玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

重戦機エルガイム9〜12レッシィが仲間になった!

第9話 アーミィ・ベース 脚本:富田祐弘 ストーリーボード:鈴木行 演出:川瀬敏文 作画監督:金山明博
第10話 タイム・リミット 脚本:渡邊由自 ストーリーボード:関田修、斧谷稔 演出:関田修 作画監督北爪宏幸
第11話 ジェラシー・ゲーム 脚本:富田祐弘 ストーリーボード、演出:井内秀治 作画監督大森英敏
第12話 ディコイ・ディコイ 脚本:渡辺麻実 ストーリーボード:今川泰宏 演出:川端蓮司 作画監督:坂本三郎

どうもお使いRPGという要素が抜けきらないのだが。
大河ドラマで全体のストーリーを構成しつつ、一話においてもロボットと主人公の活躍を一つ一つ付加していくというお約束があったんでしょうかね。
毎回ラストで決め絵を付けて、「NEXT〜」って見せていくテンプレートを作っていて、お約束の枠組みの中で若手スタッフに作らせることで育成につなげる、みたいなプログラムピクチャー的な要素も感じられる。必ず毎回、主人公の戦う理由と、ピンチと、バトルと全体ストーリーのヒントの開示がひとつずつ描かれている決め打ちのお約束感がある。富野アニメとしては割と定形を守っている感じで、
まあ、「プログラムピクチャーでたまるか!」という反骨心がメカ、キャラクター、世界観のデザインをした永野護さんが30年間もファイブスター物語を作りまくっているエネルギーに通じたのかもしれないんだけど。


■9話アーミィ・ベース
・戦う理由
反乱軍の青年リースが前回、ダバたちを助けるためにポセイダル軍に捕虜になったのでそれを助ける
・ピンチ
ギャブレット・ギャブレーのたくらみによって、救出されたリースには追跡電波がつけられていて、それを追って反乱軍の基地にポセイダル正規軍が攻めてくる
・バトル
森林の中で空中戦をするエルガイム。レッシィのグライアとギャブレーのグライアが交錯する。
・ストーリー進展
レッシィがなかまになった!
仲間が増えるのはRPG要素がある。ファイナルファンタジー6のセリスみたいな感じ。前作の聖戦士ダンバインも、ファンタジーアニメだった。ドラゴンクエストの発売は1986年。
レッシィが正規軍を裏切ったのは、ダバたちにミズン星の輸送船を乗っ取られた責任を同じ十三人衆のチャイ・チャーに咎められ処分されそうになってるという状況と、十三人衆の女のネイ・モー・ハンが十三人衆でも偉い方のギワザ・ロワウに取り入ったという女同士の確執があるから。
レッシィは「私だって男の一人くらい喰ってやる!」という富野アニメヒロインぽいことを言う。なので、単純にダバを好きになっただけではなく、軍の中での立場とか女同士の嫉妬とかあてつけとかもあるんだろうね。
それも含めて、レッシィがダバたちに仲間になったと信じさせるために、ストリップして下着姿になっておっぱいを見せたり、髪の毛を切り落としたりする。1984年のアニメですけど、こういうお色気サービスシーンは萌えブームの先駆けですね。80年代ロリコン漫画ブームっぽさもある。個性の薄い主人公を取り合うダブルヒロインや妖精少女のドタバタと言うのも80年代の軽いノリっぽいし、ハーレム系アニメに通じるものがある。個性の薄い主人公とダブルヒロイン超時空要塞マクロスに通じる面もあり。
アムやレッシィの表情の崩し方は、金田伊功というよりは、うる星やつらっぽくもある。アムはしのぶっぽいし。逆にヒロインが髪の毛を切るのはらんま1/2ぽくもあり。(この頃はあんまり宮崎駿作品でヒロインが髪を切りがちという伝統は無かった。)風の谷のナウシカアニメ版は1984年3月11日公開。
ロリコンを採り入れたボディで有名な「超時空騎団サザンクロス ラーナ少尉」は1984年のアニメで同年代。
初代魔法のプリンセスミンキーモモが1982年。
魔法の天使クリィミーマミ』(まほうのてんし クリィミーマミ)は、スタジオぴえろ作のテレビアニメ。1983年7月1日から1984年6月29日まで、全52話が日本テレビ系列ほかで放送された
くりいむレモン「媚・妹・Baby(1984年8月)」
となりのトトロが1988年。パンダコパンダは1972年。
宮崎勤の事件が1989年。
富野監督は萌えブームに批判的な老人ベテラン監督として、最近はメディアで取り上げられがちだが、やっぱり当時の萌えブームとか俗悪なエロも含めた娯楽を牽引してきた当事者だよなあ。コンVでも富野回はパンチラ回が多かったし。
ちなみに、初期レッシィが好きって言う富野ファンも多いですね。初期はエルピー・プルやファラ・グリフォンみたいな段カットでしたけど、この後は割と普通のおかっぱになりましたね。


■第10話タイム・リミット
・戦う理由
リースを助けたけど、まだ反乱軍のステラ・コバン代表同志には認められず、彼に試されている。
彼からポセイダル軍のベースに行って、軍資金と武器の調達のためにアマンダラ・カマンダラと会うようにと命令されたのだ。
・ピンチ
夜明けまでに任務を遂行して戻らないとステラ・コバンにアムが見せしめで処刑されるのだ!でも、お気楽なアムはステラにくっつくのだ。というか、アムは力のある男なら誰にでもすりよるのだ。


・ストーリーの進展
ヤーマン族は一方的な被害者ではなく、ポセイダルがペンタゴナワールドを支配する前はヤーマン王朝みたいなのがいくつもあって惑星間戦争が続いていた、らしい。独裁によってやっと紛争が収まったというのは、これはイデオンのバッフ・クランみたいですね。もちろん、スター・ウォーズの影響も大きい。
その上で元貴族のステラ・コバンはポセイダルだけが高貴と言う支配構造が嫌で、昔の王権貴族政を取り戻したいとして反乱軍を率いる。貴族政の復権を目指す反乱軍もあまり正義とは思えないし胡散臭いですね。(これはZガンダムエゥーゴVガンダムのリガ・ミリティアの胡散臭さにもつながってるし、富野アニメでは正義の民主化運動と言う概念はあんまりなくて、結局個人の利害がたまたま一致したものが組織や社会になるんだ、みたいなニヒリズムにも似た嫌がらせみたいな相対化思想がある)
そういう世界観の断片が、微妙にアクションの合間の会話で明かされている。それは芝居としては少しずつ世界が明らかになっていくのは、見聞を広げる武者修行の主人公の道のりに合っていて上手いとは思う。が、善悪や敵味方がモヤモヤしているので、感情移入や冒険の分かりやすい面白さの迫力がちょっと少ないかも。
ちなみに、原案の永野護さんのFSSでもアマンダラ・カマンダラみたいなアマテラスが主人公ということで、善悪が相対化されてますね。
・バトル
死の商人でラスボスっぽいアマンダラ・カマンダラが現地の軍に母艦を発見されて割とマジで焦っているのがちょっとどうかと思う。とりあえず、そのアマンダラの母艦のホエールを守るために、エルガイムがレッシィの操縦するランド・ブースターのスピリッツと連携して空中戦をやる。
エルガイムが空中戦をやるということで、ガンダムの「翔べ!ガンダム」の回かGスカイが出てきた時みたいな構造ではあるんだけど、微妙にガンダムより迫力に乏しく思えるのは、ガンダムアムロほどダバには疲労やピンチや死の恐怖の蓄積からの逆転、というカタルシスが少ないからなのかなあ。音楽の盛り上げも単調に聞こえる。
統制の見せしめのためにアムを銃殺にしなければいけない、っていう反乱軍のステラさんもピンチ要素としては餓死寸前のホワイトベースよりはぬるいからなあ。
富野コンテなんだけどなー。


■第11話 ジェラシー・ゲーム
・戦う理由
反乱軍が民主的王朝制をぶち上げて、腐りきったミズン星のポセイダル軍と本格的に戦闘する。
ダバ・マイロードもなんだかんだ言ってエルガイムの整備をしてもらっているので何となく反乱軍に協力してるっぽい。そして、ステラ・コバンに前回処刑されかけたのに、アムはステラの革命思想にかぶれてダバを炊きつけるのだ。
前々作のザブングルで革命軍の嘘くささを描いた割に、同じようにアムが革命ごっこをするの、なんか興ざめになる先が見えているので、あんまり単純に楽しめないのだ。ていうか、ダバもアムごとき女の言うことを聞いて戦うとか・・・。まあ、レッシィとアムのうる星やつらみたいな言い合いは80年代ヒロインっぽくて元気でかわいいんだけど・・・。でも、ダバは自主性が・・・。
ステラとアムの白々しい演説の後ろで「平和主義者の癖に戦争をするなよ」って現地民が焼跡を片付けているので、反乱軍の正義が感じられない。そういう反乱軍をダバが何となく抜けていないでずるずるしているのは煮え切らない感じがする。
・ピンチ
十三人衆のネイ・モーハンというA級ヘビーメタルの超有名機体オージェを操縦する強い女指揮官が転任してきてヤバいなー。っていう。
そんで、調子こいて基地に潜入したアムが拉致されて縛られて服をナイフで切られて乳首が出る。レッシィも乳首が出たので、お相子ですね。そして、ダイターン3から続けて見ていると「富野作品のヒロインが拉致されて縛られる」のはノルマって感じがします。SM趣味はありますねー。アムがレッシィに媚を売って「お姉様」とか言う劇団あがりの演技も富野ヒロインのチョキさんの系譜であり、80年代の複数ヒロインって感じです。
・バトル
今回、ランドブースターを操縦するのはレッシィではなくアム。アムの失敗をレッシィが助けて、レッシィがネイ・モーハンに喧嘩を売る。女同士の言い合いや戦い、と言う点で「ジェラシー・ゲーム」なんだが。
男としての自意識は無いのか?
とも思うんだけど。最新作のGのレコンギスタでも富野監督は「女性の復元力を描きたい」って言うし、ZガンダムVガンダムとかでも男の凶暴性や情けなさみたいなものを描いてもいるので。そういう力強い女子を描きたいという気分が富野にあるのかもしれないし、それは永野護さんの少女趣味かもしれないのだが。
まあ、似た者同士の師匠と弟子って言う感じでもある。
・ストーリーの進展
1クール目の終盤でA級ヘビーメタルと女ボスが出てきて凄そうだなーって感じ。そして、レッシィが正面切ってポセイダル軍を裏切ってネイ・モーハンの敵に成るって宣言した。その周辺でギャブレット・ギャブレーが軍の中で盗賊上がりの連中をまとめて地味に出世するのだ。
ダバは?


■第12話ディコイ・ディコイ
今回は奇襲とか囮がテーマなので、そういうサブタイトルっぽい。
・戦う理由
なんかダバ・マイロードはステラ・コバンの金で兵士を駆り立てる反乱軍のやり方が好きではないようだ。だが、偉そうなオッサンが好きなアムや正規軍を抜けて行き場のないレッシィに引きずられてなんか戦うっぽい。
ダバによるとステラは「自己顕示欲が強い男」なのだが、彼はアムみたいな若い娘に褒められると調子に乗るようだ。なんか間抜けっぽさがあるな。アムがいつの間にか分隊長になってるし。

・ピンチ
ネイ・モーハンが反乱軍の武器庫に潜入して爆弾を仕掛けて武器がやられたり、対して反乱軍も囮作戦でポセイダル軍に奇襲をかけたり、奇策の応酬。
ネイ・モーハンの暗号をレッシィが解読して、エルガイムやランドブースターの編隊はゴルダ基地に奇襲をかけるのだが、それすらもネイの読みだったらしく、囮部隊もステラ・コバンの本隊も迎撃を受ける。


・バトル
ダバはネイ・モーハンの戦いぶりに女狐の幻影を見たのだ。今川演出よのう。
レッシィのヘッドライナー・スーツが格好いい。また、反乱軍も正規軍から奪ったヘビーメタルを塗り替えて、戦力を増強している。
奇襲作戦の失敗の後、囮部隊から戻ってきたレッシィがギャブレーと戦ったり、オージェのバリアーにエルガイムが苦戦したり。小競り合いばかりが続いていたエルガイムだが、やっとこさロボットアニメとして割と正面から部隊がぶつかり合う戦闘に突入するのだが。
リリス・ファウがエルガイムを操縦して囮をしてオージェの砲撃を動物的癇で避けている間に、ダバはスター・ウォーズのエアバイクみたいなアレのフロッサーのスパイラルフローという簡易型のコアファイターみたいなのでエルガイムから分離していた。それで、密林の中を通ってオージェの足元に来て、手持ちバズーカでオージェの顔を撃って撃退。
なんだけど。指揮官の女がロボットの顔にバズーカ一発を受けただけやる気を失うのは、集団戦の終結としては肩透かしな印象。
うーん。
・ストーリーの進展
一応、ダバたちの機転のおかげで敵を撃退できたということをステラも認めるのだが、ステラは偉ぶりたいので「ダバが命令違反をした!」「軍の規律を乱すな!」とか説教モードになる。
ダバはそろそろ抜けるんですかね。
抜けた所で先に何かがあるとも思えないんだが。
何か、冒険譚のわりにONEPEACEとかドラゴンボールみたいに「目指す何か」がはっきりしてないので先行きが不透明だし、煮え切らないのかなあ。クワサン・オリビーを探す、って言うのもあるんだけど、1話以来ダバはオリビーの話を全然しないのでやる気が無いように思える。ザブングルのエルチが拉致されて毎回助けよとするけど〜みたいな所も確かに中だるみだったかもしれんのだけど。
でも、助けたい誰かを小出しにしてた方が気が引き締まるという一面もあるかもしれず。そういう「オリビーを助けたいんだ!」とか、「君の名は」程度のすれ違いドラマがあってもいいんじゃないかなーって。後半ですかね?


というか、今のところダバ・マイロードはエルガイムは義理の父親にもらってるし、ワークスは親友のキャオのだし、特に欲しなくてもアムやレッシィといった美女に惚れられるし、サクセスストーリーなんだけど、どれも棚ボタラッキーな感じだし、「ゲットしたぞ!」という喜びのシーンが無い。
スティール・ボール・ランでいうと、ツェペリの技とか武器とか戦う理由って全部周りから受け継いだ者で、漆黒の意志が足りない、って感じ。ダバは男の世界に入門できるだろうか???
反乱軍にエルガイムと言う強力な戦力が入ってもあんまり褒められないし。エルガイムのパワーで戦局を一気に覆して将軍を目指すぞ!という古代中国萬画のキングダムみたいなやる気もないし。
なんか、こう、視聴者の心情的ご褒美と言うか「やったぜ!」って感じが少ないんだけど。
でも、こういう白けてるけど女にはモテるしイカすマシンに乗ってる俺(でも全然努力とかしてねーし、自慢したいわけじゃないし、大人の政治は興味が無い)っていうのが、80年代の若者の「カッコよさ」だったんですかねー?
そういう意味で、風俗の歴史的資料としての価値はある。
なんだけど、「俺の才能や美学は1年のアニメで捨てられるものではないんだ!」って30年も奮闘したり設定を全部変えたりするん永野護のエネルギーは認めたい。実際デザイン自体はカッコいいんだ。
幾原邦彦監督のユリ熊嵐が落ち着いたらシェル・ブリットの続編出ませんかね…。
っていうか、むしろウテナの脚本の榎戸洋司さんが五十嵐卓哉監督と永野護メカみたいなアニメを作っていて…。


いやー、キャプテン・アース、おっぱい大きいですね!あと臍!
ロボに関しては、遊星歯車装置や箱舟派や迎撃派が内紛してても、まあ、スペースダンディならどっか空巨大生物が出てきて太陽系ごと全員滅亡って言うオチなので。アニメはそれくらい幅が広いメディアなので。
広い心で見ましょう。



しかし、1クール目の後半1/3が本当に「前回の尻拭いからの戦う理由」「ピンチ要素」「バトル要素」「ちょっとした設定の開示とストーリーの進展」っていうテンプレートだけで感想もまとめることが出来てしまった。
こういうこじんまりした所がエルガイムのダメな所なんだよー。
あと、反乱軍の兵士のモブキャラがいかにも80年代のアニメスタジオの若手スタッフをモデルにしましたって感じのオタク臭い感じで、お前らもっと戦士としてのオーラを出せよ!それか死ね!!!って思いました。
まあ、こじんまりした所の紛争から始まって、全地球、宇宙規模の争いに〜ってのはザンボット3とかVガンダムとかイデオンとかでやったので、やればできる。やってくれるんですかねえ。


ちょっと感想がダレた感じだが、その分短い文章でさらさらーっと書いて視聴スピードを増してGレコ本放送までには富野アニメコンプリートマンになりたい。その上に富野小説も含めたコンプリートマン、その上にインタビューも全部読んだマンがいる。富野道は男坂



でも、ファンがどうこう言った所で、結局富野さんが一番大切にしているのは亜阿子さんとアカリさんと幸緒さんとお孫さんだし、クリスが一番大切にしてるのは川村万梨阿さんなんだよねえ。
愛だよねえ。
ファンは温かく見守りたい。