀行のアマンダラ・カマンダラの暗躍も示されて〜〜〜。
とか次々と興味を引く物の連続で冒険が続いていくのは、まあ、悪く言えばお使いRPGっぽいとも言えるんだが、まあ、「死んだ男からもらった謎の手形をめぐる冒険」って言うのはバガボンドの又八みたいだし、忍者ものとか時代小説にありがちな伝統ともいえる。
そういう連続疾走感で冒険を綴っていく、ってのはおもしろい。
ダバを中心にしたラインだけでなく、ミヤマ・リーリンがハッシャに裏切られる過程とか、アマンダラの暗躍などのラインも並行していて、それが少しずつ絡み合っていくのが面白い。
手形が色んな人の間を行ったり来たりするのも冒険譚として分かりやすい盛り上げ方だし、妖精小人のリリス・ファウが戦いの中で手形を盗み出すのも忍者戯曲とか赤壁の戦いみたいな感じで、ロボットなんだが時代劇のテンプレートも使っていて安定感がある。
で、3話でミヤマ・リーリンの盗賊団をエルガイムがぶっ飛ばしたんだが、その盗賊団を謎の2枚目半の気障男のギャブレット・ギャブレー(ザブングルのギャブレーとは関係ない)が乗っ取って、さてダバたちとの闘いはどうなるのか?
という興味の連続は今後も続くようで。面白く見れたらいいなー。上手くかみ合うのが続いたらいいな。
かわいい声の本多千恵子さんのアムが色んな表情を見せたり、今川演出でのリリスの幻想シーンとか美少女の興味もある。
あと、ギャブレーの速水奨の変態性とカッコよさとみみっちいギャグのバランスとかも楽しい。
リーリンは退場するけど、島津冴子さんはポセイダルで?っていうのもある。
- Gレコも同じような冒険?
しかし、冒険アニメということで、Gのレコンギスタとの共通点もあるなあ。
ガンダムエースの萬画版ではGのレコンギスタではベルリ・ゼナムが筋トレしているのだが、ダバ・マイロードもエルガイムの1話で筋トレしている。
また、Gのレコンギスタって3回ズームをしてるのが出崎統っぽいなーって思ったんだが、エルガイムの1話も3回パンしてる。
って思ったら、1話の演出は魔神英雄伝ワタルやプリティーリズムシリーズで有名な井内秀治さん。
井内秀治さんは東京デザイナー学院で富野監督が講師をしてきた時期に入学していた人。
富野の教え子って…… | ひびのたわごと
「ワタル」「ママ4」などの監督を勤めた井内秀治氏がおそらく68年度入学。
もしかしたら富野の講義を受講している可能性も無いとは言い切れない。
そう言うわけで富野監督の一番弟子と言えば、井内秀治さんですね。
井内秀治さんは新・エースをねらえ!にも参加していたので、出崎統演出はそこから?
富野監督もララァとアムロの邂逅とかで出崎統っぽいイメージを使ったりしてるんで意識はしてるんだろうね。富野曰く出崎統は天才だから真似したくてもできなかったけど、ということだが。
ダバ・マイロードの高貴な生まれと冒険パワーと優しさが同居してるヒーロー性ってのもGレコのベルリ・ゼナムの造形に似てるんだよな。
エルガイムが他のメカより段違いに強いってのもG-セルフっぽくもあり。ビームコーティングしてるし。
3話で登場するギャブレット・ギャブレーもGレコのクリム・ニックみたいな自信家の色男だ。
そうすると、Gレコをやるにあたって富野監督はエルガイムの引き出しを久しぶりにあけて冒険譚にしようとしてるのかな。
いや、エルガイムは渡邊由自さんのシリーズ構成と永野護の世界観の方が有って、富野監督が全話の脚本を書いたGレコとは違うかもしれないが…。
とりあえず、エルガイムもGレコに似たような感じで冒険の健やかさと楽しさを感じられたので、楽しく素早く視聴できたらいいと思う。
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