玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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#Gレコ 劇場版第一部 第一話の絵コンテとの比較の感想

 2022年7月22日から劇場版第四部「激闘に叫ぶ愛」が公開される富野由悠季監督作「Gのレコンギスタ」であるが。TV版の先行上映の特典かなんかで第一話の絵コンテを入手した。そして、劇場版はパーフェクトパックという高価なBlu-ray BOXを購入すると特典で全尺の絵コンテが買える。


 2022年7月1日からはすでに!各種動画配信サービスで劇場版1~3部の配信があるので見てください!

 見たくなくてもぉっ!見るっ!


劇場版『Gのレコンギスタ I』「行け! コア・ファイター」 [Blu-ray]

 本稿はそのGのレコンギスタの絵コンテに記載されたカットの秒数を勘定して比較してみた感想です。僕は映画やアニメに関する専門教育は受けていないただのオタクなのでちゃんとした分析ではないです。
 でも、オタクなのでTV版と劇場版の二冊の絵コンテがあると読み比べる。当然だよなあ!まあ、テレビ版は第1話の絵コンテしか公式には流通していないので助かりました。まんだらけとかに行ったら横流しされた絵コンテが流出してたかもしれないんですが、時間も金もない。でも、もし、テレビ版のブルーレイにテレビ版の絵コンテが全話添付されていたら、僕はその比較をしただろう。
 まあ、本来は2年ちょっと前に劇場版第一作のBDを購入したときにやっておくべき作業だったのだが、他のコンテンツに手を出したり睡眠障害で15時間寝たりうつ病で動けなくなったり。


 でもやらなければ完全にゼロだ!


(適当にタップしたらオリジナルサイズの画像が出ます。結構でかいけど、しょせん罫線と数字だけなので)


 とりあえず、計算結果を先に出しておくと、こんな感じ。オーバーラップで重なってる部分や作画段階や編集で細かく変わっているはずですが、一応、絵コンテに記載されていたカットごとの秒数の合計はこれ。
 なお、富野由悠季監督は絵コンテの秒数の1秒未満の時間を24で1秒になるように記載していますが、本稿ではスプレッドシートでの計算をわかりやすくするために10進法になおしています。見ていただければわかるように、24コマ1秒ですが、基本的には1秒を4分割して、0、6、12、18との記載が多いです。そういうわけでこのスプレッドシートでも基本的に0.25、0.5、0.75秒の表記が多いです。


 カットナンバーはTV版のもの。劇場版の絵コンテにもテレビ版のカットナンバーをわざわざ鉛筆で書き込んで併記してあるので、割と親切設計です。(まあ、そうしないと制作進行の人が困る)新作カットにはNEWのハンコ、新撮影カットにはNEW SATUとのハンコが押してあるのでわかりやすいです。
 劇場版の絵コンテの冒頭にはサンライズのロゴアニメーションとオープニングテーマも含まれますが、TV版に合わせて、今回は勘定しません。TV版のサブタイトルコールとアイキャッチも勘定から外しました。(もともと、サブタイトルコールとアイキャッチにはカット番号が振られてないです)


 テレビ版第一話の絵コンテ段階での本編の時間は21分2.828秒。劇場版の第1話相当分の尺は18分53.01秒で、第1話部分の新作カットの合計は1分30.75秒。テレビ版から消去されたカットは2分44.25秒です。新作カットよりも削られた部分の秒数の方が多く、テンポアップしていることがうかがえますね。
 絵コンテ段階での秒数なので実際の映画の秒数とは違う可能性が高いのですが、ブルーレイディスク再生機械で1話相当分の時間数を勘定するのは非常にめんどくさいのでやらない。



 ちなみに、この劇場版の絵コンテの比較をしている人、今のところ見たことがない。おいおいおいおい!富野由悠季のオタクならやるだろ!やれ!(まあ僕も2年以上やってなかったんですが)
 第1話相当分を2つの映像と2冊の絵コンテで比較してスプレッドシートにまとめるのにだいたい作業時間は他の行動を除くと3日程度でした。書く人はもっと大変ですね。


 なお、作画の比較をしている方は居ます。
hy53.blog.fc2.com


 私は絵コンテに記載されていた秒数を書き写しただけなのですが、hy53さんは作画指定でカット間の数コマの短縮などをまとめてらっしゃいます。流石にコマ数を数えるのは、僕の映像再生環境だと厳しいのでありがたいですね。(ていうか、3コマくらいの時間差を知覚するのはかなり難しい)
 なんとなく劇場版のほうが全体的にテンポアップしているように思えましたが、絵コンテではそこまで変えていなかったので、演出とか編集段階で詰めていったのかな。


  • 執筆時期

 TV版の第1話の絵コンテのチェックを終えたのが2013年9月19日。えっ。9年前か。
 劇場版は第5話までですが絵コンテ初稿が2015年5月26日。劇場版最終チェックが2015年10月1日。TV版の放送直後から劇場版を画策していたのか…。劇場版第1作のアフレコは2016年に行われて、2019年の公開まで寝かされていたという。うーん。

  • カット40まで

 とりあえず、資料として生データを貼っておきます。冒頭から、ベルリたちを乗せたクラウンがビクローバーを発進するところくらいまで。



 冒頭の音速おじさんの新作パート、それに伴うデレンセン大尉の芝居の変更、テレビで欠番だったラライヤの呼吸困難シーンの追加、第一話サブタイトルコール直後の大聖堂での法皇様の説法シーンの移動などが変わっています。
 ラライヤさんの酸欠シーンのカット25がテレビ版では欠番で5.5秒でしたが、劇場版では復活した上に7秒にちょっと伸ばされているところにこだわりを感じますね。


 富野由悠季のオタクで、どのカットがどの場面か、わからないやつはいねえよなあ!(劇場版の絵コンテは当然入手しているものとする。パーフェクトパックを買え)


 撃破されるグリモアに乗っていた音速おじさん、25.75秒しか出てないのに印象的ですね!まあ、劇場版での第一話相当分での新作パート、1分30秒だけですが。新作のほぼ1/3が音速おじさんか。

  • カット80まで


 チアメンバーが乱入してきて、ノレド・ナグさんとラライヤ・マンディさんが出会うところまで。
 大きな変更点はない。


  • おじいさんの頑張り

 この段階では特に秒数の変更はないのだが、それでも劇場版の絵コンテは序盤からかなり手が入っている。まずTV版のカットNo.3と4などですが。TV版で動画の素材がすでにできているので同じ指示をする必要がないからか、複数のコマ(絵コンテの絵を描く欄)に渡っていたカットのコマを省略しています。後半の絵コンテに無理やり書いてあった成形ラバーの図解も消されている。
 そうするとどうなるのかというと、この絵コンテは紙に書かれた手書きで、ひと繋がりのデジタルデータではないので、1ページ5コマの絵コンテ用紙でズレが生じる。一コマ省略したら空白にするのではなく、別の用紙の次のカットのコマをコピーするかハサミで切ってくるかしてセロハンテープか糊で移植してます。
 図工の作業です。め、めんどくさいことをするなあ…。TV版の素材とそれほど変わらないならそんな切り貼りはしなくてもいい気がするのですが、なんか富野監督は絵コンテをスッキリさせたかったのか、劇場版だと絵コンテが615ページもあるので少しでも軽くしようと思ったのか、新作素材以外のTV版の絵コンテは、実際の映画の映像で殆ど動きや作画が変わっていないとしても、書き加えるよりもむしろ切ってコマ数を減らしています。
 めんどくさいと思う。頑張るなあ…。図工の作業は制作進行助手とかがやるのかもしれないけど。でも、監督の最近のインタビューでも「やってることは絵コンテの切り貼りです」とおっしゃってたので…。文化功労者だけど頑張ってらっしゃる!


 鉛筆書きのト書きも微妙に書き直したり、消したりしています。
 その基準は割と富野監督の裁量で、劇場版で変更するところははっきり明記してるんですが。あんまり変わってないところでもちょいちょいト書きを変更するというか短くまとめたりしている。残っている指示書きの部分もある。絵コンテで指示がなくても作画が少し変わっている部分もある。
 特筆すべきは、LGBT対応。セントフラワー学園のチアリーディング部員でトリーティのガールフレンドの男の娘がTV版では「チアガールA」でしたが、劇場版ではトランスジェンダーに配慮したのか、役名表記が「チアメンバーA」になっています。デレンセンのセリフも「チアガール」から「チアメンバー」に変わっている。それはわかる。劇場版にするに当たってジェンダーをアップデートしてクレジットやセリフを変更するのはすげーわかる。というか、テレビ版の絵コンテでは「チアメンバーA」を「女生徒A」と記載している部分もあり、男の娘になったのは絵コンテの段階では想定してなかったのかもしれない。
 でも、絵コンテは基本的に世に出ない制作上の途中段階の設計図だし、一部のスタッフしか見ないし、あんまり気にする人はいないと思うのだが、ほぼ全部「チアガールA」が「チアメンバーA」に、鉛筆書きを消して書き換えられている。(たまにベレー帽メンバー)
 めんどくさいことをするなあ…。でも、それが富野由悠季監督なりのこだわりなんでしょう。
 「チアメンバーA」以外の女子がしゃべるところは「チアガール」と書き分けている。こだわるなあ。
 ていうか、もう、名前をつけたほうが速くないか???


 そういうわけで、富野由悠季監督のオタクとしては「こんな細かいところまでハサミを入れて消しゴムかけて、文化功労者のおじいさんが夜なべしてセロハンテープで継ぎ接ぎしてくれたんだなあ。端役の男の娘のことも大事にしているんだなあ」と感動します。するよな?しなさいよ!
 映画を見るだけなら、別に絵コンテは読まなくてもわかるんですが。やっぱり、好きな人の肉筆は読みたいです…。


  • カット120まで


 デレンセンの講義のあたり。ここらへんから芝居やセリフが変更。顕著なのはベルリが「つまらない質問」とか言うのがカット。テレビ版のカット97と99のベルリのしゃべるカットをつなげて、怒るデレンセンの98を消してワンカットにしてある。
 高度を答えるルインのセリフが「365キロメートル」から「365キロメートルであります」にちょっとていねいに。
 TV版では欠番だったカット86、87はアンダーナットを通り抜ける直前のクラウンが地球(カリブ海)を背景に速く移動する場面。背景とCG作画が難しかったからTVでは欠番だったのかな?一瞬、通り過ぎるときに見えるレクテンが印象的。劇場版コンテではNEWとの指示。続く穴の内側が光るアンダーナットのカットはSATU(撮影)NEW指示。


 デレンセンが運転席から移動するのをノレドに見つかるカットは段取り臭いからかカット。あだち去りが印象的だったのに。

  • カット160まで


 ラライヤ・マンディの酸欠についてキャピタル・アーミィの二人がからかうような悪い印象のセリフはノイズになるからか、カット。


 カット137〜139は初めて宇宙に出て外向きのレクテンを見るベルリのシーンだが。TV版では宇宙に初めて出た感動のある場面だが、段取り臭いからかスピードアップからかカット。

  • カット200まで


 特筆すべきはG-セルフが初登場するTV版カット160で1.333秒との指定。正確には「1+8」。1秒以下の時間は1秒を24として指定している。なので1+8/24秒。ここまでは全部24の1/4の倍数を使っていたのに、G-セルフの初登場シーンで24の1/3の8を繰り出してくる。
 劇場版では少しアクションが増えて1+18に変わっている。
 どちらにせよ、やはり主役ロボなのでちょっとテンポを変えるというか?こう、やっぱり主役ロボなんですよ!
 いや、僕はアニメーターではないのではっきりしたことは分からんのですが。ゼロコンマ数秒の違和感で謎のモビルスーツを引き立てるような味付けの効果みたいなのがあるとは思わないのかい?将太君?!
将太の寿司(1) (週刊少年マガジンコミックス)

 作曲家が付点四分音符にして、細かく時間を変える感じみたいな?まあ、僕は楽器もほとんど演奏できないし楽譜も読めないんですが。一応、義務教育でリコーダーくらいはした。


 ちなみに不朽の名作「機動戦士ガンダム」のテレビ版のブルーレイボックスにも第1話の絵コンテが添付されているのだが。このころから基本的に富野監督の1秒未満の時間は24コマの4分割が基本です。というか、機動戦士ガンダム第1話の絵コンテの指定では、ほぼほぼ0か12(0.5秒)の指定なのでGレコよりもさらに簡素ですが。
 機動戦士ガンダムのオープニングテーマは音に合わせるために、1秒未満の時間でも、めっちゃ奇数のコマ数の指定をしています。やっぱり、オープニング映像は番組全体のテンションを上げるので。
 あんまり一秒以下の時間指定を細かく変えるとアニメーターもめんどくさくなるので、基本は四分割ですけど、ここぞというところでは、微妙な時間に変えてテンポを変える、そういう技もあるのか!
(こういうことを書いているときに、僕は本当にどうしようもないオタクなんだなあって思いますね)


 富野由悠季の世界展で逆襲のシャアの絵コンテを全部読んだんですが、急いで読んだので秒数のカウントはあまりできなかった。秋に出るらしく予約した値段が高い逆襲のシャアの新しい設定資料集には逆襲のシャアの絵コンテが添付されるのですが。それを読むと、それはそれでたぶんまた地獄なんだろうなあ。
www.amazon.co.jp



 ベルリのレクテンが強制停止するカットがカット。


 アイキャッチ前にG-セルフがビームライフルを威嚇で宇宙空間へ撃つ印象的なカットがカット。
(なお、絵コンテ段階ではテレビ版のアイキャッチはダンスではなかったらしい)


 ベルリがクラウンの運転席のノレドやラライヤに反応するのが減らされてカット。


 また、3カットの3コマの間の1コマを抜いてワンカットにする処理なども。


 やはりモビルスーツが出てからはワンカットも短いアクションの連続になり、劇場版ではさらにスピーディーにするための処理が行われている。


 カット200のクラウンをナメて上昇するトリーティのレクテンがカット。TV版ではキャピタル・タワーという軌道エレベーターや宇宙空間、などのそれまでの宇宙世紀ガンダムにはなかった、新しく思いついたGレコ世界の設定というものを見せたかったのかもしれないけど、一回テレビ放送した後の劇場版では設定を見せることの優先順位が少し下がっているのかも。


 テレビ版の絵コンテではG-セルフが接近するときにベルリがカット163で「来るのかよ!」って言うところに「うれしい!」と書いてあってカット164で「はい!!来ますよ!」とG-セルフがアップになるシーンで監督自身もテンションが上がっている感じですが、劇場版では「来るのかよ!」のセリフがカットされているし、絵コンテの記載でも「来るG。しかし、ベルリは知らない機体だ」って監督のテンションが落ち着いている。やっぱりブランクを置いてのテレビ版の第一話では監督も自分を上げていかないとって感じだったのかもしれないけど、テレビ版終了直後に書き始めた劇場版は落ち着いて整理していくという気持ちだったのだろうか。
 テレビ版の絵コンテで「ぐいーっ!」とか「ぐわーっ!」とか雰囲気の擬音が書かれているのも、割と劇場版で消されている。富野監督の著書の映像の原則では「あんまり絵コンテに効果音を書き込まない方がいい。音響は音響のプロのスタッフの仕事」とされている。庵野秀明監督とか樋口真嗣監督はわりとマンガっぽく効果音を書くけど。
映像の原則 改訂版 (キネマ旬報ムック)


  • カット280まで



 G-セルフとベルリのレクテンとの戦闘アクション。


 カット217を、劇場版絵コンテで、わざわざ復活指示をしたのに欠番になったのは、地球のアマゾン川を背景にしたトリーティのレクテンがG-セルフのビームライフルを躱すのを上から写したカット。色々と作画カロリーが多いからか?
 

 カット224はレクテンのコックピットでビッグアームの操作を(少しうれしそうに)確認するベルリのレバー操作の段取りをカット。


 また、ベルリがトリーティの突撃を見て自分も出撃する際のセリフとBGMが変更され、トリーティの攻撃に対して、劇場版の方が不安になっている。テレビ版のBGMの方が勇猛な感じで盛り上げているが。
 テレビ版の「海賊をやるなんてやめなさいよ!」や「敵のまさかというポジションが、こちらの優勢の位置になる!」「降参しなさいよ!」もカットされており、テレビ版よりベルリの好戦的な部分が少し冷静にトーンダウンしている。
 まあ、テレビアニメ第1話はテンションをカチ上げて視聴者を盛り上げるのが必要だけど、劇場版で第5話まで続けて見せる映画なら、第1話相当の部分でテンションを上げすぎない方がいい、という温度のコントロールがあるのかも。
 

 テレビ版のころの富野監督はメルマガでワンピースの尾田栄一郎先生を褒めていたりして、海賊アニメとして好戦的なルフィを参考にしていた部分があるようだが、劇場版ではちょっとクールになっている。まあ、モンキー・D・ルフィも割とよくわからん奴だからな…。


 アイーダさんの名台詞の「世界は!四角くないんだから!」の絵はカットされ、ベルリのシーンにかぶさるように処理されている。テレビ版ではG-セルフの中でのアイーダさんの主観カットがあったが、劇場版では「女性の声だった?」と驚くベルリのセリフを新しく入れたり、アイーダさんの顔が見える登場シーンを後ろにずらして、美女の登場シーンを印象付けている。


 テレビ版ではアイーダさんとベルリのダブル主人公という感じを出したかったのかもしれないけど、劇場版では視点をベルリに絞ることで煩雑さを減らしている。


 秒数だとテレビ版カット252と266が1秒の三分の一のテンポになっているけど、252はG-セルフの浮遊、266はアイーダさんの「世界は四角くないんだから!」を聞いたベルリが操作するシーン。ちょっとここで違和感を足してるのかな。266はメカの操作なので、ちょっぴり長めにする必要があったのかどうか。


  • カット320まで


 バッテリー泥棒にビビっていたらずっと続くというしゃらくさいルインの説明セリフがカット。G-セルフとの戦闘の後にかっこつけるルインもカット。ルインがかっこつけてベルリを安心させる場面がカットされるので、カット318で劇場版では顔が初登場のアイーダさんの印象が強まる。
 戦闘シーンなのでテレビ版より段取りを省いたりカットを減らしてスピードアップ。


 デレンセンのアクションが少し前後が変更している。ラライヤを落とした謎のモビルスーツとかの段取りが少し減っている。テレビ版ではそういう謎をフックにして第1話を作るけど、劇場版はスピード感。


 違和感のある奇数の293はラライヤに困惑するルイン。劇場版ではセリフが少し変更。


 306と307はG-セルフとレクテンの交戦なので、少しスピード感のために?

  • カット360まで


 レクテン3機に曳航されるG-セルフの段取りや、ベルリの指の傷をアップにする段取りがカット。


 G-セルフに近づこうとしたり「Gの誰かさん!」と叫ぶラライヤも細かくカット。


 段取りを省いてスピードを上げつつ、謎のラライヤの視点を減らしてベルリを中心にしていく。
 劇場版は分かりやすいと評判だが、むしろ、テレビ版で「謎だな?」と視聴者が思わされる、次回への引きになるサスペンス要素が削られているようす。なので、分かりやすいというより、テレビ版で「ここがわからないな?」と感じるきっかけの場面がカットされているので「わからないな」という感覚が生じにくくする引き算の演出。決して、テレビ版よりも情報量が増えたから説明が多くなって分かりやすい、という足し算の演出ではない。


 まあ、ぶっちゃけ、ラライヤさんの後半での正体とか、前半で引っ張った割には大したことはなかったし、削った方が凸凹が減る。まあ、ラライヤさんの謎要素を全く消去したわけでもないんだが。
 レイハントン・コードのDNAっぽさの謎とかもG-セルフのコックピットでのアイリスサインや指紋登録とかで十分なので。アイリスサインは第2話部分でも出るし。


 その他、クラウンの窓から見えるG-セルフの目などの撮影処理に関する指示が追加されていたり。細かい演出の変更点は見ればわかるので省く。デレンセンの芝居がやさしくなったりとか。


  • 第1話部分ラストまで


 相変わらず、ラライヤとG-セルフの関係の謎をにおわせるシーンを細かくカット。ノイズになるし、ラライヤさんが泣き叫んでいるところは視聴者も見てて不安になるので。
 ラライヤさんの退場はアーミィに両腕をつかまれて引っ張られる、テレビ版の少し乱暴な場面ではなく、もうちょっと優しくケルベスに言われてアーミィの二人が寝かしつけようとしたり、新作カットで早速、ノレドとマニィが抱きかかえてやっていたり、やさしい感じに変更。その分、冒頭でラライヤさんが酸欠になるカットが劇場版では長くなっている。冒頭で死にかけていたラライヤさんがアーミィの二人とノレドとマニィによって割と優しく扱われることで、不快感が減っているし、流れとしても安定の方向に向かっている。


 んで、ラストはテレビ版では第一挙動をしたG-セルフとともにクラウンがキャピタル・タワーを上昇していくところで終わる。
 劇場版は第二ナットのハイヤーンで下りのクラウンにG-セルフと女子たちが移動して乗り換える新作カットを経由して、キャピタル・テリトリィに降下していって、テレビ版ではサブタイトル後の冒頭にあった法皇様の説法のシーンにつながる。


 第一挙動がなくなったのは少し寂しいが、きらびやかなハイヤーンでの新作カットは見ごたえがある。
 また、やっぱりアニメにおいて宗教要素はうさん臭さや不安感を感じさせるものだが、先にキャピタル・タワーという宇宙のへその緒そのものを描いていることで、「心を天に開くのです」という法皇様の説法が謎や次の場面への興味のフックではなく、キャピタル・タワーについて改めて説明するという安定した場面に代わっている。実際、最後まで見たら法皇様とスコード教はカルト宗教ではなかったし。というか千年もずっとリギルド・センチュリーの作中社会を安定させていた宗教なので、基本的に温和な宗教。(まあ、それを隠れ蓑にしていた金星の勢力はクッソヤバいんですが。トップが子安武人だし)


 そういうわけで、上に行っていたクラウンが下に降りて第2話につながるというのは場面転換としても分かりやすくなったと評判なのだが。
 実はテレビ版のラストカットの31秒もある長回しの欠番になったカットでは、ベルリ達が乗ったクラウンが上に消えた後、そこから降りてくる別のクラウンが画面を上から通り過ぎて、それをカメラが下に振り向きつつ追って、降下する地点であるキャピタル・テリトリィを上空から見る絵で終わる。

 
 キャピタル・タワーを見せたいという意欲は伝わるけど、宇宙の果ての消失点から降りてくるクラウンをPANしつつカメラが天地逆になるのを31秒のワンカットで見せるというのは作画カロリー的にもクッソめんどいし、欠番になっても当然だ。(実際、テレビ版の絵コンテでも使わないかも、みたいな記述がある)


 なので、実は劇場版でキャピタル・タワーを降りるクラウンが追加されたのはテレビ版の欠番の復活でもあるんですな。
 31秒ワンカットで下りの、他人が乗ってる知らないクラウンと宇宙から見たキャピタル・テリトリィを描くのは大変だし、感情移入もしにくい。
 それより、ハイヤーンの映像的な楽しさを見せつつ、ベルリ達本人が移動して下りのクラウンに乗り換えて、帰還するっていう風に見せた方が視点も、時間的なつなぎ方も、視聴者の不安も安定する。

  • 総評

 というわけで、まあ、なんか一年くらいかけてこのテレビ版第一話と劇場版第一部冒頭の絵コンテの比較をしたのですが。


 めんどくさくて時間がかかった割に、なんか普通というか。確かにこういう風にカットを切っていった方が確かにわかりやすく見えるな、と。テレビ版は一週間に一回、次週を待て、しかして希望せよ!という連続テレビアニメだったけど、劇場版は5話くらいの塊を数か月ごとにお出しするので、クリフハンガー的な引きの要素はメディアの違いとしてそりゃあカットされるよな。うん。当然ですね。


 徹夜して、めんどくさかった割に、あの、めっちゃ普通の結論になってしまった。


 まあ、その、こういうのは要素を時間かけて調べながら、最後は徹夜して一気に書き上げないと脳のエンジンをオンオフするのは非効率なので。


 ていうか、実は第一部の絵コンテをぎりぎり読んだだけで、第三部まで買ったパーフェクトパックBlu-rayの絵コンテ、読んでないんだな…これが。あと18日で第四部公開ですけど。間に合うのか?
 まあ、途中で風邪ひいたりFSSを読んだりシン・エヴァで炎上したり風邪ひいたり家の修繕DIYなどをしてたんですけど。


 でも、テレビ版と比較しないで絵コンテを読むだけなら、まあ、逆襲のシャアを読んだ時と比較すると一冊5時間くらいですかね。


 はーー……。温度や湿度が滅茶苦茶な気候で徹夜してめっちゃ肌が荒れたし、鼻血が出そう。鼻血が出るほど好きなことを見つけろって量産型リコというドラマで言ってたけど。


 あの、単に長く起きていると疲労して粘膜組織から細胞が死に始めるというだけなので、鼻血が出たり消化器官が不調になったり肌が荒れるのは好きで熱中しているということとはあんまり関係ない。単なる疲労です。


 本当に、追い詰められないと絵コンテを読まない癖は本当にダメ!!



 ちょっと他の作品を見ていたけど、ここから一か月ちょっとはGレコ集中期間です!劇場版輪るピングドラム後編もGレコ第四部と同時公開だけどな!わはははは!


 シン・ウルトラマンとか見てる余裕ははっきり言ってない!(犬王も見たけど、あえてパンフレットも買わないで見ただけだし)


 もってくれ!自律神経!とっくにおかしくなっている!


 こんな富野監督の絵コンテの比較とかいうめんどくさい作業はほかのオタクはしなくていいので。このブログを読んでわかったつもりになってくれたらいいです。僕は痛みを知る一人ですので。ウィンスペクターなので。
特警ウインスペクター VOL.1 [DVD]


 いや、本当に無職じゃない人はこんなアホなことをしてはいけないです。リアルの仕事を優先しましょう。僕は、まあ、人生がそれなりに終わっているので、これ以上ダメな要素が増えても誤差だし。富野監督よりちょっぴりだけ長生きできたらいいけど。富野監督より先に亡くなったアニメ関係者をたくさん見てるとつらいよね。


 寝る。


  • ほしい物リスト。

https://www.amazon.co.jp/registry/wishlist/6FXSDSAVKI1Z
↑グダちん用


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