玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST 13(完結)最高の少年マンガだ!

機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST(13) (角川コミックス・エース)



 新世紀エヴァンゲリオンと同時に少年エースで連載が始まってから四半世紀が過ぎた機動戦士クロスボーン・ガンダムシリーズ。これはガンダムワールドにとって始まりでも終わりでもないが、作品としては一旦の決着を見た。
(あえて、富野メモ設定資料集はまだ読んでない)
機動戦士クロスボーン・ガンダム メカニック設定集 (角川コミックス・エース)


 めちゃくちゃ面白かったんですけど!



 いや、これ、すごく面白いだろ!



 同じくらいの年月をかけたシン・エヴァンゲリオン劇場版が大ヒットして完結したので、「グダちんみたいなこども部屋おじさんのオタクは庵野秀明に文句を言わずに感謝しろ。シン・エヴァンゲリオンに文句をいうキモくて金のないヲタクおじさんはクズ」みたいなことをインターネットで言われるのだが・・・。


 F91から30年間続くクロスボーン・ガンダムサーガのラストとして、クロスボーン・ガンダムDUSTの方がきれいに終わって面白かったのだが!


 ちょっとネタバレもある。


 いや、好きな作品を褒めるために他の作品をDISるとかじゃなくて、素直に、ギミックとか設定とか私小説とか作品のメッセージ性とか謎の考察とか、そういうんじゃなくて、もう、マジで面白かった!


 スペースコロニーの地球着陸大作戦という巨大一大スペクタクルのインパクトも描きつつ、仇敵との完全決着!
 テーマ性としても、前回の感想で書いたようなキリスト教や大富野教のモチーフを使いながら、それを超えていくぞ!という生命力!
 人間不信が多かった黒富野時代のF91の落し胤であったクロスボーン・ガンダムのラストとして、ある意味ブレンパワード的な人間愛、隣人愛。
 富野監督のGのレコンギスタに挑戦するかのような女王誕生!そう、この漫画は王たちの物語だった…。


 萬画の構成としても、生きるキャラクターも死ぬキャラクターも、脇役も、使い潰されていく武器たちも「この瞬間のためにこいつはいたのか!」という納得感!


 僕はクロスボーン・ガンダムを象徴する王の剣としての「クジャク」がブラン・リオンの右手とともに失われたことを、前回問題視していたのだが・・・・・・。その腕は剣を握るためのものではなく!!


 いや、このブログで考察をすることも無粋!このかっこよさを読んでくれ!



 いや、これはすごく面白いだろう。


 前回の感想で書いたが、やはり自分が人生を諦めたことを「人間として当然」として正当化する心の歪んだ悪役に対して、「世界がどうだろうがオレはオレを貫く!」ってやって完全に勝つという、クロスボーン・ガンダムの主人公らしいパワフルさ。かっこいい!
 うおおおおお!!!!!

nuryouguda.hatenablog.com

 首切り王も結局、偉そうで強そうだけど、未来を恐れていて、未来を変えるために行動するヒーローにはなれない。エバンス・ジルベスターであった時は地球連邦政府の秩序を維持する保守派であり、首切り王になった後は「人類は憎み合い殺し合うのが当然の生き物で、宇宙世紀は滅ぶに決まっている」ということが変わらないと思っている。だから未来や他人の戦いが自分の悲観的な思想の予測に沿って進むことに喜びと安心を覚える。

 僕も人生を諦めてるおじさんだけど、やっぱり萬画の中でヒーローが勝つのはかっこいいと思う。人生を諦めてるおじさんの敵に対して、「俺は諦めない!」というのが言葉ではなく行動で、バトルの強さとリンクして叩きつけていくの、やっぱりシン・エヴァンゲリオン以上では?
 ともあれ、少年エース創刊時の2大巨頭が(マクロス7トラッシュもありますが)、ほぼ同時に、全く違う印象で完結したのは90年代キッズとしては感慨深い。


 宇宙戦国時代を舞台にした武侠小説的な萬画で、ちょっと年齢層が高め(というかシリーズが長いし)という感じのクロスボーン・ガンダムDUSTだったけど、最後はきちんと「少年マンガ」だった。大人になれと言われなくても、少年少女は生きるために強くなっていくんだ!

  • 少年マンガとして

 たしかに、クロスボーン・ガンダムシリーズは鋼鉄の七人とかゴーストとかを挟みつつ、主人公を取り替えながらやってきたわけですが、やっぱり26年もやってるのは長い。
機動戦士クロスボーン・ガンダム(1) (角川コミックス・エース)
機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト コミック 全12巻完結セット (カドカワコミックス・エース)

nuryouguda.hatenablog.com


 そういうわけで、当時、トビアやシンジくんと同じような年齢だった僕もカーティスのようなおじさんになってしまった。
 新規読者の参入は難しいかな?という面もある。


 でも、やっぱり少年マンガとして、かつて無力な少年だった男が、外道に落ちた兄貴分をやっつけるとか、無力だった少女が人々の支えになるとか、病弱な少女がそれでも意地を通すとか、少年のまま凍りついていた男が笑顔を取り戻すとか、そういうのはとてもいいと思う!


 やっぱり少年マンガはこういうふうな爽快な読後感が大事だよなあ・・・・・・。宇宙世紀とかニュータイプがどうのこうのとかじゃなくてさあ……。


 熱いバトル!


 壮大なスペクタクル!


 感動的な人間関係!


 吠えるガンダム!


 光る翼!



 様々なピースが予想を超えた役割を果たす終局!


 そして、F91的な「クロスボーン・ガンダム」というどこまでいっても「本物のガンダムではない」、「オフィシャルではございませんぞ!」という偽史としての民間伝説の意地!


 そして未来は誰にも決められず、自由に広く広がっているんだ!その自由は大変だけど、人間たちは生きていくんだ!



 かっこいい・・・・・・。かっこいいぜぇえ・・・。


 やっぱりロボット漫画は小難しい理屈とか設定とかより、こういうかっこよさ、強い生き様が大事。
(いや、SFのギミックとしてはかなり筋道を立てて段取りを組んでるんだけど、読後感としてはカッコよさのほうが勝る)



 はー、やっぱりガンダムは強くてかっこいいなあ。素敵!
バンダイ HGUC 1/144 クロスボーン・ガンダムX1改・改


 やっぱり長期シリーズの完結は「あー、おもしろかった!」って言えるのが最高です。
 機動戦士クロスボーン・ガンダム、ここに完結!めでたし、めでたし。



  • ほしい物リスト。

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