玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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機動戦士ガンダム5大気圏突入の対話Gレコ

未だ体調は万全ではなく数万文字単位のGレコの評論をするまでには至っていないが、病床で録画を消化するだけでは味気ない。鬱病を積極的に直すためにガンダムを摂取する。ガンダムは面白い。心の栄養だ。面白いと思ったことを書くのも良かろう。


 今回のテーマはキャラクターの対話、ダイアローグである。1対1の会話、リアクションの集積。


 逐一分析して読者に紹介してもいいのだが、疲れるので列記は辞める。

  • 注目ポイント。

 会話をするときにどの程度エゴイスティックか、あるいは気遣いがあるか。目的は何か、伝えたいことをどう伝えているか。その時の身体的な表情はどうか。


 ここに着眼した理由。まず、冒頭のシーン。ホワイトベース避難民のケアをするアムロとフラウ。石鹸を配り、「さっぱりとした気持ちで地球の土を踏んでください」という気遣いのフラウ。
 フラウ気づく。目線アムロに。


 おもちゃの車が故障してぐずる子供(ペロ)に困る祖父に、車を直せると提案するアムロ

 車を直しながらの会話。
「どうも。両親がいなくなってからというもの、こんな物と一日中遊んどるんです」
 と、祖父。子供のPTSDの軽い症状と戦争の状況の説明、またおもちゃを「こんなもの」と言う老人との世代の断裂。

アムロ:「戦死なさったんですか?」
老人:「一週間戦争の時にね。あんたは?」
アムロ:「母は地球にいるはずです。父はサイド7で行方不明になりました」


老人:「地球へ着いたらあの子をわしの故郷へ連れて行こうと思っとるんだ。もう二度と地球の土は踏めんと思っとりましたからなあ。サイド7に来る前には南米でコーヒー園をやっとってな。知っとるか?これがコーヒーの豆じゃ。今度地球へ帰ったらわしは絶対に動かんよ。ジオンの奴らが攻めてきたって、地球連邦の偉いさんが強制退去を命令したって、わしは地球で骨を埋めるんだ」

 車を直しながら聞かれたことを簡潔に述べるアムロ。聞かれてもいないのに身の上話をまくしたてる老人。ここでも、世代間対立と言うガンダムのテーマが暗示される。また、老人の寂しさやコミュニケーションに飢える年代の感覚とか。

 世界名作劇場の影響もあると思うが、こういう地味なシーンの積み重ねでキャラクターを立て、たったキャラクターを並べて世界観を作っていく。


 しかし、今回のガンダムは大気圏突入なので、SF的な状況である。しかし、性能やメカニックを見せることも大事であるが、その状況を利用してドラマを作っている。具体的には、ほとんど通信手段が限られる大気圏突入状況なので、必然的に会話が一対一になりやすく、各カットの登場人物が多くても3、4人。なので、ダイアローグの列挙、発話と返答の繰り返しが多くなる。3、4話は多数決だったり組織だったり、ちょっとバタバタした展開が多かったのだが、今回はわかりやすいダイアローグである。


 読者諸氏、各自、会話に着目していただきたい。


 なんとなく余裕がなくキレ気味の男性陣(ブライト、リード、リュウ)、てきぱきしつつそういう男を嗜める女性陣(ミライ)アムロをおだてるセイラ(なんでセイラとガンダムは通信できてたのだろうか。今回はミノフスキー粒子が薄かったのか、発進したMSがガンダムだけだったのでレーザー通信が通っていたのだろうか)
 と、そのような雰囲気が見えてこないだろうか。

  • シャアの魅力

 部下を期待する。褒める。叱咤する。激励する。無駄死にではないと慰める。ガルマに手柄を譲ろうと提案する。などなど。
 今回、ダイアローグの主体として一番コミュニケーション能力が高く、また実際に部下から「助けてください」と何度も言われたりして信頼されているのがシャア・アズナブル少佐である。

機動戦士ガンダム〈1〉 (角川文庫―スニーカー文庫)


 ダメ人間とか、逆に冷血漢とか言われがちなシャアであるが、今回の5話のコミュニケーション能力が高い。また前線指揮官としても優秀。部下の弱気を叱る。逆に右手をやられてもやる気を見せる部下は褒めて鼓舞する。
 このように、部下のダメージも観察して、的確な指示を出すシャアなのだが。で、大気圏の熱で焼け死んだ有名なクラウンは絶対に死ぬ状況だった。そこでシャアは死に際に「残念ながら、ザクには大気圏を突破する性能はない。しかし無駄死にではないぞ」と言ってやる。言ってやるのだが、シャアはその時に右手を振るえるほど握りしめて歯を食いしばっている。格好つけているだけではない。本当に部下を死なせたことに心を痛めている。感情の無い復讐鬼ではない。本質的には優しい人だということがここで分かる。
 また、もう一つ有名な

ドレン:「ようやくわかりましたよ、シャア少佐。よしんば大気圏突入前に敵を撃ち漏らしても、敵の進入角度を変えさせて我が軍の制圧下の大陸に木馬を引き寄せる、二段構えの作戦ですな」
シャア:「戦いは非情さ。そのくらいのことは考えてある」

 だが、非常な戦いをクールに乗り切るシャアの自慢、と言う風ではなく、自分を褒めるドレンをちょっと鬱陶しいと思っているような口の角度(まあ、シャアの表情はほとんど口の角度しかないんだけど)と、池田秀一の吐き捨てるような言い方。部下を3人程度戦死させた戦いの直後に自分を褒める副長におだてられて満足するだけのシャアではない。やっぱり部下を死なせたしガンダムを仕留めきれなくてイライラしてて、褒められても皮肉を吐き捨てて返すような若さがある。やはり本質的には優しい。シャアには人間味がある。
 まあ、そうでなけばララァは惹かれなかったのだろう。


 しかし、その直後にガルマに木馬を譲る提案をするときの謙虚で慇懃な態度で落ち着いて話すことができる有能さを持つシャアでもある。(そしてこのあと何回か意地悪して殺す)
 (しかし、ここでガルマの顔を後姿だったりレイアウトの枠で隠して、3回目くらいで美形を見せる演出が、まあ、長浜美形ライバルの経験だよね)


 と、まあ、このように大気圏突入は対話が生まれやすい状況なわけで。
 そこはカップルで突入するGレコにもつながっているのだな。


 また、クラウンが「シャア少佐、助けてください!」と叫んで死んだのと対照的にアムロは一人で孤独に爆速でマニュアルを読んで大気圏突入耐熱フィルムを運用して乗り切る。対話も大事だけど、セイラさんも美人だけど、最後の修羅場は結局一人でやるしかないんだ!という主人公像があり、これはGレコのベルリが単騎突入したことにも似ている。ただ、ベルリの場合は終盤なので感情的に背負っているものがアムロとはまた違うのだが。


そこで終盤に
「ああそうだ。ペロは初めて見るんだな、地球を。これがみんな陸地と海でできている自然の星なんだよ、ペロ」
と、老人が言うことで、まあ、ちょっと鬱陶しかった老人の印象も変わって見える。聞かれなくてもいろいろ言うのが鬱陶しかったけど、子供にいろいろ教えてあげる祖父、と言う面にも見える。
 そこで地球に入ってよかったねーって言う感じを絵的にも会話としても出していくんだけど、直後にガルマのガウがくるので、ピンチ!つづく!


 そういうわけで、ガンダムはメカニックとか歴史とか設定とかも魅力の一つですが、今回のように大気圏突入と言う非常に理系よりの展開でも、会話劇としても楽しむことができるのですよ。というコラムでした。


 ちなみに、シャアはガンダムの性能を褒める達人のライバルなんですが、今回はガンダムハンマーの相対速度が速すぎて受け止めきれないと迷うアムロガンダムに対して、シャアザクのバズーカの弾がホワイトベースから飛んできたガンダムハンマーと衝突してガンダムの方に押しやってくれて見事キャッチ、というファインプレーを見せた。これもメカによる対話の一つだろうかって言うか、ガンダムハンマー硬いな。
HG 1/144 RX-78-2 ガンダム Ver.G30th (機動戦士ガンダム)

(3千文字。執筆時間約50分)


参照

――手書きアニメの新作は、一体どんな内容になるのでしょうか。

富野由悠季】この前、WOWOWで放送されたメトロポリタン・オペラを観て気づいたんです。「あ、巨大ロボットアニメという枠って、オペラなんだよね」と。どうしてオペラという言い方をしてるかというと、オペラは大舞台で、音楽も役者も使っています。そして、巨大ロボットものという大枠のなかで、ロボットが出てくると“戦闘シーン”があります。最近、映画『逆襲のシャア』(松竹系・1988年公開)を振り返る機会があったんですが、あの作品は戦闘シーンが多すぎるんです。だけど、戦闘シーンはなくちゃいけない。じゃあ、ロボットものの戦闘シーンはなんなんだろうと考えた時、いわゆるオペラでいう“歌うセリフ”のブロックなのだ、ということに気づきました。

www.asahi.com

――富野監督は現在、全5本からなる『G-レコ』の制作をされていると聞いています。現段階で、進捗について言及できる部分はありますか?

富野由悠季:物理的な部分でいえば、映画3作目の作画には入ってます。ただ、今は制作、スタッフ編成ができていませんので、スケジュールがまったく見えなくなっています。


――それはどういった理由なのでしょうか。

富野由悠季:東京全体のアニメスタジオを考えた時に、よほどのことでない限り、一カ所、二カ所にスタッフを集めて仕事をするということがなくなっちゃっているわけです。全部の作業を別々のスタジオにバラ撒いていく体制です。そんな環境のなかで作らなくちゃいけないんだから、時間がかかるのです。つまりスケジュールを立てようとすると強権力が必要なのですが、ぼくにはその力がないので……。


富野由悠季:そうは言っても、一度作ったものですからまるまる新作じゃないんです。コンテはもうあるから、もし決まったら「一気にやるぞ!」とできる体制はあります。その時は、やっぱり映画版新作1本か2本を作るくらいの規模になるんだろうけど、サンライズが本気になって『G-レコ』を最後まで作るぞ、と本気で声をあげてくれたら……1年の時間で出来るかもしれません。
www.oricon.co.jp


 僕も病床に伏しているが、なんとか自律神経を持ち直して下痢と腹痛と役所の手続きなどが終われば1年、いや、半年でGレコの批評をして劇場版に臨みたいところです。サンライズがアニメーターに富野作品以外のアニメをやらせて製作が上手くいっていないようだ。富野監督もご苦労をなさっている。しかし、うまくすれば1年で。こちらも何とか支援したい。金銭的には、ちょっと出せて10万円くらいなんですけど、こういうはてな村の辺境のブログからでも富野作品やGのレコンギスタの応援はしたいし、そのために自分も元気になりたいのだが。
一日15時間寝ないと吐くんですけど。午前中にハローワークに行くのはとてもつらいことなのだ。
 過労は本当によくない。辞めてからも引きずる。
gigazine.net

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