「原点にして頂点。爆音あげて蘇れ! ライダー変身!!」
スパイダーバースからの比較のために平成ライダージェネレーションズと平成対昭和ライダーを見た。オーバークォーツァーが貸出中なので、仮面ライダー1号を借りて見た。
かっこよかった。
あの効果音、あの本郷猛、あの藤岡弘、の声。子供の頃に再放送を見てかっこいいと思った仮面ライダーのエッセンスが詰まっている。もう、これはフェティシズムの領域だ。
しかし、これもオトナ帝国では?と、常々エンタメ界の懐古主義を憂いている僕は相反する感覚も抱いた。
以前、こういうブログを書いた。
要点は、「富野監督が言うように、幼少期に影響を受けて好きになったコンテンツは強い。また、アニメ(や特撮)は昔の作品も現在の作品と同じ土俵のDVDで鑑賞される時代になった。なので現在のおじさんたちが幼少期に好きだった初代ガンダムや初代ライダーが、少子化キッズ向けの最新ガンダムや最新ライダーよりもビジネスに優遇される。ユニコーンやナラティブで効果音を初代ガンダムやイデオンに寄せたり、ジオンMSの性能を上げてみたり閃光のハサウェイが”正統続編”を掲げているのも、そういう事情だろう」
ということ。
そういうことのせいで富野由悠季最新作のGのレコンギスタよりも過去の宇宙世紀ガンダムビジネスが優先されたりっていうのが悲しいなあって思っていた。
富野由悠季監督がいつも最先端のエッジが効いた、新しくて比較対象が少なく評価もしにくい作品を出すというのも一因なのだが。ビジネス的には過去に確実に成功して、今も売上が伸びている「宇宙世紀ガンダムのガンプラ」が優遇される。G-セルフの1/100スケールのプラモデルは出ていない。
まあ、今回の仮面ライダー1号とはあんまり関係ない話だが、ライダーも同じバンダイのIP(KLabを過労退職したので、あまり好きな言葉ではないのだが)だ。
で、まあ、やっぱりね、仮面ライダー1号がかっこいいと嬉しいわけですよ。当時の最新作のライダーの仮面ライダーゴーストが苦戦してた怪人を、ライダーパンチ!ライダーキック!で一撃で屠ったりするとうひょー!強いーーー!ってなる。
シュビビーン!とか、シャキーン!とか、(エンジンを吹かす音)とかの効果音がなるだけでかっこいい!と思う。藤岡弘、さんの独特の低音ボイスのかけ声もたまらん。
仮面ライダー1号が岡元次郎さんのごつい体型で巨漢なのも凄くセクシー。20代の頃の藤岡弘さんが変身する平成対昭和に出てきた仮面ライダー1号よりも、いろいろと太ましくなっていて、強そう。というか、藤岡弘、さん自体がイケメン体型からプロレス体型というか、多少腹が出ている日本武道家体型になっているので。(なので、ライダージャケットよりも袴のほうが似合う体型なのだが)仮面ライダー1号や本郷猛もかっこいいのだが、2016年の藤岡弘、さんを見るのがかっこいい。
今回はルパン三世みたいな感じで、本郷猛がかわいいJKヒロインを守ったり、デートしたり助けたりするのだが。
おじさんの願望が詰まっているJKとのデート、というより、僕くらいのおじさんになると、孫くらいの年齢の高校生に藤岡弘、さんが慈愛の目や笑顔を向けるだけで素敵だと思う。
この映画のヒロイン、というか興味の対象は本郷猛であり、藤岡弘、なので。かわいいJKより、その子に対して色んな表情を見せる本郷猛のほうがかわいいというか、見てて嬉しくなる。(ホモセクシュアルな意味ではなく)
やっぱり主人公厨なところがあるし。
そういうわけで、やっぱり3世代コンテンツのオトナ帝国っぽさはある。
やっぱり旧ショッカーの怪人とか地獄大使とかが出るとほっこりするし。(大杉漣さん追悼という感じはあんまりしなかった)
しかし、ガンダムが宇宙世紀ガンダムの正当を騙る福井派閥とアナザーと富野脱ガンダムに分かれて混沌を極めているのと違って、仮面ライダーは継承を割りと重視しているところがある。
(新訳Zガンダムはアムロとシャアからカミーユに継承をする面もあったが、新訳第3部でカミーユはガンダムから卒業してしまい、結局シャアは孤独になって隕石を落とすようなやつになるしかない)(そう考えると、クロスボーン・ガンダムシリーズは編集部のゴリ押しで続いているという面もあるにせよ、サーガ的に主人公の継承が上手い。(長谷川裕一先生の個性か?))
- 仮面ライダーゴーストとの相性
仮面ライダーゴーストは仙人のふざけすぎがちょっと苦手で真面目に見てなかったんですが。お寺が舞台というわけで、藤岡弘、さんとの相性も良かった。
また、本郷猛が学校の先生をやったり天空寺タケルに宿題を出したり、「後進育成」「継承」がライダーでは強い。ディケイドみたいに他の平成ライダーの力を借りるのはジオウじゃなくてもやってるし。
ゴーストが英雄の魂の力を借りる、というスタンスのライダーだったので、最初の英雄の仮面ライダー1号と絡む、というのも相性がいい。
あと、法事ができるというのも強み。
それで、ゴーストは霊の話なので、「命とは!なぜ尊いのか!」という暑苦しい命題にもベストマッチだった。命の尊さを言葉ではなく魂で理解できるような展開も熱かった。
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なので、単に最強の仮面ライダー1号の後塵を拝する若者のポジションであるだけではなく、仮面ライダーゴーストとのタイアップは物語的にきちんと機能していて、これはうまい企画だと思った。
- 仮面ライダーとは
仮面ライダーはいつも君の近くにいる!って啖呵を切っているけど、仮面ライダーオーズの火野映司を演じた渡部秀さんが「僕は震災の時のライダーなので」と無力感を感じるコメントを出したように、実際にはつらくても仮面ライダーは来てくれないわけです。
そこら辺は仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVERで「念じれば来てくれる」というファンタジーで描かれたわけですが。
今回の仮面ライダー1号に関して言えば「実際に仮面ライダーが物理的に近くに来て助けてくれなくても、巡り巡って魂はつながっている」という話なので。
ヒーローが来てくれなくても、ヒーローから与えてもらった正義感とか勇気とか元気はつながっている、みたいな話かなー。
これはSSSS.GRIDMANの夢のヒーロー感にも共通してますね。
- オトナ帝国への処方箋
というわけで、ライダーもガンダムもプリキュアも初代が原点にして頂点でかっこいいし、ウルトラマンもグリッドマンもリブート作品が出るオトナ帝国ビジネスの時代ですが。
「古き良き過去が最高」というメガゾーンみたいな気持ちでいると未来が先細っていくだけだと思う。
じゃあどうすればいいのかというと、新しく戦い続けるしかないと思う。
地獄大使はある意味過去の仮面ライダー1号にこだわっているおじさんのメタファーだったけども。
本郷猛は常に世界中で戦い続けている。
「輝かしい過去」ではなく、現実に現存するのは現在だけなんだよ!
なので、新しいライダーやヒーローやガンダムのカッコよさを感じたり認めるアンテナは持っておきたい。仮面ライダーゴースト本編はちょっとノリが合わなかったけど、仮面ライダービルドと仮面ライダージオウはかっこいいと思ったし好き。
富野由悠季監督も新しいものへのアンテナを今も張っているし。(ミーハーなところもある)
自分より年下でも、仮面ライダー俳優はかっこいいし、武内駿輔くんもかっこいい。アイマス声優やアイカツ声優や、クッキンアイドルまいんちゃんなど、も僕より年齢が半分の人とかいるけど、パフォーマンスは評価していきたい。
そういうふうにして、僕はまだまだ老成せずに行きたい。
それに、現代日本は初代仮面ライダーとか初代ゴジラとかだけでなく、古今東西の知識の和訳本に恵まれている。
FGOで古代バビロニアを冒険した後にアリストテレスなどの古代ギリシャの本を読み、そこから派生した近世のデカルトの方法序説を読み、それに影響を受けたというGのレコンギスタではるかな宇宙時代をアニメで楽しんだりできる。
つまりまあ、どういうことかというと、色々とバランス良く摂取していこうということですね。(僕は富野由悠季に偏りすぎているので、あまり説得力がないのだが)
とりあえずかっこいいものはかっこいいと感じる感性は錆びつかせないようにしていたい。
今回の仮面ライダー1号はテレビ番組だった50年近く前とは全然デザインが違っているけど、やっぱり強くてかっこよかった。それは50年前のものが復活したから、ではなく新しいカッコよさだと感じたい。
僕の主戦場であるガンダムとかもブランドがどうとか、正当な後継者だからとか、そういうザビ家みたいなことにこだわらずに、一つの新しい作品としてかっこいいかどうかで判断していきたいですね。
でも、僕も子母澤寛とかラブクラフトとか買ってるのに読んでないし、古典に通じているというわけでもない未熟者なので、新しいものも古いものも、今の僕が接するものはどれも僕にとっては新体験なので、そういう精神的なフレキシビリティを持っていきたい。
まあ、うつ病患者ではあるのだが。その分、かっこいいものを見て興奮したときは上げ幅が大きい。まあ、楽しい時間が過ぎた後に落ち込む幅も深いのだが。
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