玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

創作幻視小説版「夢兄妹寝物語」 2003年11月 第11話 第6節

サブタイトル[ラスベガスと王の心] 

前節
創作幻視小説版「夢兄妹寝物語」 2003年11月 第11話 第5節 - 玖足手帖-アニメ&創作-

0「エリア3.2、そちらはどうか」
3の2「こちらは不整地ではない。順調なドライブ」

 そう返すミニコの出で立ちはいつものメイド服ではない。頭に黒く丸いネズミの耳の付いたカチューシャにリボンを付け、リボンと同じショッキングピンクの布に白い水玉模様の裾が丸く広がったミニスカートワンピースに黒の網タイツを合わせ、丸眼鏡もピンクの縁が太いサングラスに替え、ネズミの国のマスコットの真似をしたアメリカナイズな格好である。レイより少し遅れてラスベガスに入り、(人間らしい手続きで)オフロードジープをレンタルして、現在は93号線をレイのハーレー・バイクロンと約40Km離れて並行する形で北上している。
 ミニコがラスベガスに着いたとセブンセンサーから連絡があった時、0「エリア3.2が我々に続くのは当初の計画とは違うではないか」とレイはセブンセンサー経由で通信したが、ミニコは
3.2「我々が独断で決定した。昨日の作戦会議をキング・オブ・ハートが盗聴していた場合、計画を作戦中に変更する我々の存在は囮に成る。この通信が傍受され我々が監視されているとしても、同盟の行動にノイズをかけられる。同盟が組織体ならば、予定の変更は行動力の低下につながる。
 しかし我々エリア3.2はエリア0の行動に干渉するつもりはない。エリア0に変更は必要ない」
と返答した。そのため、他の奴隷諸国もそれ以上の詮索はやめた。
  
  
 レイが93号線を使わなかったのは、C4への警戒だけではなく、地球人の米軍との接触を避ける意図もある。昨日の核爆発事故の影響で公道周辺には普段以上に軍の車両が展開しており、平地はレーダーや監視カメラの見通しが良すぎるのだ。
 超時空観測装置を持つ宇宙人、特に情報収集に特化したセブンセンサーの能力ではネリス試験訓練場の最新鋭監視装置の位置と死角が丸見えではある。それで起伏の多く一般車両が少ないアラモ・ロード沿いの山原を行く。
 キング・オブ・ハートとの待ち合わせ場所はネリス射爆場の立ち入り禁止区域である。レイたちはその禁止区域のギリギリ東端の外を行くが、その進行するアラモ・ロードも一部はGoogleマップでも表示されない禁止領域内を通る。実際の米軍の監視機器のテリトリーはそれ以上に広いので、C4を警戒してテレポートを使わないのなら、米軍との接触は避けられないとレイも覚悟している。が、待ち合わせの時点で米軍と接触すれば、一般地球人から隠れている超能力同盟のC4に対して牽制になる。潰し合いをさせてもいい。
7「昨日の核爆発事故で地球人の現地軍の動きがあわただしくなっている。全体的には警戒が強まっているが、原因究明や敷設観測機器の修復に人員を割いたため、平時より手薄に成っている地点、時点がある。それを4次元的に連結して進行すれば指定場所の直前2キロまでは確実に発見されない」
0「観測を依頼する」
7「また、核爆発事故による電磁パルスの被害が都市部よりも射爆場圏内の方が大きい。米軍は秘匿しているが射爆場内の無人監視装置網のほとんどが破壊されている。同盟がEMPの強度を超能力で軍事施設に向け偏向させたのだろう。その原理はいまだ不明だ」
0「地球人が大規模な機材を使用せず、その様な事を行えるとは、超能力であるな」
7「しかし、そのおかげで我々が米軍に察知される危険性が大幅に低下している」
0「我々を招待するためだろう」
7「おそらく」
0「だが、彼らには我々の能力を査定する意図があると推察する。単純にはいくまい」
2「同盟はこの先に罠を用意している可能性がある」
5「この状況が既に罠だと言えるのでは?」
0「再度、最終対応について確認する」
2「キング・オブ・ハートと遭遇した時の行動だな」
5「主に実行するのは呼びだされた宍戸隷司であるエリア0だ。任せる。我々は援護に徹する」
7「状況を再度整理する。
 1、キング・オブ・ハート、及びカードクラッカーズクラン同盟の構成員は強力な超能力者である。
 2、同盟は一般地球人と表面的に敵対していない。同盟は一般人から隠れている。
 3、キング・オブ・ハートは宍戸隷司を異形と特定している。人型のミイコたちも同様の可能性がある。
 4、宍戸隷司を含め、我々全体が宇宙人との正体を見破ったかどうかは不明。
 5、キング・オブ・ハートは宍戸隷司と面会する以外の目的を明かしていない。
 6、同盟はこの面会が不成立だった場合、頭令そら様の屋敷を攻撃すると脅迫している。その真偽は不明。
 7、同盟は何らかの手段で我々を監視している可能性が高いが、その事実は未解明。
 最後に、我々はいかなる時も頭令兄妹両陛下の利益のために行動する」

0「我々エリア0の対応を再度提示。
 1、同盟の頭令兄妹両陛下への攻撃意図を停止させ、今後も攻撃不能状況に持ち込む。
 2、同盟の我々に対して得た情報を解明する。我々に対する同盟の干渉も停止させる。
 3、可能な限り宇宙人としての正体を明かさず、地球人の宍戸隷司として行動する。ただし、同盟の反応に応じて実力行使する。
 4、宍戸隷司が宇宙人だと看破された際にも、我々エリア0以外の奴隷諸国が宇宙人であることは秘匿する。
 5、同盟がこれを機に地球人への攻撃を開始した場合、我々は頭令兄妹両陛下だけを守護し、それ以外の地球人同士の紛争には一切関与しない。
 6、頭令兄妹両陛下に被害が生じる場合、両陛下を地球内外を問わず退避させる。退避後も脅威があればそれを排除する。
 7、一般地球人への干渉は可能な限り避ける。
 8、本件における知的生物への攻撃の責任はエリア0が負う。
 そして、我々はいかなる時も頭令兄妹両陛下の利益のために行動する」

1〜7「提示を相互確認。了解」
0「指定時刻は15時。頭令兄妹両陛下の居る日本はその時、13日の朝だ」
4「こちらは日本のエリア4だ。本日、頭令そら様は社亜砂と残ったメイドとつつがなく過ごし、頭令倶雫様とも変わりなく面会され、現在は睡眠されている。健康そのものである」
6「そら様はずっとエリア0について心配され、エリア0の秘密主義を口汚くののしり、授業中に社亜砂の腹を3回蹴り、脚を5回踏み、倶雫様の病室で出前の特上寿司を2人前食べるまでずっと不機嫌であられた」
0「了解だ。早期解決を目標とする」
3.2「ラスベガスでお土産を購入して帰還しよう」
3.1「それはいい提案だ」
  
  
 電磁シールドでEMPから生き残って稼働しているレーダーや巡回する地球人の兵員の監視網から隠れつつ、ハーレー・バイクロンは蛇行しているので、日が高くなった。11月であっても砂漠の陽射しは強く、砂ぼこりにまみれたレイの体を熱した。それでも宇宙人は喉も乾かないし熱中症にもならない。が、在るかもしれない同盟の超能力的な監視への対策として、人間らしく振舞おうとレイは懐の水筒の水を飲むふりをした。


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