玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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アニメオタク目線での真田丸が面白い その1 オープニング編

アニメばかり見ているのだが、もともと三谷幸喜が好きで真田丸が面白いので、数年ぶりに実写ドラマを見ている。なぜ私が実写嫌いになったのかというと、それは次の記事で書く。


大河ドラマは国民的人気コンテンツなので感想を書いているブログも多いので、詳しくはそちらを参照していただきたいのだが、アニメオタクとして私が気になった点を
書いている人が少ないようなので書く。

  • オープニングがロボットアニメっぽくて面白い

まず、指摘するべきはレイズナー方式なのだが。毎回のバトルシーンをオープニングテーマの合間に挟むことで、歴史や大河ドラマや実写ドラマをあんまり見ない私のような人も「ふむ。今回はこいつと戦うのか」と闘争本能が刺激されて楽しい。
NHK大河ドラマ「真田丸」オリジナル・サウンドトラック 音楽:服部?之

しかし、蒼き流星SPTレイズナー風のオープニングムービーだけではない。ほかに面白いところはテロップが音と絵に合っている所だ。これは大河ドラマでは珍しい。はず。




大河ドラマのオープニングといえば、NHKのCGや空撮や騎馬や城や甲冑などの技術を駆使した映像と当代の実力派作曲家のオーケストラ曲が相まって毎年国民を楽しませているものであるが、思い返してみれば正統派の品格か俳優の名前を優先しているからなのか、あまりテロップと音楽と映像の音合わせをしているものは少なかったと思う。(映像が切り替わる時にテロップを変えるのは多いのだが、テロップの秒数が音楽に合わせて微妙に変化するのは少なかったと思う)
しかし、アニメーションのオープニングでは近年、オープニング曲のテンポに合わせて映像が切り替わり、スタッフの名前のテロップの流れる時間なども音や映像に合わせて長さが変わるものが多い。
ここを真田丸がいじってきたのがアニメっぽくて面白い。
三谷幸喜の前作「新選組!」では大河ドラマには珍しくアニソンっぽい歌詞をつけたのだが、今回はテロップの出し方をアニメのオープニングっぽくしてきた。
また、大河ドラマのテロップの順番というのは大体役者の格で決まる。なので、非常に政治的なものだし役者やプロダクションというのは難しいもので顔を映せ、名前をきちんと出せ、こちらの方が大物なのだから順番を云々などするものである。
detail.chiebukuro.yahoo.co.jp



しかし、真田丸は役者の名前の出る秒数のテンポを音楽合わせの映像に合わせて細かく変えてきている。これで、漫然と等速、あるいは役者の格に合わせて長かったり短かったりする従来のテロップとは違い、逆に役者と武将の名前が印象的に残る。
アニメをあまり見ない大河ドラマメイン視聴者の方にもわかりやすい例を挙げると、新世紀エヴァンゲリオンというロボットアニメのオープニングのテロップで

庵野
  明

という市川崑監督の映画のタイポグラフィをもじった極太明朝体エヴァンゲリオン初号機の腕がガーッと引き裂いてラストサビに行くことで「なるほど、庵野なんだよなあ…」という印象が強かったのに似ている。しかし、このテロップは映像特典のノンテロップ版OPでは

庵野
  明

が抜けてBLベタになっているのに拍子抜けした人も多かったと思う。


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そういうわけで、「なるほど、室賀正武は西村雅彦なんだなあ…」という納得感が得られる。室賀正武とか国衆は正直歴史の教科書にも出てこないし知らないんだが、オープニングで
「室
 賀
 正
 武


 西
 村
 雅
 彦」
と出ると、秒数が短くても映像に合っているために、短いからこそ逆に「なるほど、室賀正武は西村雅彦さんなんだなあ…」「出浦昌相は寺島進さんなのか、これも濃い役者だなあ」としみじみと感じることができる。「なるほど、段田安則さんは20年前の秀吉以来、また滝川一益を演じるのだなあ」と感じ入るのだ。室賀正武とか出浦昌相とか、正直歴史の脇役なので全然知らないし、だから音楽のテンポにテロップが合っているのは単に脇役だから短くしているだけなのかもしれないが、短くとも1カットに一人の役名と役者が出ることで武将が名乗りを上げるような存在感はある。


また、映像にもストーリーがある。
だいたいの流れは、「真田丸!」ってタイトルがいきなり出て、映像は山とかを映しつつお城の城壁の銃眼の穴からお城の中に入って、倉とかを見て、それに合わせて真田家や武田家の武将と俳優の名前がダンダンとテンポよく出てきて、その最奥に武田信玄の甲冑が鎮座しているので「御屋形様!」とテンションが上がる。
お城の中に徐々に入っていくワクワク探索クエスト感覚があるのでゲームっぽくて面白い。3DCG地図監修は信長の野望の人シブサワコウだし。


追記:
お城の中に銃眼や六文銭の穴をくぐって入る冒険的カメラワークは、好奇心旺盛な若武者の真田源次郎の人柄を紹介すると同時に、視聴者も源次郎と共に作品世界へ没入して感情移入させられる効果がある。このオープニングがあることで、視聴者に見る準備と心構え、作品への肯定的好意的な気分を醸成させるのである。
この、ナルニア国のような異界の物語世界におむすびころりんと入っていくかのような導入効果は、ウルトラQのオープニングをも彷彿とさせる。


その後にカメラが切り替わってまた違うところの山に行って、そこで徳川勢の名前が出てくるので「敵だ!」って思ってまた闘争本能が刺激されてテンションが上がって、ガーッと行って武田の家来から成長した真田の甲冑の騎馬隊がドーッと押し寄せてきて「成長した幸村の真田丸の最後の戦だーっ!製作統括だ!」ってアゲアゲになったところでOPがいきなり終わって、テンションが上がったところで真田の六文銭の穴にカメラが突入して(真田太平記のオマージュ)、あらすじの文章が突然出てNHK有働由美子キャスターが読み上げるので、オープニングでアゲアゲになったテンションのまま本編に入れて面白いのである。
とにかく前置きもなく八時ちょうどに いきなり始まって、いきなりテンポよくキャストとスタッフとあらすじとバトルシーンをテロップで有無を言わせず視聴者に見せて、反論しにくい空気を作って視聴者に見る体制や気分を作らせてから本編に突入することでより一層面白く感じることができる。
こういう演出のひねりは大河ドラマという本格本流のコンテンツの枠組みから見れば邪道とも思えるのだが、まあ、面白がらせようという意気込みは良い。NHKも視聴率を取ろうと万策を繰り出してきているのだなあ。
また、オープニングのテンポ感とテロップ芸によるワクワク感は三谷幸喜の脚本で有名な「警部補・古畑任三郎」も思い出させてくれる。こちらの作曲は本間勇輔先生。
真田丸の作曲家の服部隆之先生は王様のレストランを手掛けている。
「古畑任三郎」のタイトルロールで「オーケストレーション」って覚えていますか?: JIROの独断的日記ココログ版
市川崑のタイポグラフィ 「犬神家の一族」の明朝体研究



などと、面白い点はほかにもあるが、オープニングの面白さを書くだけで、あと本当に大河ドラマのOPのテロップの出し方は他と違うのかDVDを見返したりして時間がたったので、アニヲタらしくデレステのトレチケタイムのライブでトレーナーチケットをいただいて行くっ!


なんかオープニングだけで1記事出来てしまったので分割するのだが、今週の真田丸のテロップ芸で面白かったのは、サブタイトルが「迷走」だったのだが、真田昌幸が「儂は決めたぞーっ!」と叫んだら「第6回 迷走 終」「次回 「奪回」」って出て、「迷走が終わって奪回するんだなあ」と漢字で分かりやすく感じることができるのが、ジャパンのカンジキャラクターカルチャーなんだなあ・・・と思う。



この記事が面白いと思った人はどうぞ。
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反響があれば書きます。なくても書かないと気になって頭の中で同じことをぐるぐる考えるので書きますけど。
(だいたい書いたことは脳から消えて忘れるので脳のメモリが軽くなるのだ)


続き
nuryouguda.hatenablog.com



youtu.be

NHK公式で英語テロップの解説もあるので外人にも優しい。